▲メインに戻る
● <多足のもの>
[<多足のもの>種族セット](100cp)
生命力+1(+10cp)
財産/大金持ち(30cp)
 初期の所持金は20000ムーナ。高度文明による恩恵。
赤外線視覚(15cp)
 暗闇の戦闘でもペナルティは-1のみ。隠蔽物発見の視覚判定+2。過去1時間以内ならば<追跡>+3。
石の体4レベル(24cp)
 受動防御1、防護点2。移動力が80%に減少(端数切上げ)。キックのダメージ+2。音波や振動による攻撃に対しては、防護効果が一切無視される。
体表呼吸(20cp)
 体表全体で呼吸。首の概念がないので首絞めで窒息しない。水中でも酸素が含まれるなら窒息しない。ただし真空や土中など酸素がない場所では窒息する。
物質透過/土、岩(生命力を消費 -50%)(20cp)
 生命力を永久に1点減少させる代わりに1分間だけ土や岩を透過できる。透過中は水中にいるものとして全方位に移動可能だが、窒息は起こる。
雌雄同体(5cp)
 オスにもメスにも自由に変更可能。
複数の触手(0cp)
 人間の指に相当する部分がそれぞれ独立した触手になっており(左右で合計10本)、人間の手や腕と全く同じ性能を発揮する。実質ペナルティなし。触手なので「石の体」による格闘ダメージのボーナスは受けられない。
複数の足(20cp+6cp)
 足が10本存在。移動力+1。3本以下になると移動力ボーナス喪失。<多足のもの>は発声できないため、この足を踏み鳴らすリズムで「会話」を行う。
はりつき(25cp)
 天井や壁を移動力の半分の速度で這い回れる。ペナルティなし。
酸噴射/パワーレベル2(2点疲労、射程短縮 -20%)(10cp)
 触手の口から酸の唾(胃液)を発射して攻撃可能。準備1秒で呪文と同じタイミングで発射。使用時に2点疲労する。射程「生命力」メートル、ダメージは叩き2D-2。 食べ物をペースト状に溶かして吸収するのが本来の用途であって、 普段は疲労しながら大量に吐き出すような使い方はしない。

触手の口(-25cp)
 触手の1本が口に相当する。酸の唾を吐けるが発声ができない。「言語障害」の特徴として扱う。
過剰睡眠(-10cp)
 1日12時間の睡眠が必要。
好奇心2レベル(-10cp)、 怠惰(-10cp)、熱狂/銀の月(-15cp)
強迫観念/機械技術に対する異様な興味(-15cp)

*身長は同じ体力の人間の7割。体重は2倍。
▲種族解説へ
■種族概要
 <多足のもの>は、地の元素神を信仰している種族です。実際は地のエレメントだけでなく、銀の月の元素神全体を敬愛しています。

 外見は足や触手が沢山生えた人間サイズの大きなヤドカリです。殻は生まれつき備わった身体の一部なので、取り外す事はできません。
 目は殻の奥に収まってますが、かたつむりのように眼柄を伸ばして周囲を見渡す事が可能です(人間の「首をひねる」動作に該当します)。赤外線視覚を持ち、地底での生活に支障はありません。
 無数の触手は、人間の指がそれぞれ独立したもので、触手が複数寄り集まって人の手と同じ作業を行えます。また、触手の中に一本だけ、口の役割を持つものがあり、そこから胃酸を吐きだし、ミネラル分を多く含んだ鉱石の粉をペースト状にしてから吸引摂取する形で食事を行います。口がこのような形状なので、発声能力は完全に失われており、たくさんある足で地面を独特のリズムで叩くことで意思疎通を行います。
 聴覚や嗅覚は人間と同レベルで存在しています。

 生息場所は地面の奥深く、惑星のマントル層に近い場所であり、他種族と遭遇する事はほとんどありません。元素神によって機械技術の知識を与えられた影響で、高度な文明力を保持しており、鉄と石で構築された巨大な都市を運営しています。
 都市機能で特筆すべきは、ルナル世界ではまだ一般的でない「電力」を大々的に用いていることです。<多足のもの>にとって、電力は呪文に使うマナと同等の重要なエネルギー資源であり、街の至る所に個人が発明・開発した発電機や蓄電器が無秩序に並び、その合間を縫って魔化に使う巨大パワーストーンが設置されています。
 <多足のもの>の地底都市とは、エネルギー供給システムと、サーバント(労役担当のAIマシン)が集めてきた膨大な建材の倉庫で8割を占めた、巨大な生産工業なのです。

 都市設備の各機能のメンテナンスは、AI制御の自動機械が担当していますが、一方で住人たる<多足のもの>自身は、研究所に引き籠って機械の研究に没頭しています。社会維持のための最低限の事務作業は、後述の統治AIの支援を受けながら分担して当番制でやります(労働と言っても1週間に10時間程度働けばよいので、1日2時間弱です)。
 社会形態は個人主義と無政府主義の奇妙な混合で、「組み合わされた頭脳」と呼ばれる1台の巨大な思考機械が政治と都市設備の管理を行っています。これは、優秀な頭脳を持っていた<多足のもの>の死後、脳だけを取り出して回路に繋ぎ、生体チップとして利用しているもので、複数の人格が機械の中で話し合いを行っています。機械全体で「1人の人格」とみなされるため、個人主義の原則が崩れるわけではありません。
 この「頭脳」が社会維持に必要な仕事を分担し、各個人に依頼する形で職を提供し、報酬として日々の食糧や、開発に必要な各種素材とエネルギーを提供しています。よほど社会そのものに反抗的でない限り、彼らが食うに困るような事態には陥りません。

 彼らは徹底した個人主義ではありますが、結婚は行います。<多足のもの>は雌雄同性体なので、オスでもメスでも好きな性別で過ごす事ができ、結婚の際は性別の役割分担を行い、一夫一妻の形態をとります。
 以後、気が向いたら子供を残すために(あるいは楽しむために)交わる程度で、ほとんど互いに不干渉の立場で生涯を過ごします。育児は、AI搭載の自動育成機械にほとんど任せっきりです。

 住んでいる場所が場所なので、他種族とほとんど関わる事がない<多足のもの>ですが、たまにドワーフの坑道の最深部と<多足のもの>の都市の上層部の開拓区画が交わることがあります。ほとんどの場合、どちらかが「見なかった」事にして引き下がります。
 その一方で、彼らの機械文明に憧れを持つ人間やドワーフ(主にペローマ信者やデルバイ信者)もおり、彼らと接触して文明物のガラクタを買いとったり、仲間になろうと秘密裡に銀の月を信仰するケースがあります。



 <多足のもの>は種族セットのCPを見ても分かるように、完全にNPC専用の種族であり、100CPのPC(プレイヤー・キャラクター)が使うような種族ではありません。一般市民クラスの<多足のもの>は、「魔法の素質」を持って150cp程度で作られます。元素神より「発明家」の加護を与えられた者は200cp以上になります。



■■ 種族に多い特徴
 元素神から「発明家」の加護を与えられた個体の多くは、神より下賜されたアイデアの再現に没頭するため「放心」の特徴を持つ個体が多くみられます。また研究を邪魔されたくない(動きたくない)理由から、「専守防衛」の個体も多くみられます。
 社会秩序を乱される行為も、研究の邪魔になる事件のトリガーになりやすいため、とりあえず規則に従っとけば大丈夫とばかり「誠実」である個体も多いようです。

 <多足のもの>は人口の8割が「魔法の素質」を持って生まれ、その多くは「発明家」の特徴を持っていません(「発明家」の代わりに「魔法の素質」を与えられて生まれてくると考えてよいでしょう)。そういう凡庸な個体は、既存の技術レベル範囲内で「改造品」の開発に従事するか、魔法の品との組み合わせで新製品を編み出す事に活路を見出します。

 稀に「魔法の素質」と「発明家」の両方を備えた個体が誕生しますが、彼らはテクノロジーと魔法が混合した奇妙な魔法機械を作り出します(その多くは量産すらできず、作った当人すら再現どころか修理も困難なシロモノですが)。

 さらに稀ですが、「素質」も「発明家」も持たない個体がいます。これら「落ちこぼれ」の中からグレた個体が発生し、地上付近まで上がってきて、街から無断で持ち出したTL7の器物で地上の知的生命体に対して悪さをする事が、ごく稀にあります。
■■ 独自の特徴
●発明家(30cp)
 この特徴を持つ<多足のもの>は、現在のルナルの文明レベルからはかけ離れた科学理論を思いつき、それを元に様々な機械を設計する事が可能です。実際には、こうした「ひらめき」は元素神の啓示によるものであり、神託者の特徴を示すものです。発明家は「情報屋」(21レベル相当/登場頻度:稀/完全に信用できる 30cp)として、地の元素神とのつながりを持ちます。
 ひらめいた(啓示された)アイデアは文明レベル8に相当しますが、<多足のもの>たちは発明は好きでも量産には興味を持たないため、試作品の段階で止まってしまう事がほとんどで、社会的に普及はしません。
 また、理論は思いついた(啓示を受けた)本人しか理解不可能なシロモノで、損傷して修理できるのも本人だけ、再生産は不可能というありさまです。必要な部品を揃えるための生産ラインや、基礎理論の蓄積など全くない、文字通り「神からの賜りもの」なので当然ですが。

 なお、アイデアの一部は解析されてモデル化され、他の機械を作る際の参考にされます。その作業を実際に行うのは、「発明家」の特徴を持たないその他大勢の<多足のもの>たちであり、社会全体が(見かけだけとはいえ)TL7を維持できているのは、「凡人」たる彼らの努力のたまものと言えます。

 <多足のもの>は徹底した個人主義ではありますが、群れて何かする場合は臨時のリーダー格が集団を統率し、強い結束力を示します。リーダーには、この特徴を備えた個体が優先的に選ばれます。


●働き者(10cp)
 ごく例外的に「怠惰」でない<多足のもの>が存在します。こうした個体はほとんどの場合、機械技術に憧れて銀の月の信徒に転身した、生まれつきでない「他種族出身」の<多足のもの>です。

 彼らは「発明家」が作り出した機械の構造解析と普及に熱心だったり(技術の共有化)、あるいは他種族との外交を積極的に引き受けたりしてくれます。生まれつきの<多足のもの>はこうした事に無頓着なので、「働き者」の個体は仲間内からも重宝がられます。


●肉体のない脳(-100cp)
 特に優秀な知能を持つ個体は、死に際に脳だけを取り出され、<多足のもの>社会を統治する「組み合わされた頭脳」の一部として組み込まれる事があります。脳は特殊な培養槽に格納されており、精神的に活動する事が可能です。

 この特徴を持つ者は体力の概念がなくなり、疲労点は知力が基準となります。敏捷力は、射撃呪文の命中判定などの際に使用します。生命力は呪文抵抗などに用いられますが、物理的には1点のダメージで意識を失い、2点のダメージで自動的に死亡します…培養槽自体がかなりの防護点とHPを持つため、早々に破壊されることはないでしょうが。
 また分泌腺をもたないため、激しい感情とは無縁です。理性的な悲しみや恐怖、友情などは感じます。恐怖判定に+5の修正があります。

 これはNPC専用の特徴であり、PCが持つことはまずありません(持つような事態になったら、以後はNPC扱いです)。



■■ 独自の武器
●人造甲羅
 生得能力の石の甲羅の上に、さらに人工的に装甲を張り付けて強化できます。これらは装飾の意味合いも込められて、人間から見ても美しい造形をしています。
 防護点が+1されるごとに重量+5kg、価格$300かかります。防護点+2ごとに受動防御も+1されます。防護点に理論上の限界はありませんが、受動防御は最大で6です。


●サーバント
 <多足のもの>ならば誰でも購入可能なサーバントとして、元素獣と魔化系呪文<ゴーレム>を用いて作られたハイブリッド人造ゴーレムの亜種「グノーメ」と、完全にテクノロジー技術だけで作られたAI搭載警備ロボット「メスクリン」があります。
 これらは運用するだけならば特に技能は必要ありませんが、コマンドを追加したり修理する際は<技師/サーバント>が必要です。設定変更を行うの場合、通常は専門技術を持つ<多足のもの>の技術者の所に持ち込まれます。

「グノーメ」(ルナル完全版p187) $2500(戦闘型は$5000)
 「汎用型」と「戦闘型」が存在し、「汎用型」は10CP分の技術系あるいは戦闘系技能を習得しています。技能に対するCP配分は、所有者たるキャラクターが自由に設定できます。なお、汎用型の武器は所有者が自前で用意する必要があります。
 戦闘型は装備やCP配分が固定であり、p187のデータをそのまま用います。

「メスクリン」(ルナル完全版p187) $3000
 地底掘削作業と戦闘に特化したサーバントで、データは完全に固定されています。カスタマイズしたい場合は、GMと話し合いの下で行って下さい。



■■ 独自の技能
<酸の唾>(肉体/易) 技能なし値:敏捷力-3
 酸の唾で射撃を行う場合の命中判定に使います。抜撃ち12、正確さ0として扱います。射程は「生命力」メートルです。ただし酸の唾は、一回使用するごとに2点疲労するため、そう何度も使える手ではありません。


<多足戦闘>(肉体/易) 技能なし値:敏捷力-3
 <多足のもの>の身体にたくさん生えている足を使って蹴りに特化した格闘技を行います。
 この技能でキックを行った場合、命中判定は<多足戦闘>技能そのままが目標値になります(<格闘>技能での蹴りのように命中判定に-2のペナルティがありません)。また、キックのダメージに、技能レベルの10分の1だけプラスされます(端数切捨て)。さらに生得能力として「石の体」を持つため、ダメージがさらに+2されます。
 キックの射程は「C、1」です(<空手>のように近接キックが可能)。ただしこの技能では、素手による「受け」は一切行えません。

 この技能は、足がたくさんある<多足のもの>が使う事を前提にした体術なので、人間(およびそれに類似した亜人)が習得する事はできません。


<機械工/TL7>(精神/並)
 地の元素神の機械神学に基づいて生産された「機械」を正しく扱うための技能です。この技能を使えば、機械の運用と修理が可能です。以下のジャンルで専門化して下さい。

蒸気機関/小型機器(時計などゼンマイ式)/小型電動機/大型電動機


<技師/TL7>(精神/難) 前提:詳細は文中
 複雑な機械の設計・製造を行うための神学知識です。「発明家」が作り出した発明品の構造解析を行い、ある程度原理が判明していて流用できる部分の技術の集大成知識も含まれます。あくまで「経験則」に基づくものなので、化学的・物理学的な基礎理論などは皆無ですが…。
 ジャンルごとに必ず専門化し、前提条件を取得して下さい。その多くは<機械工>が前提技能になっています。以下、ルナルっぽい主な分野の例を示しておきます。

発電機(前提:<機械工/蒸気機関>)/アナログ時計(前提:<機械工/小型機器>)/地底掘削機(前提:<機械工/大型電動機>および<地質学>)/サーバント(前提:<機械工/小型電動機>)/統合電子頭脳*(前提:<機械工/大型電動機>および<医師>)/高速トロッコ(前提:<機械工/大型電動機>)/近代銃器(前提:なし)

*行政用の思考機械「組み合わされた頭脳」の事です。



■■ 独自格闘動作・準技能
 なし



■■ 習得可能呪文
 地霊系、酸系、魔化系、物体操作系、防御/警戒系の5種の呪文を全て習得可能です。系統外の呪文が前提条件に入っている場合、それらは無視できます。
 さらに、銀の月の眷属共通呪文(種族解説ページ参照)が習得可能です。

(グリモアからの導入)
 酸系呪文は「ガープス・グリモア」に掲載されていますが、おそらくグリモアを持ってない人の方が多数と思われるので、簡単な代用手段を書いておきます。

 酸は水と同じ扱いですが、いくつかの点で火と同じ部分があります。基本的に火霊系呪文(一部、水霊系呪文)で酸系呪文を代用できます。以下のように置き換えて下さい。

《酸作成》→《火炎》で代用。前提:素質1、《土作成》
《防酸》→《防熱》で代用。前提:《酸作成》
《酸噴射》→《火炎噴射》で代用。前提:素質2、《酸作成》
《酸吹き》→《火吹き》で代用。前提:素質3、《酸噴射》《防酸》
《酸球》→《火球》で代用。前提:素質2、《酸作成》
《酸の雨》→水霊系の《雹》(5倍消費の大きな雹)で代用。前提:素質2、《土作成》
《聖酸》→水霊系の《聖水》で代用。ただし浴びると《火炎》の3倍ダメージ(3D-3)発生。基本消費コストは4リットルにつき8。前提:酸系呪文6種(つまり上記全て)。

 データの細部に違いはありますが誤差の範囲であり、ゲームの進行にほぼ影響しません。ちなみに<酸作成>で作られた酸を浴びると1D-3のダメージを負い、酸に満たされたヘクスで1ターン過ごすと1D-1点のダメージを負います。防護点は1ターンだけ有効です。
 なお、1ヘクス分の酸は合計8点のダメージ(<聖酸>のみ24点)を何らかの物体(生物)に与えると中和されてしまい、塩辛い水だけが残ります。《水浄化》を使うと真水になります。《水破壊》を使うと塩の小さな塊が残ります。



■■ 召喚可能な元素獣
 以下、<多足のもの>が召喚可能な風の元素獣の一覧です。

★ナルガン(ルナル完全版p186) 召喚コスト:15
 岩の塊。破城槌として呼ばれる。パンジャンドラム的なアレ。
★コーボルト(ルナル完全版p186) 召喚コスト:8
 岩の小人。知能が非常に高く、雑用向き。
★ガーゴイル(ルナル完全版p186) 召喚コスト:12
 岩でできた翼を持つ猿。拠点防衛用に向く。
[原作からの変更点]
 現代日本人の引き籠りオタクを、ファンタジー種族して再現したような連中です(笑)。基本的に怠惰で、ルーチンワークは全てサーバントに代行させます。加えて元素獣も動員できるので、本人は元素神によって植え付けられた「大好きな機械技術の開発」だけをしてればいい事になります。ある意味、現代先進国の国民の願望が叶えられたユートピアと言えるでしょう。

 <多足のもの>の社会には、いわゆる奴隷制度は存在しません。サーバントが全て単純労働を代行しているためです。また、「上司」のような上から圧力をかけてくる連中もいません。行政は生体チップを用いた思考機械がやるので、利益独占の野心を抱えた政治家や財務省、経団連やNHK放送局といった悪質な支配者層による不当搾取もありません(笑)。
 国民たる<多足のもの>は、全員が生まれつきの富裕層として存在し、周辺環境はほとんど自動化されており、そもそも労働なんてほとんどしなくてもいい身分になっています(サーバントに何をさせるのか計画を立て、コマンドを出す程度)。
 ただしそんな状況でも、個人と個人が交流していると、意見の相違から諍いは起きるものです。なので彼らは徹底した個人主義であり、他人のやる事に口出ししない代わりに、自分の生活空間に誰も入れようとはしません。

 こうした社会は、神による遺伝子レベルでの精神洗脳と、外界から完全に閉ざされた地底の奥深くという地理的な優位性によって支えられたものであって、もう少し自由意思が認められていたり、他種族との交わりが盛んな場所に住んでいたのでは、そんな生活は成立しないと思われます。国民性と地理って大事です。


 機械技術による高度テクノロジーは、<技師>技能によって支えられています。ただしこれらは、基礎理論となる<化学><物理学>が完全に抜け落ちており、神さまから与えられた聖典を盲目的に利用しているに過ぎません。学問というより神学です。
 ただし、そんな盲目的マニュアル運用でも、試行回数を積み重ねれば「統計学」として成立します(いわゆる経験則)。そのため、比較的分かりやすいTL7の技術力は、ある程度までは情報共有化に成功しています。

 それを端的に示すのが、サーバントと呼ばれるAI搭載ロボットです。これらは共通規格になっており、「財産」で購入して所有する事ができます。1人の<多足のもの>でも2~3台は購入できるので、掃除、洗濯、晩ご飯のためのお買い物、ゴミの日のゴミ出しなどなど…そういった時間を食われる雑務からは解放されているのが普通です。

 また、行政用の「組み合わされた頭脳」は、事実上不老不死の頭脳なので、共有知識を管理するのに最適な存在です。元素神より授かった<技師>技能を始め、サーヴァントの生産技術や、思考機械の生産・管理の知識など、<多足のもの>社会の根幹となる重要な知識に関しては、「組み合わされた頭脳」によって厳重に保存されています。作成ルールでは、こうした「共有化された知識」の部分だけを取り扱っていると考えて下さい。

 その他、小説に登場した技術として、輸送機関である「高速トロッコ」なるものが存在します。いわゆる地下鉄のようなものであり、遠距離移動をスムーズに行えます。マイクラで言うところの「Y10でダイヤ採掘してた坑道に線路を敷いて大陸間移動手段にした」みたいなもので、これによって<多足のもの>の都市同士が繋がっています。
 こうした公共物の開発知識に関しても、ある程度は共有化が為されています。

 それ以外のマシンは、それぞれ個人が独自に開発し、独自で運用しています(いくら不老不死の思考機械でも脳を使っている以上、記憶容量の限界があるので、全て記録しているわけではありません)。GMは必要ならば、それらをデータ化して所有させて構いません。「ガープス・サイバーパンク」あたりから装備データを引っ張ってこればよいでしょう。銃器などを扱うには、<銃器>技能など独自で持つ必要があります。
 また兵器だけでなく、冷蔵庫や赤外線こたつなどの日用品にいたるまで、TL7相当の器物は色々あるので、好きに登場させればよいかと思います。ただし、何らかの理由で大破したら、復元はできません。


 なお、大型の自律移動マシンに関しては、「妖魔夜行」のルールに基づき、350~600CPで機械系の妖怪を作ればよいと思います。小説でも大型の歩行戦闘機械が登場し、何やら自由に暴れまわっていました。所有していることをCPで現したい場合は、「財産」ではなく「ガープス・妖魔夜行・妖怪伝奇」に掲載されている「しもべ」の特徴を使って下さい。
 「財産」は万人に共通の価値があるものを数値化したものであって、<多足のもの>が作り上げたマシンというのは、作った本人しか管理運用できない事が多いため、そういうのは本人が持たないと「財産」とすら呼べません。なので、ウィザードの使い魔などと同じように、「仲間」や「しもべ」として所有するのが妥当な処理でしょう。


 魔法関連ですが、習得可能な系統を5つに増やし、そこに魔化系呪文を加えておきました。マナを貯蔵するには《パワーストーン》の呪文が必要ですし、グノーメなどの魔術寄りのサーバントの開発は、《ゴーレム》の呪文が介在していると考えるべきなので、やはりこれは必要な系統でしょう。他、習得可能な系統の範囲内で普通に魔化アイテムを作成できます。オークのサンプルキャラの説明で登場した「酸を放つ杖」とかいう落し物も、《酸噴射》の魔化アイテムで表現すればよいでしょう。
 その酸系呪文なんですが…おそらく「ガープス・グリモア」なんて持ってる人の方がレアドロップな存在だと思うので、簡単な代用手段を書いておきました。基本的にデータは火霊系呪文と似ているので、同じように使ってもバランス的に問題ありません。



 こうして概要を並べてもイメージが掴みにくい種族かもしれませんが、管理人個人はアニメ「攻殻機動隊」に登場したタチコマたちのような種族だと認識しています(「好奇心2レベル」とか、いかにもタチコマっぽい(笑))。なので、あんまり「熱狂/神」にとわられず、コミカル表現していいかと思います。
 <多足のもの>たちは裕福な環境に生まれ、機械にしか興味を持たないため、遭遇して捕まったからといって、いきなり害を為してくる事は少ないかと思います(そもそも人間のような低文明種族に興味がない)。「不思議の国のアリス」のように、穴に落っこちたら不思議なヤドカリが助けてくれた、とか、そういうほんわかした話のネタでもいいんじゃないですかね…
▲メインに戻る