▲メインに戻る
■第1節 基本戦闘におけるマンチキン
 最初に、ベーシックの「基本戦闘」にかかれているルールだけの環境におけるマンチキンを紹介したい。



 ガープスの世界観サプリメントでは、基本的にこの「基本戦闘」だけの環境を推奨しているものはない。「ガープス・ルナル」も「ガープス・妖魔夜行」も、上級戦闘前提で成り立っている世界観だ。
 ただ、「基本戦闘」ルールは時間を省略したい戦闘(例えば大規模な戦争)を扱う際に役に立ち、また、上級戦闘と使い分けることで、キャラ作成幅も「個人の対決向きのキャラ」と「戦場での集団戦が得意なキャラ」という多様性を生み出す事ができる。

 なので、「俺たちはエリート(笑)だから、そのような低級な戦闘システムなど利用しない!」などと恰好付けず、状況に応じて切替方式でセッションを行っても良いのではなかろうか。
 
■基本戦闘で抑えておくべきポイント
【距離の概念が曖昧】
 基本戦闘では距離の概念がGM判断となり、実質的には「ない」のと同様なので、「ドラクエ」のようなコンシューマ系RPGゲームの戦闘のように隊列要素がないものとなる。だから全員、攻撃にさらされる可能性があるわけで、戦いに参加するのであれば、必ず装甲を備えた方がいい事になる。
 GMが認めれば「後列」とか「遠距離」の概念も認められ、射撃や呪文使いに特化したキャラクターも生きてくるが、ここではGM判断に属する曖昧要素は取り扱わない事とする。

 なお、基本戦闘ルールでは、射撃や呪文の距離修正が付かないので、射撃武器ならば「抜撃ち」以上であればとりあえず命中が見込めるし、呪文ならば「16のルール」(抵抗型呪文は目標値が16を超えても、16を基準で成功度を求めるルール)に基づき、16レベルあれば十分なレベルと見なせる。
 ただし呪文の場合、発動時間の短縮や消費の縮小要素もあるので、17レべル以上にする事は無意味ではない。



【後退防御がない】
 地味に戦闘への影響が大きいのがこれ。
 距離の概念がないため、後退防御の概念もない。そのため、「よけ」の性能が大幅に下がり、軽装戦士が相対的に不利になる。

 よってマンチキン作成では、能動防御が下がる両手武器の出番はほとんどなく、シールドを装備し、鎧を厚くするのが基本となる。



【姿勢変更時のペナルティがない】
 これも上級戦闘との差が大きい部分。
 負傷や呪文の効果で転倒しても、1ターン膝立ちして復帰する動作を要求されるだけで、しかも転倒中でも特に防御ペナルティは発生しない。「転倒中は能動防御-3」というのは、姿勢に応じたペナルティ量が厳密に決められている「上級戦闘」でのルールである。基本戦闘では、転倒は「1ターンだけお休み」させるだけの効果しかない。

 この状況下だと、処理が圧倒的に楽になる反面、相手の防御の隙がなかなか作れないため、戦闘時間が長引く欠点もある。
【近接戦闘ができない】
 近接戦闘を導入すると、人間の倍以上の体力を持つ動物や、腕関節やら抑え込みで装甲を無視して制圧してくる柔道家が圧倒的に強くなるため、重装備の戦士が必ずしも最適解とはならなくなる。

 しかし基本戦闘ではそれらの要素が一切なく、単純などつき合いとなるため、動物はただHPが高いだけの雑魚だし、柔道家は「投げ」で1ターンだけ行動不能にしてくる補助型の戦士以上にはならない。マンチキンの方向性が明確である。



【部位狙いがない】
 目や脳、重要器官で一撃KOが狙えないため、ひたすら相手のHPを削る以外の討伐手段がなくなり、軽装戦士に有り勝ちな「火力は低いが技能が高い」タイプのキャラは圧倒的不利となる。

 ただし、技能レベルが高い事は「フェイントの成功率が高い」ことに繋がるため、技能レベルをおろそかにしていいわけではない。



【模擬戦が楽】
 大半の要素を管理しなくていいので、ダイスと記録用紙さえあれば、作ったキャラを即対戦させる事が可能であり、プレイ時間の短縮が見込める。

 大人数を用いる大規模合戦や、どうでもよいNPC同士の戦いなどは、基本戦闘ルールで処理すると進行がスムーズになる。
■基本戦闘での基本戦術
【敵の能動防御を突破する方法】
 装甲が厚いキャラ同士だとなかなかダメージの応酬に到達せず、時間を食うのがガープスの弱点であり、システムが単調な基本戦闘ルール下では、それに拍車がかかる。
 そのため、そうしたタイムロスを短縮する事がマンチキン作成での絶対命題となる。



[戦術01] 命中目標値を16以上にして、クリティカルを狙う
 武器の命中判定時に目標値16以上だとダイスの目6以下でクリティカルし、攻撃が自動命中する(確率10%)。
 ならば、目標値16で単純に
10回攻撃すれば1回の命中が確定するという考え方。平たく言うと、ダイス運頼りの戦術である。相手の防御ミスも計算すれば、実際は10%より高いと思われる。

 この戦術で行くならば、まず技能レベルを16にすること。そして、とにかく短時間で攻撃機会をたくさん得るために、攻撃しても非準備状態にならない武器が望ましい。


[戦術02] フェイントを交えて攻撃を当てる
 上記と逆の考え方で、高い技量でフェイントをかけた後、確実に当てていく。
ダイス運に一切頼らない。
 ガープスの戦闘では、一般的にこの手法がスタンダードとされている。バランスは悪いが一撃の威力が高い武器(アックスなど)の運用にも向いている。


[戦術03] 呪文で制圧
 基本戦闘でも呪文を使う事は可能なので、魔法戦士っぽいキャラを作ることで呪文を放ち、相手の抵抗さえ突破すれば、短時間で制圧する事も可能だ。戦士系のキャラクターは知力を削っている事が多いので、精神抵抗系の呪文が特に利きやすいだろう。

 また、発動直後に接触しないと効果がない《死の手》や、別途で命中判定が必要な《音噴射》など、「よけられるが受動防御は無効」な攻撃に関しても、基本戦闘では「後退防御」ができないため、比較的命中させやすいというメリットがある。
【魔法の鎧の活用】
 ルナル世界では「ガープス・マジック」を使う事が大前提のシステムなので、基本戦闘ルール下でも魔法の品を装備する事が基本となる。

 以下、有用そうな魔化呪文を提示しておく。魔化された品を購入する場合、単純に魔化費用を品物の価格に上乗せして支払えばよい。



●魔化系呪文<強化> レベル1で+$50、レベル2で+$1790
 鎧や盾の防護点をレベル分上昇させる。
たった$50で防護点1点上昇は非常に大きいので、お金に余裕がある限り、上げておくのが望ましい。レベル2の<強化>も比較的安い部類なので、「財産/富裕」以上のキャラクターならば支払いもたやすい。


●魔化系呪文<防御> レベル1で+$100
 名前的に紛らわしいのだが、防護点ではなく受動防御を1点上昇させる。これの最大のメリットは
盾にも魔化が可能なことで、鎧と合わせて受動防御がさらに上がる事だ。これにより、わずか1レベルの魔化でも相当な防御率強化となる。


●魔化系呪文<軽量化> レベル1で+$100
 なんと、品物の重量を75%にするという、恐ろしく有能イケメンな魔化。それもたったの$100というのだから、是非とも鎧に魔化しておきたい呪文。シールドにもかけられるので、重量軽減による移動力確保に役立つ事もあるだろう。
【魔法の品の活用】
 戦士系キャラクターはあまり必要ないだろうが、魔術師系キャラクターだと安くて戦闘でも有用なものがいくつか存在するので、マンチキン作成の参考資料として挙げておこう。


●魔化系呪文《魔法の杖》 +$30
 棒状の物にかけられるので、クォータースタッフや小型バトンなどにかけると良い。接触系呪文の射程を伸ばしたり、噴射系呪文の射程を+1できる便利な魔化。

 あと、パワーストーンを「内蔵型」にする
口実に使えるという大きなメリットが存在する。杖に取り付けるだけで引き出せるエネルギーが2倍になるのは大きい。
 ただし、パワーストーン単体の時と異なり、サイズがデカくなって
隠蔽が困難になる事に注意。「武器の持ち込みはご遠慮下さい」といった場所では、普通のパワーストーンをふところに忍ばせておく方がいい事もあるだろう。


●魔化系呪文《パワーストーン》 価格はさまざま
 体力を削っているであろう魔術師には必須の品。可能ならば《魔法の杖》を魔化した杖に取り付けて内蔵型に切り替え、引き出せるエネルギー効率を上げることが望ましい。

 ルナル世界では、マナ濃度が「密」であるため、12時間に1点の割合で回復する。2点までのパワーストーンであれば、毎日使えることになる。
 エネルギー効率だけ考えるならば、
2点で$300の作業用パワーストーンがお勧め。ルナルであれば1日で充填完了するし、内蔵化すれば合計4点ものエネルギーを引き出せて非常に便利。

 一方でコストが10点を超えるような呪文を使う場合に備えて、4点以上のパワーストーンを一つ所持しておくのもありだろう。初版の文庫版「ガープス・マジック」の記載から価格表記が漏れているが、4点($900)、5点($1200)、6点($1600)あたりが「財産/快適」で収まる範囲なので、購入しやすい。


●魔化系呪文《豊穣の角》 通常の矢($2)ならば+$100
 基本戦闘ルールではあまり出番がなさそうだが、弓兵や弩兵には重要な品。事実上、
弾数が無制限となる驚異のアイテム。ただ、マジックが存在する世界では《矢よけ》の呪文で射撃が完封されてしまうため、そこまで凄いか?と言われると微妙の一言に尽きる。


●魔化系呪文《確かさ》《鋭さ》 矢はレベル1で+$25、レベル2で$100
 この魔化呪文は、白兵武器にかけるとかなり高い上、武器を折られるリスクを考慮するとあまり価格に見合った魔化とは言い難い。

 しかし、矢にかける場合は非常にコストが安いので、たとえ単発で終わってしまう運命だとしても購入する価値はある。射撃系キャラクターならば、《豊穣の角》と合わせて状況に応じて使い分ける事を考慮しても良いだろう。
■サンプル・キャラクター(基本戦闘でのマンチキン)
 以下は、基本戦闘ルール下でのマンチキン作成の一例である。
■ リャノ船上警備兵 メガ=ティーダ・ミク (総計100CP)
人間/女 18歳
身長183cm 体重78kg 緑髪 緑の眼

■■ 能力値
(105cp)
体力16(80cp)
敏捷力 13(30cp)
知力 8(-15cp)
生命力 11(10cp)

■■ 特徴
(20/-45cp)
リャノ入信者(5cp)、魅力的な容貌(5cp)、我慢強さ(10cp)
お祭り好き(-5cp)、喝采願望(-15cp)、くいしんぼ(-5cp)、直情(-10cp)、義務感/友達(-5cp)

癖(-5cp)
ノリで生きてる、自身の美しいボディを誇りたがる、身体を動かさないと気が済まない、股が緩い、恋人との関係が長続きしない
■■ 技能 (20cp)
斧/メイス(16cp/Lv16)、格闘(0.5cp/Lv12)、盾(0.5cp/Lv12)
水泳☆(0.5cp/Lv13)、ランニング(0.5cp/Lv8)
生存/島・海岸☆(1cp/Lv8)、社交☆(0.5cp/Lv10)、戦術☆(0.5cp/Lv6)

■■ 装備 総重量27.25kg(軽荷) 所持金20ムーナ
ピック($70 1.5kg) Lv16 刺し2D+3(長さ1)
ミディアム・シールド($60 7kg)
スケイル・アーマー($750 18.75kg <軽量化L1>魔化+$100)

■■ 身体能力
格闘(パンチ/キック) Lv12/10 叩き1D(長さC,1)/叩き1D+3(長さ1)
移動力6(軽荷) 能動防御=よけ6/うけ8/とめ6
受動防御/防護点=6/4
【設定】
 ソイル選王国の農家出身の娘です。美人だが見事すぎる大柄な身体と、目立ちたがりな性格は、村という狭いコミュニティでは納まりきらなかったようです。それに加え、農家の娘としては要領が悪すぎました(完全にアホの子)。美貌と体格のせいで、村のガヤン神殿から「女トロールでは?」と疑いをかけられた事もあります。

 彼女がまだ幼い頃、両親によって鬼面都市バドッカのリャノ神殿に預けられました。そして成長後は船団警備兵をこなしつつ、港湾労働者として荷運びも掛け持ちでやっています。仕事自体は大変好調に回っているのですが、体力が有り余っている上に「お祭り好き」なせいか股が緩いようで、いろんな男性と関係を持っています。

 戦闘では怪力を生かし、準備ゼロ秒になったピックを毎ターン何も考えずに振り回します。技能は16レベルあるので、6以下でクリティカルします。命中すれば、平均「10点の刺し」攻撃で大抵の鎧は貫通しますし、次のターン冒頭に「ピックの引き抜き(体力判定)」で与えたダメージの半分の追加ダメージを与えるわけですから、これはとんでもない火力です。

 弱点は呪文抵抗力のなさです。抵抗力がほとんどないため、よほど攻撃側のダイス目が悪くないかぎり、抵抗すらできずにほぼ一発で落ちてしまうでしょう。
■ ガヤン巨神兵 ゴッド=ディーバ・カイト (総計100CP)
人間/男 23歳
身長210cm 体重120kg 青い髪 碧眼

■■ 能力値
(55cp)
体力13(30cp)
敏捷力 13(30cp)
知力 8(-15cp)
生命力 11(10cp)

■■ 特徴 (45/-45cp)
ガヤン入信者(5cp)、財産/快適(10cp)、意志の強さL5(20cp)、我慢強さ(10cp)
巨人症(-10cp)、誠実(-10cp)、誓い/悪に対して妥協しない(-5cp)、紳士の名誉(-10cp)、義務感/仲間(-5cp)

癖(-5cp)
最前列が好き、朝が早い、毎日牛乳を飲む、氷菓子が好き、色恋沙汰は苦手意識
■■ 技能 (45cp)
剣(32cp/Lv18)、準備/剣(0.5cp/Lv12)、弩(1cp/Lv13)、準備/矢(0.5cp/Lv12)、盾(8cp/Lv16)、格闘(1cp/Lv13)
水泳(0.5cp/Lv12)、ランニング(0.5cp/Lv8)
戦術(0.5cp/Lv6)、地域知識/ブラン=トルア公国☆(0.5cp/Lv8)

■■ 装備 総重量36.7kg(並荷) 所持金10ムーナ
突き刺し用ブロードソード($600 1.5kg) Lv18 切り2D(長さ1)/刺し1D+2(長さ1)
ミディアム・シールド($60 7kg <防御L1>魔化+$100) Lv16 叩き1D(長さ1)
クロスボウ($150 3kg) Lv13 刺し2D 抜撃ち12 正確さ4 射程260/325m
矢筒($10 0.2kg) >クォーレル($2)×10
スケイル・アーマー(特注サイズ$900 25kg <強化L1><防御L1>+$150)

■■ 身体能力
格闘(パンチ/キック) Lv12/10 叩き1D-1(長さC,1)/叩き1D+2(長さ1)
移動力5(並荷) 能動防御=よけ5/うけ9/とめ8
受動防御/防護点=8/5
【設定】
 トルアドネス帝国ブラン=トルア公国出身の兵士で、鬼面都市バドッカの帝国駐在武官の護衛を務めています。幼少期から身長が群を抜いて高く、運動神経も良かったため、当たり前のように兵士となり、日々研鑽を積んでいます。

 知性がアレなのと典型的な正義漢であることから、重要な情報は一切与えられていません。ですが、彼自身はとにかく帝国の役に立てればいいと考え、作戦行動の是非に関してはあまり深く考えていません(帝国にとっては都合のいい駒状態)。彼が正義の味方になるのか、それとも悪の陰謀に加担する側に立つのかは、上司である駐在武官の裁量次第です。

 戦闘では、フェイントをかけてからの攻撃が主体行動となります。「体力16ピッカー」には火力が及びませんが、代わりに卓越した防御力と呪文抵抗力を備えています。相手が攻撃でクリティカルしないかぎり、自ずと彼に勝利が舞い込むでしょう。魔術師相手の場合、最初の瞬間発動呪文さえ乗り切れば、こちらの手番で何とかなる可能性はあります。

 ちなみに彼は「巨人症」扱いなので、標準的な体格相手には常に能動防御-1のペナルティを与えられる事を忘れないで下さい。なお、「標準外の体格」のキャラクターが防具を購入する際は、一律「鎧の価格が2割増し」というハウスルールを導入しています(戦闘での有利さだけを見て「巨人症」キャラが立ち並ぶのを阻止するための処置)。
■ ウィザード預言者 イア=アリア・オン・ザ・プラネテス(総計100CP)
ウィザード/女 29歳
身長155cm 体重45kg ベージュっぽい灰色髪 碧眼

■■ 能力値
(15cp)
体力 8(-15cp)
敏捷力 12(10cp)
知力 13(20cp)
生命力 8(0cp)

■■ 特徴 (72/-45cp)
ウィザード(47cp)/天使ワーエル封印(防御/警戒系呪文+1)、魅力的な容姿(5cp)、意志の強さL5(20cp)
魔術師の名誉(-15cp)、誠実(-10cp)、朴念仁(-10cp)、軽い妄想/自分は別の世界(水の星)からやって来た(反応-1)(-5cp)

癖(-5cp)
大人に対しては寡黙、不思議ちゃん(天然)、意味不明な概念用語を確立された理論のように語る、子供には親切で笑顔も見せる、唐突に未来予知を語り出す(完全にあてずっぽう、本人はジョークで言ってるつもり)
■■ 技能 (58cp)
杖(4cp/Lv12)、音噴射(2cp/Lv13)、踊り(0.5cp/Lv10)
<天使>の召喚(+1cp/Lv15)、<天使>の封印(+1cp/Lv15)、神秘学☆(0.5cp/Lv12)、考古学☆(0.5cp/Lv11)、錬丹術(0.5cp/Lv9)、古代神聖語(1cp/Lv10)、グラダス語(0.5cp/Lv11)、指導(1cp/Lv12)、戦術(0.5cp/Lv10)

[呪文]
敵感知(1cp/Lv14)、感情感知(1cp/Lv14)
体力賦与(1cp/Lv14)、生命力賦与(1cp/Lv14)、小治癒(1cp/Lv14)、
魔法の目(1cp/Lv14)、赤外線視覚(1cp/Lv14)
恐怖(1cp/Lv14)、パニック(14cp/Lv21)、視覚強化(1cp/Lv14)
韋駄天(2cp/Lv15)、念動(1cp/Lv14)
盾☆(12cp/Lv20)、矢よけ(1cp/Lv15)
作音(1cp/Lv14)、発声(1cp/Lv14)、雷(1cp/Lv14)、拡声(1cp/Lv14)、音噴射(2cp/Lv15)

■■ 装備 総重量7kg(無荷) 所持金80ムーナ
クォータースタッフ(上質$30 2kg <魔法の杖>魔化+$30/内蔵型パワーストーン<3>+$500)
Lv12 叩き1D(長さ1-2)/1D-1(長さ1-2)
ライト・レザー($210 5kg <強化L1><防御L1>魔化+$150)

■■ 身体能力
移動力5(無荷) 能動防御=よけ5/うけ8/とめ-
受動防御/防護点=2/2
【設定】
 オータネス湖王国のケレスト山脈にある謎の魔術師団出身のウィザード女子で、かなり天然が入ってる「不思議ちゃん」です。世間では「イア」と名乗っています。

 日常生活では、サリカ神殿で子供たちに読み書きを教えているらしく、子供にだけは心を開き、女性らしい優しさを見せます。その子供たち経由で回ってきた証言によると、彼女は「水の惑星アリア出身で、アカシックレコードの真実を探してる」との事ですが、現在のルナルの一般社会に存在しない概念用語だらけで意味が分かりません(分かるのは<多足のもの>や<グルグドゥ>くらいでしょう(笑))。

 戦闘前には、あらかじめ《韋駄天》1レベル(移動力とよけ+1)、《盾》2レベル(受動防御+2)、<音噴射>1レベルを維持しておきます(これらは全て維持コスト0)。この状態だと、他の呪文を行使する際に-3のペナルティがあります。

 戦闘が始まったら、ターン冒頭に《パニック》を放ちます(不足コストはパワーストーンで補完)。この時点で抵抗を打ち破れば、即戦闘終了になります(逃走しかしなくなるので)。
 抵抗された場合は、直後の自分のターン行動で《音噴射》による攻撃を行います。これは受動防御無視の「よけ」しかできないので、ほとんど回避不能です。対象は生命力-1判定を行い、失敗すると完全に麻痺します(戦闘終了)。

 一応、これらをしのがれた時の反撃の備えもしていて、敵の白兵攻撃に対しては杖による「受け」(目標値12)と《韋駄天》で強化された「よけ」(目標値10)を行えます。相手の攻撃が回避できれば、また二段構えの攻撃を行使するだけです。
■サンプル・キャラクターでの模擬戦の結果
 一応、実証実験として、上記の3名を互いに戦わせてみた。その結果を報告しておく。なお、今回は以下のルールで戦わせている。
【基本ルール】
・ランダム性を廃止するため、行動順は移動力の高い順で行う。同じ移動力の場合は「荷重レベル」が低い側が先行となる。

・円形の狭い闘技場で1VS1。逃走はできない。《パニック》など恐怖により逃走した場合、壁際で「全力防御」するだけとなり、実質敗北とする。

・熟練によって維持コストがゼロの呪文は、最初から維持した状態で登場して良いものとする。他の呪文を使う場合、維持している呪文の個数だけペナルティとなる。



【対戦結果報告】
●筋肉娘ティーダ・ミク 対 巨神兵ディーバ・カイト [5勝5敗]
 体力が高いので荷重負担も少なく、移動力の高いティーダが常に先行。

 超攻撃型アタッカーのティーダと、防御寄りのバランス型タンカーのカイトは、設計上はほぼ互角に見えた。そして勝負の結果は、予想通り5勝5敗の引き分けだった。

 ティーダの勝因は、5戦とも「クリティカルでピックを突き刺した」事。クリティカルしたら大ダメージ→次のターンの冒頭に刺さったピックを抜いて追加ダメージのコンボで生死判定まで追い込むのが常であり、ほぼ一撃で終わった。確かにこれは強い。
 逆に、クリティカルしなかった5戦はいずれも敗北している。要するに「クリティカルしてピックで深手を負わせたら勝ち」のキャラである。
●巨神兵ディーバ・カイト VS 預言者イア [2勝8敗]
 《韋駄天》を維持しているイアが先行の試合。

 対魔法戦闘を想定し、意志の強さに20CPも投資していたディーバだが、どうにもならなかった。イアの呪文目標値が16に対し、知力8のカイトは意志の強さを合わせても抵抗目標値13しかなく、この時点で不利だった。

 それでも10戦中、2戦は最初の《パニック》に抵抗し、直後の《音噴射》を浴びても生命力抵抗に成功し、反撃で全力2回攻撃により、ほぼ瞬殺で終わったが、それが限界。あとはひたすらパニックして逃走するか、運よく抵抗しても直後の音噴射で気絶するのが常だった。
●預言者イア VS 筋肉娘ティーダ [10勝0敗]
 《韋駄天》で強化したイアとティーダは移動力同じだったが、荷重レベルはイアの方が低いのでイアが先行。

 はっきり言って勝負にならなかった。
 最初の《パニック》に対し、知力8ではそもそも抵抗すら不可能だった。たまたまイアのダイス目が非常に悪くて、一度だけ抵抗した事があったが、直後の《音噴射》を食らって気絶。後はもう、《パニック》を受けて即終了の展開しかなかった。

 やはり基本戦闘ルール下とはいえ、専業戦士でも呪文対策しないと話にならないという証明になった。体力16ピッカーで魔術師に勝とうと思えば、先手必勝以外に策はなさそうだ。
■対戦結果を踏まえた改造案
 結果、戦士2人はほぼ互角、魔術師イアの一人勝ちだったわけだが、この状況を改善する案など思索してみた。


●ティーダ
 スケール・アーマーの重量を下げるため、《軽量化L1》が魔化されたヘビー・レザー(7.5kg)に換装する。そうするとギリギリ荷重レベルが「無荷」になって移動力が1点上昇し、イアに対して常に先手を取れるようになる。最初に全力攻撃(2回攻撃orフェイント即攻撃)を放てば、白兵戦の技量と回避能力に問題があるイアが、能動防御でミスして勝てる可能性が出てくるので、全敗は避けられるかもしれない。
 ただしこの改造をすると、今度はカイトに対して殴り合いで劣勢になる。

 このキャラに関していえば、「体力16」というコンセプトの部分がキャラクターの方向性を全て決定づけているため、カスタマイズ可能な部分のCP量が少なすぎる。少なくとも100CPの段階で、この手のキャラは「魔術師に弱い」という部分は動かしようもなく、無理に補完すれば戦士としての能力の部分で欠陥が出てしまうのでお勧めしない。


●カイト
 <剣>技能から16cp削って「意志の強さL9」まで上げる手があるが、それでも知力抵抗は17で微妙なところ。純粋に「強さ」に関して言えば、これ以上カスタマイズしても、同じところを堂々巡りするだけな気がする。

 一方、冒険者キャラクターとして使用するのであれば、<剣>技能から16cp、<盾>技能から4CP削り、知力を9まで上げて「戦闘即応」の特徴を取る事で、かなり強力になる。このままのステータスで冒険に出ても、奇襲に対して咄嗟に反応できない木偶の棒でしかないから、カスタマイズは必須だろう。


●イア
 結果から見ると、あんまりいじるところはない。往々にして「大勝ちしてる陣営」というのは改良案など誰も提案しないものだし、何かしら変形案を提案しても却下されるものだ。

 白兵戦での回避能力に難があるのは事実だが、このキャラの優位性は、「常に先手を取って精神と肉体の両方に二回攻撃を叩きつけて、しかも回避もそこそこできる」ところにあるので、その優位性を奪うような下手な改造は避けるべきだ。となると、使う呪文を変えるくらいしか思いつかない。

 冒険者として使うのであれば、音噴射関連に投資しているCPを全て回収して、《パニック》の代わりに《魅了》の呪文にCP全投資する方法がある。決戦能力は落ちるものの、交渉や尋問で役立つし、集団戦では敵の戦力を削ぎつつ、こちらの戦力を増やせるため、マクロ視点ではこのままの状態よりも貢献できるようになる。


●イアに対抗できる新キャラの考案
 さすがに結果が圧倒的過ぎたため、リベンジの意味合いも込めて「魔術師イアに対抗できるキャラ」の作成を試みた。

 実は、それほど難しく考えずとも、対抗キャラの設計は可能である。イアの最大の優位性は「常に先手を取れる移動力」にあるので、これを潰せば勝利は見えてくる。
 というわけで、実際に作ってみた。
■ ミュルーン突撃兵 チョコボ・プレインズウォーカー(総計100CP)
ミュルーン/男 12歳
身長70cm 体重21kg 緑髪 緑の眼

■■ 能力値
(60cp)
体力11(20cp)
敏捷力 13(20cp)
知力 11(10cp)
生命力 11(10cp)

■■ 特徴 (58/-45cp)
ミュルーン種族セット(30cp)、意志の強さL7(28cp)
けちんぼ(-10cp)、強欲(-15cp)、直情(-10cp)、義務感/友達(-5cp)

癖(-5cp)
飛ぶより走る方が好き、根菜類が好き、光り物はとりあえず拾う、光ってないものは魔法の品であれあまり興味がない、寝る前に集めた光り物を見て喜ぶ
■■ 技能 (27cp)
槍(16cp/Lv16)、盾(8cp/Lv16)
行軍☆2(1cp/Lv12)、飛行(-/Lv13)、ランニング☆2(0.5cp/Lv10)
生存/草原(1cp/Lv10)、戦術(0.5cp/Lv8)

■■ 装備 総重量11kg(無荷) 所持金60ムーナ
スピア(上質$400 2kg) Lv16 刺し1D+2(長さ1)
スモール・シールド($40 4kg) Lv16
ヘビー・レザー(ミュルーン用$350 5kg <強化L1><防御L1>魔化+$150)

■■ 身体能力
移動力7(無荷) 能動防御=よけ7/うけ8/とめ8
受動防御/防護点=5/3
 戦士タイプであっても、移動力で軽装の魔術師を上回るキャラクターを作成すれば、イアの優位性を潰す事が可能。なので、ティーダの改造案と同じく「軽い鎧と交換する」事で、戦士系キャラでも先手で全力二回攻撃によって勝率を上げる事が可能になる。
 このミュルーンは機動性の確保に加え、呪文抵抗力も底上げしてある。1ターンで仕留められずとも、次のターンが回ってくる可能性はある。

 とりあえず対戦した結果、7勝3敗とい好成績を残せたので、対抗キャラ作りとしては成功と言っていいだろう。

 ただしこのキャラ、上記の二人の戦士相手には、ほとんど歯が立たなかった。そりゃあそうだろう。あれこれ対策したせいで、パワーと装甲を失っているのだから。
 対戦では、技能レベルこそ対等ではあるが火力が低いので、クリティカル命中させても一撃必殺には程遠く、さらに装甲も低いため、被弾するとそこから簡単に崩れていった(我慢強さもないので、衝撃や朦朧状態で追い込まれる)。

 やはり基本戦闘ルール下では、軽装戦士は対魔術師ユニット以上の存在にはなれないようだ。
▼次のステップへ
▲メインに戻る