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● サンプル・キャラクター(双子の月/人間)
 以下は、改変ルールに則って作られたサンプル・キャラクターです。100cpでプレイヤー・キャラクターを作る際の参考にして下さい。なるべく単純化したつもりですが、防具魔化呪文が施された強力な魔法の鎧など普通に着用していたりと、そこそこマンチキン気味に作成してあります。

 なお、各信仰の「祈り」の言葉ですが、ペローマ、ジェスタ、アルリアナ、タマット、リャノは当サイトの管理人個人の創作であり、公式の祈りは未発表なので不明です(ガヤン、サリカ、シャストアは小説の文章からの抜粋なので公式です)。
【設定】
 ガヤン神殿に仕える神殿騎士です。神殿騎士は戦い専門の者たちで、リプレイや小説などでよく登場する「事件の解決のために駆けずり回る警邏部のガヤン信者たち」とは異なり、〈悪魔〉教団や闇タマットのガサ入れ、危険なモンスターの討伐隊など、確実に戦いが起こる&魔法攻撃が関わってくる場面でのみ投入されるエリート戦士です。
 神殿騎士の多くは貴族出身であり、次男や三男などの受け継ぐ領地がない者たちが世俗権力から離れ、各神殿の教義に人生を捧げることでこの職に就きます。元が富裕層であるためペローマ学院を卒業生しており、「入信者」以上の信者レベルを持ち、各信仰の独自技能や装備で武装しているのが普通です。

 彼もそんな1人で、領主の家系に生まれた次男坊であり、独力で生計を立てる手段としてガヤン神殿騎士になりました。いつ死んでもおかしくない仕事をこなしつつも、それなりに充実した人生を送っていたのですが、ある時、モンスター討伐で同行した冒険者たちの話を聞いているうちに、自分も冒険者として世界各地を見て回りたいと思うようになりました。
 これを上司に相談したところ、上司はその手の悩みに慣れていたらしく、「一度しかない人生だ。若いうちにいろいろ経験してこい」とあっさり神殿から放り出されました―――「巡礼」任務という扱いになっていますが、期限などないので事実上の無期限休暇です。
 こうして彼は、冒険者として世界各地への旅が始まります。

【性能】
 いわゆる「回避タンカー」として設計されており、高価な装備による高い能動防御に加え、〈強靭精神〉技能によりあらゆる抵抗型呪文に対して基準値16で抵抗できるようになっています。
 攻撃に関しては、ソード・ブレイカーで殴ったり、クロスボウで射撃できるようになっています。なお、当サイトの改変ルールでは「ソード・ブレイカーによる武器落とし」が楽にできるようにルール調整されているので、刃物相手であれば優位に戦えるでしょう。

【ガヤンの祈り文】
『ガヤンは法を定めたもう。法とは人と人との誓いなり。
 互いの身を思いやり、ともに安らがんがための定めなり。

 我らガヤンに仕える者。
 法を知らぬ者に法を説き、法を破る者に法を説き、
 秩序と安寧をもたらさん。』
【設定】
 町レベルの神殿に仕えるサリカ司祭です。サリカ司祭は各コミュニティの冠婚葬祭の世話に加え、子供たちへの読み書きと基本算術の指導、村人たちの相談役、領主の公式文書作成などを引き受ける重要な役職であり、辺境の村でも必ず必要な人材です。
 サリカ司祭は通常、富裕農家出身の女性が大半を占めます(男性はごく稀な存在です)。都市部のペローマ学院卒業後、「入信者」として各村に就任します(通常は年配の先輩司祭が1人おり、彼女の元で修行しつつ仕事に務めます)。一方で町クラスになると「神官」が代表司祭となるため、「入信者」の段階では重要な仕事は回って来ず、どこかの村に欠員が出るまで神殿で修行を続けます。

 彼女はそんな司祭の1人ですが、神より呪文の啓示を受けるほど優秀だったため、出世頭の1人でした。そして、現場慣れするために近場の村に半年ほど期間就任する事になったのですが…運悪く、その村がモンスターの襲撃に会いました。
 その際、彼女は何もできず、村の足を引っ張っただけだったのです―――第1発見者だったにも関わらず警鐘を鳴らすのを忘れ、ロクな迎撃行動も行えず、そして戦闘後は動揺するあまり、負傷者の治療優先順位(トリアージ)もめちゃくちゃでした。そのせいで、余計な被害と村人の不安感を増長してしまいます。
 この一件で自信を喪失した彼女は、「このままでは司祭の役職なんて絶対務まらないので、冒険者として実戦経験を積みたい」と願うにいたりました。神殿は彼女の希望を受け入れ、各地のサリカ神殿巡礼の名目で一定期間の自由行動を認めました。
 こうして彼女は、冒険者として各地を巡礼する事になります。

【性能】
 「後方支援役」として設計されており、必要な仲間に《空中歩行》をかけたあと、《電光》で火力支援を行いつつ、戦闘後は応急処置と治癒呪文によるダメージ回復を行います。自身は、事前に《浮遊》を常時維持しておき、戦闘になったら安全な位置を確保して下さい。
 このキャラクターは体力9しかなく、呪文コストの支払い能力が若干弱いので、呪文の使い過ぎに注意して下さい。《体力回復》の呪文により疲労の回復が「5分につき1点」となっているため、冒険中はこれに頼る事になるでしょう。
 その他、《療治》《解毒》といった高度な医療呪文も備えており、病院いらずの性能になっています。さらに《雨》の呪文で雨乞いの儀式が行えたり、〈外交〉技能を15レベルで備えていたりと、必要とあらば即座に「村の司祭」が務まる優秀な人材です(既に現段階で「職業表」の「宗教的指導者」の条件を満たしています)。村レベルのクエストであれば、一時的に村人の統率を取る場面もあるかもしれません。

【サリカの祈り文】
『サリカは思いを守りたもう。
 思いが心のうちに蓄えられるを記憶と呼ぶなり。
 記憶によりて形作られるを信念と呼べり。

 されど信念は心を鎧うにあらず。信念は人を支えるいしずえなり。
 人は互いを支えるがゆえに、信念を交わらせよ。』
【設定】
 ペローマ神殿で研究を行う錬金術師です。ルナル世界の錬金術師には2パターンあり、魔法物質を研究対象とし、常に新たなエリクサーを生み出すために活動する(地球における化学者のような)研究員と、既製品の大量生産を行い、生活のために霊薬を売りさばく(地球における薬局店員のような)薬剤師がおり、一般に前者はペローマ信者、後者はアルリアナ信者が多いようです。
 なお、錬金術師は知識階級であるため、TL3の世界では富裕層出身者でないとなる事はできません(そもそも〈錬金術〉技能は神殿の独自技能なので、学院を卒業した「入信者」以上でないと習得できません)。また錬金術は、作成判定でファンブルすると普通に爆死する可能性のある職業なので、ファンブルの確率を少しでも下げるため、高い技能レベルが要求されます。

 彼は「研究員」系の錬金術師の1人ですが、同時に呪文の啓示も受けたため、自分自身でエリクサーの素材を現地で採取しつつ、新エリクサーを開発するという目標を立てて活動しています。
 しかし、いくら自分で素材を吟味しようと、基本的には「それまで使った事がない素材」を使わないと、新しいエリクサーのレシピというのは見つからないものです。特にTL3の文明圏では、行商人による交易は盛んではないため、そうした新規素材は中々遭遇できないものです―――つまり、定住生活では開発に限界がある事に彼は気付いたのです。
 そのため、自ら冒険者となって世界各地を回り、新しい素材を発見しようと思い至りました。家族から離れるので少々の不安もありますが、今以上のレベルに達するためには必要不可欠と考え、冒険の旅の支度を始めました。

【性能】
 「後方支援役」として設計されており、戦闘中はクロスボウによる射撃、戦闘後は治癒と壊れた装備品の修理と分かりやすい役割になっています。サリカ司祭と同じく《浮遊》の呪文を常時維持する事で、安全な位置の確保ができます。
 一方、探索シーンでの便利呪文が豊富で、《透明壁》で構造を見抜き、《隠蔽看破》で罠や隠し扉を発見し、《歴史》で拾ったアイテムの来歴を調査するといった具合に、ダンジョン探索における便利呪文を習得しています。また、〈罠〉技能でトラップの構造そのものを理解できますし、《鍵開け》の呪文で開錠も行えたりと、盗賊系キャラの亜種として作成されています。「まっとうな(非合法ではない)」盗賊系の冒険者が欲しい場合、彼のような人材の出番となるでしょう。

【ペローマの祈り文】
『ペローマは知識を記したもう。知識とは万物の設計図なり。
 この世界における不変の法則を記したものなり。

 されど知識は完成品にあらず。
 知るとは、知らぬ事があるが故に成立するもの。
 ゆえに理論と実践を積み重ね、探求を怠るなかれ。』
【設定】
 ジェスタ神殿に仕える神殿騎士です。ジェスタ神殿の騎士たちは、ガヤン神殿騎士ほど戦う機会は多くありませんが、代わりに鍛冶仕事や建築重量物の運搬など、腕力を必要とする仕事に駆り出される傾向にあり、平常時は鍛冶屋見習いとして工房で働いてる者もいます。
 また、ジェスタ信仰は基本的に村レベルでは人が常駐する神殿が存在せず(村で唯一の鍛冶屋が神殿扱いといった具合)、町規模でないと神殿騎士は成立しません。ジェスタの神殿騎士は、主に町での防衛戦を担当します。

 彼もそんな1人だったのですが、町規模になると襲撃してくる勇猛果敢な(あるいは無謀な)モンスターや蛮族など滅多に出現せず、鍛冶の腕ばかり鍛えられました(おかげで「職業表」の「職工」の条件を満たすくらいの腕利きにはなれました)。ですが、彼は「戦いで自分の力を試したい&鍛えたい」という思いが強く、町での守衛任務では一向にその機会が訪れない事に不満が溜まっていました。
 そしてある日、噂話でそれを知った上司が彼を呼び出し、問いただされて心情を白状したところ、「フリーの傭兵として腕を磨いてこい」と言われ、期間限定で外で冒険してくる事を許可されました―――リプレイのドムスがそうであるように、ジェスタの戦士は鍛錬のため、一時的に外の世界に修行の旅に出る事が奨励される傾向にあります(防衛戦だけでは経験値が不足するからです)。
 彼はさっそく冒険者となり、酒場で仲間を集め始めています。

【性能】
 ガヤン神殿騎士と異なり「物理タンカー」として設計されており、「戦線維持」を目標としています。「我慢強さ」で「衝撃」のルールを無視できる上、「意思の強さ」で負傷時の意識維持判定の基準値が13になっているため、ガヤン神殿騎士よりは継戦能力が高いと思われます。
 また、〈不動の構え〉技能による修正(技能レベルの5分の1分だけプラス)で、体当たりを受けた際の体力基準値が15に上がっており、倒れにくくなってもいます。その他、〈強靭精神〉技能によって基準値16であらゆる抵抗型呪文に抵抗できるようになっています。
 一方、攻撃能力はジェスタ・アックスを振り下ろすだけの単調なものなので、攻撃に関しては仲間に頼った方がよいでしょう。一応、手斧を投げる能力もありますが、射程が短いので気休め程度にしかなりません。

【ジェスタの祈り文】
『ジェスタは境界を築きたもう。境界とは個を守るもの。
 互いの領域を認め、多様性を共存させるための定めなり。

 されど境界は他を拒絶するためにあらず。
 さらなる高みに達するがため、互いに競い合い切磋琢磨せよ。』
【設定】
 シャストア信者の吟遊詩人です。ルナルにおける吟遊詩人は、定住地を持たず当てのない旅をしながら、各町の街頭で歌って観客のおひねりで生計を立てている音楽家・芸術家たちを指します。無論、それだけで生活するのはやや困難なので、多くの吟遊詩人はサバイバル技術(〈生存〉技能)もかじっているのが普通です。
 吟遊詩人には2タイプあり、物語の創作を重視し、旋律に乗せて物語を歌い上げることを至上とするタイプと、娯楽性を第1とし、流行歌を美しく歌い上げることを至上とするタイプに分かれます。前者は英雄物語などの新規の創作物を作り上げるためだったり、別の土地で起こった事件を遠方に伝えるために放浪の旅を続けますが、後者は富裕層に気に入られて従者として召し抱えられ、宮廷楽士に昇格する事を目指して活動しています(就活の一種)。
 基本的には定職探しのための後者タイプが多く、そこにはリャノ信者も多く含まれます。一方で前者タイプは、シャストア信者以外はあんまりいません。特に、政治制度の変革を担う革命家に、前者タイプのシャストア信者が多いようです。

 ちなみに、例として挙がっている彼女は前者タイプの生き方を目指す理想家で、自身も冒険者として活動し、そこで得た経験をそのまま物語の題材として使っています。生まれつき放浪生活の遊牧民出身者なので、成人後も自然と冒険者として活動しています。「エタンの気質」の特徴(後述)を持つため、定住する気はさらさらないようです。

【性能】
 「魔法剣士」として設計されていますが、戦闘と情報収集の2つの能力を所持しています。
 戦闘に関しては、それなりの白兵戦能力を持ちますが、サーベルの威力がやや低いため、主戦力としては厳しいです。ただし、《閃光》の呪文で集団を弱体化できる事から、対雑魚集団戦に特化した魔法剣士と見る事ができます。仲間と連携する事で活躍できるでしょう。
 一方、情報収集に関しては、《幻覚》で作り上げた「別人」の映像を《幻覚変身》でかぶる事で、完全な他人に成りすまして活動する事ができます。〈言いくるめ〉と〈演技〉の技能も備えているので、関係者しか入れないような場所に立ち入って情報収集するといった事ができるかもしれません。他にも、幻覚呪文を用いてあれこれできるでしょう。

 なお、「エタンの気質」とは以下のような特徴になります。詳細は別項目「ルナル世界の考察」の第14節「ルナル世界の遊牧民」に記載しています。

●「エタンの気質」(-15cp)
 リアド大陸中央部のゼクス共和国の民(人間種族および彷徨いの月の種族)に見られる特有の国民性を示す特徴で、「誓い/持ち運びできるだけの資産しか持たない」と「地位の高い相手に対する高慢」(-5cp)を組み合わせたような特徴です。
 エタンは遊牧民であり、常に放浪生活している事から不動産の概念がなく、持ち運べる量の動産しか保有しません(高価な物は宝石や魔法の品の形で持ち運びます)。また、ゼクス共和国では「個人」が全てであり、全員が対等の存在であるとしています(「地位」の概念を認めません)。そのため、相手が王だろうと貴族だろうと対等に付き合おうとします。

【シャストアの祈り文】
『シャストアは物語を作りたもう。物語とは生きること。
 それを見よ。それを語れ。

 されどなによりもすべきことは、物語を作ることなり。
 物語は真実なり。汝が語るは汝が真実。』
【設定】
 アルリアナ神殿(=娼館)の護衛を担当する傭兵です。神殿の護衛と言ってもガヤン神殿騎士のように人生を神殿に捧げているわけでも、〈悪魔〉討伐や闇タマットとの抗争に参戦するわけでもなく、あくまで対人を想定した期間限定の傭兵です。一般に「護衛士」と呼ばれ、その多くは神殿の独自技能〈空手〉を習熟した格闘家です。
 護衛士の中には、元娼婦から昇格したたくましい女性もたまに見受けられますが、普通はペローマ学院卒業後、アルリアナの信仰に生きると誓ったプロの格闘家たちであり、格闘家として鍛錬するかたわら、収入を得るために護衛士をやっています。信者の大半が女性であるアルリアナ信仰ですが、護衛士だけは例外的に男性格闘家も見受けられます。
 ルナル世界において娼館は合法なので、それだけであれば過剰な護衛など必要ないのですが、アルリアナ神殿は弱者救済組織の拠点として使われる側面もあり、裏では非合法やグレーゾーンに類する匿い行為を行う事があります。敵は、司法機関のガヤン神殿だけでなく、闇タマットの場合もある事から、赤の月の神殿にしては戦闘力が高く、武力抗争に対してある程度の耐性があるのが普通です。

 例に挙がっている彼女は、元は町の娼婦として働いていましたが、「不特定多数の相手をするより、1人の男性との純愛路線の方がイイ!」という願いをかなえるため、娼婦から格闘家に転身したという変わり種です。元々、身体が頑丈で素養もあったのか、神殿の道場でメキメキと蹴打術の実力を伸ばし、わずか2年で黒帯レベルに到達します。
 そうして神殿から一人立ちを果たしたのはいいのですが、当初の目的である「1対1の純愛」をまだ達成していなかった彼女は、「そもそもこんな女ばっかの職場にいるのがイケないんだわ!」と考えます。そして次は、冒険者として各地へダンナ探しの旅に出ようとしています。
 果たして、そんな行き当たりばったりで上手くいくものなのでしょうか…?

【性能】
 いわゆる「アタッカー」として設計されています。ただし、アルリアナの蹴打術はCQC(近接戦闘)のフォローが一切為されておらず、ガヤンの柔道家などに距離を詰められるとどうしようもないという弱点があるので、射撃能力を持たせてオールレンジに対応しています(相手が柔道家なら盾は持ってないでしょうから、弓矢の射撃が有効でしょう)。
 なお知力は平均値であるものの、野外活動が可能なレンジャー系の技能を一揃え習得しており、現代地球におけるレンジャー兵士の真似事もできます(アルリアナは逃がし屋の側面もある事から、格闘術と合わせてゲリラ戦のプロのような技能構成の戦士が多いようです)。
 また、生命力の高さを生かした〈社交〉技能で、酒場などで一般情報収集を行ったりもできます。

【アルリアナの祈り文】
『アルリアナは忘却を赦したもう。忘却がもたらすは解放なり。

 されど何を捨て、何を残すかは汝の愛が決めることなり。
 愛は解放と縁をもたらすもの。愛は全ての力の源なり。
 ゆえに汝、より多くの捕われし者を愛し、解放と絆をもたらさん。』
【設定】
 裏タマット神殿に出入りしている中堅の盗賊です。裏タマットの盗賊たちは、大雑把に4タイプに分かれ、夜盗・スリ・スパイ・密猟のどれか1つに特化して技術を磨きます。通常は、何人かの同業者がチームを組んで犯罪行為を行いますが、たった1人で行う者もいます(リスクは跳ね上がりますが、儲けを独占できます)。
 ルナルにおける犯罪行為は、基本的にそれを行った町や村1つでのみ追求され、捕まれば処罰されますが、別の町に移動してしまえば、基本的には罪に問われる事はありません(TL3の文明社会では、町と町が情報共有できるほど通信網が発達していないためです)。そのため、犯罪現場を見られて顔を覚えられてしまっても、他の町に逃げればまた「カタギとしてのやり直し」が利きます。
 ただし長年犯罪に関わっていると、人相が犯罪者のそれになってしまっていて、何もしていなくとも警戒されやすくなりますし、過去の経歴からまともに入れる町も減り、さらに真っ当な職の職歴がないのでやり直しも利かず、改心して第二のカタギの人生をやり直せる盗賊など、ごくごく稀な存在です。

 例に挙がっている盗賊の中年男性は、幼少期は芸術家として身を立てたかったのですが、実家が貧しくてそのような余力はなく、家出して都市部で犯罪者になってでも金を稼ぐ以外に、生きる道がなかったようです。
 しかし彼は才覚があったのか、裏タマットで実力を認められ、12歳の頃に特待生としてペローマ学院への入学を認められ、卒業後は幹部候補生として、組織のためにあらゆる犯罪行為に手を染めました。そして、どの方面でも才覚を見せた彼は、便利屋として「人員が足りないチームへのフォロー役」として使われるようになります。
 一時期、暗殺業にも手を染めていましたが、「束ね」の長にやんわり説得され、完全にのめり込む前に手を引きました。元々、彼が金に執着していたのは「いつか自分の金で芸術家になる夢をかなえる」という目標のためなのに、闇タマットに堕ちたらそれもかなわない―――「束ね」の長の言葉で、その事を思い出したのでした。

 そんな経歴を辿ってきた彼ですが、今の稼業では食う事は出来ても、財を築けるほど稼げないため、一攫千金を狙って冒険者稼業に転身しようとしています。果たして彼は、人生最大の賭けに勝ち、夢を勝ち取る事ができるのでしょうか。

【性能】
 「暗殺者」として設計されており、当サイトの改変ルールで追加された格闘動作【致命傷】を使って正面突破を試みるキャラクターになっています(クリティカル7以下 確率16%)。クリティカル+1程度ではそれほど効能を感じませんが、致命傷動作時は致傷力が+1される事、クリティカル発生時の効果が「防護点無視」に固定されるルールなので、命中さえすれば高いダメージを出せます。
 距離2m以下の状態で「刀身射出」を選択し(距離2メートル以内であれば射撃の距離修正がゼロなので、命中判定の目標値は素のままになり、クリティカル値も下げずに済みます)、命中判定で「幸運」の特徴を使い、強引に命中させてしまうのがセオリーでしょう。この場合、防護点無視の「刺し/1D+3」となるため、相手の生命力を一気にマイナスまで持っていき、気絶させる事も難しくありません。
 また、盗賊としての能力もそこそこあり、突出したものこそありませんが主要な盗賊系を抑えています。そこそこの単独戦闘力と〈忍び〉が得意な事から、先行偵察能力はあります。

【タマットの祈り文】
『タマットは直観を授けたもう。直観とは発見なり。
 常に動け。探せ。新たな真実を見つけだせ。

 我らタマットとともに歩む者。
 幸運は自ら掴むもの。冒険の先にこそ最高の宝がある。』
【設定】
 リャノ神殿で船乗りをしている中年の男性です。TL3のルナル世界では、航海術はまだ未発達であり、基本的に海岸線が見える範囲でしか航行しません。船内の役職も、船長、船員、水の司(呪文で水を生成する神官)くらいの役割分担しかされておらず、船内における乗組員の地位という概念は曖昧です。
 船乗りはほぼ全員がリャノ信者であり、ほとんどは平信者です。入信者以上で、ある程度の経験を積んだ者の中から船長が選ばれます。呪文が得意で《水作成》の呪文が使える場合は水の司となり、この役職は水を生成する以外の仕事は要求されませんし、船長と同程度の好待遇が与えられます(一見すると楽に見えますが、実際は一日中呪文の連続使用で慢性的に疲労しているため、決して楽な仕事とは言えません)。

 この船乗りは、神官位をもっており《水作成》の呪文が使える事から、水の司としての役職を担えますが、呪文の啓示を受ける前までは普通に船員として経験を積んでいた事から、船長の役職も務まるエリート人材です(「職業表」の「船長」の就業条件を満たしています)。大抵は「水の司」の役職で乗り込み、水の生成以外は好き勝手にやってますが、船長が未熟な時は、そのフォロー役もやっていたりします。
 そのまま気楽な船乗り生活で十分満足していた彼ですが、ある時、乗船中の船が闇タマットの海賊船に襲われ、彼と数名を除いて船員全てが斬殺されてしまいます。どうにか海に飛び込んで運良く逃げられた彼ですが、生き残った彼に残っていたのは、やられた仲間の無念を晴らすための復讐心だけでした(「海賊の名誉」によるものです)。
 彼は船乗りの職から一旦退き、冒険者となって仲間を集めています。無論、海賊を滅ぼすという危険な仕事のためですが、果たせば連中がため込んでいる財宝で一気に大金持ちになれるでしょう―――その「報酬」をネタに仲間を集めています。
 果たして、彼の復讐は果たされるのでしょうか。

【性能】
 ボートやカヌーに乗って戦う事を想定したキャラクターです。《氷剣》による射撃が可能ですが、実際は接近戦の方が得意としており、ボートで着座中でもペナルティなしで武器を扱えます(格闘動作【着座戦闘】を習得)。また、対人戦であれば《音噴射》で一撃必殺も狙えるでしょう。
 さすがに船舶を持ち歩きできないので所持品には記載していませんが、シナリオ中にカヌーで戦う場面になった場合、カヌーのデータは以下のようになります(データの一部は第4版から抜粋しています)。第3版のガープス日本語訳ルールには「乗り物」の詳細ルールがないですが、乗馬戦闘と同じルールで運用して問題ありません。

カヌー(TL0) 体力:23 敏捷力:〈ボート〉+1 知力:- 生命力/HP:12/23
        移動力:2 受動防御/防護点:2/2 重量:50kg 大きさ:2へクス
        積載量:300kg 価格$300

【タマットの祈り文】
『リャノは流れを生み出したもう。
 流れは人と人とを交わらせ、喜びをもたらそう。
 喜びは歓声となり、ざわめきをもたらそう。

 されど流れに身を任せるも、そこから去るも、汝の自由なり。
 流れの源は神にあらず、月にもあらず、ただ人の心なり。』
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