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● サンプル・キャラクター(緑の月/エルファ)
 以下は、改変ルールに則って作られたサンプル・キャラクターです。100cpでプレイヤー・キャラクターを作る際の参考にして下さい。なるべく単純化したつもりですが、防具魔化呪文が施された強力な魔法の鎧など普通に着用していたりと、そこそこマンチキン気味に作成してあります。
【設定】
 レスティリ氏族の治療師です。勤勉な者が多いエルファ種族の例に漏れず、彼女も戦闘・医療行為・狩猟・呪文のいずれもこなせるオールラウンダーです。ただし、突出した能力はなく、難易度の高い案件での解決能力は高くありません。
 エルファは文武両道な種族である事から、彼女のような「万能だけど突出した能力がない」者が非常に多く、長老たちはそれを是正するため、見込みのありそうな若者に「一芸秀でさせる」目的で〈使命〉を授け、冒険を通じて外の世界での経験を積ませようとします。
 彼女もそんな若者の1人で、〈導き手〉に昇格したと同時に森の外での使命を授かり、ごく自然に修行の旅に出ました。

 なお、彼女は「くいしんぼ」の特徴を持っており、美味しいものに目がない性格なので、「ちょうどよい機会なので、各地の美味しい料理調査をしましょう!」と、何やら別の方向で高いモチベーションを持ち、各地を放浪しているようです―――まぁ動機は何であれ、実戦経験を積めれば問題ないわけですが。


【性能】
 あらかじめ15レベルで習得している《弾丸硬化》の呪文で矢筒1個に詰め込んである矢10本を強化・維持しておき、戦闘になればこれを使って遠距離支援を行います。必要であれば、《鷹目》の呪文で距離修正を縮めて下さい。もし白兵戦要因が足りない場合は、《化身》の呪文で豹に変身して戦います。
 注意点ですが、治癒呪文を使う際、自分が受けているダメージ分だけ発動ペナルティが発生する事から、可能な限り近接戦闘は避けた方が良いでしょう。少なくとも味方戦士がまだいるうちは、彼女が前線にでしゃばる必要はなく、後方で弓矢で支援に徹した方が良いでしょう。

 なお、治癒に使えるのは〈高級処置〉技能、《小治癒》《大治癒》の呪文となります。また、氏族の独自呪文《回復の眠り》は、目標を眠らせる事で最大8点の負傷を治癒できます(SF作品でたびたび登場する「コールド・スリープ」を魔法で行うものです)。
 その他、〈診断〉(病気の識別)や〈毒物〉(毒の識別)の技能で診察を行い、《療治》や《解毒》の呪文で治療する能力も所持しています。
【設定】
 プファイト氏族の魔法戦士です。故郷の森にいた頃は、拠点で報告を待ち、報告を受けたら直ちに魔法で狼に変身して現場に急行する任務に就いていました。
 プファイト氏族の戦士は、だいたいが狩る獲物を1つに定め、それに特化して狩猟するのですが、彼が標的に定めたのは―――ルナルの歴史においてエルファ種族全体の名声を地に貶めた〈悪魔〉でした。当然、そのようなものは森での平穏な生活で滅多に遭遇できないため、長老から終わりなき〈悪魔〉狩りの〈使命〉を授かり、当てのない旅に出る事になりました。

 彼は生真面目で手を抜くことを知らない意識高い系の人物であり、それゆえに自分の命や人生に対して無頓着であり、この世界には色んな人生観がある事を知りません(というか興味ありません)。森の外での冒険でそれらを学び、彼の人生観を大きく変える良き仲間に巡り合えれば、人として大きく成長できるだろう――――と、長老たちはそんな思いで〈使命〉を与えています。
 「贖罪者の誓い」を立てたエルファは、生き急ぐあまり短命な者が非常に多いようです。しかし、長老たちは決して「神風特攻してでも黒の月を滅ぼせ」という考えで〈使命〉を与えるのではありません。それでは、黒の月の思想と何ら変わらないからです。

 果たして彼は、冒険を通じてその真意に気付く事ができるでしょうか…?


【性能】
 2パターンの運用があります。1つは「拠点で待機し、斥候の情報が届いた時点で〈変身/狼〉の呪文で狼に変身し、移動力9で現場に急行し、変身を解いて戦う」という可変型モビルスーツ的な戦い方で、防衛戦などを想定しています。もう1つは「既に現場に到着した状況で、〈すばやさ〉の呪文をパワーレベル4(消費7)を使って技能レベルを大幅に向上(+4)させてから対決する」といったガチ勝負(小細工なしの正面対決)を想定しており、主にこちらから攻める時を想定しています。
 エネルギー・コストの関係から、〈変身〉(コスト6)と〈すばやさ〉(コスト1~9)の同時運用はかなり厳しいため、状況に応じてどちらかに切り替えて下さい。戦士としての腕前は悪くはないのですが平凡であり、致傷力もあまり高くありません。決闘状態では〈すばやさ〉による技能向上を行い、主に顔などの非装甲の部分を狙って部位狙い攻撃していく形になるでしょう。
 なお、〈強靭精神〉技能に大量のCPをつぎ込んでいるため、魔術師の呪文に対し、常に「16」を基準値で呪文抵抗が行えます。邪術師相手の時など、パーティーの最前列を務める事ができます。

 戦い以外のスキルとしては、〈生存〉技能やプファイト・スロウアーで食料判定を行ったり(サバイバル能力)、〈爆発物〉技能によりプファイトの実を爆弾に見立てて家屋の破壊工作を行ったり、呪文で火を点けたり消したりできます。現代地球におけるレンジャー隊員に近い人材と言えるでしょう。
【設定】
 ジャング氏族の処罰者です。彼女は暗殺に特化しており、ジャング氏族の者のもう一つの「仕事」(性に関する事)に関しては完全にノータッチです。しかし、魅力的な容姿をしている事から、そっちの仕事を期待される事もありました(本人は乗り気ではないのですが…)。

 彼女が森の外に出るきっかけとなったのは、仲間の処罰者が仕事をしくじり、処罰対象を逃してしまったので、その「尻拭い」をするためでした。処罰対象は、〈円環〉を裏切って多大な被害を与えたエルファの女性と、その女性と情夫関係になり事件に関与していた人間の男性でした。
 エルファ女性の方は、森からの逃走中に「処分」(暗殺)されたのですが、男性の方は熟練の暗黒騎士(闇タマットに堕ちた元ファイニアの重装騎兵)であったため、ジャング氏族が一般に扱うポイズンブレードや格闘術では、分厚い装甲に対して太刀打ちできなかったのです。そのため、《脱水》の呪文による装甲無視ダメージ攻撃が可能な彼女が選抜されました。
 しかし、〈忍び〉技能を駆使しての暗闇からの呪殺に失敗します。どうやらその暗黒騎士は高いレベルで「意志の強さ」を持っており、なんと呪文に対して抵抗したのです。

 呪文すらも効かないと知った彼女は、異種族の仲間も集めて正面から戦う事を考えます。冒険者として仲間を募るか、どこかのパーティーに加わり、秘密裡に任務を達成する事を考えています―――それは、人間の時間感覚だと非常に気の長い計画ではありますが。
 果たして彼女は、首尾よく標的を抹殺する事ができるのでしょうか。


【性能】
 〈ポイズンブレード〉は〈マンゴーシュ〉技能と同じ扱いなので、15レベルの彼女はそれなりの近接戦闘能力があります。ですが、生命力と魔法抵抗力が低い事から、基本的には中距離~遠距離アタッカーとして運用します。
 メイン火力は、熟練により準備1秒で使用可能になっている《脱水》ですが、これはサイズが大きいモンスター相手だとほぼ使い物にならなくなる事から、ロングボウでの射撃能力も持っており、この二つを使い分けて後方支援を行います。雑魚相手であれば、ナイフと格闘術だけでも十分制圧可能でしょう。

 戦闘以外では、主に体術と隠蔽技術に優れる事から、偵察や見張りが行えます。ただし〈尾行〉技能は備えていないため、シティ・アドベンチャーには不向きです(そもそも褐色で長身のエルファ美女などといった存在は、人間の街だと非常に目立ちます)。
【設定】
 カアンルーバ氏族の情報員ですが、破壊工作の実行指揮官も兼ねています。《動物作成》の呪文で、手足となる「実行役」を作り出し、実際に〈円環〉にとって不都合な存在を破壊したり消したりする汚れ仕事に従事しています。人間でいうところの「王国諜報機関の破壊工作員」や「騎士団のコマンド部隊」と同等の存在と言っていいでしょう。
 このような仕事では、〈円環〉に報告して指示が返ってくるのを悠長に待つだけの余裕がない事も多く(エルファは人間と比べると寿命が非常に長い種族であるため、長老たちの決断速度も人間より遥かに時間がかかる傾向にあるようです)、現場の工作員が独断で「処理」を行う事もそこそこあります。結果、「自分が本当は一番偉い影の実力者なのだ…!」と勘違いし、尊大な性格になってしまうエルファもたまにいます。

 ここに挙がっている男性は元から尊大な性格で、自分1人で情報を独占して勝手に処理してしまう事案がたびたびあったため、長老たちに問題視され、森の外での無期限の〈使命〉を与えられて放り出されてしまいました。無論、知性の高い彼はその真意に気付いてますが、「私の故郷は私の価値を理解していないようだ」と鼻で笑い、「むしろ自由度が上がって気が楽だ」とばかり、外での謀略を楽しんでいます。
 彼は冒険者になりましたが、別にはぐれ者ではないので、今でも故郷の〈円環〉の利益を最優先で活動しています。ただし彼は、「エルファは他の種族よりも上位の種族だ」と思っている節があり、それが普段の言動や策略の一環にも見え隠れしています。それが対人関係でトラブルの元になったり、ひいては故郷の立場を逆に悪くする可能性があるかもしれません。


【性能】
 《動物作成》の呪文を用いて、単独で「小隊規模の戦闘集団」を作り出す事ができます。具体的には「ゴリラ小隊」や「ヒグマ小隊」といった動物の群れとなります。これらは、監視役の動物を通じて、遠隔地での運用も可能です―――現代地球でいうところの無人ドローン部隊のようなものと考えて下さい。

 最初に、「目」となる鳥類を生み出します。ベーシックに掲載されている中から選択するならば、猛禽類の「鷹」(旧ベーシックp447)が良いでしょう。消費コストは、維持コストを含めてもゼロですが、生み出したそれにさらに《動物知覚》をかけ、呪文を維持し続けます(コスト3。維持コストはゼロ)。
 この鳥の意味ですが、《動物作成》で生み出された動物たちは精神的な命令で行動させられるのですが、術者の視界内にいないと、リアルタイムで適切な指示が出せません。そのため、監視役となる動物が必要なのです。この役には、飛行可能な鳥類が最適と言えます。

 次に、実際の戦力となる動物たちを生み出します。《動物作成》20レベル以上であれば、体重100キロ以内の動物であれば維持コストがゼロになって好きなだけ運用できるので、ベーシックの中から選ぶならば、最小サイズの「ゴリラ」か「ヒグマ」(旧ベーシックp442)が戦力としてお勧めです。どちらも似たような戦闘力なので、召喚する環境に応じて選択して下さい(寒冷地で熱帯雨林生息のゴリラを出しても、凍えて戦力にならないでしょう―――「作成物」と言っても、魔法で生成された以外は普通の動物と全く同じ生理機能である事を忘れないで下さい)。
 なお、「複数の呪文を維持すると、他の呪文を使う際のペナルティが累積する」ルールがあるため、「目」の役となる鷹も含めると、呼び出せる数は8体が限界でしょう(鳥+《動物知覚》+熊8体で合計-10のペナルティ)。また、召喚の途上で疲労点が底を尽くはずなので、20レベルまで上げた《体力回復》の呪文を利用して補給して下さい(《体力回復20》だと2分休憩で1点分の疲労が回復します)。

 「作成物」としての動物たちは、精神的な命令だけで行動を指示できますので、《動物知覚》をかけられた監視役の鳥の目視範囲にいる限り、術者から遠く離れた遠隔地でもリアルタイムで直接行動を指示し、任務を遂行させることが可能です(鳥自体も「作成物」なので、視覚を通じての直接行動指示が可能です)。
 標的を謀殺するなら、格闘手段が豊富なヒグマ小隊、何かしら複雑な破壊工作をさせたいなら、知力の高いゴリラ小隊を差し向ければ良いでしょう。また、プファイト氏族のエルファたちの協力が得られるのであれば、鳥類だけの部隊を編成してプファイトの実を足に持たせ(1個くらいなら運べるでしょう)、遠隔地まで飛行させて爆撃を行うといった戦術も考えられます。
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