▲メインに戻る
■第2節 平面決闘におけるマンチキン
 ここから先は「上級戦闘」のマンチキンを探っていく。



 一般に「上級戦闘」になると、
「部位狙い」の概念がある事から、パワーと装甲に頼る殴り合いが最適解とは言えなくなる。正面からHPを削るよりも、部位狙いによる即時無力化を目指した方が早くなるからだ。「パワーはイマイチだが部位狙いの技量が高い戦士」のアドバンテージが出てくるのだ。

 また、
「距離」の概念の導入により、白兵戦だけではなく射撃戦や騎馬戦闘、空中戦闘も視野に入れる必要がある。単純に空を飛んでいるというだけで、大地に縛られた歩兵は、得意の白兵戦を完封されてしまう。



 だからマンチキン作成も、戦いに応じた特化キャラを考える必要がある。ここではまず、何の障害もない広い平野部でのマンチキンを考察しよう。実際の運用は…

「何もない平らな平面マップ上で1対1の決闘」
「互いに20メートル離れた位置から戦闘開始」
「もちろん飛行も可能」


…という条件下での戦闘を想定する。
 
■平面決闘で抑えておくべきポイント
【抵抗型呪文】
 基本戦闘のマンチキンでもそうだったが、結論から言うと1対1での対人決闘の場合、抵抗型の呪文で即時制圧してしまうのが、一番手っ取り早いと思われる。有無も言わさず21レベル以上でターン冒頭に効くまで何度でもかける。これが最適解だろう。

 候補として挙がる呪文は、知力抵抗系だと《パニック》《魅了》《浮遊》、生命力抵抗系だと《肉を石》《埋葬》《凍傷》《誘眠》。実用性を考えると、コストはなるべく小さい方が望ましいため、《肉を石》や《埋葬》はリスキー過ぎて選択肢に入り辛い。



【対呪文】
 上記の
「21レベル以上に増強した瞬間発動の抵抗型呪文で即時制圧する」戦術は、当然の事ながら相手も同じことをしてくるはずだ。そしてそれに対抗するためには、ルナル世界では「意志の強さ」を獲得して抵抗力を上げるしかない(一部、<強靭精神>技能で抵抗できるカルシファードの武戦士という例外も存在するが)。

 実際の抵抗力はどの程度にすべきかの指針だが、抵抗型呪文は通称
「16のルール」と呼ばれるものに縛られている。「距離修正を加えた結果、どんなに目標値が高くなろうとも、16を基準にして相手の能力値と即決勝負を行う」というものだ。

 つまり、能力値+「意志の強さ」が16以上であれば、確実に五分五分以上で抵抗することができる。しかし、五分五分ではちょっと弱いので、できれば
18以上欲しいと言っておく。16vs18であれば、常に抵抗側が有利となり、正面から突破される確率はかなり下がる。

 ただしそこまで補強してもなお、呪文攻撃する側が6以下でクリティカルを出せば、一瞬で終わってしまうことに変わりはない。それに関しては「運」としか言いようがない。
 しかし、「人事を尽くした後の天命」を期待するならまだしも、最初から天命に期待するのは愚か者のする事だ。しっかり対策をして、勝率を上げておきたい。



【射撃】
 距離20メートルから開始されるので、その状態で即座に攻撃しようと思えば射撃が一番有力な攻撃手段となる。20メートル程度の距離であれば、専用の射撃武器より、手投げ武器の方が手っ取り早いかもしれない。

 ただし、呪文と異なり射撃はあれこれと回避する戦術が多い。対射撃手段としては、「《矢よけ》の呪文」「受動防御を高める」「《透明》の呪文で透明になる」「《ぼやけ》の呪文で命中率を下げる」などが考えられる。
 あるいは単発射撃であれば、単純に《瞬間回避》でよけてしまう手もある。ルナルのような中世文明時代の射撃は単発が基本であり、一発撃つのに最低2ターンはかかる(投擲物を準備→狙う→射撃)ことから、単体の射撃相手であれば、場当たり的な回避手段でどうにかなってしまう。

 なので、攻撃手段をこれだけに頼るのは無謀である。
【白兵戦】
 「どうせ呪文一発で制圧するんだから白兵戦の準備などいらない」という結論に達しやすいマンチキン作成だが、当然ながら対戦相手も呪文対策を備えている以上、一発(1ターン)で相手を制圧して即終了、という事態にはほとんどならない現実を念頭に置くべきである。

 そしてその戦略上の裏手を突くのが、急速接近して白兵攻撃という手段である。上記の「高レベル呪文」「呪文対策」「射撃対策」などにCPを費やすキャラクターの多くは、白兵戦闘に関してまでCPが回らない。だから逆に、そこを突く事に特化したキャラクターを作成するのも、1つの戦術と言える。



【白兵呪文】
 命中判定のプロセスが入るが、当てれば一撃必殺に近い近接用呪文というのも存在する。これらは、体力が低く白兵武器の威力が見込めない魔術師にとって、威力を確保するのに都合が良い。「ガープス・マジック」に掲載されている呪文で条件に該当するのは、《音噴射》《死の手》《火炎噴射》である。

 《音噴射》と《火炎噴射》は持続時間1秒ではあるが、コストさえ払えば維持可能な呪文であり、15レベル以上あれば最低ランクのジェットを維持し、毎ターン相手に叩きつけられる。
 これらは、他の抵抗型呪文と同時運用できるため、ターン冒頭に直接相手に効果を及ぼす「抵抗型呪文」を放ちつつ、自分のターン行動としてジェットを叩きつける(攻撃)といった芸当が可能となり、事実上、
呪文で2回攻撃していることになる。
 なお、この二つの呪文の使い分けだが、対人戦であれば《音噴射》で一撃必殺を狙い、サイズが2ヘクス以上の大型モンスターが相手であれば、《火炎噴射》でダメージを累積していく形となる。今回は特に対人戦を想定しているので、《音噴射》を使っていくとよいだろう。

 一方、《死の手》は毎ターン発動し直さないといけないので、噴射呪文より効率が悪いように見えるが、これは一度相手に組み付くなどして接触状態を維持すれば、発動するだけで毎ターン無条件でダメージを及ぼせるようになるため、近接戦闘に対応した呪文である。



【飛行】
 相手の白兵攻撃を防ぐのに一番手っ取り早いのは、飛行してしまう事である。ウィザードであれば、習得が簡単な《浮遊》の呪文でも維持しておき、自分の体を浮かせておけば、それだけで陸戦ユニットからの白兵攻撃を完全にシャットアウトする事が可能となる。

 なので白兵攻撃で倒すつもりのキャラクターは、相手に確実に接近するために、自身も何らかの飛行手段が必須ということになる。
【物質障壁】
 変わり種として、
《物質障壁》の呪文で物理的アプローチを完全に遮断する方法がある。この場合、お互いに呪文以外での制圧手段を失うため、後に残るのは不毛な呪文合戦である。
 《物質障壁》を使えるジェスタ高司祭やウィザードであれば考慮しても良い戦術ではあるが、障壁を張った以降はダイス運頼りになってしまうので、何かしら工夫をしないと勝率は五分五分といったところ。

 もう一つの利用法として、対戦相手を障壁内に閉じ込めて、「魔法武器で殴る」という手段が存在する。《物質障壁》の説明では、魔法の品の通り抜けは自由になっているため、相手を隔離すれば一方的に攻撃できることになる。
 ただしルール的にこれを認めてしまうと、「《物質障壁》で相手を閉じ込めて殴るのが唯一絶対の最適解」という状況になり、メタゲーム的には《物質障壁》戦術を軸にしてキャラ作成を考えないといけないという、非常にくだらない環境に成り下がってしまうため、当サイトでは《物質障壁》のルール自体を改変し、
「閉じ込める意図でこの呪文を使用する事はできない」ものとする。



【《物質障壁》に関するハウスルール】
●《物質障壁》は《避難所》の上位呪文なので、中にいる人物が外に出ていく行為を術者が阻止する事はできないものとする。一方、外から入ろうとする人物に関しては、術者が拒めば一切入れないものとする。ただし、魔法生物や魔法の品の侵入は(《物質障壁》の段階では)阻止できないので、例えば魔法の矢での射撃に対しては障壁が働かない。

●外から許可がない者が壁に接触した場合、衝突者にダメージはなく、空間的に歪曲して「横(あるいは上)へ逸れる」ものとする。移動していた場合は、障壁に沿って横にずれた移動を行うことになる。

●障壁内部は常に外部と同じ環境に保たれるという《避難所》の機能も受け継いでいて、中に向かって《空気破壊》や《水作成》で窒息を狙っても、すぐさま外の環境と均一化するため、維持する事はできない。

●宇宙空間などで障壁を展開し、中を《空気作成》などで満たそうとしても、「外部環境との均一化」の法則により、空気はすぐ拡散してしまうものとする。よって、宇宙空間で密閉された生存環境を作るといった試みには使えない。

●内側から外へのアプローチは阻止されない仕様なので、中から外の敵に対して一方的に攻撃することは「あり」とする。射撃に関しても、中から外へなら普通に可能とする。ただし、中からの攻撃者の白兵武器が障壁の外に出た瞬間、相手が「待機」行動などをとっていて咄嗟に武器を狙った場合、この攻撃は武器に対して有効とする(破壊される可能性がある)。

●空中に障壁を張った場合は球形となる。上記のように、中の人物が外に出るのを防げないため、落下中の誰かのために障壁を張っても、障壁をすり抜けるだけなので無駄である。空中で誰かを保護したいのであれば、まず《浮遊》などで位置座標を固定してやり、それから対象を中心に障壁を張るなどといった工夫が必要となる。
■平面戦闘での基本戦術
【瞬間発動呪文は常に放つ】
 相手が「意志の強さ」を持っていて抵抗されてしまうと分かっていても、21レベルの瞬間発動呪文は常に放っていくべきである。目標値16以上であれば6以下でクリティカルし、問答無用でノックアウトできるし、ダイス目の上下によっては普通に抵抗の即決勝負で勝つこともあるからだ。



【奇襲としての白兵戦】
 不毛な瞬間発動呪文合戦を唯一逃れる手として、相手に急速接近して白兵戦に持ち込み、短時間でけりをつける戦術も考慮して良いだろう。その場合、瞬間発動呪文の代用品として、20メートルの距離を一気に詰めるだけの何らかの機動性を取得せねばならない。



【射撃は対策だけでいい】
 攻撃手段としての射撃呪文は、対人戦の場合、あまり役に立たない。《矢よけ》の呪文の存在もあるが、シールドや防御呪文など、《矢よけ》なしでも対抗策はいくらでも存在するため、牽制手段としては使えても倒すのは至難の業であるし、また自身もそういうキャラにしておくべきだ。
■サンプル・キャラクター(平面決闘でのマンチキン)
 以下は、平面決闘でのマンチキン作成の一例である。
■ ウィザード結界術師 大人レア様 (総計100CP)
ウィザード/女 33歳
身長168cm 体重53kg 金髪 赤眼

■■ 能力値
(-5cp)
体力 8(-15cp)
敏捷力 8(-25cp)
知力 14(35cp)
生命力 8(0cp)

■■ 特徴 (84/-45cp)
ウィザード種族セット(47cp)/天使ワーエル封印(防御/警戒系呪文+1)、魅力的な容貌(5cp)、意志の強さ8レベル(32cp)
誠実(-10cp)、朴念仁(-10cp)、魔術師の名誉(-15cp)、義務感/子供(-5cp)

癖(-5cp)
お菓子が好き、午後の紅茶を欠かさない、かわいいは正義、いつものんびりした対応、そろそろ老化停止の術を覚えないと不味いと焦っている三十路の今日このごろ
■■ 技能 (66cp)
<天使>の召喚(-/Lv15)、<天使>の封印(-/Lv15)、神秘学☆(0.5cp/Lv13)、考古学☆(0.5cp/Lv12)、錬丹術(0.5cp/Lv10)、古代神聖語(0.5cp/Lv10)、礼儀作法(0.5cp/Lv13)、戦術(0.5cp/Lv11)
[呪文]
敵感知(1cp/Lv15)、感情感知(1cp/Lv15)、鉱物探知(1cp/Lv15)、土変化(1cp/Lv15)、空気浄化(1cp/Lv15)、空気作成(1cp/Lv15)、発火(1cp/Lv15)、火炎(1cp/Lv15)、水探知(1cp/Lv15)、体力賦与(1cp/Lv15)、生命力賦与(1cp/Lv15)、小治癒(1cp/Lv15)、感知防御(1cp/Lv15)、呪文抵抗(1cp/Lv15)、呪文障壁(1cp/Lv15)、恐怖(1cp/Lv15)、パニック(30cp/Lv30)、念動(1cp/Lv15)、浮遊(1cp/Lv15)、矢よけ(8cp/Lv20)、避難所(1cp/Lv16)、物質障壁(1cp/Lv16)、完全障壁(4cp/Lv18)

■■ 装備 総重量7kg(無荷) 所持金30ムーナ
指輪(アクセサリ$50 魔術具)
ネックレス(アクセサリ$50 <芳香>魔化+$40/内蔵型パワーストーン<3>+$500)
レア様専用ドレス(クロースアーマー$180 7kg <強化L1><雨傘L1>+$150)

■■ 身体能力
移動力4(無荷) 能動防御=よけ4/うけ-/とめ-
受動防御/防護点=1/2
【設定】
 垂直都市ピールの戦闘魔術師です。《完全障壁》を用いた防衛線を得意としています。至極真面目な女性で、しゃべる時も淡々と語るので冷たい印象を受けますが、可愛い物体を目にした途端に脳内の真面目回路がOFFになるらしく、煩悩に捕われてしまいます。特に子供には甘いようです。

 戦闘でやる事は単純で、《完全障壁》を張り巡らせて中から《パニック》で追放するだけです。《完全障壁》なので、魔法生物の接近戦も対処できます。ただし、障壁を張る前に射撃を受けると不味いため、常時《矢よけ》を維持しています。
 障壁を張るのに必要なエネルギー(拡大なしで5点)は、ネックレスの内蔵型パワーストーンから支払って下さい。《パニック》の方は、拡大しないのであればコスト0で放てます。

 障壁に籠った後は互いに抵抗呪文合戦になるわけですが、こちらは《完全障壁》による抵抗判定が追加で一回発生するため、こちらが有利になるはずです。本人も「意志の強さ」による高い抵抗力を所持しているので、障壁を張る前に瞬間発動呪文が飛んできても、なんとか耐えられるでしょう。
 攻撃呪文は範囲呪文なので、サイズの大きい動物などにも対処できます。ただしコストが尋常ではなくなるので、何度も放つことはできません。
■ レスティリ霊媒師 オルティス (総計100CP)
エルファ/男 180歳
身長185cm 体重73kg 金髪 碧眼

■■ 能力値
(-25cp)
体力 8(-5cp)
敏捷力 8(-25cp)
知力 13(20cp)
生命力 8(-15cp)

■■ 特徴 (76/-45cp)
エルファ種族セット(15cp)、レスティリ氏族<導き手>(15cp)、魅力的な容姿(5cp)、意志の強さL4(16cp)、我慢強さ(10cp)、魔法の素質1レベル(15cp)
狭量/黒の月の種族(-5cp)、自信過剰(-10cp)、誠実(-10cp)、紳士の名誉(-10cp)、義務感/仲間(-5cp)

癖(-5cp)
言葉遣いが丁寧、異種族の観察が好き、のんびりした態度、金銭的価値観がイマイチ理解できない、樹人(トレント)になることを目標と定めている
■■ 技能 (94cp)
弓矢(0.5cp/Lv5)、水泳(1cp/Lv8)
医師☆(1cp/Lv12)、診断☆(1cp/Lv12)、高級処置(2cp/Lv12)、埋葬儀礼(0.5cp/Lv12)
生存/森☆(0.5cp/Lv12)、追跡(0.5cp/Lv11)
戦術(0.5cp/Lv10)、地域知識/故郷の森(0.5cp/Lv12)、忍び(1cp/Lv7)
[呪文]
空気浄化(1cp/Lv12)、空気作成(1cp/Lv12)、空気変化(1cp/Lv12)、空中歩行(1cp/Lv12)、体力賦与(1cp/Lv12)、生命力賦与(1cp/Lv12)、小治癒(1cp/Lv12)、自己治癒(1cp/Lv12)、間抜け(1cp/Lv12)、幻惑(1cp/Lv12)、誘眠(1cp/Lv12)、集団誘眠(36cp/Lv30)、盾(6cp/Lv15)、化身★(32cp/Lv20))

■■ 装備 総重量6.7kg(無荷) 所持金10ムーナ
ショートボウ($50 1kg) Lv5 刺し1D-3 抜撃ち12 正確さ1 射程80/120m
矢筒($10 0.2kg)
ライト・レザー($210 5kg)
緑葉のワンド(バトン$20 0.5kg <体力賦与15>魔化+$100/内蔵型パワーストーン<3>+$500)

■■ 身体能力
Mv4(無荷) 能動防御=よけ4/うけ-/とめ-
受動防御/防護点=1/1

[化身時のデータ]
レスティリの豹
体力22 敏捷力14 知力13 生命力15
移動力/よけ:10/7 受動防御/防護点:1/1
体重80kg 大きさ:2ヘクス
攻撃:
爪/技能レベル14=切り/1D+1(長さC)
噛みつき/技能レベル14=切り1D-1(長さC)
【設定】
 ソイル選王国出身のエルファです。生まれた時から体が脆弱だったため、年を越すのは無理と言われていました。しかしそれを聞きつけた樹人(トレント)が森の奥から現れ、彼に《他者変身》の呪文をかけ、レスティリの豹の体にして育てました。豹としての高い身体能力を得た彼は、幼少期の数年間を豹のまま過ごします。

 やがて言葉が話せる年齢になると《他者変身》を解かれ、樹人から直々にエルファとしての教育を受けることになります。修業を経て、ずっと豹のままでいられるようになった彼は、樹人の薦めで森の外を旅するようになりました。いつか自分を助けてくれた樹人のようになりたいと思い、修行を積む旅を続けています。

 戦闘が想定される場合、あらかじめ《化身》でレスティリの豹になり、戦闘でもそのままの姿で挑みます。基本は《集団誘眠》を拡大なし(性能的には《誘眠》と同じ)で放ちます。
 また、レスティリの豹の身体能力は非常に高いので、一見すると「意志の強さ」のレベルが妙に低いように見えますが、豹のステータスと組み合わせれば高い抵抗力になっているはずです。「我慢強さ」も持っているため、ダメージによる衝撃の効果を受ける事もありません。
 さらに、豹の体はサイズが2ヘクスなので、大半の通常呪文に対し、相手に余計なコストを要求する事が可能です。

 なお、相手が飛行している場合は《空中歩行》を自身に使って空を駆けます(呪文を自分にかける際もコストが倍化する事に注意)。空中対処する必要がない場合は、《盾》の呪文をかけて受動防御を高めておくとよいでしょう。

 いずれも豹の体力から疲労点を払えるので、コスト不足に陥る事はまずないでしょう。
■マンチキン作成の考察
 色々なマンチキンを考案したのだが、ウィザードの万能性とエルファの《化身》の破格さが突出しているため、これと並ぶようなレベルの強そうなキャラクター構造のアイデアが思い浮かばなかった。
 これらの対抗キャラを作るにしても、結局はウィザードを選ぶハメになり、人間やドワーフの双子の月信者の出番はちょっと思いつかない。



●《化身》によるパワーバランス崩壊
 エルファは習得呪文が双子の月信者以上に制限されており、はっきり言ってエルファの姿のままだと人間、ドワーフより明らかに弱い種族なのだが、唯一《化身》の呪文だけがぶっ壊れ性能になっていて、これを使えば彼らよりスペックが上になる。

 しかもこの呪文、維持コストが2点のみで知力低下も発生しないので、20レベル以上に上げてしまえばずっと《化身》動物のままで存在でき、本来ならば100CP程度では絶対に得られない強靭な身体を持った状態を維持できる。知力なども下がらないので、呪文も使える。正直、反則級で強い。
 コイツと似たような「呪文を使いつつ白兵戦で戦う」キャラクターを作っても、動物の格闘能力を持つコイツには勝てないため、劣化キャラ作成にしかならない。

 ただし、動物の姿のままだと「手を使う」技能の大半が使えなくなるはずなので(レスティリ独自技能の<高級処置>などもできないだろう)、何かしら手作業をする際は戻った方がいいだろう。でも、戦闘中に戻る理由は特にないんだよな…



●《完全障壁》が戦術を縛る
 ハウスルールを設けてなお、《完全障壁》は無敵の存在である。中に籠られて抵抗型呪文合戦に持ちこまれると、外の術者はまず障壁の呪文レベルとの即決勝負を勝たないといけないため、二重の抵抗を突破しないと倒せないことになる。これは中に籠ってる方が一方的に有利な状況となる。

 一応、これを倒す案として「相手が障壁を張る前にテレポートで術者の背後に接近し、そこで《音噴射》でも叩きつけて一発KOを狙う」というものがある。先手を取って瞬間発動で《瞬間移動》するというわけだ。決まれば瞬殺だ。ただしこのコンセプトのキャラは、ウィザードでしか作れない。結局、ウィザードに対抗できるのはウィザードだけという話になる(一応、アルリアナ高司祭も《瞬間移動》を習得可能だが、前提条件が迂遠すぎて現実的ではない)。

 双子の月信者でも作成可能な、もっと簡単な対抗キャラとして、十分にレベルを上げた《悪臭》を障壁内に放つ手がある。シャストア神官だけがこれを習得できる。この呪文はエリアにかける呪文なので、障壁との即決勝負1回だけ突破すれば良いのだ。
 障壁内の環境は閉鎖空間ではなく、外と均一化するルールなので、永久に悪臭状態を維持できるわけではない。しかし、悪臭の説明には「風が強い日の屋外では10秒程度しかもたないでしょう」とある・・・10秒も持てば十分であろう。レア様は生命力が低いため、毎ターンちくちくと1D-1ダメージを与えて倒す事も可能だろう。少々時間がかかるが…

 ただし、いずれの対抗キャラも障壁戦術を使う相手に強さが限定され、普通のマンチキンキャラに勝つことは大変困難になってしまうが。



 以下、テレポートで瞬殺を試みるキャラクターのサンプル。
■ ウィザード戦術士 ルフレ (総計100CP)
ウィザード/女 28歳
身長163cm 体重52kg 銀髪 灰の瞳

■■ 能力値
(5cp)
体力 8(-15cp)
敏捷力 12(10cp)
知力 12(10cp)
生命力 8(0cp)

■■ 特徴 (84/-45cp)
ウィザード(47cp)、意志の強さL8(32cp)、方向感覚(5cp)
秘密(迷惑)/記憶喪失(-5cp)、味覚消失(-5cp)、記憶喪失L1(-10cp)、魔術師の名誉(-15cp)、義務感/仲間(-5cp)

癖(-5cp)
冷静沈着、好奇心でイタズラする事がある、神話時代の古代史よりも人が歩んだ歴史の方が好き、胸がない事を気にしている、料理を作るとなぜか鋼の味がする(原因不明)
■■ 技能 (56cp)
呪文噴射(2cp/Lv13)、身体感覚☆3(2cp/Lv14)
<天使>の召喚(-/Lv13)、<天使>の封印(-/Lv13)、神秘学☆(0.5cp/Lv11)、歴史(1cp/Lv10)、古代神聖語(2cp/Lv10)、戦術(0.5cp/Lv9)
[呪文]
体力賦与(1cp/Lv13)、生命力賦与(1cp/Lv13)、小治癒(1cp/Lv13)、念動(1cp/Lv13)、浮遊(1cp/Lv13)、飛行★(1cp/Lv12)、高速飛行★(1cp/Lv12)、瞬間移動★(32cp/Lv21)、瞬間回避(1cp/Lv13)、作音(1cp/Lv13)、発声(1cp/Lv13)、雷(1cp/Lv13)、拡声(1cp/Lv13)、音噴射(4cp/Lv15)

■■ 装備 総重量7.5kg(無荷) 所持金10ムーナ
魔導書(ノート$10 魔術具)
羽根ペンとインク壺($30)
竜石のピアス(アクセサリ$50 <清掃15>魔化+$100/内蔵型パワーストーン<2>+$300)
ヘビー・レザー($350 7.5kg <強化L1><防御L1><軽量化>+$250)

■■ 身体能力
移動力5(無荷) 能動防御=よけ5/うけ-/とめ-
受動防御/防護点=3/3
 あらかじめ熟練した《音噴射》パワーレベル1を維持しておく。

 ターン冒頭に《瞬間移動》で21ヘクス先の標的の背後にテレポートする。この時、「向き」を180度回転する事。<身体感覚>判定(向きが変わると-2)に成功すれば、自分のターン行動として《音噴射》を叩きつける。これは完全に奇襲となるだろう(「透明」の項目にある「見えない敵からの攻撃」として処理するのが妥当)。
 「音の刃」は高確率で命中するはずなので、後は敵が生命力-1判定に失敗したら勝利となる。生命力が低いレア様相手であれば、比較的分の良い勝負と言える。

 なお、<身体感覚>判定を確実に成功させたいのであれば、敵の目の前への転送もアリだろう(相手の回避力が低ければ)。

 このキャラは一応、レア様に勝つために作られた専用対抗キャラではあるが、他のマンチキン・キャラにもそれなりに有用であるはずだ。相手の生命力が高かったり、サイズが2ヘクス以上でないかぎりは…



 最初に考案した際は、「相手が《完全障壁》を張る前に抜撃ち射撃を当てるキャラ」だったのだが、テストプレイでレア様が最初から《矢よけ》を維持するように改変した後、その戦術は使えなくなった。ならば「射撃じゃなくて自分の身体ごと相手の傍に転送してしまえ」と考え直し、このような設計へと至る。
 ▼次のステップへ
▲メインに戻る