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● シャロッツ
[シャロッツ種族セット](25cp)
体力-2、敏捷力+1、生命力+1(+5cp)
高速走行1レベル(20cp)
 移動力2倍。向き変えを行わないでほぼ直進のみ。「よけ」に影響しない。
毒無効(15cp)
 あらゆる毒素の影響を受けない。タバコやアルコールなども中毒症状が出ない。
外見的不老(0cp)
 外見は人間の子供と同程度(10~12歳)まで成長すると、それ以上は全く成長しない。ただし能力値など内部は成長・老化しており、外見にも若干影響が現れる(目じりに小じわができるなど)。人間と同じく、50歳から老化判定が必要。
お祭り好き(-5cp)、好奇心1レベル(-5cp)、くいしんぼ(-5cp)

*身長、体重は同じ体力の人間の6割。
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[体格表]
体力
5
6
7
8
9
10
11
12
身長/体重(女性)
96cm/36kg(93cm/30kg)
98cm/37kg(95cm/32kg)
99cm/37kg(96cm/33kg)
101cm/38kg(98cm/34kg)
102cm/40kg(99cm/34kg)
104cm/41kg(101cm/35kg)
105cm/42kg(102cm/37kg)
107cm/43kg(104cm/38kg)

13
14
15
16
17
18
19
20
身長/体重(女性)
108cm/45kg(105cm/39kg)
110cm/47kg(107cm/40kg)
111cm/49kg(108cm/42kg)
113cm/52kg(110cm/44kg)
114cm/54kg(111cm/46kg)
116cm/57kg(113cm/49kg)
117cm/60kg(114cm/51kg)
119cm/64kg(116cm/54kg)
*身長は+15~-15、体重は平均の0.9~1.1倍の範囲で変動しても構いません。ただし、身長に対して体重が離れていると「肥満」や「やせっぽち」の特徴に抵触するので注意。なお、身長に応じた平均体重を2割以上増減すると、容貌を「良い」以上で維持できません。

*一般に生命力が平均より低いと、身長に対して体重が小さく細身になる傾向にあります(ダメージ耐性が下がる理由)。また、低身長キャラであっても体力に応じた体重から、あまり変動させないで下さい。体重がなければ、体力に準じた重量を支えられないからです。

*「巨人症」や「矮人症」のシャロッツは存在しません。
■種族概要
 シャロッツは、身長1メートルくらいの小人族です。見かけは人間の子供ですが、太ももから下は馬あるいは鹿の脚になっており、人間には到底及ばぬ脚力を誇ります。
 またシャロッツは、額に短い角を持つフォーン族と、額に第3の目を持つケストレル族の二種に分かれます。ただし、両者とも性格や暮らしぶりは全く同じで、彼ら自身はそれらに関し、髪や目の色が違う程度の認識でしかありません。異種同士でも普通に婚姻可能で、どちらが生まれるかも完全にランダムです。ただし「月の賜り物」として授かる能力が異なります。

 精神的には、やんちゃな人間の子供そのもので、好奇心旺盛で遊び好き、美味しいものなら腹一杯になるまで詰め込むという、その時その時を楽しむ人生観です。人間のリャノ信者の気質に近いかもしれません。
 見た目も心も子供ではありますが、社会的に日常からタバコを吸う文化があり、ルナル世界にタバコを吸う文化をもたらしたのは、シャロッツであると言われています。タバコは煙によって害虫から身を守るのに使えるため、草原を駆けまわる彼らにとって、虫よけと娯楽を兼ねた都合の良い存在でした(人間にとっては中毒性を持つ薬物ですが…)。
 なお、彼らは体質的に解毒能力が非常に高く、タバコやアルコールの毒性などで健康を害したりすることは全くありません(ルール的にも「中毒」にはなりません)。人間にとっては中毒性を持つ各種薬物も、シャロッツにとってはコーヒー並みの嗜好品であり、単に感覚を慰める娯楽として、それらを味わっています。

 シャロッツもかつては彷徨いの月の種族らしく、キャンプ道具を持ち歩いて野宿を行い、草原や丘を転々とする移動生活を送っていました。
 しかし、人間が双子の月に鞍替えし、定住を開始して文明力を発達させるようになってからは、シャロッツの高い適応性はそちらに釣られて、人間と同じように定住生活を始めました。

 彼らは主に、草原や丘陵地帯で浅い横穴を掘って「住居」とし、家族の単位で生活しています。日常生活では、小規模の畑を営んだり、草原で狩猟を行って生活をしていますが、必要最低限の食料確保を行った後は、独自に考案したゲーム(ボードゲーム、言葉遊び、鬼ごっこなど何でも)で遊んでいます。そして夕方になるたびに、複数の家が集まって屋外で会食パーティーのようなお祭りを始めます。このお祭りは、可能な限り毎日行われます。
 こうした家族がいくつか集まり、100人程度の集落を築いてますが、集落は重要拠点でも何でもなく、災害で家が全壊したり、近くに危ないモンスターが住みついたり、近くの沼地の方から嫌なにおいがするとかいった理由で、簡単に引っ越してしまいます(この辺は彷徨いの月の種族)。定住している者であっても、畑で生産したタバコを売りに行くとかあれこれ理由をつけては、人間の町など遠くの目的地に旅行気分で出かけ、数日帰ってこないなんて事も日常茶飯事です。

 シャロッツの中には、人間の町に完全に住み着いている者もおり、裏タマットの野伏たちの仲間に入ったり、カジノでディーラー役を担当したり、稀に上流階級に入り込んで宮廷道化師などを務めたりする者もいます。主に、人間の赤の月の信者が就くような職業が、彼らにとっての天職のようです。PC(プレイヤー・キャラクター)として作成するなら、こうした都市型シャロッツがお勧めです。



■■ 種族に多い特徴
 底なしの楽観主義者である小人族シャロッツは、「自信過剰」や「喝采願望」を持つ者が大勢します。また、種族的に持っている「好奇心」の特徴を、さらに高いレベルで持つ者も少なからず存在します。

 生活スタイル別で見ていくと、草原の集落で牧歌的に暮らしているシャロッツは、必要最小限の生産活動しかしない事から「怠惰」の特徴を持つ者が一般的です。
 一方で都市部のシャロッツには、都市が次々ともたらすエンターテイメントを味わうために怠けてるヒマがなく、活動的なシャロッツが多いようです。ゲーム感覚で商売を行う「強欲」なシャロッツや、窃盗を行う「盗癖」のシャロッツなどがいますが、彼らは本質的にお金が目的ではなく、あくまで「遊び」の延長してやっているのが特徴です。
 そして、集めたお金は豪快に使って、別の「楽しみ」と交換するのが彼らの気質です。ミュルーンとは異なり、ケチに徹して「楽しみを我慢する」とか「いざという時のために蓄える」といった思考は、楽観主義のシャロッツには似つかわしくありません。

 ほとんどのシャロッツが、人生の半分以上を何らかの「ゲーム作り」に関わらせてますが、中には人生そのものをゲームと見立て、物語の登場人物となって「生涯をかけて物語を書く」といったシャストア信者っぽい「誓い」を立て、(シャロッツにしては)真剣に生きている者もごく稀にいます。


■■ 種族が好んで使う武器
ダガー、弓矢
■■ 独自の特徴
●平衡の角(15cp)
 フォーン族の角は月の賜り物として念動力を発揮する事がありますが、それが自身の身体の平衡感覚を直接補正するように機能する場合があります。
 この特徴は「完全平衡感覚」と同じように扱われ、足場が悪く、敏捷力判定が必要な際も+6修正を得られますし、戦闘中の各転倒チェックの際も敏捷力判定に+4修正があります。また、<操縦><軽業>技能を習得すると+1のボーナスを得られます。

 この特徴は、フォーン族のシャロッツのみが獲得可能です。


●第3の目(10cp)
 ケストレル族の額の目は、実際にはほとんど機能していないのですが、稀にちゃんと目として機能している者がいます。見える範囲が広がる事から「広視界」の特徴として扱います。ただしこの場合、額の目がキョロキョロと不気味に蠢くのがはっきりと分かるため、シャロッツ以外のNPCの反応が-1されます。
 「広視界」の特徴を持つ者は、側面ヘクスからの攻撃もペナルティなしで能動防御が行え、背後から攻撃されても-2修正で能動防御が行えます。さらに、誰かの<尾行>に気付くかどうかの視覚判定に+3の修正があります。

 この特徴は、ケストレル族のシャロッツのみが獲得可能です。


●ヘビースモーカー、アルコール中毒、その他薬物依存(癖、-1cp)
 人間やドワーフには中毒性を持つ各種薬物も、シャロッツにとってはただの嗜好品であり、中毒症状なども全く出ません。禁断症状が出る悪質な麻薬も、シャロッツにとっては「タバコの一種」程度でしかありません。
 シャロッツがこれらの薬物を愛好する場合は、-1cpの癖として扱います。人間社会で非合法な薬物はガヤン神殿に摘発されるリスクが高いため、そういうものの使用は避けるのが普通です。



■■ 独自の技能
<強行軍>(肉体/難)
 この技能は生命力が基準となります。
 シャロッツ特有の脚力を生かし、一日中走って行軍します。一日の始めに技能判定に成功すると、その日の行軍距離が通常の倍となり、夕暮れには荷重レベル+4点疲労した状態になります(夜間はよく寝て下さい)。判定に失敗した場合は20%増しに留まり、次の日にまた強行軍を行う場合、判定に-1修正を受けます。ファンブルの場合は、その日の行軍距離は通常と同じで終わってしまい、さらに足を痛めたせいで次の日は行軍そのものができなくなります(強制的に休息せねばなりません)。
 この技能を連続して使うと、判定に成功していても2日目以降は-2修正が付き、これは1日行うごとに累積していきます。判定失敗による-1のペナルティも一緒に重複します(ファンブル確率がどんどん上がっていきます)。この累積ペナルティは、1日動かずに十分に休息を取る事でリセットされます。行軍を止めない限り、たとえこの技能を使うのを止めたとしても、ペナルティは累積し続けます。

 この技能は、シャロッツの倍速移動が可能な脚力が前提となっているため、人間やそれに近い亜人種が学ぶ事はできません。


<強靭精神>(精神/難)
 シャロッツは、種族的に持っている底抜けの楽観性や、自由を重んじる個人主義が、他者からの干渉を受け付けない強靭な精神性として現れます。システム上、これは<強靭精神>技能として扱います。あらゆる呪文や月の賜り物への抵抗の際、対応能力値の代わりにこちらを使用できます。「意思の強さ/弱さ」が、技能への修正となります。呪文、超能力への抵抗以外の判定には使えません。

 シャロッツにとってのこの技能は、同じく独自技能として習得可能なガヤンやジェスタ信者のように、意識して訓練するものではなく、普段の日常生活の中で無意識のうちに培われる「生活習慣」「精神文化」の蓄積と見なします。


<遊戯盤作成>(精神/並)
 ボードゲームを作る技能で、アイデアをきちんとしたゲームとして形にし、他人がプレイしても面白いと思える物を作るためのものです。プレイする側のユーザがゲームで勝利を目指す場合は、この技能ではなく<賭博>技能を用います。

 この技能はシャロッツでなくとも学べますが、次々とアイデアを出して形にし、職として成立するほど熟練している(ゲームに情熱を傾けている)者のほとんどはシャロッツです。そのシャロッツたちも、これが本業という者は少なく、日常の生産活動の後に楽しみながらやる副業の形で携わっています。
 経済活動が盛んな人間の町で暮らすシャロッツのゲームメーカーの中には、この技能だけで生計を立てれるほどの熟練者もいます。この技能は芸術系技能として扱われるので、「職業表」の「芸人」の必要技能に適応する事が可能です。



■■ 月の賜り物[見えない腕]
 フォーン族のシャロッツは、月の賜り物として思念で物体を動かす念動力を授かる事があります。目標を目視できることが使用条件となります。


[念動] 射撃型/抵抗は特殊
 手を触れずに、念じるだけで対象物体を動かす能力です。生物を直接動かす事はできません。動かせる重量はパワーレベルに応じて決まり、1ターンの集中につき1メートル動かせます。

パワーレベル/重量表
1:15g
2:30g
3:120g
4:240g
5:1kg
6:2kg
7:8kg
8:15kg(体力1)
9:60kg(体力4)
10:120kg(体力10)

(所有物を取り上げる)
 念動で相手の武器など手に持っている物を直接奪おうと試みる事ができます。この場合、狙われた相手は、念動に対する知力抵抗を試みる事が可能です。
 術者が抵抗を突破すれば、相手の腕から武器を奪って自由に動かす事ができます。逆に抵抗されると、集中が一旦そこで途切れてしまいます(再度奪おうと試みるならば、もう一度能力を使って下さい…ただし、1回使用するたびに2点疲労する事を忘れぬように)。

 なお、ベルトなどに固定されている物体を奪う事も可能ですが、これも所有者の知力抵抗を受け、さらに取り外しにくさに応じたペナルティが精度レベル判定に課せられます。

(白兵武器で殴る)
 念動で白兵武器を扱い、他人を攻撃する事もできます。この場合、念動の「体力」は動かせる重量(kg)を12で割った値(端数切り捨て)となります(ある程度パワーレベルがないと体力ゼロ扱いになるため、戦闘利用はできません)。
 この体力は、あらゆる面で人間の体力と同様に扱います。武器を振るった際の致傷力は、この体力から算出されますし、投擲可能な武器を投げる際も、この体力を基準に射程距離が決まります。また、対象武器に必要体力が設定されている場合、それに従わねばなりません。操っている武器の技能レベルは、この能力の精度レベルに等しくなります。武器の移動力は1のままです。

 敵が、念動で操っている武器を攻撃する場合は「武器破壊のルール」で処理して下さい。この場合、攻撃された武器は一切の能動防御ができません(《踊る武器》を同じ扱い)。破壊できるかどうかは、攻撃者が使っている武器と致傷力によるでしょう。

 なお、シャロッツの念動は同時に複数の物体を操ることはできないため、弓矢や弩、投石器など、部分的なレバー操作や矢の装填作業など、両腕が必要な複合動作を要求する武器を扱う事はできません。あくまで「腕1つ」(両手武器を操る場合も便宜上、腕1つと考えます)で出来る事をやるのが限界です。

(イカサマに利用する)
 サイコロの出目を操作したり、トランプのカードを余分に引いたり別カードの下に隠すなどして、賭博でのイカサマに利用する事ができます(精度レベルさえ高ければ、パワーレベル1でも可能でしょう)。
 この場合、<手品>技能の補助として扱われ、精度判定に成功すると実際にイカサマを行う際の<手品>判定に+2の修正が得られます([念動]単体では見え見えの操作になってしまうため、イカサマの手段としては使えません)。

 なお、表タマットのカジノのほとんどがフォーン族のシャロッツの入場をお断りしているので、この手法を実践で使う機会はあまりないかもしれません。かといって同族同士の遊びで使うと、これまた諍いの原因となるでしょう。中には、「イカサマ上等!」というルールの元、互いにイカサマの腕を競うゲームを楽しんでるシャロッツたちもいるかもしれませんが…

レベルコスト:3cp(最大10レベル)/持続:集中


[粉砕] 射撃型
 狙った1点にある無生物を粉砕して塵にしてしまいます。パワーレベル1に付き、防護点無視の1Dダメージを及ぼします。一度で完全粉砕できずとも、ダメージは蓄積していきます。壁や柱でもヒビが入り始め、パワーレベル1ごとに3センチの穴が空きます。

レベルコスト:5cp(最大5レベル)/持続:一瞬(効果は永続)


■■ 月の賜り物 [虹の輝き]
 ケストレル族のシャロッツも念動力を授かりますが、フォーン族とは発現形態が異なり、光線を発したり、粒子を加速して炎上させたりといった形で現れます。「見えない腕」と同じく、標的を目視できることが使用条件となります。


[炎の壁] 射撃型/効果範囲や威力は特殊
 狙った場所の大気の粒子を加速して発火させ、火種が一切なしの状態で炎を生み出します。さらに標的ヘクスから視線を移動させることで、幅1ヘクス、長さ「パワーレベル」メートルの炎上するエリア(通称:炎の壁)を作り出せます。どの方角に、どのような形で「炎の壁」を伸ばすかは術者の自由ですが、炎上エリアは連続してなければなりません。

 炎上エリアは、《火炎》の呪文の炎と同じ火力で包まれている状態となり、侵入した者は炎ダメージを受けます(1ターン中ずっとエリア内で過ごせば1D-1、瞬間的に通りすぎただけなら1D-3ダメージ)。パワーレベル5になると炎の威力が強くなり、ダメージが2D-2(通過で2D-6)となります。パワーレベル10だとさらに強化され、ダメージ3D-3(通過で3D-9)となります。それ以上は増えません。
 念動力で生み出した「火種なし炎」はパワーレベル秒で消えますが、そこから自然物に燃え移った火は自然の炎として扱われ、何らかの消火が為されるまで、対象ヘクスは炎上し続けます。森や草原で火を点けると、延焼してしまう可能性が高いので、扱いには注意が必要です。

 なお、この能力は炎上範囲と炎上時間を縮小して《発火》の呪文のように使う事も可能です。この能力のパワーレベルを、《発火》の呪文の火力の強さにそのまま適応します。

パワーレベル/具体的な発火威力
1:マッチを近づけた時と同じ熱さ。1秒でロウソクなどに火が点く。
2:松明を近づけた時と同じ熱さ。紙やダブダブの衣服で1秒、普通に着用した衣服なら4秒で火が点く。
3:ブローランプを近づけた時と同じ熱さ。乾いた薪や着用中の衣服で1秒、革製品で2秒、大木なら6秒で火が点く。
4:燃焼中のマグネシウムやリンを近づけた時と同じ熱さ。石炭は1秒で、大木なら2秒で火が点く。
*パワーレベル5以降は4として扱う。

 この能力を持つケストレル族のほとんどは、晩御飯の支度に使う薪を発火させたり、口にくわえているタバコに火を点けるといった程度の事にしか使ってません。

レベルコスト:2cp(最大10レベル)/持続:ターン単位(燃え移った火は消火されるまで残る)


[閃光] 特殊型/生命力で抵抗
 術者を中心に強烈な閃光を放ちます。術者の方角を向いていた者は全員、距離に応じた目くらまし効果を受けます。
 術者自身も目を開けていないと発動できないため、術者も自動的に「距離10ヘクス以内」で効果を受けた扱いになってしまいます。ただし生命力抵抗には、自動的に成功したものとして扱えます。

距離:抵抗に成功した場合/抵抗に失敗した場合
10ヘクス以内:敏捷力-3(1分)/目が見えない(3秒)+敏捷力-3(1分)
11~25ヘクス:敏捷力-3(10秒)/敏捷力-3(1分)
26~50ヘクス:効果なし/敏捷力-3(3秒)
51ヘクス以上:効果なし/効果なし

レベルコスト:2cp(最大5レベル)/持続:一瞬
[原作からの変更点]
 原作だと、サーライトの部下として登場したシャロッツ「ココンコット」以外で、まともに扱われたことがない種族です。おそらく、トールキンの「指輪物語」における「ホビット」に相当するものと思われますが、ルナル世界では、ホビットの代用品としてミュルーンがいるため、シャロッツの出番はほとんどありません。そのためか、ルナル完全版でもかなり適当なルール設定で終わってます。
 しかし、プレイヤーキャラとして使う以上、どの種族もある程度公平に活躍できるようにする必要があるので、管理人としてはかなり気合を入れて設定を作ったつもりです。

 原作ルールでは「毒無効」とかいう唐突に見える能力が種族セットに入ってますが、これはおそらく原作(指輪物語)のホビットが持つ「何者にも縛られない」特性の1つを表現しているものと推測されます。要するに、薬物依存症の回避です。
 「指輪物語」に登場したホビットたちは、原作の設定に忠実であろうとしたためか、映画「ロードオブザリング」でもタバコをすぱすぱ吸うシーンがふんだんに出てくるんですが、多くの方がご存知のように、現代ではタバコがもたらす煙害が問題視され、嗜好品としてのタバコはもはや社会全体から排除されようとしています。
 ルナルでは、この議論の回避手段として「タバコは身体に悪い」という部分を種族的に補正しておく意味で「毒無効」を入れたんじゃないかなぁ…?と、勝手に推測しています。真相は知りませんが。ま、原作のホビットも、肺ガンで死んだりはしないみたいですし(笑)

 ただ、ホビットの自由意思をそれだけで表現するのは少々不足だと思ったので、「ソードワールド」のグラスランナーのように、呪文抵抗力を上げる手段として<強靭精神>技能も学べる事にしておきました。原作ホビットの主人公「フロド・バギンズ」も、指輪の魔力に強く抵抗していましたが、この技能があれば表現可能です。
 一方で、ホビットの持つ自由気ままな気質(好奇心だのくいしんぼだのお祭り好きだの)は押さえ込ませたくなかったので、種族セットに「意志の強さ」は入れませんでした。「欲望に対して我慢強くない(むしろ弱い)けど、魔法抵抗力だけは強い」状態を表現するには、最終的には<強靭精神>技能を取らせるのが一番という結論に至ったわけです。


 …ところで、そのフロド・バギンズなんですが。
 ホビットのくせにあんまりホビットらしくないんですよね(笑)。仲間のメリーやピピン、サムなんか、ホビットらしさ全開であれこれ周囲に迷惑行為をやらかしていたのに、フロドだけはお利口さんで、無茶はしない常識的な性格でした。オマケに文学なんていう繊細な芸術活動をやっていて、大雑把なホビットらしくない。
 これはおそらく、フロド自身の知力が、ホビットの種族平均値よりかなり高い設定だからだと思われます。知性が高い者ほど、種族的本能や国民性から遠ざかって個性が表に出なくなるのは、現実世界でも同じです。で、<強靭精神>技能は精神系技能なので、知力の高いフロドが習得すれば、長期間指輪の魔力に抵抗しうるだけの精神性が得られる―――と考える事ができ、原作ホビットの忠実な再現が大よそ可能ってわけです。


 まぁそれはさておき。

 「月の賜り物」ですが、フォーンもケストレルも同じ数にしました。ココンコットが使用していた「見えない腕」による「踊る武器」も再現できるようにはしておきましたが、妖術の「念動」はさして強くなく、生物には直接利きません。また改変ルールではシャロッツに限らず、全種族の「賜り物」にレベル制限がかけてあるため、体力10でブロードソードあたりを振るうのが精一杯となりました。
 ただし、精度レベルに上限はないので、「パワーレベル10で突き刺し用ブロードソードを、精度レベル20あたりで振るう」ことにすれば、敵の目を突いて一撃で倒す、といった芸当も可能です。ま、月が出てなかったらダメなんですけどね…

 一方でケストレル族のシャロッツというのは、結局原作では全く登場できなかった哀れな種族なんですが、原作ルールで設定されてる「視線による光線攻撃」があまりに妖怪じみていて場違いに思ったので、もっとソフトに「発火能力」に制限しました。これは「ガープス・サイオニクス」のサイコキネシスによる加熱がモデルになってます。
 やはりシャロッツは種族的に盗賊系ですから、直接的に収束レーザーだか熱線ビームで攻撃するよりも、こうしたトラップとして使える能力の方が良いと思うんですよね。




 シャロッツは、彷徨いの月の中ではほとんど複雑なルールがなく、初心者に扱いやすいでしょう。作者お気に入りのミュルーンを使うより、こちらを扱う方が余計なルールがない分、数段楽です。
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