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● プファイト
【祖霊】 狩りの教師である狼と、破裂する木の実をつけるプファイト。
【役割】
 破壊と狩猟
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■概要
■■ プファイトの祖霊
 祖霊植物であるプファイトの樹は、高さ10mにも及ぶ広葉樹で、春から夏にかけて赤い花を咲かせ、そこから秋にかけて実になります。この実を青いうちに採取し、プファイトに伝わる精製技能で加工することで、内部の鋭く尖った種を爆散させながら飛ばす武器となります。
 本来、この実は秋になって熟してから自然と地面に落ち、その下にいる動物を殺傷することで死体を養分にするプロセスを辿るのですが、熟した実は爆散の威力が弱く、また種も丸くなっているため、ごく小さな小動物(ネズミやウサギなど)を狩る程度の爆発にしかなりません。

 祖霊動物であるプファイトの狼は、エルファの狩りのやり方を教えてくれた存在とされています。氏族の戦士たちも、狼のように群れて狩りを行います。


■■ 氏族の役割

 平常時は狩りを行い、部族の蛋白質を確保する役割を担っています。プファイト戦士の人数が多い部族では、個人ごとに狩る動物を1つに決めてしまっている場合もあります(鹿狩人、兎狩人など)。
 獲物となる動物は、各氏族を象徴する祖霊動物であるため、言ってみれば同族たるエルファの親戚を狩るようなものなので、ある意味禁忌を犯していることになります。そのため、狩りはプファイト氏族にしか許されていない特権であり、なおかつ必要最低限しか認められていません。

 氏族のもう一つの役割は、円環の外からやって来た外敵の公的排除です。円環に害を為す異種族や、<悪魔>などといった存在を狩るのも彼らの仕事です。中にはこの破壊の役割専門の者もおり、そういうのはたいていエルファにとっての仇敵である黒の月の種族や<悪魔>を標的にしています。そういったものは森の外に行かないとなかなか遭遇しないので、プファイト氏族の戦士が使命を授かって森の外に出ることは、それほど珍しくはありません。


■■ 氏族所属者に多い特徴
 即断即決が必須の戦士たちなので、どうしても「直情」な傾向があります。連携こそ大事にし、事前に役割をきちんと決めていますが、実戦になるともうやるべき事は事前に決めてあるため、あとは自己判断で動き、いちいち誰かの判断を仰ぐような事はしません。結果として、独断専行な性格になる傾向が強くなるわけです。
 また、寿命が長いエルファにしては気が短い者が多く、中には人間並みにキレやすい「かんしゃく」持ちもいます。あと、完璧な連携を求めるあまりエリート意識が先行し過ぎ、未熟者に対して辛く当たる「高慢」で「暴れん坊」な意識高い系もたまにいたりします。

 ただし、狩人は「待つ」事が仕事の1つなので、そうした気の短さは「意志の強さ」で抑えているのが普通です。どうしても狩りに向かない性格の場合、森の外に出て破壊専門に充てられたりします。


■■ 氏族所属者が好んで使う武器
槍、棍棒(小型クラブ)、盾
■■ 特殊武器
●プファイト・スロウアー
 形状は現代のパチンコと同じで、プファイトの実を投擲する際に使いますが、石での射撃にも使えます。石を投射した場合の致傷力は、使用者の体力に応じた「叩き/振り」ダメージですが、プファイトの実による爆撃の場合は一律「叩き/2D」となります。
 弾丸(プファイトの実)の準備に1ターン、装填に1ターンかかります。

叩き 2D(振り) 抜撃ち12 正確さ0
半致傷「体力×5」メートル/最大射程「体力×10」メートル
価格$20 重量0.3kg 必要体力7


●プファイトの実
 プファイトの実は、それ単体でも武器として機能します。素手で投げた場合は<投げ>技能で命中判定を行います。この場合でも「叩き/2D」の固定ダメージを与えますので、接近戦でも使えます。
 なお、プファイトの実の採取は<生存/森>+2判定に成功すれば、必要なだけ採取可能です(価格$0)。重量は1個で0.1kgとなります。

(素手でプファイトの実を投擲した場合)
叩き 2D 抜撃ち12 正確さ0
半致傷「体力×2」メートル/最大射程「体力×3.5」メートル
価格- 重量0.1kg


●プファイト・ベルト
 プファイトの実を納める機能が追加されたベルトです。最大で15発まで実を格納しておけます(ただし衝撃を受けて誤爆した場合、残り弾数分だけダメージが発生するので注意)。このベルトに実を格納した状態で<準備/プファイト>判定に成功すれば、実の準備時間を0秒に短縮できます。

価格$20 0.2kg


■■ 独自の技能
<プファイト・スロウアー>(肉体/難)
 <投石機>の亜種技能で、プファイト・スロウアーを適切に扱うための技能です。通常のスリングも、この技能で使えます。

 また、実の安全管理もこの技能で行います。身に着けているプファイトの実は、衝撃を受けた際に爆発の危険があります。具体的には、実を装備した者が1撃で10点以上のダメージを受けた場合、プファイトの実が誤爆する可能性が生じます。その際、この技能で判定を行って成功すれば、誤爆を防げます。


<押し>(肉体/難)
 軽く手で押しただけで、相手の姿勢を崩したり転倒させたりする特殊な体術の技能です。「押し」は素手による攻撃として扱われ、<押し>技能で命中判定を行います。相手は任意の能動防御を行えますが受動防御は無効です。

 攻撃が命中した場合、ダメージは発生しませんが、攻撃者の<押し>と防御側の体力で即決勝負を行います。この勝負で防御側は負けると、姿勢を崩して転倒してしまいます。攻撃側は勝負で負けても、特に不利益は被りません。
 ただしファンブルで負けた場合は、素手攻撃でのファンブルとして扱い、ファンブル表を適応して下さい。


<強靭精神>(精神/難)
 高ぶらせた強い意志の力で、害意のある魔法的干渉をはねのけます。あらゆる呪文や月の賜り物への抵抗の際、対応能力値の代わりにこちらを使用できます。
 「意思の強さ/弱さ」が、技能への修正となります。呪文、超能力への抵抗以外の判定には使えません。


<強壮薬精製>(精神/難)
 プファイトの種は特殊加工する事で、爆発物としてではなく、様々な身体強化作用を持つ薬として使うことも可能です。ルール上は「戦闘能力」に限定した<錬金術>として扱います。

 プファイトの戦士は戦いが予想される際、これらを服用して身体強化を行います。よく使われるのは『筋力』エリクサー($250)ですが、狩り中に獲得した大型の獲物を運ぶために『荷役』エリクサー($300)を利用したりもします。


■■ 独自の格闘動作、準技能
<準備/プファイト>(肉体/易)
 プファイトの実をベルトから取り出す技能です。判定に成功すれば、弾丸を準備する時間をゼロ秒に短縮できます。


<爆発物/プファイト>(精神/並)
 プファイトの実は、火薬で作られた爆発物と同様に「仕掛けて遅延爆破する」事が可能です。15分~1時間ほどかけて技能判定に成功すれば、爆破したい場所に上手くセットした事になります。爆発の威力は、単純に仕掛けた個数×2Dの叩きダメージとします。

 起爆手段ですが、離れた場所から石(あるいはプファイト)を投擲して衝撃を与えると即座に爆発します。また、<発火><火炎>の呪文などを使って熱を与えると、1D+1秒後に熱膨張で爆発します。


■■ ボーナス技能
 <生存/森><追跡><戦術><偽装><罠>の各技能を習得する際、技能レベルに+1のボーナスを得られます。


■■ 使用可能な僧侶呪文
 プファイト氏族の者は「動物系」「植物系」「火霊系」「物質操作系」の四種を僧侶呪文として習得できます。

[<緑の弟/妹>呪文] (素質1まで)
動物系:
静かに、お座り、動物召喚、動物探知、動物感応、昆虫制御、魚制御、軟体動物制御、爬虫類制御、鳥制御、動物制御、騎手、動物知覚、動物支配、動物会話、変身/狼


植物系:
植物探知、植物分析、植物治癒、植物変化、植物繁茂、植物祝福、植物作成、枯死、見張り森、よじれ枝、獣道、植物知覚、動く植物、植物変身


火霊系:
発火、火炎、火炎変化、消火、防火、加熱、冷却、防冷、防熱、火球、爆裂火球、火炎噴射、火吹き、幻炎、聖火


物質操作系:
弱点看破、弱体化、変形、粉砕、老朽化、見せかけ、染色、清掃、応急修理、硬化、複写、結び目


[<緑の兄/姉>呪文] (素質2まで)
動物系:
他者変身/狼


火霊:
火炎武器、火矢


物質操作系:
分解、修理、矢の修理、物質硬化、切れ味


[<導き手>呪文] (素質3まで+独自呪文+<導き手>共通呪文)
独自呪文:
火の雨、爆破、化身、樹霊覚醒


*独自呪文データ
《火の雨》 範囲
 この呪文は、屋外でしか発動しません。
 空から火の粒が降ってきて、範囲内のものすべてに1D-1のダメージを与えます。火の雨を浴びた生物は、自分のターンの最後にダメージを受けます。効果範囲内に1ターン丸々いなかった場合は半分のダメージを受けます。
 範囲内の構造物に対してもダメージを与え続けますが、よほど燃えやすい物でないかぎり着火はしません。

 この呪文に対し、ミディアム以上のシールドを上にかざすことでダメージを盾に引き受けさせる事が可能です。ただし上にかざしている間、正面の敵に対して盾は非準備状態として扱われ、「止め」が行えなくなります(盾の受動防御自体は有効)。
■持続:1分 ●消費:1(ただし最低でも2)・同 基本消費を倍にするとダメージが2D-2になる。★前提:素質2+《火炎》


《爆破》(至難) 通常 (物質操作系呪文)
 《粉砕》と同じですが、破壊される際に派手に爆発し、破片をまき散らします。破片のダメージはエネルギー2点につき1D点ですが、コストを倍消費することで1D+2点に変更できます。
●消費:2~6(エネルギー2点につき1Dダメージ) ★前提:素質2+《粉砕》


《化身》(至難) 特殊 (動物系呪文)
 祖霊動物に変身します。「軽荷」までの所持品は一時的に消えますが、魔法の品(パワーストーンなど)は残ります。また術者が消したくないものも残ります。

 《変身》との最大に違いは、持続時間がごく短いことです。祖霊はいわゆる神に近い存在なので、物質界でその姿を留めておけるのはわずかな時間だけです。この呪文では10秒が限界で、それ以上は維持もできません(必要ならば、もう一度集中してかけ直すしかありません)。
 しかし、それに見合っただけの性能は持ち合わせており、通常の祖霊はどの個体も倍速で動きます(10秒しか存在しませんが、実際には20ターン戦えるわけです)。さらに、元となった原種の動物よりも一回り大きく、高い能力値と攻撃力を持ち合わせています。
 なお、化身中も術者が習得している呪文を使う事はできますが、動作を伴わないほど熟達した呪文(18レベル以上)でないと使用できません。呪文発動時には、咆哮を上げることになります。

 《化身》は氏族ごとに別呪文であり、自分が崇める祖霊動物にしか変身できません。
■持続:10秒 ●消費:5・維持は不可 ◆準備:3秒 ★前提:素質1

 プファイト氏族は「プファイトの豹」に変身します。また、《変身》の呪文で変身できる通常の狼のデータも提示しておきます。主に移動のために変身する時は、こちらを使う事になります。

(通常の狼)
体力:10 敏捷力:14 知力:5 生命力11
速度/よけ:9/7 受動防御:1 防護点:1
体重:85kg 大きさ:1ヘクス
噛みつき(近接戦闘)により「切り/1D-2」ダメージを与えます。

 標準的な雄の狼です。ある程度までは飼い慣らせますが、犬ほど従順にはなりません。
 狼は群れで狩りを行います。複数の狼が「噛みついて離さない」ことによる「組み付き」を行い、動けなくなった標的に対して一匹の狼が喉笛に噛みついてとどめをさします。

(プファイトの狼)
体力:15 敏捷力:14 知力:術者と同じ 生命力13
速度/よけ:9/7 受動防御:1 防護点:1
体重:120kg 大きさ:2ヘクス
噛みつき(近接戦闘)により「切り/1D+1」ダメージを与えます。
牙は魔力を帯びており、非実体(ゴーストなど)にもダメージを与えます。
《粉砕》の呪文を18レベルで使用できます(消費コストはゼロ。拡大は3倍まで)。
「加速」能力を持つため、1ターンに2回行動を行えます。

 プファイトの樹を寝床とする狼で、通常の狼よりもかなり大柄で、豹くらいのサイズになっています。
 咆哮に破壊の力が秘められており、《粉砕》を18レベルで行使する事ができます。3倍まで拡大可能なので、3Dダメージでこれを行使します。消費コストは0です。これで対象の武器を破壊してから、格闘戦に挑むのがセオリーでしょう。
 プファイト氏族の<導き手>のエルファは《化身》の呪文を使うことで、わずかな時間だけこれになる事が可能です。


《樹霊覚醒》 通常 (植物系呪文)
 祖霊植物にかける《動く植物》です。動かせる対象が祖霊植物に限定されている代わりに、樹のサイズに関係なく消費コスト3で済みます。根っこで歩かせる場合は、エネルギーコストを倍にして下さい。
■持続:1分 ●消費:3・維持は不可。動かすなら2倍。 ◆準備:5秒 ★前提:素質1

(プファイトの樹)
体力:30 敏捷力:11 知力:3 生命力:消費エネルギー×4
速度/よけ:3/5 受動防御:2 防護点:6
体重:700kg 大きさ:1ヘクス(幹の太さ)
枝(距離C、1~3)により「叩き/1D+3」ダメージを与えます。

 一般的なサイズのプファイトの樹です。幹の部分が1ヘクスのサイズで、枝葉は高さ10メートル付近から幹を中心に2~3ヘクスほど広がっています。
 夏から秋にかけて実がなっている時期は、幹を中心とした半径2ヘクス以内の範囲全域に対し、木の実を落として爆撃可能です。ただし熟している実しか落ちず、ダメージは「叩き/1D」に留まります。範囲内の者は「よけ」「とめ」による回避が可能です。
[原作からの変更点]
 原作における管理人のプファイト氏族の戦士のイメージは、「古代ローマ帝国期に活躍したゲルマンの森の戦士たち」です。裸に近い恰好で、スリングによる投石を行ったり、槍と盾、あるいは棍棒を持って、金属鎧を着こんだローマ兵と白兵戦を行ったと言います。

 彼らはゲリラ戦が主体であり、正面決戦は常に避けていました。装備の文明レベルがあまりに違いすぎたため、まともにやり合っても勝てません。暗闇を利用して奇襲をかけて心理的に圧倒した状態で、ようやく対等といったところ。森という地形を最大限に利用して、相手から見えないところで策動したわけです。そして側面から奇襲をかけては逃げる、これを繰り返す。

 おそらくプファイトの戦士とは、そういうことを目指す連中なんでしょう。1000人の部族で4~50人と、かなり人数も少ないですし、まともに正面からぶち当たる設計とは、ちょっと思えません。

 しかし困った事に、原作のプファイト氏族は、使える呪文が物質操作系だけという、何とも戦術とかみ合ってない仕様です。
 物質操作系呪文ってのはですね?重装甲の騎士とかの支援魔法としての使い方が主体なんですよ。《物質硬化》で武器の品質を上げ、《切れ味》でさらに威力をあげつつ、壊れたシールドは《修理》で補修。敵に対しては持ってる武器に《粉砕》や《分解》をかけて丸腰にすることで、こちらだけが武器を持ってるというアドバンテージを得て、戦いを有利に進められる…そういう系統です。

 そのため、軽装で爆薬しか持ってないプファイト氏族の戦士には、あんまり役に立たないです。そこで、破壊担当ということで火霊系呪文の習得も入れました。原作小説では、火を扱うには何やら別の氏族(火と料理の下位氏族でしたっけ?)の許可を取らねばならないうんぬん言ってましたが…いや、破壊担当が直接管理できないとか意味ないだろ?それ(笑)。だいたい、プファイトとかいう熱を発生させる爆薬を散々使っといて、いまさら「火は担当外」とかないでしょうに…。

 そういうわけで、火霊系呪文を入れてしまって問題ないと思います。エルファは体力が低いため、どうしても火力に劣るところがありますが、火霊系呪文が使えるならば《火炎噴射》などで威力を稼げますし、武器がなくて丸腰の状態でも、《火球》などで咄嗟に応戦できます。
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