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● リャノ
【本質】 環境
【司る側面】
 ざわめきと流れ
【2次的に司る側面】
 河川、音楽、料理、旅行、衣服、酩酊、騒音、無意味。
【教義】
 一瞬の喜びを見逃すな。去る者は追わず、されど自身も去って追うは自由。自らも流れ、新たな経験を求め続けよ。
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■ 概要
■■ リャノの神格
 赤の月の環境を司る男性神格です。守護する領域は水域であり、片割れのジェスタが守護する大地と異なり、常に変動しているため、一か所に留まる事がありません。しかしそんな不安定な状況においても、肝心の守るべきものの本質は不変です。それは友情だったり愛だったり、蓄積された技術のノウハウだったりと、特定の形などなくとも保たれるものです。
 リャノ神は、敢えて不安定な環境に身を置く事で「本当に守るべき最小単位は何か?」をしっかり見極めよと説くわけです。

 もっとも、最近のルナルでは「一つの事象に拘泥しないであれこれ経験し、一瞬の喜びを連続させ、人生を楽しもう!」というお気楽な解釈の方が主流です。この解釈も間違いではなく、一瞬の喜びが何度も見える環境であれば、守るべき大切な部分が認識しやすくなるのもまた道理です。


■■ 神殿の役割

 赤の月の神殿としては異例で、社会的に重要な役割を担っています。

 もっとも大事なのは水道局としての役割で、人々に清潔な水を届ける一方、使用済みの下水の処理も引き受けます。神殿では汚水処理のための沈殿池が管理・運営されています。この辺りはやむ得ない事情もあり、赤の月の組織とは思えぬほどしっかりとした組織が形成されています。

 また、河川や海岸の地域では必ず船員ギルドとして機能しており、巨大な港がそのまま神殿になっています。大都市になると、大型の造船所も併設されます。通常、国を守るのはガヤンやジェスタ信者の兵士が大半ですが、海軍だけはリャノ信者で占められており、ジェスタ信者などと協力して領海防衛のための巡回航行任務などを担当しています。

 その他、都市部では料理人ギルドや楽士ギルドとしても機能していますが、これらは一つの神殿で集中管理するのではなく、ギルドごとに別神殿を建て、ジャンル別で個別管理されるのが普通です。

 一方、辺境の村などでは、村で唯一の宿屋や酒場などがリャノ神殿として機能しており、主に共同コミュニティを管理する場所となっています。


■■ 信者に多い特徴
 享楽的に日々を楽しく送られれば良いという、大らかな人が多いようです。そのため、「自信過剰」や「好奇心」といった特徴の者が多くみられます。また、食事を楽しむ人が多い事から、「くいしんぼ」や「アルコール中毒」、「肥満」といった特徴を持つ者もリャノ信者には多いと言えます。平信者や入信者程度だと「怠惰」な生活を送る者も大勢います。

 リャノ信者が直接的に悪党として覚醒する(笑)ような話はあんまり聞きませんが、悪事の片棒を担いでいるケースならばあります。例えば、海賊たちは基本的に海神としてのリャノを信仰していますし(船員は平信者で船長がせいぜい入信者といったところですが)、密貿易を営む裏あるいは闇タマットの海上運搬を、事情を知らないフリしてリャノ信者の船舶ギルドが請け負う事はあります。


■■ リャノ信者が多い職業
漁師、船乗り、水道局員、調理人、楽士、宿屋店主、酒場店主、馬屋


■■ リャノ信者が好んで使う武器
弓矢、手投げ武器
■ 作成データ
■■ 特殊武器
●ハープ・ボウ
 レギュラーボウとしても使える中型のハープです。矢は、通常の弓矢で使うものと同じものが使えます。
 この武器には、独自呪文《永久の旋律》(後述)が魔化されています。当然ですが、演奏中は弓としては使えません。演奏を維持する場合は<楽器/ハープ>技能で判定します。

刺し 突き+1 抜撃ち13 正確さ2 半致致傷 ST×15/最大射程 ST×20
価格$200 重量2kg 必要体力10


●ハード・バグパイプ
 金属とレザーで作られたバグパイプです。両手で持って使います。演奏を行う他、本体での「止め」が行えます。サイズ的には「スモール・シールド」として扱います。
 独自呪文《永久の旋律》が魔化されています。盾として使う場合は<ハード・バグパイプ>技能を使いますが、演奏を維持する場合は<楽器/バグパイプ>+2で判定します。

受動防御2 価格$200 重量5kg


●コンバット・オール
 ボートを漕ぐ時に使う櫂(かい)を戦闘用に加工したものです。上質のクォータースタッフとして扱います。所有者が望めば、《魔法の杖》を魔化することも可能です(別途で$30支払って下さい)。
 リャノ神殿では、オールを使った独自の格闘動作も伝えられています。本来の用途(ボートを漕ぐ)で使う事もできます。

叩き 振り+2 長さ1-2
叩き 突き+2 長さ1-2
価格$30 2kg 必要体力6


■■ 独自の技能
<ハープ・ボウ>(肉体/難)
 <弓矢>の亜種技能として扱います。《永久の旋律》使用中の演奏判定には<楽器/ハープ>の方を用います。


<ハード・バグパイプ>(肉体/易)
 <盾>の亜種技能として扱います。ハード・バグパイプ装着時に技能レベルの2分の1で「止め」が行えます。なお、ハード・バグパイプ使用時は両手がふさがっているため、他の武器などは使えません。
 《永久の旋律》使用中の演奏判定には<楽器/バグパイプ>(精神/難)を用います。バグパイプは構造上、音色を持続させやすいため、この判定に+2のボーナスがあります。


<コンバット・オール>(肉体/難)
 <杖>の亜種技能として扱います。技能レベルの3分の2で「受け」が行えます。


<腹話術>(精神/難)
 ルナルでは、一部の信者でしか習得できない技能です。


■■ 独自の格闘動作、準技能
【フェイント/コンバット・オール】(難)
技能なし値:<コンバット・オール> 上限:<コンバット・オール>+4 前提:<コンバット・オール>
 通常ルールのフェイントと同じです。フェイントを行う時のみ、こちらのレベルを使用できます。最大で技能+4でフェイントの即決勝負を行えます。


【砂かけ】(並)
技能なし値:<コンバット・オール>-5 上限:<コンバット・オール> 前提:<コンバット・オール> 射程:1~2
 足下が砂か土の場合のみ有効な動作です。足下の地面を軽く掘り、相手の顔を目がけて砂や土をかけます。目標は「よけ」「とめ」で能動防御が行えます。

 命中した場合、目標は生命力判定を行い、失敗すると1秒間、目が見えなくなります。その後も涙ぐんでいるため、1D秒は敏捷力が-3されます。生命力判定に成功した場合、かけられた1ターンだけ敏捷力-3になります。クリティカル成功だった場合は何の影響もありません。

【着座戦闘/コンバット・オール】(難)
技能なし値:<コンバット・オール>-2 上限:<コンバット・オール> 前提:<コンバット・オール>
 ボート上などで座ったまま戦闘を行う技能です。通常、「座り」姿勢だと攻撃と能動防御に-2のペナルティがありますが、この動作を使う事でその修正を打ち消す事が可能です。


【渦潮斬り/コンバット・オール】(難)
技能なし値:<コンバット・オール>-5 上限:<コンバット・オール> 前提:<コンバット・オール> 射程:1(隣接ヘクス全域)
 その場で回転し、周囲の敵全員を叩きのめすという荒業です。これは「全力攻撃」の攻撃オプションの1つとして扱い、他の攻撃オプションと組み合わせて使う事はできません。当然、これを使ったターンは一切の能動防御ができなくなります。
 攻撃者は現在のヘクスで1回転して、隣接するヘクスに存在する全ての敵を攻撃します。どこから回転を開始するかは自由で、敵1人ずつ攻撃と防御、ダメージの処理を解決していきます。攻撃型は必ず「振り」タイプの物を使用します。防御側の能動防御は、通常通り行えます。全ての敵を攻撃後は、好きな方向に向いて構いません。
 なお、途中でファンブルした場合、残りの敵ヘの攻撃は自動的に失敗扱いになります。


■■ ボーナス技能
 <楽器><調理><生存/島・海岸><船乗り><造船>の各技能を習得する際、技能レベルに+1のボーナスを得られます。


■■ 使用可能な僧侶呪文
 リャノ信者は「水霊系」と「音声系」の二種を僧侶呪文として習得できます。

[神官呪文] (素質1まで)
水霊系:
水探知、水浄化、水作成、水破壊、脱水、水変化、空中呼吸、水中呼吸、水泳、聖水、水面歩行、霧、水中視覚、雨傘、肉体液化、水噴射、氷結武器、氷球、氷剣、雨、霜、氷面、冷凍、雪溶け、氷中視覚、雪靴、雪、雹、凍傷、間欠泉

音声系:
作音、発声、雷、拡声、音噴射、沈黙、沈黙障壁、騒音、静寂、忍び足、遠耳、聴覚強化、超音波視覚、筆記、魔法の耳、透明な耳、遅発伝言


[高司祭呪文] (素質2まで+独自呪文+高司祭共通呪文)
独自呪文:
肥料化、永久の旋律


*独自呪文データ
《肥料化》 通常 (水霊系呪文)
 汚物にかけます。呪文に成功すると汚物から悪臭が消え去り、乾燥した肥料となります。汚染された衣服や体の浄化にも使えます。
 呪文に成功すると、肥料化した元汚物が足下に落ち、対象は<清掃>の呪文がかけられたのと同様、ピカピカに磨き上げられて綺麗になります。

 なお、この呪文にファンブルした場合、一定確率(1Dを振って1~2の時)で低級の<悪魔>が憑依してしまい、「生ごみ魔」と呼ばれるモンスターに変化してしまいます。
■持続:一瞬 ●消費:1ヘクスに付き1 ◆準備:1分 ★前提:素質2+<水破壊>


《永久の旋律》 魔化 (魔化系呪文)
 打楽器以外の旋律が奏でられる楽器にかけます。恩恵は主に二つあります。

 一つ目は、この呪文が魔化された楽器を使って呪文を使う場合、呪文の「集中」で必要な動作や呪文の詠唱を、楽器の演奏だけで代用できるようになることです。既に楽器を演奏中であっても、旋律に「集中」動作を割り込ませることができ、演奏を途切れさせる事なく、別の呪文をかけるための「集中」が行えます。

 二つ目は、この楽器を用いて発動した「持続時間を持つ呪文」は、「持続時間」が「演奏が続いている間」に置き替わります。つまり、本来10秒で効果時間が終了する《倍速》の呪文でも、演奏が続くかぎりは10秒後も永遠に持続され続けます(術がかかった当人は、そのうち疲労でぶっ倒れるでしょうが)。逆に、効果時間が1時間ある呪文をかけた後、5分程度で演奏中断した場合も、本来の持続時間に関係なく、その時点で持続時間が終了となります。

 演奏をしている間は「集中」しているとみなします。演奏を維持し続けるには、術者(=演奏者)は1分毎に使っている楽器に応じた<楽器>判定を行います。成功すれば旋律が途切れる事なく呪文も維持し続けられますが、判定に失敗した場合は旋律が中断してしまい、呪文の効果も完全に切れます。
 また、ダメージを受けたり能動防御を行った場合でも、通常の「集中」と同じく意志-3判定が必要です。失敗すると直ちに演奏が中断してしまいます(呪文の効果も終了)。

 《永久の旋律》が魔化された楽器による呪文の維持の有効距離は、旋律が聞こえる範囲までです。携帯楽器の場合、屋外であれば無風環境で200メートル、風の状態が良ければ500メートル先まで届くものとします(演奏する楽器や演奏者の腕前によってかなり異なりますが、大雑把に統一しておきます。なお大型の楽器の場合、サイズ分だけ倍数にします)。旋律が人間の耳で聞き取れる範囲ならば、呪文は維持され続けます。

 パイプオルガンなどの固定の大型楽器にもかけられますが、そうした楽器は演奏中に術者が動けない事に注意して下さい。小さなオルガンは2ヘクス、グランドピアノは3ヘクス、神殿の構造物と一体化した超大型パイプオルガンなどは4~6ヘクス以上となります。

●消費:1ヘクスにつき100。携帯可能な楽器は1ヘクス以下が普通。★前提:《魔化》 ▲魔化:旋律が奏でられる楽器一つ。
[原作からの変更点]
 英国にはバグパイプ兵が実在しました。その役割は、最前線でBGMを吹き鳴らし、士気を鼓舞すること。そして、先頭で演奏中のバグパイプ兵が相手の射撃などで倒されても、後ろに控えている次の奏者がすぐに演奏を引き継ぐことで、「相手の演奏者は不死なのか!?」と相手に誤認させ、敵軍の士気をくじくことでした。

 ルナルのルールでは、それを再現困難と見たのか、意味不明な毒針発射装置になっていましたが、管理人は元の姿を再現したかったので、楽器に呪文の効果時間の延長能力を持たせ、演奏が続くかぎり、呪文の効果が切れないことにしました。
 例えば、兵士に<すばやさ>の呪文をかけて戦場に送り出しても、通常だと1分後に持続時間が切れてしまうため、ほとんど実用性がありません(1分なんて移動だけで終わってしまいます)。ところが《永久の旋律》が魔化された楽器があれば、演奏を続けるかぎり、10分立とうと1時間立とうと呪文は維持されつづけ、敏捷力にボーナスを得た状態で戦い続けられます。これで、「演奏者が前線で演奏し続ける」現実的な意味合いが出てきます。勿論、演奏者は魔術師であり、自分で呪文をかけられることが大前提ですが。

 そういう変更を経て、バグパイプは武器ではなく盾扱いになりました。演奏しながら「止め」が行えるので、敵弓兵からの攻撃にも対応できます。これにより、リアルのバグパイプ兵が演出していた「不死性」をある程度は再現できますし、ただ演奏するだけでなく、呪文の維持という貢献もしているので、ちゃんと戦力になってます。
 もっとも、こうした恩恵を少数戦闘の冒険者が受けられるのか?と言われると微妙ですが。


 あと、前々から思っていたのですが、「なぜボートを漕ぐのに使うオールを独自武器にしないのか?」と思っていたので、それを入れました(櫂を使った古武術は現実に存在します)。
 というかですね?クッキングブレードだのシールドだのは、食事に使う道具を戦場に持ち出してくるとか、非常に不衛生だ!と、管理人個人は常に思っていて、しかも理由もなくやたらコスパが良い装備設定だったので、非常に気に入らない存在でした。なので調理器具を戦場に出すのはやめて、オールで戦って貰う事に。

 あと、釣竿から発展したアルリアナの九節鞭みたいな武器も考案しましたが、アルリアナと被るので断念しました。とりあえず初期のリャノ信者武器を何とか実用化にこぎつけるのが先決だと思ったからです。

 なお、格闘動作にも櫂を使った独特の動作を入れておきました。流れに身を任せた【フェイント】からの【砂かけ】を行えば、それなりの成功率で敵の目を封じる事ができると思います。あとは全力で滅多打ちにすればよろしいかと。

 他、マンガ動作として、着座戦闘を入れてます。オールはボートに座って使うのがデフォルトなので、この動作があればいちいち立ち上がらずともペナルティなしで応戦可能です。
 さらに、豪快な渦潮斬りを追加。これはマーシャルアーツの竜巻斬りと同じものですが、水域の神さまなので渦潮という名称に変更し、ファンブルした時のペナルティも緩和してあります(処理が面倒なので省略したというだけの話ですが)。


 それとボーナス技能なんですが、<歌唱>が入ってません。理由は簡単で「肉体技能」だからです(ボーナス技能に肉体技能はいれないのが改変ルールのデフォなので)。基本的に生命力の高さと「音楽能力」を駆使すれば、上げるのにそんなに苦労する技能ではないので、特にボーナスなしでも問題ないでしょう。
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