▲メインに戻る
● サンプル・キャラクター(白き輪の月/ウィザード)
 以下は、改変ルールに則って作られたサンプル・キャラクターです。100cpでプレイヤー・キャラクターを作る際の参考にして下さい。なるべく単純化したつもりですが、防具魔化呪文が施された強力な魔法の鎧や、内蔵化されたパワーストーンなどを所持していたりと、そこそこマンチキン気味に作成してあります。
 特にパワーストーンや魔化アイテム関連は、ある程度ルールを熟知していないと理解が難しいかもしれません。
【設定】
 どこぞの森に住んでいた魔女です。師匠から離れた後、森の小屋でエリクサーを作りながら細々と生計を立てていましたが、魔法の腕を磨くために都市部へと出てきました。戦闘魔術師としての実力が高く、主に魔法傭兵として活動していますが、冒険者の方が楽しそうなので、そちらに転職を考えています。

 ウィザードの多くは、エリクサーを精製する錬金術師か、魔化アイテムを製造する魔化師となって、比較的安全な立場で生計を立てるのが一般的です(わざわざ危険な職に就かずとも生計が立てられるのが魔術師のメリットの1つです)。ですが、彼女のように実戦で魔術を使って一気に実力を高めようとする者も一定数おり、そういった者の多くは傭兵として戦場に赴いたり、冒険者として荒野を彷徨い、地位や名声を得ようとします。
 ウィザードは魔法の力でおおよそ願い事をかなえられるため、サービスの仲介を担う「お金」に興味を持つ者はほとんどいませんが、地位を維持するためにはある程度の金銭的な担保が必要な事から、危険な傭兵家業で荒稼ぎしようとする者もたまにいます。

 ここに挙げた彼女は、魔法に関しては負けず嫌いであり、魔術師としての名声を得たいといった理由から、戦闘魔術師としての実力を高めようと危険に飛び込んでいます。人間社会で名声を得て、宮廷魔術師として王宮に務める事も興味ないわけではありませんが、社会的地位には色々と行動の制約が付随するため、自由に薬の研究したい彼女としては悩ましいところではあります。


【性能】
 「飛行しながら一方的に射撃呪文で攻撃する」事だけを追求した設計になっています。〈呪文射撃〉のレベルが異様に高くなっていますが、これは「飛行戦闘」のルールを配慮した結果であり、飛行中に射撃を行ってもペナルティが発生しないようになっています(飛行中は17レベルに達さない場合、足りない分だけペナルティになるという鬼畜なルール(笑)があるためです)。
 実際の運用は、以下のようになります。

①朝、起きたときから《浮揚》《韋駄天PL1》《盾PL1》を唱えて維持(移動力/よけ+1、受動防御+1、常時飛行状態)。維持コストは全てゼロ。
②戦闘が始まったら、必要に応じて《矢よけ》《鷹目》を使用して自己強化。味方の援護を考慮するなら上空で《閃光》を放つ。
③内蔵化してエネルギー効率を高めた作業用パワーストーン(2点)からエネルギーを1点ずつ引き出しつつ、パワーレベル3の《火球》で射撃。これを繰り返す。

 その他、照明が必要なら《持続光》、隠れたい時は《透明》、逃げたい時は《瞬間移動》、負傷治癒は《小治癒》、目が見えなくなったら《超音波視覚》といった事が可能です。
 エネルギーに関しては、魔化アイテムに内蔵化されたパワーストーンが3つあるので、これを上手く回して下さい。内蔵型パワーストーンは、1点分のエネルギーで2点分のコストを供給してくれます。また、ルナル世界はマナ濃度「密」なので、パワーストーンのエネルギー充填率は1日につき2点です。丸一日で充填完了するので、毎日、空になるまで使っても問題ありません。
 なお、彼女は「使い魔」を持たず魔術具を2つ所持しているタイプのウィザードです。2系統の呪文に+1のボーナスがあり、呪文を維持している最中に他の呪文を使う際のペナルティが2点軽減されます。つまり、常時維持している3つの呪文のうち、2つはペナルティを打ち消している状態がデフォルトとなります(他の呪文を使う際のペナルティ-1状態)。
【設定】
 廃墟と化した〈悪魔〉戦争時代の遺跡に捕われていた清楚な雰囲気のウィザードの女性です。たまたま遺跡調査していた冒険者の剣士によって救助されましたが、彼女自身、捕まる以前の記憶がなく、なぜ捕まっていたのかも覚えていません。救助後は、近くの小さな町のペローマ神殿で見習い錬金術師として働いています。

 彼女は自前で《歴史》や《古代史》の呪文が使えるため、救助後に魔術具を作り直し、自分が着用している衣服に対してそれを使う事で過去を知ろうとしました。が、なんと「何もない空中から光と共に衣服を着た自分が出現し、そのまま牢屋に入っていた」という意味不明な過去映像が脳裏に流れてきました。
 不安になった彼女は、サリカ神殿付属の病院でも精密検査もしてもらいましたが、サリカ司祭が《精神探査》で彼女の心を探った結果、やはり牢屋に入る以前の記憶が全く見当たらず、謎は深まるばかりでした。

 彼女は美人で心優しく、治癒魔法の使い手でもあるので、町の人々は皆「他に行き場がないのなら、ずっとここにいてほしい」と言ってくれています。
 しかし、このまま町に留まっていても自分の過去は謎のままなので、「自分探しの旅」に出ようとしています。本当は、救助してくれた赤毛の剣士についていきたかったのですが、彼は彼女を救助した後、すぐにどこかへ旅立ってしまったため、まずは彼に追いつく事を考えています。


【性能】
 マンチキン上げした《透明》の呪文を軸に、主に情報収集のための偵察を行うキャラクターになっています。25レベルに達した《透明》は維持コストがゼロであるため、起きている間は延々と透明状態でいられます。
 また、《浮遊》で滞空しつつ、《静寂》と《消臭》で音と匂いを消す事で、ほぼ完璧なステルス性能を誇ります(全て維持コストゼロになっています)。《静寂》によって自分もしゃべれなくなりますが、18レベルある《思考転送》を用いれば、テレパシーで味方に連絡をする事は可能です(呪文は18レベル以上になれば、わずかな動作(指だけ)で「集中」可能になります)。
 これらの呪文を全部使うと〈忍び〉技能にどれほどプラス修正があるのか、(なぜか)ガープスのルールでは設定されていないのですが、《静寂》の呪文の説明に「〈忍び〉に+3の修正があります」とあるので、《透明》(視覚)で+3、《静寂》(聴覚)で+3、《消臭》(嗅覚)で+1として、合計で+7修正あたりで良いかと思います(彼女の〈忍び〉技能が16レベルに達します!)。

 敵を倒す手段はありませんが、《透明》は他人にもかけれますので、味方戦士をこの呪文で強化すれば、強力なステルス迷彩兵士で編成された部隊を作り出す事が可能です。ただし、味方同士も見えなくなりますので、どうやってお互いの位置を知らせるかの事前の打ち合わせが必要でしょう(一応、《透明看破》の呪文も習得していますが、コストが高いのでステルス状態の味方全員にかけるのは無理でしょう)。
 また、彼女自身が《透明》+《浮遊》状態で上空からこっそり敵陣に入り込み(呪文を使う際の距離修正を縮めるため)、《閃光》で目をくらませたり、《静寂》で敵の魔術師を黙らせたり、《念動》で武器を奪ったり、《他者移動》で上空に強制転移して落下ダメージを食らわせたりといった事が可能です(これらの戦術を取る際は《静寂》は切っておいてください―――17レベル以下では声が出せないと自分も呪文が使えません)。
 ただし、相手が透明な存在を見る呪文や能力を持っていると、ステルス性能の優位性がなくなって完全無防備になってしまうので、敵の呪文使いや特殊能力持ちの〈悪魔〉などには注意して下さい。

 戦闘以外の探索シーンでも、偵察用としてステルスモードが有効です。また、使い魔は倉鼠(ハムスター)になっていて、狭い場所や暗い場所での偵察を任せる事もできます(この使い魔は「精神感応」しか持ってないので、術者は使い魔の報告を聞くだけになります)。単独で強行偵察の際、急ぎで連絡を取りたい場合は《思考転送》で味方に情報を伝える事が可能です。
 その他、《追跡》で人や物の位置を特定する、《歴史》《古代史》でダンジョン内で拾ったアイテムなどの鑑識を行う、《透明壁》で隠し通路を探す、隠し部屋や扉の向こうに落ちているアイテム、開かない宝箱の中身などを《透明壁》で確認してから(箱の中が真っ暗な時は、まず《光》で空間に光源を作る)、《他者移動》で強引に手元に召喚するといった事が可能です。
【設定】
  トルアドネス帝国ブラントルア公国の魔術師団〈第二の夜明け〉出身のウィザードで、現在は公王ランナカイ=ジェムの命を受け、ペテルトルア公国の自治都市パルマ市に赴任している宮廷魔術師です。名目上は「対魔術師戦闘仕官」という扱いですが、実際はパルマ市の領主にして、旧ザノン王国の王家の血をひくアリサ・ランディール令嬢の監視を兼ねています。
 彼は魔化師ですが、前線での実地試験が好きなアクティブな性格で、帝国の偉大さを過剰評価し、力に奢る傾向が非常に強い人です。その好戦的でプライドが高く、孤高を気取る気質は魔術師団でも扱いにくかったようで、極秘任務を理由に「パルマ市の美しき英雄領主に押し付けた」というのが真相のようです。

 通常、魔化師が冒険者になる事はごくごく稀です(わざわざ身を危険に晒さずとも大金を稼げる職業です)。ですが彼は、魔導兵器の試運転などを喜んで引き受けるタイプなので、新型魔導兵器の試験運用名目で一時的に外で冒険者のマネごとをする機会があるかもしれません。このキャラクター・シートは、そういう状況でのサンプルとなっています。
 パルマ市での表向きの任務である「対魔術師戦闘」は、主に《踊る武器》が魔化されたナイフによって実行できます。この世界における戦闘魔術師の大半は《浮揚》と《矢よけ》の呪文を常備しており、戦闘になるとこの二つの呪文を発動し、一方的に射撃呪文などで攻撃してくるという無敵の空中要塞と化してしまいます。
 ですが、自律稼働する踊る武器に対しては《矢よけ》の呪文は効果がなく、他の対処手段も乏しい事から、対戦闘魔術師対策としては非常に効果的と言われています―――その代わり、《踊る武器》の魔化アイテム自体が非常に高価なので、在野のフリーの魔術師がこれらを実戦運用する例はかなり稀です(「財産/富豪」(50cp)を取得しないと、そもそも所有できません)。
 彼は現在、平常時はパルマ市に永久貸与されている飛空艇群の一隻に乗り込み、主に対空戦闘を任されています。甲板で高笑いしながら魔法剣を飛ばしたり、護衛のゴーレムにポージングさせている妙な帝国魔術師がいたら、彼の可能性が高いでしょう。


【性能】
 遠くから敵を射撃や誘導兵器で倒すという、どちらかというと戦場で活躍するタイプの魔術師です。攻撃手段は2つあります。

①「ライオットソード」と命名された《踊る武器》を3本所有しています。命令すれば、自動的に移動力5(飛行)で標的に襲い掛かります(攻撃性能は「切り1D+2(長さC,1)/刺し1D+2(長さC)」)。魔術師が射撃防御に使う常套手段《矢よけ》を無視できるので、これで3本同時攻撃(3本とも全力二回攻撃すれば合計6回攻撃!)を繰り返せば、そのうち能動防御に失敗して落ちるでしょう。
②スタッフスリングを主武器としたアイアンゴーレムを1台所有しています。体力30で繰り出される投石の威力は「叩き6D+1」と非常に高威力で、有効射程も300mあります。ただし、このままだと精度レベルが低いため、対人射撃させるのであれば《鷹目》で命中判定時の距離修正を-4に固定にした方が良いでしょう(1ターン「狙い」を付けさせる事で、おおよその状況において目標値10で固定されるはずです)。
 また、アイアンゴーレムは素手での攻撃も「叩き4D」と、近接戦闘でも十分な破壊力を有しています。近接された際はボディガードとして機能します。
③《浮揚》15レベル、《矢よけ》20レベルで習得しており、一度発動させれば維持コストゼロで運用可能です。飛行しながら射撃を遮断すれば、呪文なしの戦士に攻撃される事はないでしょう。また、《矢よけ》は味方の強化にも使えます。
 攻撃は仲間と各魔化アイテムに任せ、自身は後方から《拡声》の呪文などを用いて指揮する形になります。

 正面戦闘では圧倒的な能力を誇りますが、一方で護衛のアイアンゴーレムが鈍重すぎて、ダンジョン探索には向きません。狭い通路で突っかかったり、脆い床板をぶち抜いて転落したりと、屋内の移動時に足を引っ張る可能性が高いでしょう。ダンジョン探索時は、ゴーレムには入口の護衛などで待機させておき、前衛は仲間の戦士に任せ、自身は後方からライオットソードでの遠隔攻撃に専念すべきです。
▲メインに戻る