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■第5節 ロード・オブ・ザ・マンチキング5
鰐人(女王近衛兵)
「…あいつはアンデッドだな。

 なるほど。
 戦力を補充したのか。」

シーダ
「オークは何人くらいいたの?」

鰐人(女王近衛兵)
「そうだな……50はいたか。
 だが、そのほとんどは倒したはずだ。

 ここは食糧に乏しいし、
 負傷したヤツもおそらく死んだだろう。

 …ソーサラー以外で生きてるヤツはいないと
 考えていいだろう。」
シーダ
「そんなの、分かるんだ?」

鰐人(女王近衛兵)
「誰もアンデッドと一緒に戦いたいとは思わんだろう?
 ならば、全員殺してリセットし、
 アンデッド軍団で統一運用した方がいい。」

シーダ
「はぁ…そういう経験があるわけね。」

鰐人(女王近衛兵)
「我々の神官の一部に、
 死霊魔術を使う者がいる。
 だから、ある程度の戦術利用のノウハウはある。

 …ただ、基本的に死者の再利用方法として、
 アンデッド化はあらゆる面で下策だな。」

シーダ
「…なんで?」

鰐人(女王近衛兵)
「アイツらは自己判断能力に欠ける。
 術者がいちいちコマンドを飛ばさないと、
 戦況の変化に対応できない。
 単純に戦闘センスがなさすぎて使いにくい。

 …かといって、
 労働力として使うにも問題が多い。」

シーダ
「どして??」
鰐人(女王近衛兵)
「主に、衛生面の問題だ。

 アレは、死体を魔術で無理やり動かしているに過ぎん。
 だから身体の腐敗は術に関係なく進行し、
 やがて病原体のホスト(宿主)になってしまう。

 そんなヤツが稼働している隣で
 生きているヤツが労働に従事していたら、
 確実に病気が移る。
 部族間で蔓延したら最悪だ。


 だから他の部族は知らんが、
 少なくとも我々の部族では
 アンデッドを常用する習慣はなくなって久しい…。」

シーダ
「なるほどなぁ…

 敢えて倫理観を無視して言うけどさ?
 私たち人間社会は
 死体を労働力として使う習慣がもうないから、
 そういう経験談は貴重なのよね~。」
鰐人(女王近衛兵)
「ふむ…

 ところで。」

シーダ
「うん??」
鰐人(女王近衛兵)
「お前……
 我々の言葉で話せたんだな……(呆)」

シーダ
「あっ…あははははは……(汗)

 いやほら、なんていうかさ?
 話す機会を逸したというか、
 なんというか…

 えへ♪」



 実はシーダは<現代爬虫人語>にCPを費やしているので、交渉の場で使う事もできたのだった(笑)。まあ、相手に知らせない事で密談を盗み聞きしようという意図も、ないではなかったが…

 なお、死体を労働力として使う習慣は、ルナルの人間社会でも過去にはあったようだ。まだ<悪魔>戦争が終わって間もない頃、ワイトなどのカビを利用して作る特殊なアンデッドを「墓守り」として運用していたという表記がルールブック内にもある。
 三角竜バゾラ(ルナル完全版p192)とシーダ一行(マンチキン冒険者/総計100cp 5名)との戦闘を開始します。

 周辺に展開している約30体のオーク・ゾンビは、クイーン・ロイヤルガード<燃ゆる鱗の盾>(鰐人の女王近衛兵)が率いるレッド・ソルジャーズ(蜥蜴人兵士10名)が対処に当たるため、冒険者たちはバゾラとの戦いに専念できます。
 また、敵のゴブリン・ソーサラー「ゴラム」(100cp)は、三角竜とゾンビ全てに逐次指示を与えねばならないため、フィールドには登場しません。
ゴラム(ゴブリン・ソーサラー)
「よく来たな~~~~っ!
 チビのホビットぉぉぉっ!!

 指輪を寄越せえぇぇぇ~~~~っ!!!

フロド
「…ホビットじゃなくてシャロッツだって(ボソッ)」
シーダ
「…指輪って、これのことぉ?」
ゴラム(ゴブリン・ソーサラー)
「――――っ!!!

 おっ…俺の、
 
いとしいしとぉぉぉぉ(愛しい人)~っ!!!」
シーダ
Hey!フロド!」(ぽいっ)

フロド
(ぱしっ)「―――やったぁ!ボクのモノだっ!」
フロド
「やーい!ゴラム!
 
指輪が欲しけりゃ取り返してみなーっ!」
ゴラム(ゴブリン・ソーサラー)
「ああああああああああ―――っ!!
 ズルいホビットぉぉぉぉ~~~っ!!
(正:シャロッツ)
 ―――殺せっ!!
 あいつらを殺して、
 いとしいしと
(愛しい人)を奪い取れぇぇぇっ!!


 殺せ殺せ殺せ殺せっ…!

 殺せえぇぇぇっ――!!!」
 …なんで敵の名前を知ってんだか(笑)

 バゾラの必殺技は
「頭突き」です。「頭突き」のルールは初版ベーシックにはなく、完訳版からも抜け落ちていますが、古い単行本の「ガープス・ルナル・モンスター」の巻末には掲載されています。

 簡単にルールを説明すると、
「体当たりが命中したら、転倒するしないに関係なく頭突きのダメージが発生する。頭突きする側が10ヘクス以上移動して行使するとダメージが倍、逆に3ヘクス以下の移動で行うと半分ダメージ」です。
 言うまでもなく、体当たりは敏捷力の即決勝負で命中判定が行われるため、
鎧の受動防御が回避の役に立たず、非常に脅威と言えます。

 そして、三角竜バゾラは体力150、敏捷力12
「刺し/5D」の頭突きを行うことができます。敏捷力が比較的高いことから、歴戦の戦士でも回避困難である上、移動力も測ったように10あるため、全力移動して頭突きすれば、実質的に倍の10Dダメージの刺し攻撃を食らうことになります。
 ……いうまでもなく、こんな対戦車ライフルの威力に等しいの一撃をまともに正面から受けていたのでは一撃で死んでしまいます。さらにバゾラは、押し倒した相手の上を通過していって、5トンの体重で蹂躙(3Dダメージの半分!)を行います。



 <星を降らせる柱>部族の爬虫人たちは、対騎兵戦術でオーソドックスな長槍によるファランクス(方形陣)で対抗しましたが、待機カウンター攻撃直後の頭突きと蹂躙を食らって全滅した事になっています(要するに押し切られたのです)。
 一応、ファランクスによるダメージが与えられたため、現在のバゾラは戦闘開始時から既にHPに30ダメージを負っています(それでもまだ残りHPが30ありますが…)



こんな無茶苦茶な相手を100cpキャラで倒すには、

不可能を可能にするマンチキン・キャラ

を使うしかありません。
イシュタル
「いと静けき大地の守護神よ。
 脆弱なる我らを、大地の御力でお守りください―――」
 
Force Dome(物質障壁)―――』
「ああああああああ――――っ!!

 こ・ろ・せぇぇぇぇーっ!!
 イシュタルがシールドを展開。

 《物質障壁》による「力場の壁」は、いかなる物理的攻撃もシャットアウトできます。どんだけ体力の高い魔王だのドラゴンだのが体当たりしようが、デス・スターからスーパーレーザー砲をぶっ放そうが、絶対にこれを貫通する事は不可能です(そういうルールなんだから仕方ない)。

 ところで困った事に、これに体当たりした場合、攻撃者がいかなる反動を受けるのか、ルールには何もかかれていません。管理人個人は「ツルリと滑って横に逸れる」と解釈しています。つまり、攻撃者に自分の破壊力がフィードバックして負傷などすることなく、攻撃が外れるだけという解釈です。

 そのように解釈した理由は、「力場の壁」の特性です。
 どんなに固い物質でも、衝撃を受ければヒビが入り、いつか粉砕されます。しかしこの魔法の力場は「絶対に壊れない」・・・つまり、まともに衝撃を受けているようなシロモノではないと推測できます。
 SF(サイエンス・フィクション)的思考でいけば「スターウォーズのディフレクター・シールドのように、機体が存在する空間を通過しようとする攻撃に対し、空間そのものを歪曲させて攻撃を受け流している」とすれば、衝撃を一切受ける事もなく、あらゆる物理的破壊をスルーできるという理屈が一応は通ります(現実にそのような事象が実行可能かどうかは別にして)。

 で、この世界は魔法でSF的な現象を実現できる世界ですから、その理屈を適応しました。
 予想外の方角に進路を曲げられたため、GMはバゾラに対し、敏捷力による転倒判定をさせました。

 ところが何と、これが見事に失敗。
 三角竜は敵前で転倒という、最悪の状況になってしまいました。
 この好機を逃すほど、マンチキン・キャラは甘くありません。

 最初のターンからずっと「狙い」をつけていたフロドが、クロスボウを打ちこみました。<生存>判定に成功しているので、動物に対する部位狙いがペナルティなしで可能です。


 狙うは「」一択。


 草食恐竜トリケラトプスのデータをほぼそのまま引き継いでいる三角竜バゾラは、頭部装甲がプレート・アーマー並の固さを誇るという特殊設定があります。これは「人間がプレート鎧を着ているのと同じ」と解釈し、目狙いの修正は-9ではなく-10(兜の隙間を狙う扱い)の厳しい修正を課しましたが…
 見事、命中!脳天を貫き、脳に24ダメージヒット!

 生命力17のバゾラといえども、この一撃には耐えられませんでした。死亡ダメージにこそ達しませんでしたが、脳に生命力の半分以上のダメージを与えると自動気絶です。
 直後にイシュタルがトマホークでとどめ。バゾラはお亡くなりに。



 なんと、最強の草食恐竜討伐までわずか6ターンです。
 マンチキンすげー。
 単にバゾラを倒すことだけに特化するならば、エルファあたりに<爬虫類制御>を使わせてコントロールを奪い取るか、「マンチキン射手」で挙げたような「忍び寄って《鷹目》の呪文で超遠距離狙撃を行う狙撃の名手」でも持ってこればいいでしょう。

 ただし、今回の敵は洞窟の中に引き籠っていたので、誘き出さないと狙撃もコントロール奪取も不可能ですし、狙撃系マンチキンは狙撃以外の事にほとんどCPが回らず、ここに到達する以前に砂漠で迷子する可能性が高く、必ずしも最適解とは言えません。

 対する《物質障壁》による大型モンスターの封殺は、決定打にこそなりませんが、様々な局面で応用が利き、その後に様々な攻撃連携と繋げられます。
マンチキン同士の連携戦術としては、こういうのもありでしょう。
ギムリ
「……俺の出番がまるでないじゃないか!
 欲求不満だ!
 俺もそっちに混ぜろ!」

レゴラス(豹)
「がる。がるる。
(訳:私は遠慮しますよ。
 死体なんて噛みたくありませんし、
 スリープも効きませんからねぇ。)」



鰐人(女王近衛兵)
「――むっ!?

 …もう終わったのか?」

シーダ
「終わったよぉー。


 そのドワーフ、溜まってるみたいだから
 そっちの祭りに混ぜてあげてー♪」

鰐人(女王近衛兵)
「……我々の部隊を半壊させた強敵を秒殺か。
 凄まじいとしか言いようがないな…」



 交渉時に敵に回さなくてよかったな(笑)
 オーク・ゾンビ30体を始末した頃、敵指揮官のゴラムは消えていた。ゾンビを囮にして逃げたと思われるが、どこへ消えたのかは不明である。
 三角竜討伐を見届けた爬虫人たちは、そのまま巣に帰還する予定だったが、強敵をあっさり倒した上に、ほとんど被害らしき被害がなかったことにいたく感動したようで、鰐人の個人的判断により、シーダたちが任務を終えてここまで帰還するまでの間、ここで駐留してくれることになった。もし後続の敵がいたら、彼らが対処してくれるらしい。
 また、シーダたちが危険な敵と遭遇して手におえないと判断した場合、ここまでおびき寄せて共同で倒そうという提案だった。

 鰐人の配慮に快く応じたシーダたちは、ここで5日目を過ごし、次の日から再び山道を登る事にする。



 なお、本日の食糧判定だが、倒したバゾラが草食動物なので、その肉を調理して食べる事に。簡易狩猟ルールでは「体重に20%まで可食肉を採取できる」とあるので、約1tの肉を入手。さらに燻製化して保存食とし、総数250食ほどまで減少していた保存食を、出発時と同じ300まで補充。残りは爬虫人部族の食糧として提供した。

 あと、指輪判定だが…
 イベントでゴブリン・ソーサラーとオークゾンビが登場しているので、今回はなしである。イベントの発生自体が自動失敗みたいなものである。



鰐人(女王近衛兵)
「ああ……
 これで、死んでいった同朋たちの犠牲も
 無駄にならずに済んだ。
 何から何まで、本当に済まないな…

 ここに戻ってきた時に、
 またコイツで食糧を補充しよう。
 必ず無事に帰ってきてくれ。」

シーダ
「任せといて★」
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