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■第2節 基本ルールの変更点
 まずは、信仰に関係なく「ガープス・ルナル」全体で適応されるルールの変更点を記しておく。
 
■変更点その1 僧侶呪文の導入
 ルナルにおいて、ウィザードとソーサラー以外の呪文習得に関しては、「ガープス・マジック完訳版」の「第5章」(p101)に記載されている「僧侶呪文」のルールを導入する。


※ルナルにおける僧侶呪文とは
 信仰する神の教えに応じた2~5系統の呪文を学べる。これは神からの「啓示」の形で習得可能になるものであり、他人に呪文の「存在」を教えることはできても、呪文そのものを習得させることはできない。また、ウィザード(ソーサラー)のように新規呪文を開発する事もできない。

 学問として成立させ、新呪文を自分で開発したり、知ってる呪文を他人に教えることが可能なのはウィザード(ソーサラー)だけ、と覚えておけばよいだろう。<神秘学>はそうした「学問としての呪文」の知識であるとみなされる。

 信仰する神に応じて2~4系統の呪文を学べるが、それぞれの月の信者の地位に応じて習得制限がかかる。僧侶呪文を行使するのは、双子の月、緑の月、銀の月の信者だが、習得制限もそれぞれ微妙にルールが異なる。以下の各月ごとのルールを参照のこと。

 ルナルの僧侶呪文は1系統ごとに完全に独立しており、
前提条件の中に「他系統の呪文」が含まれる場合、それらは無視する。「魔法の素質」や、系統内に条件に当てはまる呪文がある場合は、ちゃんと習得すること。

 注意すべきことだが、たとえ似たような2系統を学べる信仰でも、互いに「別もの」扱い扱いであり、前提条件は無視される。これによって、本来習得できないはずの呪文が容易に習得できてしまうケースが稀に存在するが、一切の例外処理は作らないものとする。
【双子の月の人間、ドワーフ】
 人間とドワーフは、信仰する神より啓示の形で呪文を授かる。
 双子の月の信者は、専業戦士あるいは魔法戦士として作られる事が望まれており、習得呪文には一定の限界が存在する。具体的には、素質3が前提となる呪文は習得できない。
 なお、「魔法の素質」1レベル以上でないと、神官以上に出世する事はない。



●どの信仰も、教えに沿った
2系統の僧侶呪文を習得可能とする。

●「平信者」および「入信者」の段階では
呪文を一切習得できない。

●「神官」になると「前提条件が素質1までの僧侶呪文」が全て習得可能となる。

●「高司祭」になると「前提条件が素質2までの僧侶呪文」が全て習得可能となる。

●高司祭は上記に加え、各信仰ごとの独自呪文と「高司祭共通呪文」が習得可能となる。
【緑の月のエルファ】
 エルファは、自分が所属する氏族の祖霊より呪文を授かる。双子の月の信者と同じく啓示の形だが、祖霊が直接現世に現れて授かる例もある。

 改変版のエルファは、種族的に素質1が種族セットに含まれるので、生まれつきの魔法戦士または魔法使いである。そのため、氏族レベル1の段階から呪文が習得でき、しかもその習得幅は双子の月の信者よりも広い。双子の月の信者には不可能な「素質3が前提の呪文」も学べる。



●どの氏族も、役割に沿った
2系統に加え、動物系と植物系呪文を習得可能とする。

●「緑の弟・妹」(氏族レベル1)の段階で、「前提条件が素質1までの僧侶呪文」全てを学べる。

●「緑の兄・姉」(氏族レベル2)の段階で、「前提条件が素質2までの僧侶呪文」全てを学べる。

●「導き手」(氏族レベル3)の段階で、「前提条件が素質3までの僧侶呪文」を全て学べる。

●「導き手」は上記に加え、それぞれの祖霊に応じた独自呪文と《化身》《樹霊覚醒》、「<導き手>共通呪文」が習得可能となる。
【彷徨いの月の種族】
 この月の信仰種族は「ガープス・マジック」の呪文を一切習得できず、「魔法の素質」「魔法の耐性」を持った個体が生まれることもない。
 他の月の信者が作成した魔化アイテムを使う事は普通に可能であるが、使用に素質を求められるもの(魔術師でないと使えないアイテム)は、やはり使う事はできない。



●呪文は一切使用できないが、超能力や妖術に近いルールで制御される「月の賜り物」という特殊パワーが習得可能。
【銀の月の各種族】
 銀の月の眷属は、地位に応じて呪文が使えるか使えないかはっきり分かれており、使える地位の者は特に制限なく習得可能な呪文系統の呪文全てを習得可能である。逆に使えない地位の者は、専業戦士や一般労働者になるしかない。



●種族ごとに習得可能な僧侶呪文5系統が固定されており、呪文が使える地位であれば、全てを習得可能となる。

●同じく呪文が使える地位であれば、崇める元素に応じた《元素獣の召喚》の呪文を習得できる。
【黒の月の各種族】
 黒の月の種族のほとんどは魔獣王を崇め、魔獣王からの啓示で呪文を授かる。習得系統はそれぞれのキャラクターが自由に選べるが、最大で2系統までに制限される。

 一方、魔元帥直属の<悪魔>を召喚して邪術具に封印し、ウィザードのように自由に呪文を習得できる者を「ソーサラー」と呼称され、元種族からは独立した存在となる。ソーサラーは呪文を学問として習得できるため、他のソーサラーに呪文を教えたり、新規で呪文を開発したりすることが可能。
 またソーサラーは2種類あり、他のソーサラーに生まれつき導かれたり、ウィザードが<天使>を捨てて<悪魔>に乗り換えた「堕ちたウィザード」は狭義のソーサラーである。
 一方、狭義のソーサラーが生み出した邪術具などを入手して<悪魔>と契約する事で、後天的にソーサラーになった者は広義のソーサラーとされ、狭義のソーサラーのように正規の訓練を受けていないため、成長に歪みが生じやすく、また以前の種族の性格はそのまま残る(例えば種族的に「残忍」であれば、ソーサラーになった後もその性質は残る)。


●ゴブリンやゲルーシャのように最初は魔獣王を崇めていたが、後に邪術具を手に入れてソーサラーになったケースの場合、魔獣王を崇めていた頃に啓示で受け取った呪文そのものは、ソーサラーになった後も残る。ただし、ソーサラーになって以後、新規で呪文を習得しようとする場合、前提条件を満たしていない部分があれば、それらは全て遡って前提条件をクリアせねばならない。
 
■一部呪文のルール改変
 「ガープス・マジック」に掲載されている呪文のうち、以下のものはルナル世界において特殊な扱いをする。



●召喚系呪文全般
 この世界の精霊は「元素獣」であり、銀の月のルールに則って処理される。よって、この系統の呪文自体が存在しないものとする。


●《祝福》
 消費コストや魔化コストに対し、効果があまりに強すぎるため、以下のように修正する。

・目標値を補正する効果は一切なし。
・判定時のファンブルをキャンセルする効果は有効。パワーレベル1で通常の失敗扱いに、パワーレベル2で通常の成功扱いに、パワーレベル3でクリティカル扱いに変更できる。
・一度効果を発揮すると、呪文の影響は消え、魔化アイテムの場合は魔力を失う。
・呪文判定(魔化含む)に対し、この呪文の効果は一切働かない。そのため、ファンブルすると致命的な結果を招く呪文(《大祈願》や《魔力除去》など)の結果を回避する事もできない。


●《呪い》
 上記の《祝福》と同様に、クリティカルをキャンセルする効果だけとする。パワーレベル1で通常の成功扱いに、パワーレベル2で通常の失敗扱いに、パワーレベル3でファンブル扱いに変更される。
 一度効果を発揮すると、呪文の影響は消え、魔化アイテムの場合は魔力を失う。なお、呪文判定(魔化含む)に対し、この呪文の効果は一切働かない。


●《悪魔召喚》
 ルナルにおける悪魔召喚の呪文は、黒の月の独自呪文《<悪魔>召喚》が存在するため、こちらの呪文は存在そのものがないものとする。


●《悪魔退散》
 呪文の効果があるのは「異次元の生物を送還する」部分だけとし、<悪魔>の送還には使えないものとする。


●「ガープス・グリモア」の呪文全般
 これらは、まだ魔法が未発達なルナルでは「特定信者の独自呪文」として一部が存在するのみであるため、習得する事はできない。
 なお、ウィザード(orソーサラー)のように自発的に呪文を開発できる種族であれば、将来的にこれらの呪文が開発する可能性はあるが、現時点のルナルでは存在せず、ウィザードのキャラクターを作成する際、GMの許可がない限り、習得は一切不可能とする。
■種族による能力値修正
 ガープス第3版のルーリングにおいては、「能力値の増減時における必要CP量は、種族ごとの基準値を元とする」となっているが、「ガープス・ルナル完全版」においては「どの種族でも人間を基準値として差額のCP量を計算する」という独自ルールに変更されており、改変ルールにおいても「ルナル完全版」のルールに従うものとする。

 つまり、種族的に体力+1のドワーフが体力14にしようとすれば、人間が体力14にする時と同じく「体力45CP費やす」必要があり、種族的なST+1のCP分を差し引いて「35CP必要」となる。

(ガープスベーシック第3版の基本ルールでは、この場合、30CPで体力14にできるのだが、日本のガープスでは「能力値的に優遇された種族があまりに強くなりすぎる」という配慮が過去にあったために独自ルールが採用されており、改変ルールでもこちらに合わせるものとする。この思想は第4版でも取り入れられており、能力値上昇に必要なCPが均一化するきっかけとなっている。)
 
■ランニング技能の修正
 日本では誤訳により、ランニングによって補正された移動力がそのまま「よけ」の値に適応されていたが、改変ルールではこれを排除し、(敏捷力+生命力)÷4(-荷重レベル)を「よけ」の値とする。<ランニング>技能による移動力の増加自体は有効である(移動力順で行動順を決める際は重要になる)。
■盾破壊のルール
 これを導入しないと、盾装備が最強になってしまい、騎兵の優位性がほとんどなくなってしまうため、できれば導入してほしいところだが、基本的に「シールド破壊」のルールは完訳版にしか載っておらず、また実際のプレイ中に適応すると面倒なことこの上ない。

 そこで、当サイト独自のルールを紹介しておく。


[盾に関する特殊ルール]
●盾の受動防御が有効なのは「止め」を行う時のみ
 盾の受動防御は、言ってみれば「大きさによる止めやすさ」であって、盾を使わない時まで有効とするのは、現実的に考えても色々とおかしい。そこで、「止め」以外の能動防御を行う際は、盾の受動防御は無視する。受動防御は実質、鎧だけの概念となる。

 シート上では、「止め」の欄に盾の受動防御分だけ加算しておき、受動防御の欄は鎧の分だけとなる。


●盾で「止め」たら問答無用でダメージ
 「止め」を行った場合、防御に成功してもダメージ決定まで行い、盾にダメージを与える。盾の耐久度は、選択ルール「盾破壊のルール」にある「一撃で盾を破壊できるダメージ」分だけであり、攻撃がそのダメージに達さない限りは、盾へのダメージは無視され、盾破壊も起きない。逆に、それを超えたダメージが与えられた場合、盾は破壊され、残った余剰ダメージは本体に適応される。
 各シールドの一撃耐久力は以下。

バックラー、スモールシールド 8点(金属製 16点)
ミディアムシールド 10点(金属製 20点)
ラージシールド 12点(金属製 24点)
*金属製の盾は価格4倍、重量3倍



 このルールの狙いどころは、「盾装備は個人戦闘では相変わらず有効だが、マスケット銃やランス・チャージのように巨大なダメージを発生させる攻撃に関しては防ぎきれないのを再現しつつ、煩雑な処理を回避できることである。

 導入するかは、各テーブルにお任せするが、騎兵や巨大な敵の破壊的な一撃を、シールドで簡単に「止め」られてリアリティから遠ざかるのを回避したければ、このルールか「シールド破壊ルール」を導入すべきである。導入しない環境下では、盾持ち戦士が最強であり、その防御を突破する手段はクリティカル攻撃か、呪文による鎮圧しかなくなり、戦術幅の乏しい戦闘になってしまうだろう。
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