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■第5節 魔法文明を考える
 ガープスの「文明」の概念は、テクノロジーによる文明のみを考慮している。

 しかし、魔法が実在する世界においては、
魔法が基盤の文明が構築されて然るべきではなかろうか?各種インフラを動かす動力源が、電力ではなくマナにとってかわった文明というものが想定できるはずだ。
 多くのファンタジー世界では、中世ヨーロッパ文明に魔法が追加された世界を扱っているが、一方でコンシューマ系RPGゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズなどでは、7作目以降から「魔法で動く機械群」「それらを基盤とした近代的文明」の世界が描かれており、独特な世界観を醸し出し、ユーザを魅了しているのもまた事実である。


 この項目では、マナが全てを支配する
魔法文明について考えてみよう。
■文明の目的は何か?
 「鉄と電気の代わりにマナが支配しても、結局、向かうところは同じではないか」という安易な意見は、果たして合っているのだろうか?

 あくまで管理人個人の考えだが、そうは思わない。文明の発展とは、「それまで困難だった課題を克服する」過程で積み上げられるものだ。しかし、魔法であっさり解決してしまうのであれば、それは目標とはなりえず、発展にも寄与しないであろう。そしてそれは、最終的な目標地点をも変化させてしまうのではないか。
 文明基盤がテクノロジーであろうと魔法であろうと、共通する発展理由は一つ。「フロンティアへの挑戦」である。


 テクノロジー文明にとっての最後のフロンティアとは、行けども行けども果てが見えない
宇宙の開拓である。1惑星の1種族に過ぎなかった生命体が、知的生命体へと進化し、文明を築き始め、地元惑星の地表の探索だけでは満足できなくなり…ついには故郷星から遠くへと旅立つのである。
 SFを扱ったジャンルでは、人類の文明はほぼ確実に宇宙へと行動半径を広げており、主人公は宇宙船に乗って広大な宇宙を旅し、時に宇宙艦隊の戦いに巻き込まれたりする。

 通常、この手の世界はテクノロジー文明であり、仮に魔法があったとしても「1惑星の異星人の特殊能力」レベルで終わっており、魔法が全て支えている文明というのは、ほとんど登場しない。




 では、魔法文明にとってのフロンティアとは、一体どこだろう?
 魔法が発展した文明社会でよく描かれるフロンティアとは、歴史分岐で発生した異次元平行世界…いわゆるパラレル・ワールドへの果てしない旅路である。


 魔法文明ではたいてい、遠距離を瞬時に移動できるテレポートの呪文が存在し、同じ宇宙の空間だけでなく、異なる次元の空間への旅も可能であることが多い。また、異次元が人間の生存に適さず、旅ができないような世界であっても、その世界の住人を召喚魔法の形で呼び出して戦わせるといった事がたいてい可能である。

 一つの宇宙は、どこまで行っても同じ法則で支配された世界に過ぎない。よって、どこまで旅しようと既知の法則に則った星しか生成されず、生物の発生原理や、どのように発展するかは、蓄積データが増えれば予測できるようになる。

 しかし、過去に歴史分岐で枝分かれした平行世界は、そもそも宇宙の物理法則がこちらとは異なっている場合が考えられる(例えばマナ濃度が濃かったり、薄かったり、あるいは全くなかったり…)。
 例えば、ある世界ではマナの利用が盛んだったために蒸気機関が有効活用されず、《発電》が魔化された全自動の魔法装置が強力なリアクターとなり、海洋船舶が飛行石の力で浮遊している飛空艇が最先端技術になっているかもしれない。

 また、自分たちの惑星の支配種族も、異次元においては同じ人間とは限らない。どの原生生物が知的生命体に進化するかは、宇宙規模で見れば確率論でしかない。起こった惑星規模の災害の内容がほんの少しだけ異ったがために、全く異なる生物種が支配種族に指定される可能性は十分にありえるのだ。
 例えば、ある歴史平行世界では恐竜が気候の大変動後も支配種族として発展し続け、リザードマンみたいな知的生命体が、文明を築いているかもしれない。また別の異次元では、恒星からの距離がほんのわずかに近かったため、惑星創成期の灼熱地獄の環境から脱出できず、そもそも生命体すら発生してない無人惑星のままということもありうるのだ。


 つまり魔法文明では、同じ法則に縛られた既存宇宙の遠くを目指す事よりも、平行世界を探索する方が新しい発見が多いため、フロンティアと見なされやすいのである。そうなると、発展するのは超光速航行が可能な宇宙船の建造方法ではなく、あらゆる異次元へ移動可能なゲートの作成技術という事になるだろう。
■テクノロジー文明 (ベーシック第三版準拠)
 ガープス第3版のルール準拠で、「文明」の内容をおさらいとして記述しておく。

 なお、第3版が出版された頃はまだ西暦2000年ではなかったため、未来に関しては現実とは異なる内容になってしまっている。そのため、最新の第4版から内容を引っ張ってきて修正を加えているので、多少の変更がある事に注意すること。


【文明レベルの内容】
文明レベル0
 概要:石器時代。火の発明、会話言語の発明
 移動手段:徒歩
 エネルギー:人力
 武装:石器の斧、短剣
 医療:薬草学

 狩猟採取だけで成立する社会。文明といえる部分は、言語で意思疎通を行う事と、作業を楽にするための道具を作り、使う事。さらに火を使う事で、物質の加工を容易にしたことが挙げられる。特に金属加工術は、テクノロジー文明を発展させていく上で必要不可欠である。
 仮に火を使わない文明を想定した場合、何らかの代用手段が必要となる(口から強力な酸が吐ける種族とか)。もしそれらが何もなければ、ここからさらに上位の文明へと発展させるのは非常に困難だろう。
 なお、医学における薬草学は〈医師/TL1〉で示される。


文明レベル1
 概要:青銅器時代。車輪の発明、文字の発明、農業・畜産の発明
 移動手段:家畜に引かれた荷車、河川での小型帆船
 エネルギー:水車
 武装:青銅器の剣、革鎧
 医療:外科手術

 農業を集落規模で行うことにより、飢餓に対する対抗手段を持つようになった社会。さらに定住することで大きな施設を建て、水が流れる力を動力として利用できるようになる。
 この時代の主な貨物運搬手段は、家畜動物(牛や小型の馬)に荷車を引かせる事と、河川を行きかう船舶である。

 軍事面では、青銅の剣や鎧で武装するようになるが、青銅器は耐久度に難があり、あまり大きな白兵武器に加工することはできない。そのため、短剣など壊れにくい短めの武器に加工して運用する必要があり、危険な白兵戦を余儀なくされた。
 一部では、馬上から手槍で攻撃したり、初期の小型弓矢(ショートボウ)での速射を浴びせる戦術も行われたが、射撃武器は一撃で致命傷を与えるほどの致傷力はなく、また当時の騎兵は鞍と鐙(あぶみ)が存在しなかったので乗り手が非常に不安定であり、戦力としてはいまいちだった。

 医療面では、折れた骨の破片を取り除いて感染症が起こらないようにするといった、人体に直接メスを入れるような処置がとられるようになる。既にこの段階から、頭蓋骨に穴を空けるといった、高度で危険な外科手術が行われる例もある(インカ帝国の穿頭術など)。


文明レベル2
 概要:鉄器時代。幾何学の概念、巻物の発明
 移動手段:整備された道路の建設、海洋沿岸でのガレー船
 エネルギー:風車
 武装:鉄の剣、スケイル・アーマー、シールドの概念
 医療:錬金術(初期の化学療法)

 鉄器の最大のメリットは、農業で使う鍬が頑丈になり、固い土を掘る作業が格段に楽になり、しかも頻繁に道具を交換する必要がなくなった事だ。これにより作業効率が大幅に伸び、農業生産力が急激に拡大し、大量の人口を養うことが可能となる。

 軍事面では、動物の皮や木材、金属の薄板など異種素材を張り合わせた複合装甲の概念が発生し、スケイル・アーマーや手持ちのシールドが作られ、生残性が向上する。また、鞍と鐙(あぶみ)の発明により、騎兵が安定した戦力として存在できるようになり、カタフラクトのような重装騎兵なども登場するようになった。

 また、活性化した農業によって富が蓄積され、研究資金が豊富になることで、金属を扱う錬金術が行われる時代でもある。錬金術と言っても、神秘めいた魔法の儀式などではなく、ある金属を別の金属に変えるといった初歩の化学の事を差す。この研究成果は、人体を扱った医療面でも活用された。ガープスでは〈化学/TL2〉技能で示される。
文明レベル3
 概要:中世時代(~1450)。鋼鉄の精錬、数字のゼロ、代数の概念、書物の発明
 移動手段:乗馬、外洋帆船
 エネルギー:馬力
 武装:鋼鉄の剣、チェインメイル、プレートアーマー、クロスボウ、フレイル、城
 医療:切断術、初期の義体

 中世ファンタジーの舞台としてよく指定される「騎士」の時代。品種改良により大型化した馬が軍事のみならず、あらゆる面で用いられる。他の移動手段として、海上を航行する大型帆船が開発されるが、測量術がまだ発展途上であるため、主な航行ルートは海岸線が見える範囲に留まる。

 軍事面では、鉄の加工術の発展により、金属をセーター状に加工したチェインメイルや、それを板金で補強したプレートアーマーなども登場し、兵士の防御力は皮鎧の時代よりもさらに向上。さらに、石を用いた巨大構造物の建設が可能となり、軍事用の砦や城塞が築かれ、攻め手よりも少ない人数での防衛が可能となる。
 こうした防御力の大幅向上により、剣が必ずしも有効な武器ではなくなってしまい、より強力で悲惨な負傷をもたらす武器(ウォーハンマーやフレイルなど)が使われるようになる。特にクロスボウは、素人でも手軽に扱えて板金鎧も貫ける威力を持つ事から、次第に戦場ではクロスボウを装備した弩兵が主力となっていく。

 医療面では、負傷して壊死した部位を切断し、代わりとなる義体を装着することで補うといった、初期の義体換装技術が行われるようになる。


文明レベル4
 概要:大航海時代(1451~1700)。火薬の発明、印刷術の発明、微積分の概念
 移動手段:大型帆船、熱気球
 エネルギー:ぜんまい式小型器機
 武装:マスケット銃、大砲、帆船の軍艦
 医療:人体の解剖科学

 船舶が大型化する一方、羅針盤(コンパス)によって正確な方角の計測や、ぜんまいで長時間稼働する時計などを用いた正確な測量術が開発されることで、海岸線から離れた場所でも自分たちの位置をおおよそ特定できるようになり、本格的な外洋航海が可能となる。こうして行動半径が大幅に拡張した結果、自分たちより文明レベルの低い他の地域への侵略も横行する事になる。

 軍事面では火薬が発明されるが、この時期の銃は精度が低く、必ずしもクロスボウにとって代わるものではない。しかし、爆発物によって構造物の破壊が容易になったため、主に攻城兵器として活用されるようになる。

 文化面では、印刷機による書籍の大量コピーが可能となったため、知識の共有が容易になり、文化発展の担い手となる知識人の育成に大きく貢献することになる。
 医療面では、それまでタブー視されていた人体の内部構造の解析が行われるようになり、「人間という生物種が実際にどのように稼働しているのか」への理解が進む事になる。
文明レベル5
 概要:産業革命(1701~1900)。大量生産、階差機関の発明、顕微鏡の発明
 移動手段:鉄道、蒸気船
 エネルギー:蒸気機関、直流発電
 武装:連射式小銃、ダイナマイト、鋼鉄の軍艦
 医療:細菌の発見、麻酔術、ワクチンの発明

 蒸気機関の発明により、より安定した強力な動力源を得て、公共交通網が半自動化される時代。船舶は蒸気船に置き換わり、安定した航行が可能となる一方、陸上では鉄道が敷かれ、蒸気機関車が車両をけん引することで、大量の貨物や乗客を運ぶようになる。その他、半自動化された工場の稼働にも大々的に使用されるようになる。
 しかし、これらは同時に、蒸気機関から発せられる排ガス(石炭を燃焼時に発生)が原因で深刻な大気汚染を引き起こし、都市部では町全体がスモッグが覆われ、公害病で大勢の死者を出すに至る(ロンドンスモッグや四日市ぜんそくなど)。

 軍事面では、銃剣付きマスケット銃を持ち、横列陣を敷いて騎兵に対抗する一方、命中精度の低さを一斉射撃を補う戦列歩兵が主力となる。しかし騎兵は滅びたわけではなく、ユニット一色化に伴って騎兵対策が手薄になったのを突くように、突撃騎兵がまだ現役で活躍可能であった(フサリア騎兵など)。
 だが、銃身にライフリングを施す事で恐ろしく精度が上がったライフル銃が登場する事で、戦場の様子が一変する。サイズが大きいだけの騎兵や、横一列に並んでいる戦列歩兵はただの「射的の的」と化したため、歩兵は戦列を組むのをやめて散兵化し、塹壕などの遮蔽物に籠るようになっていく。そして完全に出番がなくなった騎兵は、戦場から消えていった。

 医療では、顕微鏡により極小の生物である「細菌」の存在が認識され、病気への理解が進む。これにより、弱毒化した病原菌をあらかじめ取り込むことで人体の免疫力を強化し、病気への耐性を身につけるワクチンの概念が発生する。


文明レベル6
 概要:機械化時代(1901~1950)。電気式計算機、電気通信器機の発明
 移動手段:自動車、航空機、潜水艦
 エネルギー:内燃機関、交流発電
 武装:自動火器、戦車、戦闘機
 医療:抗生物質、輸血、遺伝学

 蒸気機関を直接動力とするのではなく、タービンを回して発電を行い、集めた電力で機械を動かす方向へとシフトする時代。この時代の電動式の機械は、主に情報面で活躍し、高速で計算式を解いたり、電話やラジオなどの遠距離高速通信を可能とする。

 通信距離と速度の大幅な向上は、軍事面において広域での部隊展開と連携を可能とした。兵器の動力は、蒸気機関の延長にある内燃機関であるが、大型でかつ高速に動ける兵器が運用可能となる。当時の戦線は、ライフル銃を持った歩兵が塹壕に籠り、もはや歩兵や騎兵の突撃では全く突破できない膠着状況にあったが、厚い装甲を持ち、強引にこれを突破する戦車が登場する事で、再び戦線が塗り替わる事となる。

 医療面では、病原菌を直接攻撃する抗生物質が生産されるようになり、ウイルス性の病気に対するよりダイレクトな治療が可能となる。また、遺伝子への理解が深まるとともに、出血により失った体液を、余力のある他人から輸血する事が可能となる。
文明レベル7
 概要:情報化時代(1951~2050)。電子機器、インターネット、人工衛星の発明
 移動手段:電車、航空機、ヘリコプター
 エネルギー:核分裂炉、太陽光発電
 武装:レーダー、ミサイル、軍用ジェット機、大陸間弾道弾、原子力潜水艦
 医療:DNAの解析、臓器移植、初期のサイバーウェア

 機材を動かす動力の多くが電力に置き換わり、原発(核分裂炉)による発電が大々的に行われる、いわゆる「核の時代」である。民間レベルでコンピュータが使われ始め、各電子機器がインターネットでつながるようになり、情報があらゆるジャンルで価値を持つようになる。
 膨大なエネルギーを生み出した原発だが、他方で発電所関係者が次々と許容範囲を超える被爆により、寿命が縮むことがメディアによって大々的に報じられた結果、犠牲者を出さないもっとクリーンなエネルギーを求めて、太陽光発電が開発される事となる。しかしこの段階の太陽光発電では、厚い大気を通過して減衰した光しか受け取ることができないため、工業エネルギーを賄える程の大電力は供給できず、市民レベルでの利用に留まる。

 軍事面では、一撃で都市を破壊してしまうほどの威力を持つ核兵器が流行する一方、レーダーによる早期発見や、衛星軌道上に飛ばした情報衛星からの画像をリアルタイムで降ろせるようになり、「誰が攻撃したか」が攻撃前に察知されるようになった結果、大国同士が「先に手を出した方が戦犯」の理論に則り、互いに挑発合戦を行うようになる(冷戦構造)。
 一方で、バックに大国が君臨する弱小国家同士による小規模な軍事活動が行われ、「代理戦争」で発生する戦争経済での利潤追求が一般化する。結果、大国同士の物理的な戦いは行われなくなるものの、肩代わりさせられた小国はますます疲弊し、大国だけが一方的に肥え太っていく負のスパイラル構造となる。虐げられた小国はこれに対抗するため、大国の都市部でのテロ行為を頻繁に行うようになる。

 医療面では、遺伝子配列の構造解析が行われ、人体が持つ拒絶反応の仕組みがある程度判明することで、破損した臓器を他人の臓器で賄う臓器ビジネスが行われるようになる。一方、義体の製造技術が向上した結果、四肢のみならず内蔵器官を人工のものに置き換えるという、初期のサイバーウェアが導入され始めるようになる。


文明レベル8
 概要:自動化時代(2050~?)。AIによる自動化、宇宙開拓事業、連合国家体
 移動手段:軌道エレベーター、マス・ドライバー、有人宇宙探査船
 エネルギー:初期の核融合炉、高性能燃料電池
 武装:初期のレーザー火器、レールキャノン、パワードスーツ、軍事衛星
 医療:ゲノム編集、クローン、サイバーウェアによる機械化

 TL7では実験段階だった核融合炉が実用化され、核分裂炉のような制御不能によるメルトダウンを起こさない「安全な」発電が可能となる。まだこの段階では、核融合炉からの危険な放射線を完全にはカットできないが、ヘリウム3などを用いることで軽減可能である。

 世界各地が情報網で繋がれて互いを理解するようになると、人類の好奇心は母星を離れ、宇宙空間の開拓を求めるようになる。大気圏内から衛星軌道上への低コスト移動手段として、主に人間を運ぶ軌道エレベーターや、物資を運ぶマス・ドライバーが開発される。衛星軌道上にいくつかのステーションが建造され、そこを拠点として、母星近辺の衛星や惑星への有人宇宙飛行が大々的に行われるようになる。
 宇宙でのトラブルは予測がつきにくく、迅速なリアクションが必要な事から、人間に代わって知能活動を行うAI(人工知能)が開発され、クリティカルな作業を担当するようになる。
 この自動化技術は民間レベルでも利用され、単純労働やインフラの管理といった退屈な作業は全てAIが行うようになり、人々は以前の生産力を保持したまま、膨大な量の余暇時間を得られるようになる。これにより、太古の時代より大勢の無用な犠牲者を出しつつ、文明発展を阻害しつづけた奴隷制度は、意味喪失して消滅する。

 軍事面では、宇宙空間に適したレーザー火器やレールキャノンといった電子兵器が一般化し、一部宇宙ステーションは軍事衛星として機能し、衛星軌道上から各国家を監視するようになる。
 しかし一方で、衛星軌道上での物理的戦闘は多くのデブリを発生させ、宇宙船が航行不能な危険宙域を増やしてしまう事から、地上はともかく宇宙空間での本格的な戦争は行われないまま推移する。

 医療面では、遺伝子レベルでメスを入れ、生まれてくる存在を最初から制御する事が可能となる。遺伝子組み換え食品などが一般化し、低コストで大量収穫が可能な農業が行われる。また臓器移植では、拒絶反応のリスクのある他人の臓器は使われなくなり、人工培養した自身のクローンから移植することで安全性が確保される。
 一方、サイバーウェア技術の向上により、生身より人工パーツを移植したほうが性能が高く、見た目が良いといった現象が発生するようになる。一部の人々は負傷治癒ではなく、身体能力の向上を望んで、積極的に人体の機械化を行うようになる。
文明レベル9
 概要:義体化時代(2200?~)。宇宙コロニー、植民惑星、惑星間国家
 移動手段:民間用エア・カー、惑星間高速宇宙船
 エネルギー:凝縮系核反応炉、マイクロ波発電
 武装:戦闘用ドロイド、荷電粒子砲、軍用宇宙船
 医療:脳移植、精巧なアンドロイド、バイオロイド、市民の電脳化義務

 比較的低温で核融合が可能な「凝縮系核反応炉」(常温核融合)が実用化され、各電子ユニットが小規模単位で独立して稼働し続けられるようになる時代。これにより、大がかりな発電施設は不要となり、電力を供給する送電線の設置も最小で済むようになり、あらゆるジャンルで機材の独立運用が可能となる。
 一方で、掃除衛星でデブリを排除した衛星軌道上において、大気で減衰していない太陽光を直接浴びて太陽光発電を行い、電力をマイクロ波の形で惑星地表へ送信するマイクロ波発電が行われ、工業など大電力が必要な施設へと供給される。
 これらの発電技術は、長期間航行を余儀なくされる宇宙船にとっても非常に恩恵が大きく、これにより母星以外の惑星の長期開発が可能となる。植民惑星の概念が生まれ、衛星や惑星1つ、あるいは1エリアのコロニー群1つで「1つの国家」という存在が出現する。

 TL9の文明圏に住む者は、社会的に「最低でも電脳化すること」が義務化されており、インターネットなどがもたらす電子情報を、機械化した脳で直接受け取れるようになる。これにより、個人の情報処理能力が格段に向上し、小脳に直接知識データを送り込む事で、知識を集積できるようになる。TL7時代、書物を読んで暗記するといった、若者の貴重な時間を奪う受験勉強といったものは一切なくなり、各個が自由な発想の下、幼少期から得意ジャンルでの活動に専念できるようになる。
 また、電脳化により反応速度も向上するため、航空機のような危険な乗り物の制御も民間人レベルで行えるようになり、人々の移動手段は道路不要なエア・カーへと移行していく。

 軍事面では、人間が直接危険に身をさらす必要がなくなり、戦闘用ドロイドが代理で近接戦闘を行うようになる。人間の軍人は、コンソールから各種コマンドを的確に打つだけの存在となり、主に電脳ハックによって敵の電子ユニットを乗っ取っていくことが主体となっていくため、過去の戦争のように、民家や公共施設に対する無差別爆撃などは、ほとんど行われなくなる。この時代の戦争は人々が見えない仮想空間で、静かに、かつ迅速に行われる。

 医療面では、脳だけを取り出してパーツ化し、人体の理想形を模した高品質の義体に次々と「乗り換える」ことで、自由な外見で活動できるようになる。精巧なアンドロイドやバイオロイドも同時に生産され、主に愛玩用(セクサロイド)として用いられ、現代でいうところの性犯罪は、主要な犯罪リストからは消えている。
 なお、脳だけ取り出した事で肉体の老化とも無縁になるので、現代よりも長く生き続けることが可能になる。ただし、脳細胞自体の劣化は防ぎようがなく、また幼少期から膨大な量の情報にさらされ、酷使され続けている事から、脳の寿命だけ見ると過去よりもむしろ縮小しており、義体交換によって寿命が大幅に延びるという事はない。


文明レベル10
 概要:恒星間時代。超光速航法、超光速通信、テラフォーミング
 移動手段:超光速宇宙船
 エネルギー:反物質炉
 武装:反物質爆弾、ナノマシン・ウイルス、偏向シールド発生装置、宇宙戦艦
 医療:不老、ナノマシンによる完全免疫、支配種の交代

 現在の地球文明にとって実現可能かどうかは不明な、遥か遠い未来の時代。
 物質と対消滅を起こす反物質を人工的に大量生産する方法が開発され、これをリアクターに供給することで事実上の無限エネルギーを得ることが可能となった時代。また、光の速さを超えて移動可能な「超光速航法」が発見され、半物質炉がそれに必要なエネルギーを供給することで、人類の活動圏は別の恒星系へと広がっていく。
 この時代の人類が、相変わらず自分たちが生まれ育った母星を中心に定住しているのか、それとも宇宙艦隊を率いて星間を彷徨う流浪の民として存在するのかは、各世界の人類の思惑によるだろう。
 この時代の惑星への植民は、可能であれば惑星環境そのものを改造することで行われる。惑星の極地に大気処理施設が設置され、宇宙服なしの状態で活動可能な「母星と同じような環境」へと改造される。

 この時代の軍事は、反物質を対象にぶつけることで問答無用で敵を消滅させることが可能なため、物質的な衝突が起こる前に電磁的な「バリア」を張る事での回避行動が試みられる。動作原理はさまざまで、「偏光してレーザーを弾く」「磁場を展開してエネルギーを拡散する」「重力場で空間そのものを曲げて物理攻撃そのものを命中させない」など、その世界で発展した武器に応じて様々な手法が取られる。
 このシールド技術は民間でも利用されており、主に宇宙船や宇宙ステーションがスペース・デブリや小惑星、宇宙放射線から身を護るために標準装備されている。

 なお、TL9の時代から人と機械の境界線が曖昧になっており、世界によってはホモ・サピエンスが絶滅していることもありうる。ホモ・サピエンスは、地球という惑星環境での生存に最適化された生物であり、宇宙空間のような劣悪な環境での活動は想定されておらず、厚い防護措置がないと生き延びることはできない。
 そのため、人類の代行者として工場生産された完全自律型のアンドロイドや、遺伝子改造によって生み出された強化人間などが実質的な支配権を獲得し、生身の人類は社会から消えていく一方、頑なな原理主義者だけが母星に戻り、惑星の寿命が尽きるまで原始的な文明社会で余生を過ごしているといった世界は、可能性として十分にあり得る。

 星から脱出して広い宇宙へと旅立つという偉大な使命を終えた人類は、その役目を終え、歴史の舞台から静かに消えていく。だが、彼らが培った歴史と文明は後継種族が引き継ぎ、別の銀河にまで広がっていくことだろう。
■魔法文明
 以上を踏まえた上で、魔法で成立した文明を考案してみた。あくまで管理人個人の創作に過ぎないので、参考程度で見てほしい。


【文明レベルの内容】
文明レベル0
 概要:シャーマニズム。精霊の召喚、火の発明、会話言語の発明
 移動手段:徒歩
 エネルギー:人力、精霊
 武装:石器の斧、短剣、火の精霊
 医療:薬草学、初歩の治癒呪文

 ごく初期の魔法文明。シャーマン(祈祷師、巫女)が神霊や祖先の霊との仲介役となり、社会を導いていく。呪文を口伝で継承するのも、やはりシャーマンの一族のみとなる。
 この時代の魔法は「単独の術者が呪文を唱えて使う」という基本形式のみで、文字が存在しないため、文字がかかわる系統(情報伝達系や知識系、物質操作系など)や、魔化の概念は存在しない。また、存在する呪文系統も、四大精霊系、召喚系、動物系、植物系、光/闇系、治癒系、死霊系、音声系などといった、自然と密着したものに限定される。
 エネルギーに関しては、基本的に人力である。ただし、シャーマン個人が召喚系呪文で精霊を呼び出し、使役している事がある。また、ごくごく稀な存在だが、極度に貧しい集落だと、死霊系魔術によって死者すらも労働力として使役しているかもしれない。

 この時代の医療では、薬草学とシャーマンの治癒系呪文が用いられる。ただし、複数の術者が寄り集まってコストを支払う儀式魔法の概念がないため、《接合》以上のパワーストーンを用いないと実質使用不可能な高コストの呪文は存在すらしない。そのため、神の代行者であるシャーマンも通常の寿命を全うして、冥界へと旅立っていくのが普通である。


文明レベル1
 概要:神官時代。車輪・文字・農業・畜産の発明、儀式魔法
 移動手段:家畜に引かれた荷車、河川での小型帆船
 エネルギー:水車
 武装:青銅器の剣、革鎧
 医療:外科手術、呪文による喪失部位の再生、長命術

 農業を行うことで、飢餓への耐性がついた社会。聖職者を養える余裕ができるため、魔術を扱える神官の人数が増え、複数の術者が1つの呪文のコストを支えることが可能な「儀式魔法」の概念が発生する。これにより、コストが20や30といった呪文の使用が可能となる。最大規模の町であれば、コスト100くらいの呪文も使えるだろう。
 また、文字の開発によって情報伝達の概念が出現し、情報伝達系呪文、知識系呪文、物質操作系呪文が発生する。

 軍事面では部族間抗争が激化するため、肉体操作系呪文、食料系、幻覚/作成物系、精神操作系呪文、移動系呪文、防御/警戒系といった、四大精霊系よりも性能特化した系統の呪文が、主に戦争用の呪文として開発される。また、死霊系呪文による兵士の再利用は、当たり前のように行われる。

 医療面では、《接合》や《再生》により、失った部位が取り戻せるようになる。また、神官一族だけに伝わる《老化停止》や《若返り》といった呪文により、通常よりも長生きの権力者や神官が発生する。ただし医学の未発達により、病気に関わる知識にも限界がある。そのため、不治(と思われている)の病にかかり、《療治》の呪文もむなしく死んでいく者も多い。


文明レベル2
 概要:魔術師の時代。魔化の概念、巻物の発明、パワーストーンの発明
 移動手段:整備された道路の建設、海洋沿岸でのガレー船
 エネルギー:風車
 武装:鉄の剣、スケイル・アーマー、シールドの概念
 医療:錬金術

 鉄器の発明により、農耕の作業効率が大幅に伸び、大量の人数を養う事が可能となった時代。魔術は神官だけの特権ではなくなり、神官のように統治のために呪文を習得するのではなく、魔術そのものを研究するための学者として「魔術師」が発生する。
 この時代では魔化の概念が発生し、いわゆる魔力がこもった魔化アイテムの生産が可能となる。ただし、この時点においては「手軽で危ない魔化」しか発明されておらず、コストの低い魔化アイテムしか生産できない。また、量産体制も整っていないため、実際に扱えるのは一部の支配階級の者だけである。

 軍事面では、スケイル・アーマーやシールドのような複合装甲の品が開発され、さらにそれらに低レベルの防具魔化系呪文がかけられたものが、指揮官クラスの兵士に配給される。
 また、TL1以下では「貴重品」扱いで、せいぜいスケルトンの運用指揮官としてのみ前線にやってくる程度の魔術師だったが、人口増加によって比較的ありふれた存在となるため、兵士たちに随伴して、戦場で直接呪文援護を行う「戦闘魔術師」の概念が発生する。移動系呪文で上空から爆撃してくる魔術師や、《憑依》の呪文で敵兵士を操り、敵指揮官の暗殺を試みる魔術師など、一般兵士にとっては大変な脅威である。

 医療面では、農業によって富が蓄積され、研究資金が豊富になることで、金属を扱う錬金術が行われる時代でもある。魔法文明における錬金術は、魔力が篭った素材などを用いたエリクサーの開発となり、《錬金術》技能で表される。これにより、呪文の知識がない者でも呪文を「携帯」できるようになるため、主に軍事に携わる人々が恩恵を受ける事になる。
文明レベル3
 概要:中世魔術時代。魔術師団、書物の発明
 移動手段:乗馬、ゴーレム、外洋帆船、呪文制御された大型動物
 エネルギー:馬力、ゴーレム、《発電》が魔化された常動型アイテム
 武装:鋼鉄の剣、チェインメイル、プレートアーマー、クロスボウ、フレイル、城
 医療:死亡状態からの蘇生

 中世ファンタジー世界そのものを表す時代。「ゆっくり確実な魔化」が開発されることで、かなり大がかりな魔化アイテムが製作できるようになり、魔術師の中でも特に「魔化師」が高い地位を持つようになる。そして魔化師たちは、より大きな魔法アイテムを作るために群れるようになり、魔術師団を形成するようになる。
 また、魔術への理解が深まる事で、呪文操作系や連動系の呪文系統も開発され、この段階でようやく「ガープス・マジック」に記載されたすべての呪文が存在する事になる。

 軍事面では、衛生面や倫理面であまりよろしくない死霊系呪文による兵卒の使い回し(スケルトンの運用)が社会的に忌避されるようになり、代わって各種素材で構築されたゴーレムが運用されるようになる。ただし、ゴーレムは生産コストがかかり、社会全体での稼働数がまだ少ないため、近代における「戦車」的な役割(装甲の厚さにものを言わせて防御陣形を強引に突破する)を果たすのが限界であり、裏社会ではアンデッドの使い回しが横行し続ける。
 なお、ゴーレムは怪力ゆえに、軍事のみならず土木作業でも使用される。現代でいうところの「工事現場の重機」としても運用されることになる。

 医療面では、高度な呪文を習得する魔術師の人数が増え、儀式魔法で消費300というコストの壁が突破できるようになった事で、《復活》の呪文が実用レベルに達する。ただし、高レベルの治癒魔術師数名と大きめのパワーストーンが必要なことから、気軽に使えるようなシロモノではなく、組織や国家にとっての超重要人物に対して使うのが精一杯である。


文明レベル4
 概要:大空艇時代。火薬の発明、飛空艇の発明
 移動手段:飛空艇
 エネルギー:《従者》の魔化による自動クランク機関
 武装:爆弾、飛空艇
 医療:身体構造の解析、中毒症状の完治、ドッペルゲンガー

 《空飛ぶ絨毯》の呪文(グリモア魔法)が開発され、それを魔化した巨大な船舶が飛行状態となり、「飛空艇」の概念が発生する。また、《時計》と《方位計》の魔化アイテムを用いた正確な測量術が開発され、自分たちの現在地が特定できるようになることで、本格的な遠距離飛行が行われ、惑星上のフロンティアの全容解明が開始される。
 新たな動力として、ハンドルに《従者》の魔化を行い、「透明な男」に永久にハンドルを回し続ける命令を与える事で、蒸気機関を介さずとも動力が得られる「自動クランク機関」が発明される。これにより、巨大な装置運営の自動化も可能となる。これは主に、飛空艇の推進力増強手段として存在するプロペラ機構に使われ、プロペラを回すクランク機構に組み込まれる。

 軍事面では、《錬金術》の延長で火薬に近い爆発物が発明され、主に飛空艇による爆撃に用いられる。実際には飛行可能なゴーレムや《鳥制御》で操られた鳥類の集団、その世界に飛行可能な知的生命体がいて、人間社会に参加している場合は空挺兵として徴用され、爆撃任務を遂行する。飛空艇は、その人員を輸送する「空母」として機能することになる。
 対する防衛側も、落下物防御に重きを置いた構造の砦に籠り、迎撃用の対空挺兵も配置され、さらに魔術師によって《風》の呪文で飛行空域に制限がかけられ、敵の空挺部隊の行動を妨げる。

 医療面では、それまで呪文頼みであまり解析されていなかった人体の内部構造の解析が《身体検査》の呪文(グリモア魔法)で行われるようになり、人体の理解が進む事になる。また、薬物中毒などの症状も《中毒療治》の呪文(グリモア魔法)によって完治するようになる。
 さらに、ゴーレムをさらに高性能にするための研究の一環として、魔法が使えないことを除けばオリジナルとほぼ同じ性能を発揮する《ドッペルゲンガー》の呪文(グリモア魔法)が開発され、優秀な技術者のレプリカ(複製体)が用いられ、単純業務を行うようになる。このため、優秀な技術者の遺体は死後も厳重に保管され、その身体素材をもとに複製体が作り続けられる。
文明レベル5
 概要:マナ革命。マナ濃度の変更、マナストーンの発明
 移動手段:瞬間移動ゲート
 エネルギー:初期のマナ集積装置
 武装:辺境から召喚された巨大モンスター
 医療:寿命の撤廃

 指定空間のマナを吸収して一か所に集めたり、逆に排斥したりして、マナ濃度を自由に操作可能な呪文と魔化アイテムが開発され、指定エリア内のマナ濃度を自由に変更することが可能となる。これにより、マナが「濃密」の地域を作り出すことで、体力的にコスト支払いが可能な範囲であれば、無制限に呪文が使えるようになり、魔術師の能力が飛躍的向上する。
 また、マナが「濃密」のエリアでは、パワーストーンの充電速度も劇的に向上するため、魔化に必要となる作業用パワーストーンが巨大化する。加えて、充電は手動だが非常に充電コストが安い《マナストーン》の呪文(グリモア魔法。1回の充電で基本消費5)が発明され、「マナ集積装置」周辺でほぼ無制限に連続充電を行えるようになるため、「手軽で危ない魔化」が行えるコスト範囲が大幅に拡張される(ただし、ファンブルでマナストーンが破壊される確率があるため、無制限に拡張されるわけではない)。

 結果、社会に日用品レベルの魔化アイテムが溢れ、現代地球の電化製品のようにありふれた存在となり、人々の生活レベルが劇的に向上する事になる。
 マナ集積装置の登場は、移動手段にも大きく影響を与える。TL4の段階ではコストが大きすぎたために限定的だった《門作成》の呪文(グリモア魔法)が実用性を得て、主要な都市同士が《門作成》の魔化で作成された「永久門(ゲート)」で結ばれ、誰でもそこから移動可能となる。これにより、TL4時代に数多く建造された飛空艇の運用範囲は、ゲートで結ばれていない辺境との交易に限定され、運用リスクの大きい大型の飛空艇は建造されなくなる。

 軍事面では、ゲートを用いて各地の辺境に潜む巨大モンスターが動物系呪文や精神操作系呪文で誘導され、戦闘に投入される事になる。移動に関しても、飛空艇ではなくモンスターに直接騎乗する手法が取られるようになる。
 強力なブレス能力と飛行能力を持つ「戦闘機」としてのドラゴン、圧倒的な不整地踏破能力を持ち、怪力で敵をなぎ倒す「戦車」としてのジャイアントなど、近代ハイテク兵器に相当する能力を持つモンスターたちが、軍の主力として活用される。

 医療面では、定期的に《老化停止》や《若返り》の呪文をかけないと維持できない寿命を永続化させようと、様々な系統呪文で完全不老化の方法が編み出される。《精神捕縛》の呪文で器物に魂を移動させたり、寿命の概念がないドラゴンへの転生を試みたり、自らの体を自律意思を持つアンデッド(ヴァンパイアやリッチなど)へと変えたりと、あらゆる手法を用いて永遠の存在になろうと試みられる。
 こうした不死化の目的は、さらなる魔術の高みにいたるための「研究時間の獲得」という理由が一般的である。


文明レベル6
 概要:多次元支配の時代。平行世界の発見、時間移動の概念
 移動手段:異次元移動ゲート
 エネルギー:携帯型マナ集積装置
 武装:異次元から召喚されたモンスター
 医療:人体改造術

 マナ集積装置が個人携帯可能となり、魔術師個人ごとに装置を持ち歩き、周囲のマナ濃度を変更して呪文を使えるようになる時代。力ある魔術師たちはそれぞれが個人レベルで独立し、無数の「小国家」が乱立する事になる。魔術師たちは、自分たちを「選ばれた民」と称し、際限なく傲慢になっていく。
 一方、ごく少数の他者との交流と協調を重視する善なる魔術師だけが、神に近い存在として支配領域の住民から敬われ、宗教国家に近い政体を形成するに至る。
 それら「小国家」同士が抗争するかどうかは、その世界の魔術師たちの性格による。研究熱心で学者肌の魔術師が多い世界では、小競り合いなどただの時間の無駄でしかないため、それぞれがおとなしく住み分けを行うが、他者への征服欲が強い魔術師が多い世界では、魔法の素質を持たない一般人など無視した、苛烈な魔術戦争が頻繁に起こる事になる。

 この時代では、瞬間移動ゲートをさらに発展させて、異次元への探索が大流行する。古い時代から精霊界や霊界(アストラル界)など、ごく近い異次元の存在が知られていたが、ここに至って歴史分岐から派生した数々のパラレルワールドの存在が認識され、その世界に向けて座標を合わせた《異次元移動》の呪文(グリモア魔法)が頻繁に使われるようになる。
 軍事面でもそれらは利用され、法則が異なる異次元から奇妙な能力を持つモンスターを召喚したり、宇宙空間から巨石を召喚して対象エリアに叩きつけたりと、召喚した異次元物質の特性を知らない相手に対する「初見殺し」が基本戦術となる。そのため、戦争に参加する魔術師は、いかに珍妙な法則の異次元をどれだけたくさん知っているか、知識の量の勝負となる。

 医療面では、不老化に続いて不死化が模索される。不老化の手段の一つとして使われる肉体交換の応用として、人間の身体にモンスターの強靭な身体の特性を移植して、より強力な人工生命体へと変わる試みが行われる。
 通常の人間ではありえないほどタフだったり、たくさんの攻撃部位(追加の腕や翼、尻尾、触手など)を備えていたり、マナ集積装置を肉体に埋め込み、生得能力として自在にマナ濃度を変えたりと、人間という生物種の枠組みを超えた身体能力を持つ魔術師が一般化するようになる。
文明レベル7
 概要:アストラル時代。精神世界での情報共有、タイム・パラドックス
 移動手段:時間移動ゲート
 エネルギー:環境から直接マナを引き出す能力
 武装:契約召喚による異次元傭兵
 医療:転生

 それまで、マナ集積装置によって土地が根絶やし状態になるまで搾り取っていたマナ採取法が、土地に負担をかけない範囲で継続的に獲得する技術へと進化し、さらにアイテムではなく技能や生得能力(有利な特徴)として獲得する事が可能となる。
 これにより、生命活動が行われている空間エリア内のあらゆる生命体から、負担に気づかないレベルのごく微量のマナを税金のごとく何度も「徴収」し、呪文コストを継続的に支払い続ける事ができるようになる(「元気玉」とか「タップして1マナを得る」と言えば、分かる方もいるだろう)。
 この技術の最大のメリットは、術者の体力の大きさに関係なく、膨大なエネルギーを準備できることである。マナが「濃密」な環境で呪文を使用した場合、使った体力は即座に回復するが、術者の体力を超えるコストを要求された場合、儀式魔法やパワーストーンの力を借りるしかなかった。しかしこの手法では、マナを採取する対象エリア(土地)が「体力」扱いとなるため、もはや魔術師本人が体格的にマッチョである必要はなく、パワーストーンなしでもコスト20や30といった大魔法を直接行使できるようになる(システム的には、取得レベル無制限の「追加疲労点」の特徴として扱う)。

 エネルギーの問題がほぼ解決し、魔術師同士が争う理由が減る一方、TL6の時代に各魔術師が孤立し、互いの交流が疎遠になった結果、個々の魔術師が思考的に煮詰まってしまい、技術発展が伸び悩んでいたこともあり、かつての文明未発達だった時代のように魔術師同士が積極的に交流し、情報共有する事の重要性が再認識されるようになる。
 情報共有スペースとしてアストラル界が指定され、そこの住人である幽霊を介して誰とでも遠距離通信が可能となる。また幽霊たちは情報管理も行っており、魔術師にとって必要不可欠な技術(各種マナ収集技術など)を管理させ、アストラル界にコンタクト可能な魔術師であれば、誰でも貴重な技術情報を閲覧できるようになる。
 これにより、社会の上位層は過去に不死化に成功した古参魔術師ばかりで、若い新人魔術師から上位魔術師となる人材が枯渇し、イノベーションが起こらなくなっていた魔法文明に、新たな進化の可能性を呼び込むことが可能となる。

 この時代、新たなフロンティアとして、過去や未来への時間移動に焦点が充てられる。それは、魔術師当人の故郷の世界のみならず、異次元世界にも存在しているため、新たな多様性獲得の場として、魔術師たちの注目を浴びることになる。
 しかし、時間移動は常に消失の危険を伴う。術者自身が時間移動した場合、タイム・パラドックス回避の法則が働き、元の時間軸に戻れなくなるためだ。そのため、この段階での時間研究は「観察」だけにとどまる。
 一部の野心的な魔術師が、別時間に干渉しつつも元の時間軸に戻れないかと実験を試みるものの、その多くが「移動先」から帰れなくなり、元の時間線から消えていく事になる。

 軍事面では、それまでやっていたような「異次元から強引に召喚し、精神魔法で強制的に命令に従わせる」手法では、その個体が(嫌々やらされてるのが原因で)全力を出せない事や、行動を強制された事に対する恨みが時間経過と共に募って、あとで魔術師という人種全体が手痛いしっぺ返しを食らっていたことが反省される。
 結果、召喚対象との「契約」によってきちんと雇用契約を結び、円滑な召喚/被召喚関係の元で使役する事が推奨されるようになる。魔術師たちは、多大な報酬(魔法の品やマナそのもの)を与える契約をあらかじめ行った上で、一時的に異次元から契約生物を戦地に召喚して戦ってもらい、用が済んだら元世界に送還するというプロセスを踏むようになる。これにより、必要な戦力を繰り返し召喚できるようになり、安定した召喚戦闘が行えるようになる。

 医療面では、死後に別の生命体に生まれ変わる際、過去の自分の記憶を継承したまま新たな生を得られる「転生」の技術が開発される。また、あらかじめ自身の完全なクローンが生産しておき、死んだ直後にそこへ魂が移動し、再起動するようにあらかじめ設定しておくような技術もこれに含まれる。
 これにより魔術師は戦いなどで殺されてしまっても、アンデッドのような不自然な手法ではなく、大自然の法則に則った形で死を超越する事になる。


文明レベル8
 概要:情報生命体時代。タイム・パラドックスの回避
 移動手段:不要
 エネルギー:意思
 武装:カスタマイズした現地徴用武器
 医療:肉体の放棄、ヒューマノイド・インターフェース

 自身の存在を維持するための最大の枷となっていた「肉体」そのものを捨て、完全な霊体になる事で「死」を克服する時代。魔術師たちは精神や魂に関わる主要な呪文を全てマスターした後、「純粋知性体」(250cp)の特徴を得て、情報統合思念体と呼ばれる純粋な思考世界の住人となる。
 情報統合思念体に寿命の概念はなく、無限の時を経て知識を集積していく。また、死後の人間が誰でもなる「霊体」(-25cp)とは異なり、あらゆる次元世界を直接「見る」事が可能である。そこには時間の概念もなく、タイム・パラドックス回避のための新規パラレルワールド生成時に発生する時空震に巻き込まれることもない。

 ただし、世界に干渉するためには各種呪文や特殊能力を使うしかなく、それでは不便なことも多々あるため、かつて肉体があった頃の外見情報を元に生体デバイスを生成し、それに「乗り込む」ことで対象世界の住人になりすまし、物質的に干渉することになる。
 このデバイスは一般に「ヒューマノイド・インターフェース」と呼ばれ、《ドッペルゲンガー》の呪文(グリモア魔法)の上位互換であるが、外見から内部構造に至るまで本物そっくりであり、「魔法の素質」も所持できる(呪文の使用が可能)。

 生体デバイスの武装に関しては、デバイスが置かれた世界に応じたものを現地徴用するが、自身の呪文で改造を施し、見た目以上の性能を発揮させることが可能である。
 情報統合思念体となった魔術師は、普通は魔法世界出身ではあるものの、多くのパラレルワールドと接触する過程でテクノロジー文明が発展した世界にも接触し、知識を吸収する事から、科学技術で成立したテクノロジーの技術にも精通しているのが普通である。そのため、レーザーピストルから核兵器に至るまで、テクノロジー文明由来の兵器も生成・運用できる。

 情報統合思念体は物質的肉体を持たないため、いわゆる死の概念がない。「搭乗中」の生体デバイスが破壊されても、別のデバイスに乗り換えればいいだけなので、普通の手段で彼らの存在を消滅させる事はできない。
文明レベル9
 概要:神格化時代。領域との一体化、新種族の創造
 移動手段:不要
 エネルギー:支配惑星環境と同化した意思
 武装:自身を信仰する信者たちの複製体
 医療:魂の複写、信者の種族的強制進化

 TL7で開発された土地からマナを引き出す技術・能力をさらに進化させて、自身の意思と土地を一体化させることで、さらに効率よくマナを引き出せるようになる(土地あるいは惑星全体=自分自身の状態)。これにより、惑星規模の呪文を容易に使えるようになる。

 この力を利用して、様々な異次元世界で巨大な力を振るって自らの力を誇示したり、あるいは特定世界の現地の人々を積極的に支援して徳を積む事で、その土地の現地人に「神」として崇められるようになる(神か邪神かは、力の発現の仕方による)。そして「神」の側も、安定した異次元傭兵の供給源として、これらの人々を優先的に守護し、加護を与えるようになる。
 また情報統合思念体にとって、物理的な距離の概念は無視できるため、自身の故郷世界の母星のみならず、同じ宇宙の別の惑星の知的生命体を発見する事も容易になる。こうして故郷宇宙の広い範囲で多くの信者を獲得し、十分な情報や実行部隊を得た彼らは、別世界の宇宙へと探索の手を伸ばす事になる。

 軍事においては、召喚魔法は戦力となる人間を直接転送するのではなく、本人の「複製」を現地で作り上げ、力を振るってもらう形になる。自身の信者である英雄や、魔術で強制進化を行って独自の種族と化した眷属といった存在をデータとして記憶しておき、その情報を元に現地で「複製」し、各種任務を果たさせるのである。任務を果たした複製体は、持続時間が過ぎると自動的に現地から消えてゆく。

 このレベルの生命体になると、もはや善や悪の概念はなく、感情だけで動く事もほぼない。「宇宙のすべてを知りたい」という欲求が、最も大きな存在理由である。
 しかし、過去に肉体があった時代の人間的な感情も忘れたわけではない。神によって司る側面が微妙に異なっていたり、正義の神と邪悪な暗黒神に分かれて互いにライバル視し合ったり、やたら人間臭い対応をする神様が多いのも、「自分たちは因果律の言いなりになってるだけの、ただの物質の塊ではない」ことを示すために必要な要素なのである。

 そして、たまには感情を実地で味わいたいがために、ヒューマノイド・インターフェースに乗り込んで1住民になりすまし、人々に紛れて不便な生活を楽しむといった行為が「神の娯楽」として存在し続ける。


文明レベル10
 概要:宇宙創成時代。全智存在、ビッグバン、天体創造
 移動手段:不要
 エネルギー:支配銀河系と同化した意思、反物質の完全制御
 武装:反物質の無限生成
 医療:アカシックレコードの記録からの万物再構築

 神となった情報統合思念体が到達するかもしれない究極の時代。
 複数の星、あるいは恒星系、さらには銀河と一体化を果たし、各次元の宇宙の構造をほぼ完全に把握し、事実上のアカシックレコード(全智存在)と化した情報統合思念体が、反物質を操って任意にビッグバンを起こし、新たな宇宙を1から創造する試みを行う。
 平たく言うと「自分が宇宙の創造神になる」のである。

 新規宇宙の内部で不都合な存在が現れた場合、神は反物質をぶつけることで対消滅現象を起こし、対象を「処理」することが可能である。また逆に、失うには惜しい存在がいた場合、その物質や魂をアカシックレコードから読み込み、魔法で生成して再現することが可能となる。
 こうして創造神は、全智情報を元に「破壊」と「創造」の力を巧みに操り、自分だけの宇宙を作り上げて運営する作業に没頭するのである。

 ―――さて、ここで疑問が残る。
 新しく作った宇宙では、間違いなく自分が「宇宙を作り上げた最初の創造神」である。しかしその宇宙を創るにあたって、自身が発生する前から存在していた様々な宇宙のデータを参照している。

 では、参照元のデータとなった宇宙は、一体誰が作ったのだろうか?
 今の自分と同じような超越存在の「先輩」が、どこかにいるのだろうか?それとも単に、物質と反物質の性質の差から生じたエネルギーの不均衡が、たまたま最初の宇宙を作り上げただけなのだろうか?
 だとしたら、なぜ物質は反物質の量を上回るような性質を持っているのだろう?…いや、そもそも物質と反物質などというシロモノは、一体どこから来たのだろう??

 自ら宇宙の創造を行い、アカシックレコードの第1記述者となった創造神ですら、世界記録が書かれる前の事は分からない。ゆえに、そうした根源を追求する旅は、果てしなく続くのだろう。
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