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■第4節 初級戦闘ルール
 これは、ガープスの「基本戦闘ルール」に距離の概念を付け足したものです。それに伴い、上級戦闘ルールにおける戦闘動作のいくつかも追加されています。

 ヘクスは用いませんが「隊列」の要素が導入され、敵と味方それぞれで「前列」と「後列」が発生し、距離による不利な修正の概念も用いられます。その代わりに、後列に属している者は敵との白兵戦を回避し、射撃専用武器で射撃が行えるようになります。
 
■隊列
 初級戦闘ルール下では、前列か後列かのいずれかに所属している事をはっきりとさせておく必要があります。特に隊列を決めずにフリーアタックするのであれば、全員が「前列」扱いとなります。全ての味方が白兵戦闘可能になりますが、同時に味方全員が敵の白兵攻撃のターゲットになります。

 隊列を組む場合、
味方の半数(端数切り上げ)は前列に属していないと、後列に形成する事はできません。例えば味方3人であれば2人は前列に属さないと、後列を作る事はできないわけです。後列のキャラクターは、敵味方が交わる接敵エリアから5メートル離れた位置にいるとみなされ、敵からの白兵攻撃を受けなくなります。弓矢など射撃武器を専門で使う者に恩恵があるでしょう。

 途中で味方が倒れた場合、味方全体の数が減るため、場合によっては後列の誰かが前に出ざる得なくなるケースもあるでしょう。その場合、話し合いで即座に決まるなら問題ありませんが、互いに前列を押し付け合うようなケースになった場合、「隊列を決められずにフリーアタック」状態と見なし、全員が自動的に前列扱いになってしまいます(GMは強権を発動するのが躊躇われるならば、サイコロでも振って決めて下さい)。


(サイズの大きいキャラクター)
 サイズが2ヘクス以上のキャラクターは、
余分なサイズ分だけ「人数」と見なされます。例えば馬に騎乗中の騎士は、馬の大きさ3ヘクスがサイズとなり、騎兵1騎で「3人」と見なされますし、大きさ10ヘクスのドラゴンは、単独で10人と見なされます。
 巨大なキャラクターは、単独で数人分を占めているため、隊列を作ろうとすると必然的に前列を担う必要が出てくるはずです。
●前列 [敵との距離:1~3ヘクス(射撃時は2ヘクス)]
 前列に属する味方は、敵と隣接していると見なされます。白兵戦武器での攻撃が可能です。射撃武器も使えますが、「狙い」など付けても相手の攻撃で即座に解除されてしまう事が多いでしょうから、抜撃ちでの射撃がほとんどでしょう(手投げ武器の投擲など)。


(白兵戦)
 白兵武器で攻撃する場合、敵との距離は1~3メートルと見なして処理します。通常の白兵武器であれば、どんな長さの武器でも普通に届きます。

 なお、白兵武器で1人の敵に対し、同時に攻撃できる味方の数は
3人までです。ただし、標的のサイズが2ヘクス以上になると、余分な1ヘクスにつき白兵攻撃が可能な人数が増えます(例:大きさ2ヘクスの標的には4人の味方が白兵攻撃可能)。

(射撃)
 敵の前列への距離は2メートル(距離修正±0)、後列への距離は5メートル(距離修正-3)です。

 敵の前列を射撃する場合、誤射は発生しません。
 敵の後列を射撃する場合、敵の前列1人が「遮蔽物」扱いになり、目標値に-4修正を受けます。命中判定の段階で失敗した場合、改めて敵1人(複数いる場合はランダム決定)に対して、同じ目標値で誤射判定を行います。ただし誤射判定の目標値は、最大で9までにしかなりません。

(呪文)
 敵の前列への距離は2メートル(発動修正-2)、後列への距離は5メートル(発動修正-5)です。接触して呪文を使う場合(《死の手》など)、ターン冒頭に修正なしで発動した後、自分のターンの行動として素手(あるいは《魔法の杖》)での接触判定を行って下さい。

 なお、範囲型呪文の場合、+1倍拡大ごとに巻き込める敵の人数が2人増えます(2倍拡大で3人、3倍拡大で5人…)。大きさが2ヘクス以上のモンスターや動物などの場合、サイズに応じて拡大して下さい(おおよそ7ヘクス以下のモンスターは2倍拡大、それ以上は3倍拡大で収まるはずです)。
 また、《爆裂火球》のように効果範囲を任意にON/OFFできない呪文の場合、敵の巻き込み人数と同じ人数だけ味方の前列も巻き込んでしまいます。複数の味方がいる場合、どの味方が巻き込まれるかはランダムで決めて下さい。



●後列
[敵との距離:5ヘクス]
 前列から5メートル離れた後ろになります。白兵戦武器は届きません。


(射撃)
 敵の前列への距離は5メートル(距離修正-3)、後列への距離は10メートル(距離修正-4)となります。

 敵の前列に射撃を行う場合、味方の前列1人が「遮蔽物」扱いになり、目標値に-4修正を受けます。命中判定の段階で失敗した場合、改めて味方1人(複数いる場合はランダム決定)に対して、同じ目標値で誤射判定を行います。ただし誤射判定の目標値は、最大で9までにしかなりません。
 敵の後列に射撃する場合は、特に遮蔽物や誤射は発生しないものとします。

(呪文)
 敵の前列への距離は5メートル(修正-5)、後列は距離10メートル(修正-10)となります。かなり熟達していないと、通常型や範囲型の呪文で直接効果を及ぼすのは難しいでしょう。

 範囲型呪文に関しては前列の時と同じで、拡大すると巻き込みが発生します。射撃呪文を使う場合は、射撃と同じルールで運用します。

■空中
 生得能力の翼や、飛行が可能になる呪文によってのみ発生する隊列です。高さ10メートルの空中にいる扱いになります。地上キャラとの距離は一律10メートルとして計算します。
 飛行しているキャラクターが、地上への白兵攻撃を選択しない限り、地上側の白兵攻撃は届きません。

 なお、初級戦闘ルールでは、飛行時の戦闘ペナルティを適応します。そのため、かなり技能レベルが高くないと、飛行状態での格闘や射撃にペナルティが発生します。

[飛行戦闘における各修正]
・飛行中、白兵攻撃に用いる技能が15レベル未満の場合、足りない分だけ命中判定でペナルティとなります。
飛行中、射撃攻撃に用いる技能が17レベル未満の場合、足りない分だけ命中判定でペナルティとなります。
飛行中、無条件で能動防御の「よけ」が+2されます。
飛行に用いている技能(あるいは呪文レベル)が15レベルに満たない場合、能動防御の「受け」「止め」に-2のペナルティを受けます。
・飛行中の射撃での「狙い」は、最初の1ターン分しか効果がありません(余分にターン数をかけてボーナスを得る事はできません)。
●相手側に飛行キャラクターがいない場合
 飛行キャラクターは相手の前列・後列問わず、好きな標的を攻撃する事ができます。

(射撃)
 飛行キャラクターから地上の敵に射撃を行う場合は「撃ち下ろし」扱いとなるため、高度分の距離の半分(5m)が距離から差し引かれます。飛行キャラクターから地上までは実質距離5メートル(距離修正-3)とします。

 一方、地上から飛行キャラクターを射撃する場合は、距離10メートル(距離修正-4)として扱います。

(呪文)
 距離10メートル(発動修正-10)として扱います。地上側からも同様です。


(白兵戦)
 地上キャラクターに白兵攻撃を仕掛けた場合、相手より2メートル高い位置を低空飛行していると見なし、高度差による互いの能動防御修正は+3(飛行側)/-3(地上側)となります。飛行側が圧倒的有利と言えるでしょう。
 なお、初級戦闘ルールにおいては、高い側/低い側それぞれの部位狙いの修正は省略します(互いに部位狙い修正は同じとなります。低い側が高い側の頭部を狙ったりも可能です)。

 白兵攻撃された地上側は、飛行キャラクターに対して白兵攻撃で迎撃する事が可能です。ただし、攻撃された者が属している隊列の味方しか白兵攻撃で反撃できません(例えば後列が攻撃された場合、同じ後列の味方しか白兵攻撃で反撃できません)。そのため、味方に飛行キャラクターがいない場合、下手に隊列を分けるよりも一か所に固まった方が迎撃しやすいでしょう。

 なお、地上に降りてきた飛行キャラクターに対し、射撃や呪文で迎撃する事も可能です。この場合、飛行キャラクターまでの距離は2メートル(射撃距離修正±0/呪文の修正-2)として扱われます。
 白兵攻撃されてない側の隊列から飛行キャラクターを攻撃する場合は、距離5メートル(射撃距離修正-3/呪文の修正-5)として扱われます。
 接敵状態を維持するかどうかは、空中側が自由に選べます。白兵攻撃をしないターンは、自動的に空中に戻った(相対距離10メートル)ものとして扱います。

●敵側にも飛行キャラクターがいる場合
 地上の時と同じように、前列と後列の概念が発生します。この場合、相手の飛行キャラクターを排除しない限り、敵の地上キャラクターへの攻撃は行えません。空中同士の戦いにおける距離は、近接状態では地上と同じ(1~3ヘクス)ですが、隊列間の距離は地上の倍の距離で計算して下さい(10m間隔。後列から敵の後列までは20m)。

 空中で敵と対峙している場合も、射撃であれば地上の敵に対して攻撃を行えます。ただしこの場合、空中にいる目前の敵が遮蔽物として扱われます。


●最初から両者とも飛行していて交戦状態になった場合
 高さの概念は無視して、地上と同じように扱って下さい。


●地上キャラと飛行キャラの混在
 空中列は、地上の隊列とは独立した状態と見なします。そのため、地上にいる味方は飛行キャラクターをメンバー数に数えないで隊列を組む必要があります。

■その他の特殊な状況での隊列
●動かない標的
 「地面から生えてる植物のモンスター」や「侵入者撃退装備付きの固定装置」など、そもそも移動ができない対象が敵として登場するケースがあるかもしれません。この場合、動ける側が自由に敵との交戦距離を決められます。下記の「極めて遠距離での遭遇」を参照して下さい。

 狭い空間などで、動けない敵と動ける敵が混在している場合、動ける敵が隊列を調整しますので、通常通りの隊列のルールで戦闘を行います。

●極めて遠距離での遭遇
 戦場など開けた場所では、距離100メートルや200メートルでの戦いも想定できます。この場合、GMの判断で適当な距離からの「射撃特化戦」をしても構いません。相対距離は固定され、戦闘中に距離が変わることはありません(距離修正は固定)。ちなみに射撃距離修正は、距離100メートルで-10、距離150メートルで-11、距離200メートルで-12、距離300メートルで-13となります(ベーシック完訳版にしか載ってないので例示として表記)。中世ファンタジー世界では、この辺りが有効射程の限界でしょう。

 遮蔽物を取る事ができる場合、距離修正に加えてさらに-2(茂みなど薄い遮蔽物)~-4(厚い壁)の修正を相手の射撃目標値に与える事が可能です(当然、敵も同じように遮蔽を取るでしょうが)。
 完全な水平高度(高度差ゼロ)同士の撃ち合いであれば、単に「伏せる」ことで相手の目標値に-2修正を与える事も可能です(ただし転倒状態と見なされ、能動防御に-2のペナルティを受ける上、この状態だとクロスボウとマスケット銃くらいしか撃てないでしょう)。

 この状況における隊列は
「前列=射撃戦に参加する」「後列=物陰に隠れたり伏せたりして隠蔽状態になり戦闘に参加しない」の二択になります。ただし、後列の概念が作れるかどうかはパーティーメンバーの数ではなく、遮蔽物があるかどうかだけで決まります。そのため、遮蔽物がない場所では、全員が強制的に前列扱いとなり、敵の射撃の標的になります。
 隠蔽状態のキャラクターは敵の標的にはなりませんが、自身も射撃戦に参加する事はできません。横で射撃戦を行っている味方に支援呪文をかけたりする事は可能です(この場合、味方までの距離は5メートルとして扱います)。

 なお遠距離特化戦では、相手に接近するという行為は「撤退」と見なされ、射撃戦をしながら接近する事はできません。接近したい場合は、下記の「撤退」の項目を参照して下さい。
■戦闘ルール
 基本的には「基本戦闘ルール」に従いますが、一部「上級戦闘ルール」の要素を導入します。また、距離概念が特殊なため、格闘攻撃に関して独自の処理を行います。


●戦闘行動順
 基本ルール通りですが、敵と味方のリーダー1名が代表者としてサイコロを1つ振り、出目が高い方のパーティーから順に、全員分の行動を解決していきます。この時、リーダーの<戦術>技能の10分の1(端数切り捨て、ただし最低でも1)が、出目にプラスできます(わずかでも<戦術>を習得していれば+1、20レべルで+2)。

 なお、パーティー内での行動順序は自由に決めて構いません。連携するのに都合が良い順で解決していくと良いでしょう。


●不意打ちでの行動順
 「完全な不意打ち」「不完全な不意打ち」を問わず、不意を打たれた側は自動的に行動順が後になります。
 「不完全な不意打ち」の場合、自分たちのターンが回ってきたら、すぐに精神的朦朧状態からの回復が行えます(知力判定)。「完全な不意打ち」の場合は、「戦争即応」を備えていない限り、1D+1ターンは朦朧状態のまま推移し、それが過ぎたターンの冒頭から回復判定を行います……おそらく、ほぼ壊滅状態になってるでしょうが。


●後退防御が可能
 距離の概念があるので「後退防御」が可能となります。


●部位狙いが可能
 部位狙いの概念は有効とします。


●高度差修正
 飛行キャラクターや騎乗キャラクターは高い位置を取る事が可能なので、白兵戦において有利な修正を受けます。高い側は能動防御にボーナスを得、また低い側の相手を攻撃した場合、相手の能動防御にペナルティを課す事が可能です。

 騎兵は歩兵より1メートル高い位置にいるとし、自分の能動防御に+1のボーナスを得られ、また攻撃相手の歩兵の能動防御に-1のペナルティを与える事が出来ます(「側面攻撃」と合わせると、歩兵相手ならば-3もの防御修正を与える事ができます!)。
 飛行キャラクターは地上キャラより2メートル高い位置と見なし、上記の修正が+3/-3となります(上記の「空中」隊列の白兵戦闘を参照)。

 なお、3メートル以上の高度差があると、白兵戦は不可とします。


●「移動」の用途
 初級戦闘ルールにおける「移動」は、主に隊列変更を行う際に使用します。
 なお、隊列変更の際に前列の人数に気をつけて下さい。パーティー全体の人数の半数以上が前列に属していないと、後列の枠に入る事ができないことに注意して下さい。

 「移動」には、以下の行動オプションがあります。

(大振り)
 「移動」先の列に近接攻撃可能な敵がいれば、「大振り」(命中修正-5、目標値は最大で9)で攻撃が可能です。あるいは後列に「移動」する直前に、「大振り」を行ってそのまま後列に移動するといったことも可能です。騎兵の場合、馬が「移動」を担当するので、普通の攻撃として処理します(全力攻撃も選択可能です)。

 なお、隊列移動なしで(移動しても前列のまま)「大振り」するのも構いません。騎兵のランス・チャージやタマット信者のインペイラーでの突撃動作など、移動攻撃が前提になっている特殊な武器であれば、列変更なしで移動攻撃を使用するケースもあり得ます。

(側面攻撃)
 列を変えない「大振り」限定の行動です。移動力が5以上あれば、上級戦闘にある「移動して相手の後ろや側面に回り込んで大振りで攻撃」(回り込み攻撃)のルールを使えるものとします。このルール下では、それを「側面攻撃」と称します。
 この場合、相手は側面ヘクスから攻撃されたとして扱い、能動防御に-2のペナルティを受けます(「全周視界」など側面や後方の概念がないキャラに関しては、このペナルティは受けません)。
 なお、移動力10以上あれば、列変更と同時に「側面攻撃」を行う事が可能です(側面攻撃してから後列に逃げたり、後列から前列に移動しつつ側面攻撃をしかけたり)。

 歩兵では必然的に「大振り」になるため、この行動をあまり生かせませんが、騎兵で行う場合は馬が移動を担当し、騎手は攻撃に専念できるため、相手の能動防御を効率よく下げる良い攻撃手段と言えます。
 また、《瞬間移動》や《向き変え》の呪文でターン冒頭に相手の背後をとって攻撃する場合も、同様に側面攻撃と見なします。この場合も「大振り」になりません。

(一撃離脱)
 騎兵など1ターンで10ヘクス以上移動可能なキャラクターの場合、後列から前列に「移動」して「大振り」を行い、そのまま後列に戻るといった行為が可能になります。騎兵がランス・チャージしてそのまま離脱したい場合などに特に有効でしょう。
 なお、上記の「側面攻撃」と組み合わせて一撃離脱する事も可能ですが、移動力が15以上必要となります。

 当然ですが、初級戦闘ルールでは必ず前列がいないと後列が成り立たないというルールなので、前列がいるという条件が大前提の行動です。「騎兵が2騎以上いる」場合や「味方歩兵がたくさんいて後列から少数の騎兵が一撃離脱を行う」といった状況に限定されるでしょう。

(飛行キャラクターでの移動戦術)
 上記の移動戦術に必要な移動力は、歩兵や騎兵など地面で移動するユニットに関してのものです。飛行キャラクターで同様の事を行う場合は、必要な移動力は全て倍化して下さい(速度が上がるほど旋回半径に縛られるための処理)。
 例えば「側面攻撃」は移動力10以上、「移動して側面攻撃」と「一撃離脱」は移動力20以上、「一撃離脱で側面攻撃」は移動力30以上の移動力がそれぞれ必要となります。

 なお、「側面攻撃」と「高度差修正」による能動防御のペナルティは累積します。二つを組み合わせれば、地上キャラクターに対して圧倒的な優位性を得られるでしょう。


●「待機」の用途
 初級戦闘ルールにおいて「待機」行動は、相手が白兵攻撃してきた場合のみ、反撃として白兵攻撃を仕掛ける行動となります。相手が攻撃範囲内(接敵状態)にいても、何もしてこなかった場合は反撃できないものとします。
 そのため、この行動を使うのは、上記の「一撃離脱」戦法を取られた場合や、意図的に相手に連続攻撃を浴びせたい場合など、カウンター戦術を用いる時のみに限られるでしょう。

 攻撃者の攻撃と「待機」者による反撃の優先順位は、武器の長さで決まります。武器の長い側が先に攻撃の処理を行います。両方の長さが同じ場合は、武器技能で即決勝負を行って優先順位を決めます。即決勝負が引き分けの場合は、攻撃側から先に処理します。
●近接戦闘
 初級戦闘ルールにおける近接戦闘は、「体当たり」と<柔道>技能によるもののみとなります。<格闘>や<空手>によるパンチやキックを単体で使う場合、全て「長さ1」の白兵攻撃と見なし、近接戦闘では行えません(常に相手の「武器受け」により負傷する可能性があります)。

(体当たり)
 敵1体に体当たりを行います。「武器」としての長さはC(近接)として扱います(相手が「待機」していたら、ほぼ確実に先に斬られるでしょう)。
 体当たりは通常の命中判定は行わず、敏捷力の即決勝負で命中の成否を決めます。攻撃側が即決勝負で勝てば、命中した事になります。このような処理が為されるため、体当たりは「全力攻撃」と組み合わせて用いる事はできません(体当たり自体が全力攻撃の一種のようなものです)。

 体当たりが命中した場合、即座に体力の即決勝負を行います。この勝負に負けた側は転倒します。引き分けの場合は何も起こらず、行動処理が終了します。
修正:体当たりする側の移動力5ごとに+1。防御側が転倒状態から立ち上がる最中だったら-2。ミディアム以上の大型シールドを構えていたら+2。

 なお、体当たりを行うキャラクターのサイズが2ヘクス以上の場合、余分な大きさ分だけ同時に体当たりが行える対象数が増えます。
例:大きさ10ヘクスの象は、通常の敵1人に加え、追加で9人の敵を同時に体当たり攻撃できます。

(体当たりと近接攻撃の連携)
 「体当たり」を行うキャラクターが近接攻撃が可能な攻撃手段を持つ場合、どれか一つを選んでください。その攻撃は、体当たりと同時に命中したものとして扱い、能動防御を省略してダメージ判定を行う事ができます(動物の牙、鉤爪、角、または踏みつけなどが該当)。
 なお、サイズが大きいキャラクターは同時に複数の対象に体当たりできますが、近接攻撃で攻撃可能なのは1人だけです(体当たりの命中判定を行う前に選択して下さい)。

 この近接攻撃は体当たりが命中すれば必ず発生し、「倒れたかどうか」の体力の即決勝負の勝敗とは直接関係ありません。ダメージの処理は体当たりが命中した直後に行い、その後で体力の即決勝負を行い、どっちが倒れたかを決める流れとなります。
 つまり、大型の動物などが人間に対して体当たりを行うと、転倒させると同時にダメージを与えられるわけです。これにより、基本戦闘ルールよりも動物の脅威度が増すでしょう。

 なお、このルールは人間キャラクターにも適応できます。格闘系技能によるパンチ、近接戦闘で運用可能な武器(ナイフ)を構えて体当たりする事で、それらが自動命中した扱いにできるわけです(この場合のみ、パンチは近接でも行えます)。
 なお地上キャラクターの場合、足は移動に使っているはずなので、キックは組み合わせられません(飛行状態で<空手>技能を使えば、近接キックの組み合わせも可能)。

(柔道、レスリングの動作に関するルール)
 <柔道>の近接攻撃オプションに関しては、基本戦闘ルールにおける<柔道>の扱いと同じになります。

・敏捷力の即決勝負の代用
 体当たりの命中判定など、敏捷力の即決勝負を行う際、敏捷力の代わりに<柔道><レスリング>技能を使う事が可能です。

・体力の即決勝負のボーナス
 <レスリング>技能は「体当たり」などでの体力の即決勝負で有利に働きます。技能レベルの5分の1(端数切り捨て)だけ、体力にプラスされます。

・「投げ」
 相手の白兵攻撃を、後退防御を使わずに「柔道受け」した直後の自分のターンに<柔道>技能での攻撃として行えます(後退防御と組み合わせてしまうと、相手との距離が詰らないため、近接動作には入れないものとします)。相手は(受動防御無視で)「よけ」か「格闘受け」を行い、攻撃が命中すると相手を転倒させます。

 なお、この攻撃が有効なのは人間型の生物のみです。サイズがどうであれ、動物などの四足獣を投げる事はできません。

・【腕関節技】
 初級戦闘ルールでは、柔道投げと同じような処理に簡略化されます。相手の白兵攻撃を、後退防御を使わずに「柔道受け」した直後の自分のターンに、【腕関節技】の技能レベルで普通に命中判定を行います。相手はこれに対して(受動防御無視で)「よけ」か「格闘受け」が可能です。
 能動防御に失敗すると、相手の攻撃に使った腕に対して「突き+<柔道>技能の5分の1(端数切り捨て)」の「叩き」ダメージを与えます。なお、この攻撃に対しては鎧の防護点が有効とします。
 初級戦闘ルールでは「組み付き」のルールは用いないので、攻撃の結果がどうであれ、行動後は組んだ状態が自動的に解除されます。

 なお、この攻撃が有効なのは人間型の生物のみです。動物など身体構造が異なる相手の関節を極める事はできません。
 また、<レスリング>技能で【腕関節技】を行う場合、<レスリング>では「素手受け」ができませんので、代わりに後退防御なしで「よけ」を行って下さい。

・【ヘッドロック】【首折り】
 これらも【腕関節技】と同じく、「受け」からの攻撃に制限されます。そして攻撃後は状態解除されます。命中時の効果は「転倒」+「頭部への叩き/突き+<柔道>技能の5分の1(端数切り捨て)ダメージ」となります(要するに投げと腕関節技の効果を同時に与える効果)。

 また、人間以外の形状の生物に使えないのも同様です。<レスリング>で行う場合も、(後退防御なしの)「よけ」からになります。
●騎馬戦闘
 馬など騎乗動物に乗って戦闘する場合、上級戦闘ルールにある「騎馬戦闘」のいくつかの要素を簡略化して導入します。なお、騎手と騎乗動物は別々に管理します。

(騎手の行動)
 歩兵の時と同じ行動が可能ですが、「移動」に関しては馬から降りる時のみ使用します。当然のことながら、馬上では「後退防御」ができません。その代わりに「高度差修正」による防御時のボーナスが得られます。

 なお、上記の「移動」のオプション行動は、馬の方が「移動」を選択する事で成立します。騎兵は、馬が「移動」中に攻撃しても「大振り」にはならず、「全力攻撃」も選択可能です。

[騎手の行動修正]
 乗馬は通常、両手で手綱を持って操作するものです。そのため、戦闘行為を行うために手綱を片手で操作する場合、あらゆる<乗馬>判定に-1修正があります。両手を離して足だけで操作する事も可能ですが、修正が-3になります。

・白兵/射撃問わず武器を扱う際、武器技能か<乗馬>技能のうち、低い側で全ての判定を行います。上記にあるように、手綱を片手で握ったり足で操作しているとペナルティがあるため、十分に<乗馬>のレベルを上げていないと武器の扱いにもペナルティが課されます。
・<乗馬>技能が12レベル未満の場合、能動防御全てに-2のペナルティがあります。
・騎乗中は歩兵より1メートル高い位置にいるとみなされ、歩兵と戦う際は「高度差修正」の項目が適応されます。
・騎乗動物の側が「移動」を選択していても、騎手は普通に攻撃可能ですが、-2の修正があります。代わりにダメージが+2されます。
・騎手が射撃を行う際、-4の修正が課されます。騎手以外の乗り手が射撃を行う際は-2の修正が課されます。
・騎手がダメージなどによる効果で転倒すると、落馬して転倒状態へと移行します。取り残された騎乗動物は、騎手とよほど高度な意思疎通をしてない限り、通常は「戦力外」となってフィールドから退去します。

(騎乗動物の行動)
 戦闘中の騎乗動物は「移動」「攻撃」「全力攻撃」の3つが選択可能です。騎手と異なり、馬は「後退防御」が可能です。
 馬の攻撃判定は馬の敏捷力で行います。攻撃手段は「噛みつき」(叩き/2点)と「キック」(小型の馬は叩き/1D、大型の馬は叩き/1D+2 蹄鉄など装備していればさらに+1)で、「踏みつけ」はキックと同じ性能と考えます。
 騎乗動物が攻撃に参加するのであれば、「体当たり」(以下を参照)を選択して「踏みつけ」と同時に行うのが、歩兵相手には大変有効でしょう。

[騎乗動物の行動修正]
・馬と騎手は同時に攻撃できますが、馬が攻撃するターンは騎手の攻撃命中判定に-2の修正があります。
・馬が負傷した場合、人間と同じように衝撃や朦朧の効果を受けます。通常の馬は「我慢強さ」を持っていないため、生命力の半分以上のダメージで朦朧状態に陥り、転倒の可能性があります。また、馬がダメージを受けた際は騎手も-4修正を受けて<乗馬>判定を行い、失敗すると落馬してしまいます。馬が朦朧状態になっていると、さらに-4の修正が課されます。
■負傷の扱い
●転倒時の扱い
 基本戦闘ルールと同じ扱いで、「姿勢」に関するルールは省略されますが、転倒中は能動防御に-2のペナルティがあるとします。また、「体当たり」などの敏捷力即決勝負の際にも-2の修正が付きます。

 転倒状態からは、1ターンかける事で起き上がれます。ただし、完全に起き上がるまでは(起き上がるを選択して次のターンが回ってくるまでは)ペナルティが継続し続けます。
 起き上がり中に負傷したり「体当たり」を受けてなどして転倒効果が発生した場合、また最初からやり直しせねばなりません(下手するとずっと転がったままになります!)。

●衝撃のルール
 「衝撃」によるペナルティは、受けたダメージ量に関係なく「敏捷力と知力に-4のペナルティ」とします(衝撃効果中は行動判定-4、「受け」「止め」-2)。これは「我慢強さ」があれば無視できます。「痛覚過多」だとペナルティが倍になります。

 その他のダメージの効果は基本ルールと同じです。

●部位狙いに関するルール
 上級戦闘ルールに従って下さい。

●足の負傷と戦闘継続
 部位狙いのルールを用いるため、足を狙われて部位破壊により使えなくなった場合、そのキャラクターは転倒状態となり、他に移動手段(飛行するなど)がない限り、起き上がる事ができなくなります。
 初級戦闘ルールでは、転倒状態では白兵戦闘を行えませんが、呪文に集中したり、這って移動することで後列に「移動」する事は可能です。ただし「撤退」(後述)は難しいでしょう。
■撤退のルール
 どちらか片方の陣営が戦闘中に逃走を選んだ場合、「撤退」と見なされます。以下のルールで判定を行って下さい。


●1ターンの向き変え
 「撤退」を選んだ最初のターンは、「移動」で相手に背面を向ける動作になります。結果、次の相手のターンは、相手の攻撃の的となります。背面からの敵の攻撃は、自動的に「側面攻撃」されたと見なされ、能動防御に-2のペナルティを受けます。


●逃走開始
 撤退の第2ターンから、戦場から無事撤退できたかの判定になります。戦場に残ってる陣営が追撃をしないのであれば、自動的に撤退は成功し、戦闘は終了します。

 追撃する場合、追撃側は新規で追撃に参加するメンバーを決めて下さい。その中で、最も低い移動力の者の移動力が追跡時の移動力の基準となります(歩兵と騎兵が混成している場合、歩兵は置いてけぼりにして騎兵だけで追撃する事になるでしょう)。
 逃げる側は、もっとも移動力が低い者の移動力が移動力の基準となります。

 両者の移動力を比べ、以下の処理を行います。

(逃げる側の移動力が高い場合)
 撤退は自動で成功します。
 なお、追撃側に射撃攻撃能力がある場合は、以下の「射撃武器」での追撃を選ぶことが可能です。

(逃げる側の移動力が低い、または移動力が同じ場合)
 逃走側は1ターンごとに追跡側のメンバーと「生命力」が低い者同士で即決勝負を行って下さい。この時、追撃側の移動力が勝っている分だけプラス修正を得られます。

 追撃側が勝利した場合は追撃が続き、振りきれません。上記の背面を向けた状態でターンを終了します(背後からの攻撃を受け続けるでしょう)。
 逃走側が勝つか、勝負が引き分けの場合、追撃側が息切れしたりして振り切るのに成功し、撤退が完了します。

(射撃武器での追撃)
 機動性を生かして直接追うのではなく、逃げてる最中の相手を射撃で仕留める事も可能です。この場合、相手が50m離れるまでの間、自由に射撃による追撃が行えます。射撃は背後からの「側面攻撃」になるため、逃走側は常に能動防御-2となります(ほぼ「よけ」しか行えない上、背中に背負ってないかぎりシールドの受動防御も得られません)。

 逃走側は移動力から計算し、50メートル進むまでに何ターンかかるか計算して下さい。そのターン数の間、相手の射撃を一方的に受け続けます。


●分かれて撤退
 優秀な部隊や軍は、逃げる時に段階を挟んで逃げます。つまり、足が遅い連中が優先的に戦場を離れ、頑丈でかつ機動性のあるユニットが殿(しんがり)として戦場に残り、鈍足の者が撤退完了するのを待つわけです。
 こうしたケースの場合、メンバー内でそれぞれ個別で逃走を行ったものとして扱います。基本方針としては、一番最後まで戦場に残っていた者を基準として、上記の逃走判定を行います。


●射撃特化戦での撤退
 遠距離遭遇の場合、どちらかの陣営が射撃能力を喪失した時点で、必然的に撤退を選ぶ事になるでしょう。あるいは最初から敵の拠点に殴りこむのが目的の場合、敵の射撃に構う事なく接近を試みる場合もあります。いずれの場合も、ルール上は「撤退」と見なし、以下の処理を行います。

 撤退に必要な行動は「パーティー全員が隠蔽状態になれる場所まで移動する」ことが条件です。よって、遮蔽物が多い場所であったり、城の城壁から射撃していた場合など、頭をひっこめるだけで「撤退」が完了します(1ターンの向き変えなども不要です)。

 そうでない場合は、GMは全員が隠れるのに必要な遮蔽物までの距離(特に考えてないなら30~60mの間でサイコロでも振って決めて下さい)を設定し、全員が「移動」を選択し、そこまで移動するまで戦闘ターンを継続します(各個人の移動力から、何ターンかかるかを算出して下さい)。全員がその場所に移動するまで、敵側は射撃し放題の状況が続くでしょう。
[編集手記]
 初級戦闘ルールのコンセプトは、「面倒なヘクス管理を一切行わず、なおかつ距離概念を導入する」事です。基本的にキャラクターシートとサイコロ、後はキャラクターを示すフィギュアなどがあれば、距離概念込みのガープスの戦闘を楽しめるようにしました。
 また、距離概念の導入に伴い、「後退防御」を可能にしたり、「移動して攻撃」の部分にオプションルールを追加しました。騎兵や飛行ユニットの有用性を示すため、そのあたりのルールを強化しています。

 あと、基本戦闘ルールでは近接戦闘ルールが完全に抜け落ちているため、高い体力が売りの動物やモンスターたちが、ほとんど脅威になってないという大問題があります。ルールを簡略化しつつ脅威を示そうと思えば、とりあえず「体当たり」を有効にすればいいと思い、そのように設定しています。特に、猪や恐竜トリケラトプスに見られる「体当たりしたら近接攻撃も自動で命中する」ルールは、近接戦闘を簡略化しつつも脅威度を上げる非常に有用なルールなので、その部分をピックアップして搭載することに。
 結果、GMは動物を敵に出すのであれば、とりあえず鉤爪か牙を選択しつつ体当たりすれば、サイズが大きい動物の脅威をいかんなく発揮できるようになっています。

 なお、体当たりを食らい続ける限り、一方的にダメージで削られていきます。「組み付き」なんぞ面倒なルールを導入せずとも、実質組み付かれて一方的に噛みつかれてるのと同じです。



 「待機」に関してですが、基本的には機動性を生かして移動攻撃してくる相手に対する対処手段ですが、1対1の対決でも相手の能動防御回数を減らすのに使えます。

 基本的にガープスのルールでは、能動防御の回数は1ターンに「受け」「止め」が1回ずつで、「よけ」のみ回数無限ですが成功率が低く、メインで使われる回避手段ではありません。しかし、「待機」を上手く使えば「よけ」を使わせる事も可能です。
 1ターンの能動防御の回数は、自分のターンの頭に回復するルールなので、自分のターンの間に、相手から「待機」による攻撃を受けると、その時点で1回分消費します。そして自分のターンの行動を終えて、次は相手のターンになるわけですが、この時点ではまだ能動防御の消費回数は回復してないんですな。
 そこで敵が自分のターンの行動として攻撃を行ってくると、こちらは先ほど消費した能動防御はまだ使えない状態です。つまり、実質的に2回攻撃を受けており、「受け」と「止め」を1回ずつ消費する事になります。

 この仕組みをさらに発展させて考えて、例えばこの相手のターンの行動時に、相手が「全力攻撃/二回攻撃」を選択したらどうなるでしょうか?―――もうお分かりでしょうが、自分のターン中に相手の「待機」行動によって「受け」を消費し、さらに次の相手のターン行動の全力二回攻撃の1撃目の攻撃に対しては「止め」、さらに2撃目の行動に対しては…「よけ」しか残ってないんですよ。これは防御失敗率が高まり、防御を突破されてしまう可能性が出てきます。
 つまり、「待機」行動からのカウンター攻撃は、基本ルール範囲内でコンビネーション攻撃を行っているのと実質同じなんですな。なので実のところ、「マーシャルアーツ」でルール化されたコンビネーション技とか、いちいちルール化する必要がなかったりします。そんなものがなくとも、基本戦闘ルールの段階で既に連続攻撃を浴びせる手段がシステム的に存在するので。

 現実世界での格闘技大会でも、上級者同士がなかなか動かない事が多い。互いにフェイント合戦している事に加え、相手からの攻撃から始まる上記のカウンター連続攻撃の機会を狙ってるからです。そのため、「待機」行動の使い方を良く理解した上級者同士だと、なかなか剣の打ち合いが始まらず、一見するとただのにらみ合いが延々と続くわけです。
 ガープスはそのへんのリアリティをかなり上手く表現できてる戦闘システムだったりするわけで、「リアル志向の戦闘システム」と言われる理由が、この辺りにあるわけです。



 近接戦闘の<柔道>の扱いですが、主に【腕関節技】の処理を簡略化する事で、柔道家が近接戦闘で1強状態になるのを防いでいます。また、相手からの攻撃をまず「柔道受け」しないと、そもそも技をかけられない仕様になってます(基本ルールの柔道投げのルールを全ての柔道技に適応)。<レスリング>技能による関節技に至っては、後退なしの「よけ」からしか入れなくなってます…素直に「体当たり専用技能」として運用した方が無難でしょう。

 なお、腕関節技に対して「鎧の防護点が有効」になってます。これは、最近ニコニコ動画の記事で挙がっていた日本の戦国時代のガチバトルを再現しようと試みている方々の実践結果に基づいてます。
 実戦では、小手返しのような関節系の投げ技は、重い鎧を着ている武者に対してほとんど利かないらしいです……鎧自体がある程度の「曲がり」に対する固定強度を持つため、ほとんど技をかけるのは無理なんだそうで、実戦では使えない技とか。一方で、柔道投げやレスリングの「倒し」は有効だったそうですが。
 あと、指は甲冑に守られていないので、指関節技は非常に有効のようです―――簡単に指が折れて危険な技なので、試合では禁止技に指定されてるようですが(指関節技は「マーシャルアーツ完訳版」にのみ掲載されています)。

 この初級戦闘ルールでは、これらの意見を一部取り入れて、腕関節技もある程度は有効としつつも、鎧の防護点でダメージを軽減できる仕様になってます。ダメージも体格差を考慮して、柔道家の体力に応じたものに変更しています―――まぁ、そうしないと相変わらず距離概念は抽象的なので、腕関節技の1強になりかねないって理由が一番大きいのですが。



 最後に「撤退」のルールですが、基本的には「片方が逃げた」で終了してしまっても問題ないかと思いますが、一応、追撃する場合の処理ルールを搭載しました。
 使う事はない気がしますが、こういうルールを示す事で、足の遅い側は最初から逃げる行動はとらないとか、騎兵相手に歩兵が逃げるのは無謀だとか、足の遅い人から順に逃げればどうにかなるとか、そういうのが分かりやすくなると思うので、設定しておきました。

 ガープスの冒険リプレイでは、鎧による荷重レベル増加とか、全く考慮されてませんでしたが、このルールがあれば、屋外冒険で機動性が下がるプレートアーマーなんぞ、迂闊に着れなくなるかもしれませんね…
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