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● 使い魔
■概要
 ルナルにおける使い魔とは、道具の代わりに小型動物に<天使>を封じ込めて、あれこれ便宜を図ってくれるように作り変えた「生きた魔術具」(一種の奴隷)です。<天使>のようなエネルギー生命体が必須となるため、この技が可能なのはウィザード(および狭義のソーサラー)だけです。

 使い魔の所持は「有利な特徴」として扱い、通常の動物のように「財産」とは見なされず、個別で管理されます。ゲーム中に獲得する場合は、<天使>の召喚コスト(150ムーナ)に加え、3日間の儀式が必要です。
 使い魔となる動物は、儀式会場周辺に存在する希望の動物の中で、最も適性のある個体(普段から親しかったり、種族平均を超える知性を持った個体)がやってきます。飼っていたペットがそのまま使い魔になる、というのはよくある話です。
 使い魔はウィザード1人につき1匹しか持てず、現在の使い魔との絆が何らかの形で切れる(使い魔が死亡した、術者が任意に契約を終了させたなど)まで、別の使い魔を持つ事はできません。

 使い魔は様々な能力でウィザードを支援してくれますが、どの能力を発現させるかはウィザード次第です。以下、使い魔が持ちうる能力の一覧です。この中から取捨選択して合計し、最終的な使い魔所持のためのCPを計算します。
 なお、最終的なCP総計がマイナスになってしまうようなケースが稀にあるかもしれませんが、この場合も「0cpの使い魔」として処理されます。


■■ 使い魔の能力と獲得に必要なCP
使い魔の体力を使える CPさまざま(文中で説明)
 パワーストーンのように、使い魔の体力を呪文の消費コストに充てる事が可能です。ルール上は使い魔の体力使用もパワーストーン扱いとされ、使い魔に触れておく必要があります。また、他のパワーストーンと同時に使用する事はできません。
 なお、使い魔の体力がゼロになるような使い方をして気絶させた場合、使い魔との精神的な絆が切れてしまい、術者は直ちにその使い魔を失ってしまいます。

 この能力に必要なCP量は、術者の体力を基準として、使い魔の体力数値を上乗せし、その体力に至るのに必要なCP量の3分の1だけになります。

例:体力10のウィザードが体力4の猫の使い魔の体力を使えるようにする場合、ウィザードが体力14になるためには45CP必要ですが、これの3分の1に相当する15cpが、この能力の獲得に必要となるCP量となります。

●使い魔の感覚情報を共有する 5CP
 術者は使い魔の五感を使って、情報を得ることができます。この能力を使うのは判定不要ですが、2秒集中した後に2点疲労する必要があり、「集中」を続けてる間だけ効果があります。
 なお、使い魔は動物なので、視覚、聴覚、嗅覚の各感覚判定基準値は14として扱います。

●高い知性 5cp
 <天使>の情報処理能力を付与し、使い魔となる動物の知力を7まで引き上げます(人間の子供並み)。使い魔は、術者が使用する言語や、人間社会の大雑把な習慣や社会構造などを、ある程度まで理解できるようになります。また、術者の依頼に応じて必要な場所を偵察したりできるようになります。

 なお、知力8以上にすることも可能で、その場合は知力+1ごとに10cpが必要です。ただし、使い魔の知力は最大でも13までにしかなりません。

●精神感応 5cp
 テレパシーで使い魔と交信します。第3者がこの交信を聞く事はできません。 この能力を使うには「高い知性」で使い魔の知力を上げておく必要があります。
 術者は使い魔と相談したり、使い魔の生活スタイルに応じた知識や経験を聞く事ができます。使用時に判定は不要ですが1点疲労し、「集中」を続ける限り持続します。

 また、術者ではなく使い魔の側からこの能力を使う事も可能です(使い魔の側が1点疲労します)。定期連絡など行わせる際に有効でしょう。使い魔は必ず術者からの交信を受け入れますが、術者の側が使い魔からの交信を受け入れるかどうかは術者の自由です。

●会話可能 10cp
 使い魔が実際に口でしゃべるようになります。術者以外の人間ともしゃべれるようになります。この能力を使うには「高い知性」で知力を上げておく必要があります。
 この能力による交信では特に疲労する事はなく、人間が普通にしゃべるように使い魔も会話する事が可能です。とぎれとぎれの長話をする際に、いちいちテレパシー1回に付き1点疲労というコストを払わずに済むというメリットがあります。

 なお「精神感応」を取ってない場合、術者は使い魔と会話でいちいち情報交換せねばならない事に注意して下さい。

●負傷の共有 -15cp
 使い魔が傷つくと、術者も同じだけダメージが及びます。使い魔が朦朧状態や気絶状態になった場合、術者は生命力判定を行い、失敗すると同じ効果を受けます。また、使い魔が死ぬと術者は即座に生命力がマイナス1の状態になります。

 なお、術者の負傷が使い魔に及ぶ事はありません。また、下記の「制限」をかけている場合、「範囲外」「時間外」であれば使い魔が負傷しても術者にダメージは及びません。

●独立心 -10cp
 魔術師の支配が完璧ではなく、使い魔が動物だった頃の本来の性格が、ある程度挙動に反映されます。-10cpの範囲内で、人間と同じように使い魔の「精神的に不利な特徴」を決定して下さい。
 その特徴に反するような行動を術者が命じた場合、使い魔が命令を実行しなかったり、余計な行動を取ったりすることがあります。使い魔は目標値10で意思判定を行い、失敗すると命令実行を頑なに拒否します。

例1:「誠実」の特徴を持った鳩の使い魔が、魔術師から「そこの家の庭まで入ってガラス越しで部屋の中を偵察しろ」という命令に対し「それはただの覗き魔だ。家の住人に迷惑すぎる」と拒否しました。意志判定の結果、失敗したため、魔術師は仕方なく「家の周囲をぐるぐる飛び回って遠目で偵察する」事で妥協しました。

例2:「くいしんぼ」の特徴を持つ白猫の使い魔が、サリカ神殿の屋根上を散歩中に美味しそうな焼き魚の匂いに釣られて、神殿の台所に侵入しようとしました。魔術師は「やめとけ」と釘を刺しましたが、白猫は意思判定に失敗。中に入って料理していたお姉さんに見つかってしまいます。幸い、お姉さんは優しい人だったので、一匹だけ「おすそ分け」を貰う事ができて、白猫は大満足です・・・いや、ダメだろそれ(笑)

●距離制限 CP半減
 使い魔の能力が使える距離に制限があり、100メートル以上離れると使い魔の能力を使えなくなります(術者の側が使えなくなるだけなので、例えば偵察行為などで遠く離れた場合でも、使い魔はちゃんと依頼通りに任務を遂行し、情報を持ちかえったりできます)。
 この制限を掛ける場合、上記の使い魔獲得に必要なCPを全て合計した後で、CP量を2分の1(端数切り上げ)にします。なお、「使い魔の体力を使える」能力しか持ってない使い魔に対しては、この制限はかけられません(元々この能力は接触でないと使えない能力なので)。

●時間制限 CP半減
 一日のうち、半分の12時間しか使い魔の能力を使えません。良くあるのが「昼間しか使えない」「夜行性なので昼間は寝てる」などです。「距離制限」と同じく、必要CPを全て合計した後でCP量を2分の1(端数切り上げ)にします。
 なお、「距離制限」と「時間制限」の両方を獲得できるので、最大で必要CPを4分の1まで削減する事が可能です。



■■ 使い魔に選ばれる動物の例
 使い魔として使役する動物は、武器として作られる魔術具と同程度の大きさまでに限られています(虎やライオンのような大型の動物は無理です)。以下、使い魔になりそうな動物のデータを紹介しておきます。

●ネズミ
体力:1~4 敏捷力:13 知力:4 生命力/HP:17/体力と同じ
移動力/よけ:6/6 大きさ:1ヘクス未満
受動防御/防護点:0/0
攻撃:噛みつき(近接のみ)により「切り/1D-5」のダメージを与えます。

 ネズミは夜行性ですが視力は良くなく、主に嗅覚と触覚に頼っています。攻撃性は高いものから低いものまで、種類によってさまざまです。なお、野生のネズミは病原菌や寄生虫のホストであるため、使い魔にするのは不適切です。清潔な環境で生きるペット用のネズミを選んだ方が良いでしょう。

●鳥
体力:1~3 敏捷力:15 知力:4 生命力/HP:12/体力と同じ
移動力/よけ:20(飛行)/7 大きさ:1ヘクス未満
受動防御/防護点:0/0
攻撃:嘴や鉤爪(近接のみ)により「切り/1D-4」のダメージを与えます。

 鳩や鷹、カラスなどの一般的な鳥類です。非常に優れた視覚を持ち、飛行する事もできますが、大抵は夜盲であり、暗い場所での行動は制限されます。一方、フクロウを使い魔に選択した場合、昼間の行動が制限される代わりに、「暗視」など暗い場所での活動で有利になります。
 鳥類には、カラスやオウムのように非常に頭の良い種もいますが、そういうのは「高い知性」を獲得して表現して下さい。

●コウモリ
体力:1~4 敏捷力:13 知力:4 生命力/HP:13/体力と同じ
移動力/よけ:12(飛行)/6 大きさ:1ヘクス未満
受動防御/防護点:0/0
攻撃:牙(近接のみ)により「切り/1D-5」のダメージを与えます。

 夜行性で、哺乳類で唯一飛行可能なコウモリですが、視覚は弱く、超音波による物体探知に頼っています。目が良くない上に目立つことから、昼間の屋外での活動には向いていませんが、暗い洞窟の偵察などには向いています。

●猫
体力:2~4 敏捷力:14 知力:5 生命力/HP:13/体力と同じ
移動力/よけ:15/7 大きさ:1ヘクス未満
受動防御/防護点:0/0
攻撃:噛みつき(近接のみ)により「切り/1D-4」のダメージを与えます。

 ペットとしても人気の高い一般的なネコ科の哺乳類です。猫は基本的に睡眠時間が長く、野良猫でも14時間、安全な場所で餌が得られる飼いネコだと20時間近く眠っています。そのため、冒険者のウィザードが探索用の使い魔にするのであれば、街などで放し飼いにされている半野良猫の方が向いているかもしれません。

●カエル
体力:1~2 敏捷力:12 知力:3 生命力/HP:12/体力と同じ
移動力/よけ:4/6 大きさ:1ヘクス未満
受動防御/防護点:0/0
攻撃:丸呑みにより昆虫などを捕食します(一定サイズ以上の動物に対する攻撃手段なし)

 田園地帯など水が豊富な場所に住む、人間にとっては馴染み深い両生類です。サイズは3センチ未満から30センチ近いものまでさまざまで、基本的に陸上で生活しています。呼吸機能が未発達で、酸素吸入の大部分を体表呼吸に頼っているため、湿った状態でないと長くは生きられません。また食物連鎖の中では中位に属しているため、より大型の肉食動物の獲物として狙われます。使い魔にするなら、術者がしっかり保護してやる必要があります。
[原作からの変更点]
 魔術具としての使い魔の利用法は、改変版ルールでは「なし」としました。<天使>から得られる本来の利益(魔術具、呪文レベルボーナス)を1回分犠牲にして、パワーストーンと《魔法の目》を兼ねた生体マジックアイテムを得た、と考えれば、決してアンフェアではないと思います。一応、<<天使>の封印>のレベルを21以上にすれば、魔術具2つに加えて使い魔所持、といったことも可能ですし。


 使い魔にかかるCPは結構膨大なものなので、100cpの初期作成段階で所持するのは、意外ときついかもしれません。
 なので、当サイトのオリジナル特徴として「独立心」を加えました。これは「ガープス・マジック」の使い魔のルールに載っている「実は悪魔である」の変化バージョンで、「精神支配が完全ではなく、その動物が持っている本来の性癖がわずかに残ってる」ことで、行動に支障をきたす可能性がある事を示しています。

 使い魔のパワーストーン的な利用法は、あまり効率的ではありません。パワーストーンなら2点のサイズで$300で、しかもルナルはマナ濃度が「密」なので1日で充填完了します。さらに内蔵型に切り替えれば、4点ものエネルギーを引き出せるわけですから、使い魔に期待されるのは生体パワーストーンとしてよりも、《魔法の目》の代用品としての能力の方だと思われます。
 その呪文としての《魔法の目》も、前提が《念動》と《視覚強化》だけなので、割とあっさり習得できたりはするのですが、呪文は持続時間の維持コストが結構かかるため、それを考えると使い魔の方や安かったりします。
 なので、「情報共有・知力7・精神感応」あたりを選択して「負傷共有」で削減して0cpで済ませる、というのが一般的になるかと思います(ちょっとリスクがある代わりに常時維持可能な《魔法の目》の完成)。

 面白い使い方としては、「会話可能」と「独立心」を獲得して術者以外の仲間とも社会関係を持ち、「戦闘力は皆無だが偵察兵として貢献するパーティの一員」にしてしまう手があります。使い魔が自分の種族の社会的習慣を元に、人間の行動を冷静に観察してツッコミを入れるという種の漫才は、使い魔ネタとしては割と良く使われます。
 場合によっては、術者がウィザードとして若すぎて、使い魔の方が知力が高く、術者の親代わりみたいな立場にあるといった事も再現可能です(使い魔は知力13まで上げられます…65cpかかりますが)。


 使い魔に向いている動物ですが、やはり猫か鳩orカラスが一般的でしょう。特に猫は、人間と生息圏が重なる上、利害関係が一致している事から、良く使われる動物です。逆にカエルとかだと術者がカエルを必死に保護してやらねばならず、何かと大変です(そこまでして得られるメリットもほとんどありませんし…)。
 ダンジョン探索を考えるなら、コウモリというのも一つの選択肢です。照明器具なしで暗闇を飛行して偵察できるというのは、非常に大きなメリットです。なんせ照明を付けてないので敵に見つかりにくく、飛行しているので一般的な対人トラップにも引っかかりません。これは、猫の使い魔でもできない相談です。


 色々書きましたが、使い魔の取得はウィザードの特権であり、使い方を考えればキャラクターに厚みが出ます。魔術具による呪文ボーナス系統が1つ減ってしまいますが、GMが使い魔を通してヒントを与えるといった事も可能なので、決して損はしてないと思います。
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