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■第2節 ロード・オブ・ザ・マンチキング2
 ゴブリン・スレイヤーから与えらえた情報は以下である。

 滅びの山まで、砂漠と山岳という「最悪の地形」(移動速度5分の1)であるが、かすかな踏み跡程度の獣道(移動速度3分の1)があり、そこを辿る事を前提に描かれたMAPである。順調に行けば、7日で滅びの山の火口に到達する。

 周辺には、爬虫人の部族がいくつか連なっている。部族名は、崇める神の名前がそのままつけられている。北部の
<溶かし吸いこむもの><のたうち焼きつくす蛇>は常に臨戦状態にあり、彼らの領域に踏み入れば命はないだろう。
 一方、手前にいる
<星を降らせる柱>は、勢力として小規模な事から、比較的穏健派であるらしい。ソイルと臨戦態勢にないのも、この部族が南を制圧しているからに他ならない。



 シーダたちが最初に行ったのは、依頼人の裏取りである。

 ゴブリンスレイヤーを名乗る人物が、信頼に足るかどうか。
 彼の依頼は正当な物か。



 <裏社会>技能を持つフロドが、裏タマット神殿と繋ぎを取る。彼はタマット信者ではないので、こんな辺境で彼らと接触するには、判定が必要だろう。

―――ダイス目は
6で成功。



 ディグの村は人口が200人と少ないため、裏タマットは酒場の裏手の納屋に偽装した小部屋に存在し、所属メンバーは10名にも満たない小規模なものだった。所属しているのは、屋外のエキスパートである野伏(レンジャー)系ばかりで、都市部にいるような窃盗をメインとする盗賊(シーフ)系は、こんな僻地では稼ぎ場所がない事もあり、ほぼいないようだ。

 そのような事情から、ここの裏タマットは組織だった犯罪にはほぼ関与しない。しかし一方で、爬虫人たちの動向を常に見張り、最前線情報を集めて、村のすぐ横にある国境ライン防衛要塞の連中に売りつける事で、本業である狩人とは別途で追加収入を得ているようだ。

 彼らと接触したフロドは、「ゴブリン・スレイヤー」の人柄や現在の行動の目的について聞いた。100ムーナを支払う。
 裏タマットによれば、「ゴブリンスレイヤーなる冒険者は、契約を守り、信頼にたる人物であるが、少しばかり感覚が世間からズレている」とのこと。どうやらあのナリでペローマ信者なんだそうな。

 彼は、冒険者というよりもゴブリンを専門に付け狙う殺し屋に近い存在らしい。ディグ村のような辺境では政府の討伐隊の手が回りにくいことから、黒の月の部族の徘徊率は高い。それらを専門に殺して回っている彼は、村人にしてみれば有難い存在だし、彼自身はゴブリン村から奪った財宝で羽振りはいいらしい。

 彼の強さは「卓越した戦術能力」と「高価な装備に頼ったゴリ押し」であるらしい。技量的には平凡な能力だが、<戦術>技能が異様に突出していて、策略でゴブリン村を滅ぼしていく。火攻め水攻め毒攻め何でもアリだ。

 彼は屋内でも兜を外さないが、理由は不明である。本人いわく「後ろからゴブリンに殴られた時に気絶するのを防ぐため」ということだが、村の中でゴブリンが殴ってくる状況など考えにくく、別の理由があると、まことしやかに囁かれている。「ゴブリン並に醜悪な顔だから」「実は当人がゴブリンだけど、やってる事がアレなので素性を伏せている」「実は亡国の美形王子で、正体を隠しつつ、生き別れの妹に代わって復讐しようと暗躍している」などなどの憶測が流れている。

 なお、彼に付き従う女神官もジェスタ高司祭であり、こちらは呪文特化している。誠実な美人であるが臆病で気が弱く、そもそも冒険者向きとは言えないようだ。「亡国の美形王子」説も、甲冑の怪しすぎる人物にこんな美人が寄り添っている事が発端であり、意外と有力視されている説だそうな。
レンジャー隊長(裏タマット長)
「―――で、そんな名物冒険者がどうかしたのかい?」

フロド
「…いや、そいつにゴブリン討伐に同行しないかって、
 話を持ちかけられたからさ?」

レンジャー隊長(裏タマット長)
「ふーん?あいつが仲間集めねぇ……」
 今回は目的が目的なだけに、裏タマットに情報を流すわけにはいかない。例えば、裏タマット経由で盗賊系の人物が「金になる」と判断して指輪を狙うかもしれない。なのでフロドは真相を伏せ、適当にお茶を濁して立ち去った。
 一方で、反応修正のバケモノであるシーダは「一般情報収集」を行う。買い物とか食べ歩きしながら、さりげなく情報収集。修正は+10。

―――ダイスの目は

 合計で19となり、ギリギリ「最高」の反応となった。神(GM)は全ての情報を提示する。


[噂話一覧]
●ディグ村に隣接するように、村のすぐ外に国境警備隊の要塞がある。
●未踏砂漠にはごく小さな生態系しかなく、狩りで獲物を得るのは不可能だ。
●海岸沿いに住む砂漠の民タラール族が交易に使う経路が獣道のようになっていて、かろうじて道らしきものはある。
●ここ数年、爬虫人の略奪はない。南を制圧しているのは少数部族らしい。
●爬虫人部族には、巨大な竜を飼ってる所もあるらしい。このあたりじゃ見かけないが。
●爬虫人はトウガラシを与えると良く動く。特に蛇人には必ずトウガラシを与える事だ。
●未踏砂漠の奥の山にゴブリンが住んでいた事があるが、今は見かけない。
●昨日の夕暮れ時…真っ黒なローブ姿の大柄な人影が、砂漠の向こうの山に向かって飛んでいくのを見た。アレはおそらく伝説のスーパー爬虫人に違いない。



イシュタル
「道中のサバイバルで満足な食糧を得るのは厳しそうですね。」

シーダ
「トウガラシ買っといた方がいいかな?な?」

イシュタル
「その噂話…ウソだと思います(苦笑)」

シーダ
「スーパーなんとか人の話はどう思う?」

イシュタル
「シナリオのボスあたりが飛んでったのでは?
 飛行していたところを見るに、爬虫人ではなさそうですね。
 爬虫人は移動系呪文を習得できませんので…」




 …そういうメタな深読みはしないでくれるかな!
 ただ、イシュタルが言うように、一般情報収集で得られるのは「噂話」に過ぎないので、当然の事ながら嘘や誤報も混じってる事には注意したい。



 さらにシーダは、噂話の収集ついでにアクセサリ屋に寄った。
シーダ
「…おっちゃん!
 これちょうだいっ」

道具屋の親父
「あいよ!

 ん~…お嬢ちゃん?
 もうちょっといい物を、
 彼氏にでも買ってもらいなよ?
 アンタみたいなベッピンさんに、
 こんな安物は似合わねぇぜ…」

シーダ
「いーのいーの。
 ママゴトに使うだけだから。

 ありがと!」



イシュタル
「…一体、何に使うんです??」

シーダ
「フェイクよ、フェイク。
 だって私、シャストア信者だもん!」

イシュタル
「はぁ…」
 旅の支度も着々と進められた。

 今回のキャラ作成では、最初から各個人は必要な最低限の携帯品を標準装備した状態で設計したので、そのあたりの買い物を新たにする必要はない。なお、各個人が標準装備しているのは以下。

[個人必須装備(必要最低限)] $100 6kg
●リュックサック(内容量20kg $60 1.5kg)
●必需品セット($5)
●水袋(内容量4L $10) *水4L(4kg)
●毛布($25 2.5kg)



 今回はこれに加え、パーティー全体で必要な道具(テントやキャンプ道具など)と、全員の食糧を調達する。購入したものは、メンバー全体で分担して持ち運ぶ。全員の荷重レベルが「並荷」になるように運搬計画を立てる。

[パーティー全体共有物] $275 30.2kg
●キャンプ道具($50 10kg)
●砥石($5 0.5kg)
●テント二人用($80 6kg)×2 *男女別々にするため2組用意
●2mの棒($5 1.5kg)×2 *テントにそれぞれ1本ずつ必要
●松明(1時間 $3 0.5kg)×5
●カンテラ($20 1kg)
●カンテラの油(24h分 $2 0.5kg)×5
●ロープ(150kgまで)10m($5 0.7kg)

[個人携帯物追加] 各員$120 12kg
●旅行用携帯食(0.2kg $2) 1人60食(20日分)12kg $120
ギムリ
「赤いランタンなんてものはあるか?
 うちのパーティーのアイドル(笑)が、
 「赤いの!赤いのがほしい!」とうるさくてな…」

店主
(風の元素獣)
「あるヨ―――これでいい?」

ギムリ
「あ、あるのか…(困惑)」




 計画を立ててみたところ、以下の配分で上手くいきそうである。

シーダ 初期重量11.8kg/並荷まで27kg
食糧20日分
+12kg

イシュタル 初期重量24kg/並荷まで12kg
食糧20日分
+12kg

レゴラス 初期重量12.7kg/並荷まで24kg(化身時:並荷まで110kg)
食糧40日分
+24kg *ギムリの分も含む
パーティー共有物全て
+30.2kg

ギムリ 初期重量39.25kg/並荷まで36kg
→自分の個人必須装備はレゴラスに預ける
-6kg

フロド 初期重量12kg/並荷まで24kg
食糧20日分
+12kg



 …ほとんど裏ワザに近いのだが、レゴラスの《化身》の維持コストがゼロなので、起きてる間は延々と獣形態を維持できる。なので、冒険中は豹になってもらって荷物を運んで貰うことにした。四足動物の荷重レベルは「体力×5」kgまで「並荷」扱いなので、100キロくらいなら余裕で運べてしまう…だんだんマンチキンっぽくなってきたな(笑)

 なお、ギムリは最初から荷重レベルが「重荷」だったため、まとめてレゴラスに持ってもらう事にした。全体の行軍速度を下げないようにしつつ、敵の奇襲時には、重装甲かつ「戦闘即応」を持つ彼が応対する事になる。

 今回のような状況において、「普通の」冒険者の場合、ラクダ($1500)を購入して運ばせる手がある。海岸沿いに行くのであれば、塩性植物などを餌としてまかなうこともできるだろう。ただし運搬動物系は、<荷役>技能を習得している者がいないと扱えないことに注意が必要だ。
 出発前に問題となったのが、「誰が指輪を持つか?」である。

 指輪の所有者は毎日「意志-5」を行わねばならず、失敗するとゴブリンがやってくるのだから、誰でもいいというわけではない。しかし、指輪を含む荷物運搬に並ならぬ執念を持つフロドがゴネたのだった。
フロド
「指輪は…ボクが運ぶんだっ!
 ボクの使命だっ!!」

ギムリ
「ゴミの日のゴミ出しするのとは
 ワケが違うんだぞ!?

 頑丈な俺が運ぶに決まってんだろうが!」
イシュタル
「意志が最も強い人に運んでもらうのが、
 妥当だと思うのですが…」

レゴラス
「…その
「一番意志が強い人」とやらを、
 どうやって見分けるんです?

 今から我慢大会でもやりますか?」
シーダ
「…んじゃあ、こうしよう!
 「時間を区切って所有者を逐次交代しながら皆で運ぶ」
 ってのはどう?」


シーダ以外
「…え?」「は?(威圧)」「…ほぅ?」
 シーダが提案したのは、「1日を4時間ごとに区切り、それぞれの時間で違う人が指輪を持ち歩く」というもの。これによって、「指輪が常にある事を確認できる」「仲間割れを回避する」といった効果を期待できる反面、「じゃあ毎日の意思判定の目標値は誰の基準値になるのか?」「意志の弱い人の判定値が基準値になったら危ない」といったデメリットも存在する。

 ただ今回の任務は、その性質上、「意志判定の成否」よりも「仲間の結束を固める」方が重要課題と思われるので、シーダの案で妥協するのはアリだと思われる。GMとしては、全員の「意志」の目標値を平均化して判定値にするという決断を下した。



 なお、このメンバー内で一番「意志」が高いのは、物理的にも性格的にもお堅い鉄壁娘イシュタルである(意志判定値19)。対して一番低いのは、最も指輪に執念を見せるフロド(目標値16)だったりする。残りメンバーは全員目標値18で並んでいる。相加平均すると17.8、つまり目標値17-5=12(成功率74.1%)となる。

 これは、効率面から見るとベストではない。イシュタルがずっと装備しておけば、目標値14(成功率90.7%)なのだから、かなり安全である。
 しかし、パーティの結束は効率よりも重要であり、そもそも仲間がなければ、まず依頼を受ける事も、砂漠を横断する事すらもかなわないであろう。そしてレゴラスが言うように、実際問題として「どうやって個人の意思の強さを見分けるんだ?」っていう切実な話もある(ゲーム世界だとキャラシートを見れば一目瞭然だが、現実には見分ける方法などないのだ)。

 だから、精神面を無視した効率的に
ベストな回答より、シーダが提案した仲間の心情に配慮したベターな妥協案を採用する方が、おそらく正しいと思われる。少なくとも、TRPGにおける「ロールプレイ」とはそういうものだと、管理人個人は考えている。
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