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■序節 全員で和マンチ
 いくらマンチキン・キャラを並べたところで、単独でシナリオを突破することなどできない。

 だからこそ、マンチキン・キャラであってもパーティーを組まねばならない。そこで問題になるのは、いかなるマンチキン・キャラを揃えてパーティー編成するのが効率的か?である。

 ここでは「マンチキンばかりで編成されたパーティー」というものを考察し、実践する。
■1種類のマンチキンでは全滅確定
 ガープスでの一般的なマンチキン・キャラというと、「性能をピーキーにして特定の状況でのみ超高性能を誇る」のが基本で、ぶっちゃけ「得意分野では無敵だが、それ以外の分野から攻められると脆くも崩れ去る」キャラとなる。

 そのため、同じタイプのマンチキンが並んでも「ラスボスとの戦闘に至る途上で詰んでしまう」事も普通にあり得る。「冒険」とは、戦闘だけでは完結してないからだ。
 まず、冒険の最初には「依頼人との交渉」シーンがあり、ここでは反応判定が高いキャラが交渉しないと、安い料金で買い叩かれてしまいかねない。戦闘マンチキンキャラでは、ロクな反応を得られないだろう(せいぜい容貌が魅力的で+1修正があるくらいだろう(笑))。

 次に
「情報収集」シーンがやって来る。ここでも反応判定がものを言うし、情報の集め方によっては<裏社会>や<尾行><忍び>などの盗賊系技能も必要となる。
 さらにその後、実際の「探索」シーンがあり、そこでは野外活動系スキルか、<鍵開け>や<罠>解除などの障害物回避能力が必要だ。

 そして最後の最後に、戦闘系マンチ・キャラお待ちかねの
「戦闘」だが。
 そこまで至る道のりで悪手を踏みまくってると、GMによっては勝てない量の敵を叩きつけてくるかもしれない(愚かな行動にはペナルティを追加して当然であろう)。あるいは最後のボスに会えないでミッション失敗になるケースもあるだろう。
 例えば、闇タマットの首領など、勝てないと分かりきってる相手に挑むことなどありえない。連中の目的はあくまで金儲け、弱者を食い物にして稼ぐ事だ。強敵の襲撃が分かっていれば、雑魚で足止めしつつ首領自身は逃げるだろう。

 要するに「戦闘シーン以外でのマンチキン」も必要なのだ。
■役割別マンチキン分担
 以下、役割別キャラクターの簡単な紹介である。この5人を使って、マンチキン・パーティーを想定した冒険など行ってみようと思う。
交渉のマンチキン (シャストア外交官シーダ/100cp)
 冒険の最初に必要となるのは、交渉を有利に進めることができるキャラである。相手の反応を良くする手法は以下の通り。

1.カリスマや容貌、交渉系技能で反応修正を上げる。

2.《魅了》の呪文で虜にする。


…2の方法は、冒険者としては色々と問題を抱える可能性がある上、プレイするユーザも良心(笑)が痛むケースもあると思うので、ここでは1の方法で行こう。

 そして用意したのが、
シャストア外交官シーダである。任天堂の作品「初代ファイアーエムブレム」から召喚した。

「その剣で私を好きにして」

…という、口説き文句にすらなってない気がする謎のセリフで、次々と敵陣営から仲間をヘッドハンティングした超カリスマ・プリンセスである。
 ガープスのデータ的には、「美人」「美声」「カリスマL4」<外交20>(合計で反応+10)と、反応修正をマンチ強化している。NPCの反応判定において、ダイス目が最低の1ゾロ(出目3)だった場合でも反応が「良い」になるという、愛の女神(笑)か何かである。

 なお、サリカではなくシャストア信者にしたのは、独自技能
<扇動>を取るためであり、これを使えば愚民トループ(笑)を扇動して味方にする事も可能だ。反面、戦闘力の方はお察しレベルなので、戦力としては数えないで欲しい。



結論:全て他人任せなの!
掃討のマンチキン (レスティリの霧豹レゴラス/100cp)
 以前、管理人がUPしたTRPG動画に「《活動停止》を40レベルまで上げたレスティリ・エルファはどうか?」というコメントがあった。

 いかにもマンチキャラらしい案と思ったのだが、敵を鎮圧するだけなら、何も無理して《活動中断》など高等魔術を使わずとも、<導き手>共通呪文に入ってる精神操作系呪文《誘眠》を使えばよい。

 あと、近接戦闘は《化身》に頼る事になるが、この呪文、準備時間が長く、戦闘中に使うにはちょっと苦しい。「ならば最初から《化身》状態を維持してはどうか?」

 こうして、《誘眠30》《化身20》の
レスティリの霧豹レゴラスが完成した。映画「ロード・オブ・ザ・リング」から召喚した無双エルフだが、こちらでは弓の名手ではなく、魔法の名手に置き換えている。
 このレゴラス君、エルファ形態の時は非常に脆弱で、精神系技能以外はまるで役に立たない。CPを獲得するために、知力以外の能力値は全て削っているためだ。

 反面、戦闘が予測される状況になれば、あらかじめ《化身》を使っておく事で、豹の状態で歩き回る事ができる。《化身》の呪文維持コストは2なので、20レべル以上で永続化が可能だ。寝る時以外はずっと豹のままでパーティーに随伴する事になる。
 戦闘になれば、豹の状態で近接戦闘しつつ、《誘眠》で周囲の雑魚を次々と眠らせることが可能。



結論:ずっと豹のままでいい
 
防衛のマンチキン (ジェスタ鉄槌司祭イシュタル/100cp)
 雑魚処理は上のキャラでいい。しかし、大型モンスターの対処が不完全である。

 大型モンスターの最大の脅威は「体当たりしてきたら押し倒されて戦闘どころではない」これに尽きる。ならば、どう対抗すべきか?

1.飛行する。

2.侵入不可のシールドを張る。

3.非実体になる。


 この中で一番楽なのは1だが、相手が飛行生物だと意味がない。なので、ここでは2の方法を取る事にした。
 ジェスタ高司祭呪文
《物質障壁》を展開し、どんなに怪力の生物でも絶対壊せない領域の中から一方的に殴り倒す。これで少なくとも「体当たり」や「踏みつけ」の標的には絶対にならない。

 そんな設計思想で完成したのが、
ジェスタ鉄槌司祭イシュタルである。シーダと同じく「ファイアーエムブレム」から召喚した。
 本家イシュタルは「雷神」の異名に相応しく、強力な雷撃魔法「トールハンマー」を使うのだが、ガープスでは「グリモア」をひっくり返しても、そこまで強力な電光系呪文は存在しない。なので、「ハンマー」を物理的に振るう事で解決することにした。
 具体的には、体力12で投擲可能な「手投げ斧」を大量に装備し、戦闘が始まったら障壁越しにこれを投げる事で支援攻撃するキャラとなる。支援距離が10メートル前後と、射撃武器としては物足りないが、威力は「切り/2D」なので十分な支援となるはずだ(ジェスタ神官以上では弩や弓は持てなくなるので、これが精一杯の射撃手段)。

 なお、本項での《物質障壁》の呪文は、以下のルールでの運用を前提としている。

[物質障壁に関するハウスルール]
●障壁の外側からの物理的アプローチは、術者が許可しないかぎり障壁を超える事はできない。
●障壁の中から外に出ようとするアプローチは、敵味方を問わず自動的に成功する。一旦出てしまうと、再度入るのに術者の許可がいる。許可が下りない場合(敵の場合)は入る事はできない。
●《物質障壁》は《避難所》の上位呪文であるため、敵を障壁に閉じ込めて水責めや窒息責めといった隔離戦術はとれない。内部は常に安全が保たれるようにコントロールされているとみなす。
●中から武器を振るったり射撃を飛ばしたりして外の敵を攻撃することが可能とする。これにより、シールドに近接している敵を一方的に攻撃する事が可能。ただし、攻撃時に武器や攻撃部位が一瞬だが外に出てしまうため、「待機」などで待ち伏せていた敵に外に出る部分を狙われた場合、これは攻撃されたとみなされて有効打になるので注意。



結論:ヒキコモリ最強
退魔のマンチキン (ファウン聖戦士ギムリ)
 マンチキンではひたすら「ピーキーな攻撃能力」を求めがちだが、パーティー的マンチキンにおいては、正面から攻撃を受けられる「盾役」はやはり必要である。いわゆる「タンカー(囮役)」である。
 タンカーになるのに必要な条件は「敵の攻撃を引き受けられるだけの防御力を持つ事」「敵が標的にせざる得ない程度の攻撃力を持つ事」である。

 加えて、マンチキンにおけるタンカーは高い呪文抵抗力も必要だ。例えば《凍傷》25レベルが毎ターン飛んでくるような戦場でも、それに抵抗して強力な攻撃を叩き込むくらいでないと、マンチキン・タンカーを名乗るに相応しくない。

 こうした思想の下、設計されたのが
ファウン聖戦士ギムリ。「指輪物語」や映画「ロード・オブ・ザ・リング」に登場したドワーフのオッサンである。
 ルナルで最もチートと思われる神殿武器「イヴニング・スター」を振う専業聖戦士として作られた。
 彼はひたすら毎ターン「イヴニング・スター」を振るえばよい。イヴニング・スターは<準備>技能で構え直せば毎ターン振える上、フレイル特有の防御ペナルティ効果付与もあるので、フェイントなど小細工をする必要はない(技能レベルもあまり高くはないので)。武器が壊れた時の事も想定し、予備武器としてモーニング・スターも所持している。

 防御面では、魔法強化されたスケイルアーマーと、怪力で殴られても耐えられる金属の盾、さらに意志の強さ9レベルもあるため、知力、生命力抵抗値が18以上もある。「16のルール」に縛られたマジックの抵抗型呪文が、これを打ち破るのは容易ではない。
 基本的には上記のイシュタルが展開するシールドの外へ遠征し、攻撃を引き受ける事になる。危ない時はシールド内に引っ込めばよい。



結論:一家に一台 戦車が欲しい
 
偵察のマンチキン (シャロッツ偵察兵フロド/100cp)
 敵の情報を探る事ことは、戦いを有利に進めていく上で必要である。それを担当するのが偵察兵である。

 偵察兵で一番必要なのは
視覚である。敵よりも早く敵を発見し、自分たちの身を隠さねばならない。
 ルナルにおけるその役割は、飛行能力と鋭敏視覚を種族特性として常備しているミュルーンが最適解であるとされ、一般的なファンタジー世界におけるホビットに相当するシャロッツは、ミュルーンと同じ彷徨いの月種族ということもあり、隅っこに追いやられている。

 しかし実のところ、ミュルーンは偵察兵としては必ずしも1流とは言えない。
 確かにミュルーンは、飛行と視覚によって、敵を早期発見できるかもしれない。しかしミュルーン自身もまた、カラフルな体毛と障害物が何もない上空にいる事が災いし、相手からも発見されやすい。相手に見つかれば、せっかく敵を早期発見できても、こちらの奇襲も成立しなくなる。
 つまり、ミュルーンが行う偵察とは「強行偵察」の意味合いが強く、発見後は正面から押し入るのが前提なのだ。しかしこれは、奇襲のアドバンテージを自ら捨てていることになり、偵察のマンチキンとは言えない。冒険者が行うのは、少数で敵地に乗り込んでの工作が多いため、敵との接触は可能な限り避けたい。
 加えて、ミュルーンはおしゃべりであり、<話芸>が独自技能として存在するほど目立ちたがりの種族。隠蔽全般が得意ではないのだ。一方でシャロッツも「お祭り好き」ではあるが、同時にいたずら好きで隠れるのが得意なので、<忍び>と<隠匿>が種族ボーナス技能になっている。これは大きなメリットだ。
 さらにシャロッツには「毒物耐性」がある。屋外の生物は生体毒をよく使うので、それらから身を守るのに有効である。

 以上を総合すると、屋外での偵察行為全般に関して言えば、シャロッツの方がバランスが取れている。結果、最強のライバルであるミュルーンを押しのけてシャロッツ偵察兵フロドが完成となった。レゴラスやギムリと同じく、映画「ロード・オブ・ザ・リング」からの参戦である。

 フロドのピーキー性能部分は「視覚」である。知力と「鋭敏視覚」を合わせると
目標値18で探索可能な性能になっている。敵勢力を先に発見できる確率が極めて高いだろう。加えて<忍び>技能が16レベルあり、敵に発見される確率を大幅に減らせる。さらに<生存>を16レベルで習得していることから、屋外で道に迷うことはほとんどなかろう。
 また戦闘になると、直進移動限定だが移動力14という、武装した軽装騎兵を超える(!)機動性を発揮する。逃げる事に関して特に心配する必要はないだろう。

 一方、攻撃能力は小型のクロスボウしかなく、腕は良いものの平凡な火力しかない。火力に関しては、他の味方に譲ろう。



結論:見つからなければ無問題
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