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● シャストア
【本質】 言葉
【司る側面】
 物語と伝承
【2次的に司る側面】
 影、迷宮、虚偽、人生、遊戯、誇張、道化、芝居。
【教義】
 物語を作り、語れ。常に第3者視点から判断せよ。汝が語るは汝が真実。
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■ 概要
■■ シャストアの神格
 赤の月の主神でありますが、片割れの青の月のガヤンのような権威があるわけではなく、むしろ社会的に見ると、8大神の中では最も信者が少ない神です。
 一般的なシャストア神の姿は、黒いマントに黒いタキシード、目と口の部分に切れ込みが入っただけの簡素な仮面をつけているという、メフィストフェレスか何かのような姿で表現されます。通常、双子の神は同じ性別の神格になっていますが、シャストアはこのように変装しているので性別不明です。一説では、女性神格ではないかと言われています(小説の主人公の配役から察して下さい(笑))。

 シャストアもまた「言語」を本質としますが、存在しないものを言葉で現す必要性を説いています。信者たちは事実を誇張したり、創作物語を作る作業に没頭しています。

 目標とは、現時点では未達成の理想像を定め、かなえようと努力するためのものであり、既に達成したことを繰り返しても発展はしません。だからこそ、まだ形のないものをまず言葉に置き換え、皆が分かるような未来を指し示す指標とするのです。架空の物語を創作する事は、未来の設計図を書く行為に他なりません。
 また、真実は1つではなく、見る人によって千差万別です。しかし、人生は1人につき1つしかありません。ですが、架空の存在を作りだし、その者の視点に立って見る事で、多角的に物事を見る事ができます。それによって、物事の本質に近づく事ができるのです。

 ただし、道化の神であるシャストアは、こうした重要性をストレートに語ってくれるような神格ではありません…頭のいいヤツだけが気付けば良い事なので。そのため、シャストア信者は少数しかいません。


■■ 神殿の役割

 都市部でお芝居の劇場を運営している以外は、文学を書くスペースとして場所を提供している程度で、社会的に神殿が重要拠点になっている事はほぼありません。田舎では、神殿すらないのが普通です。
 シャストア信仰は、建物ではなく信者自身が神殿的な役割を果たしていると言った方が近いかもしれません。ある時は、ペローマ神殿と協力して神話や伝承の写本を大量生産したり、またある時は、リャノ信者の演奏家と協力して派手な舞台を演出したり、さらにある時は、サリカ神殿の保育所で子供たち相手にエンターテイメントを催してみたりと、それぞれの信者をつなぐ役割を果たす意味で、赤の月のリーダー格を発揮しているのかもしれません…

 …え?してない?
 首つっこんで遊んでるだけ?
 そう言われてもナー?


■■ 信者に多い特徴
 社会の一般常識に捕われない思考をする人間が多く、「好奇心」だけで余計な事に首を突っ込みたがります。あちこち首を突っ込みたがる「お祭り好き」などの気質の者も多いようです。度が過ぎたシャストア信者は、場を炎上させるためだけに「虚言癖」「トリックスター」などの性癖を発揮させる問題児もいます。

 また、外見的にも一般から外れている事が多く、容姿が「美人」だったり、逆に「醜悪」だったりします。容姿が普通でも、ファッションセンスがぶっ飛んでいたり、普段は目立たない容姿、無害な一般ピープルを演じながらも、裏でぶっとんだ事をやらかす仮面のヒーロー(ヒロイン)といった存在も見受けられます…容姿に個性がないなら、衣服や行動で個性を演出すればいいじゃん?的な思考なのでしょう。多分。


■■ シャストア信者が多い職業
舞台役者、詩人、文芸作家、報道官(記者)、詐欺師、偽造業者


■■ シャストア信者が好んで使う武器
短剣、ナイフ
■ 作成データ
■■ 特殊武器
●フェンシング武器
 独自技能<フェンシング>で扱う細剣です。ルナルでは、一部の信者のみがこの技能を習得し、この武器を扱います。

(レイピア)
刺し 突き+1 長さ1~2 最大致傷力1D+1
価格$500 重量0.8kg 必要体力なし

(サーベル)
切り 振り 長さ1
刺し 突き+1 長さ1 最大致傷力1D+2
価格$700 重量1kg 必要体力7


●シャストアのマント
 攻撃にも防御にも使える、分厚くて重いマントです。逆腕でマントの裾を掴んで、開いたりひるがえしたりします。裾は非常に鋭利であり、攻撃に使うと切りダメージを発生させます。一方で防御時は「止め」に使うこともできます。
 シャストアのマントは、防具との重ね着が可能です。その場合、受動防御と防護点は加算されて重複します。

 なお、鎧とマントに防具魔化系呪文をかけた場合、効果が高い方だけが有効となり、重複はしません(例えば鎧とマントの両方に<強化>1レベルがかかっている場合、高い方だけ(同じ場合は片方だけ)が有効となり、防護点は1点だけ上昇します)。

切り 振り 長さ1 受動防御1 防護点1
価格$250 重量5kg 必要体力-


■■ 独自の技能
<フェンシング>(肉体/並)
 ルナル世界では、一部の信者のみがこの技能を学べます。荷重が軽荷以下の場合、「受け」が技能の3分の2になります。


<シャストアのマント>(肉体/難)
 独自装備のマントを扱う技能です。荷重が軽荷以下の場合、攻撃に使うことができ、技能レベルの2分の1で「止め」が行えます。
 ただし荷重レベルが「並荷」以上だと、単なる重ね着防具にしかならず、攻撃や「止め」に使用できません。


<暗闇戦闘>(精神/至難)
 視覚以外の感覚を研ぎ澄ます事で、盲目状態によるペナルティを完全に打ち消します。自分のターンの始めに判定を行い成功すれば、目が見えていなくとも完全にペナルティなしで戦闘可能となります(この状態を持続したい場合は、毎ターン判定が必要です)。ただし部位狙いを行う場合のみ、修正-2が追加で上乗せされます。
修正:「鋭敏聴覚」および「鋭敏感覚」のレベル分だけプラス。
周囲がうるさいと-1~-7の修正が発生。
全く音が聞こえなくても-7で戦闘は行える(音以外の感覚も一応使っているため)。


<扇動>(精神/難)
 <言いくるめ>と<演技>の範囲バージョンで、複数の人々を説得し、自分の意見に対する「反応」を上げます。これは反応表の「援助要請」として扱います。

 扇動する場合はこの技能と、聴衆の中で最も知力が高い人の知力で即決勝負を行います。即決勝負で勝利すると聴衆全体の反応が「良い」になり、無理のない範疇で援助してくれる他、援助が無理な場合は有用な助言を受けられます。逆に即決勝負で失敗すると反応が「悪い」となり、聴衆はあなたを完全無視します(ファンブルで敗北すると、聴衆の一部が警察機構に密告するかもしれません)。

 当然ですが、聴衆の大半が知っている言語で説得せねば効果はありません。厳密には、聴衆の8割が言語を知っている必要があります。


■■ 独自の格闘動作、準技能
【部位狙い/フェンシング】(難)
技能なし値:<フェンシング> 上限:<フェンシング>+3 前提:<フェンシング>
 <フェンシング>技能専用の格闘動作です。部位狙いで攻撃する場合、<フェンシング>技能の代わりにこちらで命中判定を行えます。最大で+3まで伸ばす事ができますが、実際に命中判定を行う際の目標値の上限は、【部位狙い】か<フェンシング>のうち、低い方を適応します(要するに目標値拡大を狙って胴体狙いをしても、元の技能レベルを超える目標値にはなりません)。

 なお、命中判定以外の事(フェイントや「受け」など)には一切使えず、あくまで命中判定の時だけ使えます。


【フェイント/フェンシング】(難)
技能なし値:<フェンシング> 上限:<フェンシング>+4 前提:<フェンシング>
 通常ルールのフェイントと同じで、フェイントを行う時のみ、こちらのレベルを使用できます。最大で技能+4まで上昇させられます。


【突き返し】(難)
技能なし値:<フェンシング>-4 上限:<フェンシング> 前提:<フェンシング>
 相手の攻撃直後に素早くカウンター攻撃を入れる技です。相手の攻撃に対して「受け」を試み、成功したら相手の攻撃直後に即座にこれを使う事ができます。【突き返し】判定に成功すると、相手は-3の修正で能動防御を試みる必要があります(相手はまだ攻撃体勢から戻っていないためです)。この時、防御側は「後退防御」と組み合わせる事はできません。

 なお、突き返しを使った後、武器が「非準備状態」となり、その後の他の敵の攻撃などに対し、武器での「受け」ができなくなります。次にやってくる自分のターンで、1ターンかけて構え直してください。


■■ ボーナス技能
 <吟遊詩人><文学><言いくるめ><演技><変装>の各技能を習得する際、技能レベルに+1のボーナスを得られます。


■■ 使用可能な僧侶呪文
 シャストア信者は「幻覚/作成物系」と「光/闇系」の二種を僧侶呪文として習得できます。

[神官呪文] (素質1まで)
幻覚/作成物系:
幻影、幻覚、完全幻覚、幻覚かぶせ、幻覚変身、幻覚奪取、幻覚破壊、幻覚感知、独立幻覚

光/闇系:
光、持続光、光明、色彩変化、閃光、闇、闇操作、ぼやけ、隠匿、透明、赤外線視覚、暗視、闇視、鷹目、透明看破


[高司祭呪文] (素質2まで+独自呪文+高司祭共通呪文)
幻覚/作成物系:
作成物、動物作成、作成物奪取、作成物破壊

独自呪文:
刻銘、肉体影化


*独自呪文データ
《刻銘》 範囲/知力で抵抗 (幻覚/作成物系呪文)
 任意の表面に銘を残ります。俗に「イニシャル刻み」と呼ばれる技です。銘の芸術的な価値に関しては、術者の<書道><絵画>などで判定します。銘は術者が脳内でイメージしたデザインをリアルに再現します。銀色の炎のような文字、単純なブロック体、水に反射した光のような文字…などなど。

 文字は持続時間が終了するか、途中で呪文が切れるまで残ります。生き物がこの呪文の対象となった場合、知力で抵抗します。
■持続:1分 ●消費:1(最低でも2)・1 ★前提:素質1+《幻影》


《肉体影化》 通常/生命力で抵抗 (光/闇系呪文)
 目標は影だけを残して実体を失い、二次元の存在となります。ほんのわずかでも隙間があれば、そこを潜り抜けて自由に移動できます(移動力は元のまま)。重力の影響も受けないので、壁を登る事も可能です。

 影化する際、3キロまでの衣服であれば一緒に影になりますが、それ以上の装備などはその場に落ちてしまいます。影でいる間、呼吸や食料は必要ありませんが、何か持ち運ぶこともできません。一応しゃべる事はできますが、呪文を使う際は-5のペナルティがあります。影の中にいる間は、1分間につき生命力を1点回復する事ができます。

 影化中は物理的な攻撃は一切受け付けませんが、光による攻撃はダメージを受けます。《光明》や《閃光》は1Dダメージ、レーザー光線などのダメージは二倍となります。《持続光》などの光源の近くでは、その呪文に使われている基本消費コストに等しい値分だけ、敏捷力と知力が低下し続けます(離れたら回復します)。
■持続:1分。影化中の者が意識を失うと即座に戻る。 ●消費:6・3 ◆準備:5秒 ★前提:素質2+《闇操作》
[原作からの変更点]
 フェンシングは格闘動作がないと、攻撃面であまり強い武器とは言えないので、【部位狙い】と【フェイント】という強力な格闘動作を両方使える設定になっています。
 また、原作にあった格闘動作の【イニシャル刻み】ですが、独自呪文の《刻銘》を使えば同様の事ができるので、そちらに譲りました。しかも呪文ならば綺麗にかけて、あれこれデコレーションまでできます(笑)。

 色々と問題児である【突き返し】ですが、原作では直後の行動がとれないように調整されていますが、改変ルールでは武器が非準備状態になることに変更しています。あと、成功度うんぬんは面倒なので処理を省き、一律-3修正で防御するように変更しています。
 これらの変更により、多数の敵に囲まれている時にカウンター攻撃を行うのは、かなり無謀な状態へとなりました。とはいえ、この動作は「全力防御」していても使えるという、かなり強い動作なので、そのくらいのペナルティがないとバランスが取れないと判断し、そのように変更しました。

 あと、シャストア信者というと闇を上手く使う事が最も要求される信仰なので、<暗闇戦闘>が入っています。もともと魔法剣士向けの知的戦士が多い信仰なので、「暗視」がなくともどうにかなるでしょう。


 原作では魔法扱いだった<扇動>の技能ですが、対集団用の<言いくるめ>として調整しています。大きな変革の波も、いくつもの小さな波の積み重ねですから、技能単発はこのくらいの強さでいいと思います。これを何度も使って民衆を扇動し、反抗の既成事実を作ってしまえば、あるいは改革を起こすきっかけとなる…かもしれません。
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