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■第6節 ロード・オブ・ザ・マンチキング6
●6日目
 ここから先は一本道で他に行きようがないため、ナビゲーション判定は不要とした。食糧判定だが、補給した保存食に余裕があるため、今回はパスして普通に消費。余計な事に力を費やさないためである。

 シーダたちは、まだ油断はしてなかった。
 噂話にあった「山に向かって飛んで行ったローブ姿」を確認していないからである。おそらくそれが、最後に立ちふさがる敵であろう。それに、先の戦いで逃走したゴブリン・ソーサラー「ゴラム」も、まだ指輪を諦めていないはずだ。
フロド
「噴火だ!
 みんな、隠れて!」

シーダ
「きゃあ~!」

イシュタル
「念のため、シールドを張ります!
 『いと静けき大地の守護神よ――――』」



【緊急クエスト発生】
 山頂部で
火山活動を確認!
 
<生存/山岳>判定を行い、
 安全な場所に避難できたか判定せよ。




 現在地のバイオームは、既に「砂漠」から「山岳」に切り替わっており、フロドが習得している<生存/砂漠>は通用しない。代わりに、技能なし値の「他の生存-3」で判定する。
 さらに念を入れて、イシュタルが2倍拡大で
《物質障壁》を展開。
―――判定に成功し、一行は上から降り注ぐ石つぶての雨を難なく回避。

 命中した場合、全体に《石の雨》(ガープス・クリモアに掲載)が降り注ぎ、「叩き/2D-2」のダメージを与える予定だったが。



シーダ
「あぶなーい!」

イシュタル
「……!?

 シーダ!あれを!!」

シーダ
「…え?何!?」

フロド
ドラゴンだ!」
 英雄サンプルキャラの「アリサ=ランディール」が単騎で殴り合っていた火竜ファゾルブである。サイズ的に200歳―――青年期で、アリサが相手にしていたものより、ずっと小さい。もっとも、青年期でも100CPで相手にできるような弱い個体ではないが。

 一行の中で<動植物知識>を持つフロドとシーダが判定に失敗したので、詳細データは不明。だがまあ、こんな個体と空中戦でやり合うような装備も能力も持ち合わせていないので、今回は黙って見過ごすしかない。



 なお、プレイヤー側は知る由もないが、この個体は非常に慎重な性格で、基本的に陸上で群れる生物は、よほど腹が空いてない限り狙わない。伏兵によって飛行能力を奪われるような攻撃を受けると、終わってしまうからだ……それくらい用心深くないと、この爬虫人部族が入り乱れた山岳地帯で、銀の月と敵対関係にある竜族が生き延びる事は困難だろう。

 なので今回、飛行も困難な入り組んだ山道を行くシーダたちを、敢えて狙うことはしない―――おそらくサーチされてはいるだろうが。






 そしてお待ちかね。指輪判定の時間だ。
 今回は近くに危険なヤツがいるので、-10のペナルティで判定してもらうことに。目標値7。

―――サイの目は
8。惜しい。失敗。



 現れたのは、黒の月の種族最強のアレである。
指輪の幽鬼
ニンゲン………
 
指輪を寄越せ………

 さすれば、
 楽に死なせてやろう………!」
シーダ
「…欲しければ、
 自分で取りに来なさいっ!!」
キシャアアァァァァ――――ッ!!

 ゼノモーフ(エイリアン)のような奇声を発する指輪の幽鬼。
指輪の幽鬼
「何者も、
 ナズグル
(指輪(nazg)の幽鬼(gul))
 邪魔立てすることはかなわぬ……
 まとめて死ね……!
 
ニンゲン………!」
 指輪の使命に捕われたトロール(350cp)とシーダ一行(マンチキン・キャラ100cp 5名)との戦闘を開始します。

 対象までの距離は
20メートルから開始されます。

 指輪の幽鬼は
《氷結武器》を常時維持しており、また別の防御呪文1つも事前にかけて、維持しながらここまでやってきました。
 トロールは毎ターンHP1点再生能力があるため、維持コストは生命力から払えば、呪文レベルが低くても事実上無制限に呪文を維持する事が可能です…維持中は倦怠感にさいなまれてそうではありますが。
 イシュタルが《物質障壁》を展開。
 一方で、ギムリはシールドの外に出ました。囮になるためです。シールド内では、シーダとレゴラスは待機し、フロドが一撃必殺に賭けてクロスボウの「狙い」を定めます。

 それに対し、悠然と接近してくる指輪の幽鬼。
 第2ターンからは、レゴラスが指輪の幽鬼に向けての《誘眠》(30レベル)と、指輪の幽鬼がギムリに向けての《凍傷》(25レベル)が、毎ターン瞬間発動で飛び交っています。

 お互い、対マンチキンを想定しているだけあって、「意志の強さ」で17以上の抵抗力をもっているため、「16のルール」に縛られる抵抗型呪文はなかなか通りません。しかし、クリティカルなどで通れば戦局を一気に優性に持ちこめる上、どちらも完全ノーコストで放てるため、確率の法則で通る事を想定し、遠慮なくガンガン叩き込んでいます。
 第3ターンに、イシュタルが狙いをつけたトマホーク(手投げ斧)を投擲。


イシュタル
「済まない…死んでもらう。
 トール・ハンマー!!


 …ただの手投げ斧投擲なんですけどね(笑)。
 こいつは微妙に外れ、明後日の方向に飛んでいきました。
 冷たい殺気を放ちながら(《凍傷25》の瞬間発動)、ドワーフに接近する指輪の幽鬼。

 そのドワーフことギムリは、生命力と意志の強さを合わせると、
抵抗値20という無敵の強さを誇るため、全く通りません。
 このパーティー、「意志」はイシュタルが最強(19)ですが、全体的な抵抗値はギムリが一番高い設計です(意志の強さL9)。当然、敵から《凍傷》25レベルが飛んでくることを想定しての設計ですので、簡単に抵抗を貫通されても困ります。
 4ターン目には接近戦が始まります。

 指輪の幽鬼の基本戦術は、「《凍傷》の呪文と技能レベルが高い冷凍剣で対象を負傷させて移動力と「よけ」を半減させたところで、能動防御が困難なフレイルを叩き込んでとどめ」という二刀流魔法剣士です。トロールの怪力により、片手持ちしているバスタードソードもモーニングスターも、全て準備時間ゼロに短縮されて「安定した」武器として扱えます。これは強い。

 ドワーフに接近した暗黒のトロールは、大きく攻撃すると見せかけてフェイント。これは大成功をおさめ、ギムリは次のターンの攻撃を-9修正で受けるハメに。
魔力で凍りついた冷たい刃が、ギムリの首を狙います。
 ギムリを救おうと、先ほどから延々と「狙い」をつけていたフロドが、指輪の幽鬼の目を狙ってクロスボウを発射!

 距離修正もあったため、かなり低い目標値でしたが、幸運にもこれが命中!やったか!?
 残念!外れ!
 事前にかかっていたもう一つの呪文とは《矢よけ》でした。

 …まあ普通に考えたら、こんな頑丈な鎧を着てるヤツが、更に《矢よけ》で射撃対策を練ってるとか、ちょっと過剰防衛だと思うんですけどね…。



 なお、指輪の幽鬼の防護点は、ヘビー・プレートと<防御>1レべルの魔化、トロール自身の皮膚の防護点を合わせて
10点です。必死の反撃でギムリのイブニングスターが辛くも命中し、「切り」10点という大ダメージを叩き出したのですが、全くの無傷でした。

 トロールの再生能力も考慮すると、物理では勝てないでしょう…これは。
 第5ターンにフェイントの効果を受けた指輪の幽鬼が、ギムリの胴体に冷凍剣を叩き込みました。


これぞ指輪の幽鬼の
必殺『モルグルの刃』!!
(注:《凍結武器》が乗ってるだけのタダの突き攻撃)
 痛みすら麻痺するような冷気が傷口から流れ込み、ギムリの体温を奪っていきます。いきなりマイナス生命力に達する22点のダメージを受け、さらに冷気によって2点のダメージが追加されます。普通の人間なら即死です。

 それでもギムリは倒れませんでした。転倒判定も生死判定も意識維持判定も全て成功。

 そして彼は防御のマンチキンなので、タンカー(盾)の役割さえ続けられたら、それでよいのです。敢えてシールドの外に出て、《凍傷25》と怪力の剣のダブル攻撃を受けに行ったのも、それが目的でした。そして彼のパーティーへの献身は、直後に報われることになります。
 ――くいっ。(注:《誘眠》)
 ―――ばたり。



ギムリ

「なっ…なんだ??」

指輪の幽鬼
「Zzzz...」

レゴラス
「がるる。がるがる。
 (スリープです。
 今のうちに仮面を剥いで、一斉にとどめを刺して下さい)」

ギムリ
「お、おう……」




 なんと、第6ターン目にレゴラスの《誘眠》が、指輪の幽鬼の生命力抵抗を打ち破りました(笑)。特にクリティカルではなかったのですが、レゴラスの成功度が比較的高かった事と、指輪の幽鬼のサイコロの目が少々悪かったのが折り重なり、普通に効いてしまいました。

 こうなってしまっては、トロールも為す術がなく、仮面の下の美貌を拝みながら、全員で一斉に頭部串刺しの刑が執行され、敵側の仲間になりそうもない美形幹部はあっさりお亡くなりに。



 …やはり人型のボスは複数の雑魚を引き連れるか、「睡眠不要」がないとダメかな。
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