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● ミュルーン
[ミュルーン種族セット](25cp)
体力-1、敏捷力+1、生命力+1(+10cp)
翼による飛行(翼と腕が一体化、1分で2点疲労 -30%)(21cp)

 翼=手なので飛行中は腕が使えない。風がある場所では<滑空>判定に成功すると疲労なしで飛び続けられる。生まれつき<飛行>技能を敏捷力に等しいレベルで所持している。移動力は歩行時の2倍。

短命1レベル(-10cp)

 9歳で成人し、25歳から老化が始まる。技能に投資可能なCPは年齢の4倍。

余分な腕L2(足の先についている -30%)(14cp)

 手と同じように足で物が持てる。いずれの足も逆腕扱いで、武器を振るう際は-4のペナルティ。キックを行う場合は通常の「足」と見なして、敏捷力(or<格闘>)-2で蹴りを行える。

鋭敏視覚3レベル(明るい場所のみ -30%)(5cp)
望遠視力1レベル(明るい場所のみ -30%)(5cp)

 射撃の際、距離を2分の1として距離修正を求められる。

視覚の鈍さ3レベル(暗い場所のみ -30%)(-3cp)
近視(暗い場所のみ -30%)(-18cp)

 眼鏡による矯正不可。

癖/おしゃべり(-1cp)
<気象学>を知力に等しいレベルで習得済み(2cp)

*身長は同じ体力の人間の6割、体重は4割。
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[体格表]
体力
5
6
7
8
9
10
11
12
身長/体重(女性)
96cm/24kg(93cm/20kg)
98cm/24kg(95cm/22kg)
99cm/25kg(96cm/22kg)
101cm/25kg(98cm/22kg)
102cm/26kg(99cm/23kg)
104cm/27kg(101cm/23kg)
105cm/28kg(102cm/24kg)
107cm/29kg(104cm/25kg)

13
14
15
16
17
18
19
20
身長/体重(女性)
108cm/30kg(105cm/26kg)
110cm/31kg(107cm/27kg)
111cm/32kg(108cm/28kg)
113cm/34kg(110cm/29kg)
114cm/36kg(111cm/30kg)
116cm/38kg(113cm/32kg)
117cm/40kg(114cm/34kg)
119cm/42kg(116cm/36kg)
*身長は+5~-5、体重は平均の0.9~1.1倍の範囲で変動しても構いません。ただし、身長に対して体重が離れていると「肥満」や「やせっぽち」の特徴に抵触するので注意。なお、身長に応じた平均体重を2割以上増減すると、容貌を「良い」以上で維持できません。

*一般に生命力が平均より低いと、身長に対して体重が小さく細身になる傾向にあります(ダメージ耐性が下がる理由)。また、低身長キャラであっても体力に応じた体重から、あまり変動させないで下さい。体重がなければ、体力に準じた重量を支えられないからです。

*「巨人症」や「矮人症」のミュルーンは存在しません。
■種族概要
 ミュルーンは彷徨いの月を崇める種族の中では、最も人間に親しい存在です。
 外見は二足歩行するダチョウといったところですが、飛行能力は残っており、長時間は飛べませんが羽ばたいて飛行する事が可能です。翼の先端には人間と同じ5本指の手を備えており、人間とほぼ同程度の作業が可能です。
 精神的には陽気で短気でおしゃべりで、高い環境適応力を持ちます(彼らは、地球でいうところの関西弁でしゃべります…あくまで標準語に対する方言というニュアンスを示すものなので、本当に日本語の関西弁で喋っているわけではありませんが)。
 特におしゃべりは顕著で、どんなにいじけて悪に堕ちたミュルーンであっても、徹底してしゃべり倒します(寡黙なミュルーンなんてものは「床上手な処女」と同じくらい矛盾した存在です)。また「渡り鳥」の気質が強いようで、定住を好まず、常に移動し続けています。

 寿命が人間より短く、9歳で成人と見なされ、25歳から老化が始まります。ミュルーンたちは発情期とそうでない時がくっきり分かれており、発情期になると伴侶を見つけて、草原で巣を作って卵を産みます。この時だけは定住を行います。
 そして子供が十分に育つと、家族は「解散」となり、それぞれが自由気ままに旅に出ます。ミュルーンに結婚の概念などなく、血縁や制度に縛られる事を良しとしません。何者にも縛られぬ自由気ままな放浪生活こそが、彼らにとってのデフォルトなのです。

 そんな風来坊なミュルーンたちが人間と深く関わるようになってしまったのは、双月歴が始まってから人間が開発した「お金」が原因でした。種族の根幹が鳥なだけに、光り物に執着する心が金に魅了されてしまったのです。彼らはお金(ムーナ貨幣)を「銭」(じぇに)と呼びます。現在のミュルーンは人間社会で郵便業務を請け負い、旅をしながら「銭」を稼ぐ事に懸命になっています。
 ミュルーンの伝令ギルドといえば、大都市はもちろん中規模以下の村にまで存在し、ルナルの人間社会の平民レベルでの通信業務を一手に引き受ける存在となりました。もはや伝令ギルドなしでは、人間の側が文明の維持に支障をきたすレベルにまで溶け込んでいます。こうした高い環境適応性から、流浪の種族でありながら人間と同程度の文明理解力を備えています。

 ミュルーンの8割はこの伝令ギルドで働いていますが、「どうせ短い命や。もっとド派手に稼ぎたいんや」とか、「わいはスリルと引き換えに、給料分の仕事をすることにしたで?」とか語り出すスタイリッシュなミュルーンは空挺専門の傭兵業を営み、各地の戦場を転々としています。
 ルナルの航空戦力の基本はミュルーンであり、並の兵士より高級取りです。といっても、ミュルーンは飛行中に手は使えませんし、足さばきだけではあまり戦力にならないため、主に降下猟兵(自前で飛んでいって敵中に降下)や爆撃(重量物を敵陣の上から落とす)が主な任務となります。



■■ 種族に多い特徴
 人間、ドワーフの都市部で暮らすミュルーンの8割が「強欲」「けちんぼ」のいずれか、あるいは両方の特徴を持っており、がっぽり稼いでは使いもせず、眺めてニコニコする生活を送っています。あるいはそれと全く逆で、銭を使う快感を覚えてしまった結果、「浪費癖」といった形で発現する者もいます(「美しい銭」で他人に施しを行う幸せに浸っているパターン)。
 いずれも銭に恋してしまったミュルーンたちの特徴であり、彼らが金銭に対して正常な感覚を持つのは至難の業のようです。

 一方、あまり都市部と関わらないミュルーンは、鳥ゆえにやや気が短いものの、基本的に善良でお人好しです(「直情」や「朴訥」、「誓い/困ってる人を見捨てられない」などが適切でしょう)。
 ゼクス共和国の大草原などを駆け回っているミュルーンたちは、エタンの民として銭の計算など堅苦しい事に拘らず、大らかな気質です。ゼクス出身のミュルーンであれば「エタンの気質」(-15cp)でそれを表現できるでしょう。

 悪に染まったミュルーンというのはあまり見かけませんが、傭兵を営むミュルーンのうち、金のためなら手段を選ばなくなった個体が、闇タマットや<悪魔>教団の護衛や暗殺業などに就いている事があります。彼らもぺちゃくちゃとしゃべり倒しますが陽気さはなく、「残忍」や「暴れん坊」といった好ましくない特徴を備えた問題児だったりします。
 ただし、定住するような種族ではないため、巨大な犯罪組織を形成して暴利を貪るといった、不動産の管理が必要になる悪事に手を出す事はありません。各地を転々として、危ない裏稼業に手を出しては荒稼ぎするといった悪質な賞金稼ぎが、ミュルーンの悪党としてはお似合い(?)でしょう。
 スターウォーズ・エピソード1に登場したポッド・レーサーのセブルバが、悪党ミュルーンのイメージに近いかもしれません。


■■ 種族が好んで使う武器
槍(雷のイメージ)、クロスボウ(降下猟兵の武器)
■■ 独自の特徴
●梟族(5cp)
 夜行性の鳥類(主にフクロウ)の形質を受け継いでおり、夜間に強く、昼間に弱い性質を持ちます。視覚に関して「明るい場所」と「暗い場所」のボーナス/ペナルティを完全に逆にして適応し、さらに「暗視」を持っています。
 ただし、ミュルーンの多くは昼行性であるため、同族との交流の機会がぐんと減る事から、レベル1の「社会的弱者」(-5cp)を含んでいます。一般の昼行性の同族からは反応-1になりますが、同じ梟族は結束が強くなるので反応+1されます。


●派手な体毛(0cp)
 体毛が赤や青、白など原色の派手な色合いの場合、「派手な体色」となります。これらは非常に目立つため、<忍び><偽装>、街中での<尾行>などで-3修正が課せられます。
 ただし同族のウケはよく、反応に+1修正があります。求愛行動などで優位に立てます。


●地味な体毛(5cp)
 体毛が茶色や灰色、黒などを基に、縞模様など迷彩効果のある体毛である場合、「地味な体色」となり、<忍び>や<偽装>に+1修正が得られます。
 ただし装備品が派手な色合いだと、その効果を失うので注意して下さい。


●万色の体毛(10cp)
 彷徨いの月の加護を強く受けているらしく、体毛を自由に変化させられる特異体質です。上記の「派手な体毛」「地味な体毛」を自由に切り替えられます。

 この特徴は「月の賜り物」と同じ属性であるらしく、修行によって後天的に獲得可能です。


●鋭敏感覚および鋭敏視覚・聴覚・嗅覚(5cp/レベル または 2cp/レベル)
 種族セットに視覚系の特徴が入っていますが、それとは別にさらに感覚を鋭くできます。この場合、夜間であってもプラス修正として働くので、種族ペナルティを打ち消す事も可能です。これらは昼夜問わず効果があるので、通常通りのCPを払って獲得して下さい。


●器用な足(10cp)
 「両手利き」(10cp)のバリエーションで、両腕ではなく足の片方(通常は利き腕と同じ側の足)が利き腕と同様に動かす事が可能となります。
 ただし可動範囲が限られており、(飛行していることもあり)全身の力を伝える事も難しいので、白兵武器の攻撃に使う際は-2のペナルティがあります。また、装填済みのクロスボウを撃つくらいなら可能です(同じく-2修正)。ただし、いずれも「飛行戦闘」のルールが適応されるため、技能レベルが低いとほとんど役に立たない事に注意して下さい。
 この特徴は訓練によって得られるため、後天的に獲得可能です。

 なお、この特徴のあるなしに関わらず、ミュルーンは足に保持している投擲物を狙って落として「爆撃」する事が可能です。「落下物」のルールに従ってダメージを算出して下さい。この場合、飛行戦闘のルールは無視して構いません。命中判定は敏捷力or<投げ>技能で行います。



■■ 独自の技能
<滑空>(肉体/並)
 ミュルーンの飛行能力は完全ではなく、1分毎に疲労してしまいますが、風のある場所でこの技能の判定に成功すれば、上手く風に乗ることで疲労を回避する事が可能です。
 この判定は1分おきに行いますが、非戦闘時の移動中であれば、一回の判定成功で10分間判定不要で疲労を回避できます。


<荷重飛行>(肉体/並)
 荷重レベルが「重荷」以上の時、判定に成功すれば飛行し続ける事が可能です。ただし<滑空>は行えず、1分毎に4点疲労します。
 高度を維持するのではなく、ゆっくりと落下・着地するのであれば、疲労は通常の2点で済みます。


<話芸>(精神/難)
 <吟遊詩人>と<言いくるめ>と<演劇>を混ぜたような技能で、ユーモアセンスに満ちたトークを行うことで、聴衆を楽しませる事ができます。芸術系技能として扱われ、一般的な吟遊詩人が音楽を奏でて聴衆から「おひねり」を貰うのと同じように、<話芸>でお小遣いを稼ぐ事が可能です(職業表を用いる場合、「厳しい職業」の「芸人」と同じ扱いとします)。



■■ 月の賜り物[風の通り道]
 ミュルーンは、風を操作する特殊能力を授かる事があります。これらは「天候操作」に属する能力であるため、空が見える範囲(通常は屋外)でないと発動しません。


[温度変化] 広範囲型
 範囲内の気温をパワーレベル1ごとに5℃上下させることができます。ただし最高気温50℃、最低気温-50℃の範囲内に限られます。温度変化は1ターン集中につき10℃で、戻る時も同様のペースで戻ります。

レベルコスト:1cp(最大10レベル)/持続:分単位


[天候操作] 広範囲型
 パワーレベル1ごとに1段階、天候表に従って天候を変化させることができます。一度使用すると、持続時間が切れるまで再試行できません。

(天候表)
快晴 風速2m/秒
晴れ 4
曇り 6
霧雨 8
雨(雪) 10
大雨 15
土砂降り 20
嵐 30
台風 40
ハリケーン 50

レベルコスト:3cp(最大10レベル)/持続:分単位


[突風] 射撃型/「よけ」可能
 パワーレベル1ごとに2Dの威力を持つ突風を標的1体に叩きつけます。この風はダメージを与える事はできませんが「跳ね飛ばし」を発生させます。算出したダメージを8で割って(端数切り捨て)、その数値ヘクス分だけ対象を後退させます。1ヘクスでも後退させた場合、対象は即座に敏捷力判定を行い、失敗すると転倒します。

レベルコスト:2cp(最大5レベル)/持続:一瞬


[落雷] 射撃型/「よけ」可能
 屋外でしか使えません。狙った標的に落雷を落とします。ダメージはパワーレベル1につき1D-1で、金属鎧は受動防御0、防護点1と見なします。
 この賜り物は天候の影響をモロに受けます。天候表で「雨」以上の悪天候でないと、雷の威力が減衰するのです。具体的には「霧雨」「曇り」の時はパワーレベル-1、「晴れ」「快晴」でパワーレベル-2されます。これによりパワーレベルが0以下になると、雷は落ちてきません。

レベルコスト:3cp(最大5レベル)/持続:一瞬
[原作からの変更点]
 まず、足が腕のように使えるのは明らかに「有利な特徴」なので、妖力の「余分な腕」で腕を二本追加しています。ただし追加分の腕は「足の先にある」ので、CP軽減対象です。このルールは第4版にしかなかったので、仕方なく第4版ルールで軽減しました。


 あと、ガープスにおける「翼」の特徴は、「四肢とは別途で、独立した翼が生えてくる」のがデフォルトであるため、翼=腕の場合はCPを稼げたりします。これは「ガープス・百鬼夜翔」にしか記述がないルールです。
 生物学的に見ると、基本的に地球上の生物は全て「四肢」であり、翼は腕が変化したものです。なので地球の飛行生物は、人間で言うところの「腕」が存在せず、人間のように複雑な作業が行えず、知能もそれに応じて低くなっています。
 架空生物のドラゴンのような「四肢+別途で翼が1対」という合計「6肢」の生物は、少なくとも地球上の生物史では存在しないことは、GMであれば覚えておいた方が良いでしょう。

 そんな中、ミュルーンは地球の生物史に忠実な(?)種族で、腕がそのまま翼にもなるので、飛行中は腕を使った作業が行えません。そのため、空中だと実はあまり出来る事がありません―――「月の賜り物」で「突風」か「雷撃」でも習得すれば話は別ですが。ただし、飛行中の射撃は膨大なペナルティが来ることを忘れないで下さい。17レベルに満たないと、満たない数値分だけ命中ペナルティになるというマゾ仕様のルールがあなたを苦しめます(笑)。

 ぶっちゃけミュルーンは、飛行戦闘に向いてません。飛行戦闘では、<格闘>15レベル以上でキック(<格闘>-2)を行うのが精一杯でしょう(飛行中は白兵戦武器が15レベルに満たないと、足りない分だけ命中判定にマイナスが付くというマゾ仕様なので)。また、足で武器を使うと「器用な足」を持っていても-2のペナルティが発生するため、あんまり鋭い一撃は放てません。
 さらに、飛行に使用している技能(ミュルーンの場合は<飛行>技能)が15レベル以上ないと、武器で「受け」を行うのに-2のペナルティを受けます。

―――つまり100CPの段階だと、体力も生命力も、そして知力すらも削って敏捷力に投資し、さらに「器用な足」の特徴も獲得して、ようやく滞空戦闘可能なミュルーンになるかな?ならないかな?といったところです。<滑空>技能が高くないと、すぐにバテて燃料切れになりますし。ミュルーンが「対地爆撃機」ではなく「空対空戦闘機」になるのは大変です。
 なので、大半のミュルーンの傭兵は空中戦をやるだけの満足な技量を持たず、あくまで降下猟兵(パラシュート降下で敵地深くに降りて奇襲を行う空挺兵)として活動していると考えるのが妥当です。


 視覚関連に関しても、ちゃんと特徴を揃えました。「感覚の鈍さ」は妖魔夜行に記載されている弱点の特徴で、鋭敏感覚系の特徴の逆バージョンで、感覚判定にペナルティが付くというものです。明るい場所では非常に有利な分、暗い場所では徹底的に使えなくなってます。

 あと「望遠視覚1レベル」があるため、射撃を行う時の距離修正を求める際、実際の距離の半分で距離修正を導き出す事ができます。つまり100メートル先を狙う場合、50メートルとして距離修正を出せます―――といっても、100が50になっても距離修正は-10から-9に下がるだけなので、凄まじく強力な能力というわけではありません。とりあえず「距離修正が1~2点有利になる程度の能力」だと認識しておけば問題ないでしょう。


 なお、原作ルールにあった「鎧のサイズが小さいから重量半分」とかいうルールは、改変ルールではなくなっています。通常通りの重量で計算して下さい。おそらくヘビー・レザーは<軽量化>の魔化を施さないと着用しにくい装備になるでしょう。
 鎧が縮小するほどの修正が付いてしまうほど小さいと、そもそも恒久的な「縮小」の特徴(妖力)を取らねばならなくなり、種族の根幹が揺らぎます。実際に「縮小」を1レベルとっただけで、体力と移動力と防護点が半減するのです。そうなれば、ほぼ確実に戦力外通知を受け取るハメになり、これまで散々活躍してきたミュルーンの槍使いとか、実用性を失います。

 そういう事態は何としても回避したかったので、縮小1レベル(サイズ半分)を取らないでいいギリギリの体格(人間の6割)で小型化を止めておき、鎧は人間と同じ重量で計算する方向性でいきました。飛行生物はソフト・レザーが標準でいいでしょう。飛行できるだけでも、かなり強力なアドバンテージを得られるのですから、その上「固い」とかになると、戦闘が長引いてダレる原因になります。
 そういう面倒なキャラは、緊急クエストのレイドボスだけでいいでしょう…
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