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● <姿なきグルグドゥ>
[<姿なきグルグドゥ>種族セット](cpさまざま)
 海洋種と沼沢種の二つに分かれます。それぞれ独自の特徴の項目を参照して下さい。

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■種族概要
 <姿なきグルグドゥ>は、水の元素神を信仰している種族です。

 外見は、内部に色取り取りの美しい光る球体が浮かんだゼリーです。いわゆる人間の内臓に相当する部分はなくなっており、この光る球体が内蔵の役割を分担しています。
 会話はこの球体の明滅によって行われ、発声器官はないので音声会話はできません(聴覚はあります)。その光信号を見るための視覚も球体の一つが担っており、実質、身体全体で光を感知しています。深海の暗がりでも、鋭敏に周囲を察知できるようです。
 内部の球体は役割の互換性が高く、仮に球体の一つが破壊されても、別の球体が即座に役割を引き継ぎます。人間のように、戦闘中に目を潰されて盲目状態のまま戦闘継続、という事は起こりません。こうした特異性は「ダメージボーナスなし」で現されます。

 グルグドゥは大まかに二種類に分かれており、深海に住んでいて巨大な光り輝く都市を築き、知的で平和な文化を持つ「海洋種」と、陸上の沼地に住み、他の生物の生血を啜って生きる野蛮な「沼沢種」に分かれています。

 沼沢種の方は、蛮族を通り越してモンスターと言っていいほど退化した種族で、向こうも人間を食料としてしか見ていません。知能が低いので寄生虫と同レベルの生活しか送っていませんが、稀に知性が比較的高い個体が現れ、集団で襲ってくる事があります…やってる事は同じですが。
 一方、海洋種は美しく、気高く、理性的な知的生命体です。非常に平和主義で、他種族に対しても偏見がなく、困っていたら助けてくれます。
 ただ、高度文明出身者の優越感があるためか、やや上から目線なのは否定できません。もっとも、海洋種の住居は深海にあり、そもそも人間を含む他の知的生命体と接触すること自体が極めて稀です。オマケにコミュニケーション手段が大きく異なるため、深刻なレベルで感情の行き違いが起こる事など、ほとんどありません(グルグドゥと深く付き合う人間など、極めて稀です)。


 海洋種が住む海底都市は、おおよそ深度3000メートルから6000メートルの範囲に点在し、
光り輝く巨石構造物が立ち並んでいます。1000人単位で一つの都市を運営しており、各都市は独立国家ですが交流は盛んで、緩やかな連合を組んでいます。海洋種のグルグドゥは、どこの町に行っても、出身地に関係なく対等の市民権を得ます(移住申請は必要ですが)。

 都市の統治形態は直接民主制であり、議長役のグルグドゥは「闘士」と呼ばれる戦士階級出身者で、二票分の投票権を持っています。
 彼らの文明基盤は、元素獣プリズマーの死骸から生成される「スロー・クリスタル」と呼ばれる人工魔法素材であり、これは光を、その性質を変える事なくためておくことが可能な「光の電池」とも呼べるものです。このクリスタルは、様々なマジックアイテムの生成に使える他、それを稼働させるのにもクリスタルが使われます。他にも、都市の照明、農業プラントでの海草の光合成(専用のプラントで食用の海草を育て、さらに海草を餌にして食用魚を飼育しています)、独自のレーザー推進による深海艇の動力源など、利用方法は多岐にわたります。
 都市の大部分は、海上付近で充電を終えたスロー・クリスタルを貯蔵しておくための「倉庫」であり、それが都市全体を光らせているわけです。


 なお、グルグドゥの出産方法は、人間とは大きく異なっています。

 まず、グルグドゥには性別がありません。性格的には中性としてふるまいます。通常、グルグドゥが数を増やす際は、1体のグルグドゥが分裂し、全く同じ身体、全く同じ記憶を持った個人が2体発生する方法を取ります。分かれた「元1人」は、やがてそれぞれが別の経験を積むことで、ペルソナ上は「他人」になりますが、遺伝子的には全く同じ個体です。つまりこれは、ただの分裂であり、交配とは言えません。
 しかし、妊娠出産と同程度の消耗と命の危険が伴いますので、そうそう気軽に行える行動ではありません。分裂を行う主な動機は、儀式魔法を執り行う際に人数が足りない場合の「助っ人」の調達です。

 なお、分裂の際に他のグルグドゥと交配を行い、遺伝子が半分ずつ与え合った異なる「別個体」を複製させることも可能で、これによって生まれた新個体のみ「子供」とみなされます。「子供」は、遺伝子ホスト二人分の記憶が混ざり合うことによる混乱を防ぐため、双方からの記憶を全く継承していません。そのため、1からの教育が必要となります。
 「子供」の教育は専門の教育担当者が行い、両親は全く関与しません。愛情をたっぷり与えられて育てられますが、特定個人に対する「家族愛」というものは、グルグドゥには存在しません。強いて言えば、育った都市のグルグドゥ全員が愛すべき家族と言えます(通常の対等のカップル同士の恋愛感情は存在します)。
 こうした別個体の生成を行う主な動機は、同じ遺伝子が並ぶことによって特定の遺伝病が大勢の個体に蔓延し、種が滅びるのを防ぐためです。

 ちなみにこれらは海洋種の話であって、沼沢種ともなれば複数が乱交状態で乱雑なコピーを行います。目的は出産というよりも、行為自体を楽しむためです(要するに快楽を求めてHしてるだけ)。「襲撃時の人数を増やすため」という取ってつけたような目的も、一応ありますが。そして、生まれた「子供」もほとんど放置状態です。
 まあ、親のやる事と言えば「生物にとりついて血を吸う」くらいのものなので、子供も見よう見まねでそれをやるだけですが。



 言うまでもなく、こうした特殊な生態では冒険に同行しようもないため、<姿なきグルグドゥ>はNPC専用種族です。光の都市に住む海洋種の平民は150cpほどで作られます。「闘士」と呼ばれる戦士階級で200cpほどになります。彼らの半数ほどが「魔法の素質」を持って生まれます。

 一方、沼沢種は日常でも遭遇する事がありますが、基本的にただのモンスターであり、冒険どころか交流も極めて困難です。通常は25cpで作られ、山賊が行商から金品を強奪するのと似たような動機で、手近な生き物にとりついて生血をすするだけです。遭遇しても交渉なしで討伐してしまって問題ないでしょう。
 ごくごく稀ですが、種族内にウィザードの素養者が生まれ、何かしら事情が重なってソーサラーとして覚醒し、部族に君臨している事があります。そういう場合は獲物を生け捕りにして、<悪魔>召喚儀式の生贄に捧げたりすることもあるようです。



■■ 種族に多い特徴
 海洋種は「自分たちこそが最高の種族だ!」という「誇大妄想」を持っています。そのため、他の種族と接触した際、常にお兄さんぶってリーダーシップを取りたがります。また、実力をちらちらとひけらかし、自分たちの凄さをアピールしたがります。
 こうした鼻につく特性は、平常時は沼沢種に向けられています。「こんな出来損ないでも同族だ。精一杯導いて見せよう!」と、上から目線で良い子ぶって気に掛け、助けようとアピールします…沼沢種からすれば「うっとおしい」「ほっといてくれ」といったところですが、彼らは自分たちを直接的にアピールできる唯一の相手なので、止めることはありません。
 こうした性質の度が過ぎる個体は「高慢」の特徴で現して下さい。ただし、あまりに自己主張の強い個体は、外交使節などには向きません。

 一方、他の種族に対しては完璧に善良な隣人であろうとします。<多足のもの>とは異なり、交流には積極的な方ですが、異教徒に対して改宗を迫ったりはしません。水の元素神に対しても、「義務感」は持っていますが「熱狂」ではなく、あくまで理性的に尊重しています。過度に元素神の名を売り込む事もしません。彼らは、「ああ・・・彼らは我々と同じ存在になろうと頑張っている途上なんだな…」と相手を見て優越感に浸りつつ、相手の考えを最大限に尊重する寛容さをアピールします。

 個々のレベルで見ていくと、光輝く海底都市で育つ海洋種は、「朴訥」で外の世界を知らない者が多いと言えます。また、情報伝達系呪文によるテレパシー会話を使う際、感情も相手に流れ込んでしまう事から、そもそもウソをつく事を知らない「正直」者の個体が多いと言えます。
 しかし、都市の外を巡回警備する「闘士」はそこまで世間知らずではなく、「紳士の名誉」など気高く高貴な精神を持つ個体が多いようです。

 一方、陸上の沼地種は、海洋種に対して激しい劣等感を抱いており、さらに自分たち以外の他種族全般に対しても「狭量」です。(獲物に対して)「くいしんぼ」の個体が大勢います。
 他種族と情報交換するような事態になることはほとんどないでしょうが、例えば海洋種との定期連絡を行う際も「虚言癖」などで煙をまこうとします。
■■ 独自の特徴
●<姿なきグルグドゥ>海洋種 種族セット(100cp)
体力-1、知力+1(0cp)。
我慢強さ(10cp)
 そもそも痛覚が存在しない。
液体の体/重要器官だけ除外(-30%)(14cp)
 変形自在。水の中のみ隠蔽効果(相手の視覚-4)。「叩き」攻撃ダメージ半減。「切り」「刺し」攻撃ダメージ1点固定。冷気攻撃ダメージ通常通り、炎・脱水攻撃ダメージ2倍。並荷までの荷物を持てる。手先を使う肉体系技能-2。(内臓だけ適応外。防護効果一切無視でダメージ素通り。見ればすぐ分かる。部位狙い修正-8)
ダメージボーナスなし/重要器官だけ除外(-30%)(7cp)
 一般的な生物における各内蔵や視聴覚器官がない。部位狙いも無効。(内臓だけ適応外。防護効果一切無視。見ればすぐ分かる。部位狙い修正-8。「切り」「刺し」ダメージが普通に適応される。「刺し」はダメージ3倍)
体表呼吸(20cp)
 体表全体から酸素を取り込む。首がないので首絞めで窒息しない。水中でも酸素が含まれるなら窒息しない。ただし真空や土中など酸素がない場所では窒息する。
肺が強いL1(2cp)
 体力×20秒(運動時は体力×8秒)、窒息状態でも行動可能。
水中行動(10cp)
 水泳時の移動力が通常移動力と等しい。<水泳>の技能なし値が敏捷力に等しい。
耐圧L6(60cp)
 600気圧まで耐える。グルグドゥの深海都市は、最深部で水深6000mに存在。
特殊移動(5cp)
 這って移動する。転倒しない。地形によるペナルティ半減。
歩行障害/陸上のみ(-10cp)
 陸上での移動力-3。足を使う技能全般(射撃以外の戦闘技能含む)も-3。
全周視界(25cp)
 全方角の光を感知しており、視覚的に前後左右の概念がない。背後から攻撃されても回避にペナルティなし。
闇視(25cp)
 深海のほぼ完全な暗闇でも光を感知して見る事が可能。
言語障害(-25cp)
 音声を発する器官が存在しない。意思疎通は光の明滅で行う。聴覚はあるので聞くことは可能。
発光能力(1cp)
 自身の内蔵を自在に光らせる。判定不要。明滅パターンで「会話」を行う。
酸噴射/パワーレベル1(6cp 瞬間発動、接触のみ±0%)
 消化液を出して対象の皮膚を溶かして出血させる。ターンの頭に自動発動。そのターンのうちに対象に触れる必要あり。ダメージは「叩き1D-1」。防具の防護点が有効なのは最初のターンのみ。通常は「組み付き」を試み、以後のターンも接触を保とうとする(自動命中)。

誇大妄想/自分たちこそ最高の種族(-10cp)
誠実(-10cp)、平和愛好/非殺(-15cp)
義務感/同族(-10cp)、義務感/崇める水の元素神(-5cp)

*体重は、同じ体力の男性人間の6割。


 深海に住むグルグドゥで、平和を愛好し、他種族が困っていたら無償で助けてくれたりもします。非文明的な野蛮な行為を嫌い、常に紳士淑女であろうとします。
 彼らは普段、スロー・クリスタルを海上まで上げて「充電」する作業や、持ち帰ったスロー・クリスタルを用いて養殖プラントで食用の海草や魚介類の飼育をしています(食性は雑食で、人間とほぼ同じ物を食せます)。
 彼らが「充電エリア」(なるべく人間の船舶航路から外れた海域に設定されます)や都市部から出てくる事はほとんどありませんが、「闘士」と呼ばれる階級はそれらの周辺の巡回をしており、自分たちの素晴らしさを誇示したいあまり、周辺海域で困っているディワンや人間のアクシデントに介入してくることがあります。


●<姿なきグルグドゥ>沼沢種 種族セット(20cp)
知力-2、生命力+2(5cp)
原始的L3(-15cp)
 文明を持っていない。
財産/どん底(-25cp)
 1ムーナも所持していない。
我慢強さ(10cp)
 そもそも痛覚が存在しない。
頑健(10cp)
 一般的な病気には一切かからない。
液体の体/重要器官だけ除外(-30%)(14cp)
 変形自在。水の中のみ隠蔽効果(相手の視覚-4)。「叩き」攻撃ダメージ半減。「切り」「刺し」攻撃ダメージ1点固定。冷気攻撃ダメージ通常通り、炎・脱水攻撃ダメージ2倍。並荷までの荷物を持てる。手先を使う肉体系技能-2。(内臓だけ適応外。防護効果一切無視でダメージ素通り。見ればすぐ分かる。部位狙い修正-8)
ダメージボーナスなし/重要器官だけ除外(-30%)(7cp)
 一般的な生物における各内蔵や視聴覚器官がない。部位狙いも無効。(内臓だけ適応外。防護効果一切無視。見ればすぐ分かる。部位狙い修正-8。「切り」「刺し」ダメージが普通に適応される。「刺し」はダメージ3倍)
体表呼吸(20cp)
 体表全体から酸素を取り込む。首がないので首絞めで窒息しない。水中でも酸素が含まれるなら窒息しない。ただし真空や土中など酸素がない場所では窒息する。
肺が強いL1(2cp)
 体力×20秒(運動時は体力×8秒)、窒息状態でも行動可能。
水中行動(10cp)
 水泳時の移動力が通常移動力と等しくなる。<水泳>の技能なし値が敏捷力に等しい。
耐圧L1(10cp)
 100気圧まで耐える(深度1000メートルほど)。海洋種が住む深海(3000メートル以下)まで到達できない。
特殊移動(5cp)
 這って移動する。転倒しない。地形によるペナルティ半減。
歩行障害(-10cp)
 陸上のみ、移動力-3。足を使う技能全般(射撃以外の戦闘技能含む)も-3。
全周視界(25cp)
 全方角の光を感知しており、視覚的に前後左右の概念がない。背後から攻撃されても回避にペナルティなし。
暗視(10cp)
 海洋種より劣るが、陸上で狩りをする分には問題ないレベル。
言語障害(-25cp)
 音声を発する器官が存在しない。意思疎通は光の明滅で行う。聴覚はあるので、音は普通に聞くことが可能。
発光能力(1cp)
 自身の内蔵を自在に光らせる。判定不要。
酸噴射/パワーレベル1(6cp 瞬間発動、接触のみ±0%)
 消化液を出して対象の皮膚を溶かし、出血させる。ターンの頭に自動発動。そのターンのうちに対象に触れる必要あり。ダメージは「叩き1D-1。防具の防護点が有効なのは最初のターンのみ。通常は「組み付き」を試み、以後のターンも接触を保とうとする(自動命中)。

暴れん坊(-10cp)、狭量/自分たち以外の知的種族全て(-10cp)
残忍(-10cp)、偏執狂(-10cp)

*体重は、同じ体力の男性人間の6割。


 蛮族にまで退化したグルグドゥで、身体性能的にも海洋種に遠く及びません。精神的にも野蛮で、自分たち以外の種族に対しておおむね狭量であり、沼地で獲物を待ち伏せて、取りついて消化液で溶かし、体液をすすっていきています。特に人間を目の仇にして狙っているわけではなく、獲物になるなら動物でも何でもお構いなしです。
 そのため、まともな社会的交流のある種族となると、一応同族の海洋種だけです。海洋種は「兄弟」がどうなっているのか心配して、定期的に視察にきては、特に何かするわけでもなく立ち去ります。沼沢種からすれば監視するだけのうっとおしい「兄貴」です(ただし戦っても到底かなわないので、相手が満足して立ち去るのを大人しく待ちます)。
 彼らの活動領域は、おおよそ水が存在するところに限られており、乾燥地帯にやって来ることはありません。


●闘士(15cp)
 一般的な海洋種のグルグドゥは「平和愛好/非殺」ですが、軍人階級にあるグルグドゥは「専守防衛」に置き換わっており、必要とあらば敵勢力を殺す事が可能です(相手が自分を殺そうとしている場合のみですが)。
 さらに「法の番人L3」を所持しており、その行動に大きな自由裁量権が与えられています。彼らは自分たちを守るための戦略として必要と判断するならば、必要最小限の範囲で要撃作戦や警告の威嚇攻撃を、議会の許可なしで行う事が容認されています。

 こうした特徴は、生まれてからの教育課程で育まれるものであるため、「闘士」は生まれつきの特徴であり、一般市民が急に「闘士」に昇格したりはしません。


●議長(30cp)
 「闘士」の中から、評議会の議長が選ばれ、議会の運営リーダーを担当します。議長は「闘士」の特徴「法の番人L3」「平和愛好/専守防衛」を引き継いでおり、さらに元素神の啓示を受ける可能性があります。

 水の元素神は、平常時は眷属の生活にほぼ干渉してきませんし、グルグドゥの側から元素神の召喚を願う事もありません。
 しかし眷属が危機的な状況に陥ると、まず元素神の側から自身を呼び出すように啓示があり、それに応じて召喚の儀式が執り行われます。その際の儀式魔法のリーダーは、必ず議長が担当します。

 議長は「後援者」として元素神と関わりを持っており(特殊能力持ちの大規模後援者/頻度:稀 20cp)、支援を受ける際に最も危険な使命を与えられます(危険な使命/稀 -5cp)。
 具体的に危険な使命とは、「降臨する際に肉体を提供しろ」とか、「何かしらの奇跡のためにお前が代表して犠牲となれ」といったような、ほとんど生贄に近い命掛けの行為です…もっとも、グルグドゥは分裂によって自身のクローンを残せるため、生贄になったからといって議長のパーソナリティ自体が損なわれるわけではありません…理論的には。


●魔術による不老(10cp)
 海洋種のグルグドゥはウィザードと同じく、治癒系の<老化停止><若返り>の呪文によって老化を防ぐ事が可能です。これは「特殊な背景」の一種とみなし、CPを支払う必要があります。この特徴を獲得すると、技能に費やせるCP制限(年齢の2倍)を無視できるという特典があります。

 グルグドゥの場合、この特徴を取るために、実際に不老になるための手段を使える状態にしておく必要はありません。同族に対する義務感を持つ海洋種は、必要とあらば仲間のために儀式魔法を使うなど日常的に行われているため、当人が希望すれば、そのための儀式を執り行って貰えます(治癒系呪文を学んでいる同族は大勢います)。

 この特徴を獲得すると、事実上の不老として扱います。外見年齢は当人の好きに決められます。



■■ 独自の武器
●疑似器官
 ダミーの内蔵を体内に保持することで、部位狙いで弱点の内蔵を狙われた際にダメージを実質無効にすることができます。部位狙いが命中し、ダメージ判定を行う際、サイコロ1つを振って1ならば、ダミーに命中したことになり、その攻撃によるダメージは完全無効になります(ダミー自体は破壊されます)。
 ダミーは4つまで抱え込むことができ、1Dで4以下ならダミーに命中したことにできます(命中するたびにダミー内臓が破壊され、確率が下がっていくことに注意して下さい)。
 なお、疑似器官はあくまで部位狙い攻撃に対するものであって、《脱水》の呪文などで全体にダメージを与える攻撃などに対しては、何の効果もありません。

 疑似器官はファッションとしての意味合いもあり、地位や家系を示すシンボルとして使われることもあります。

疑似器官(1セット) 100ムーナ 最大4つまで装備可能


●スロー・クリスタル
 光を貯め、ゆっくり放つ事ができる直径5センチ程度のクリスタルです。これは、水の元素獣プリズマーの死骸を加工して作ったものであり、本質的に魔法の石です。
 スロー・クリスタルは様々な使い方ができますが、これ単体でも光源として使えます。懐中電灯や目印として使えるでしょう(もっとも、グルグドゥ本人は闇視を持ってますが…)。ルール的には<光>の呪文が固体の石にかかっていて、物理的に持ち運びができると扱って下さい。

 スロー・クリスタルは「充電」によるリサイクルが可能であり、太陽光を浴びていた時間と同じ時間だけ、暗闇の中でほのかに輝き続けます。

スロー・クリスタル 100ムーナ 軽い



■■ 独自の技能
<体系変化>(肉体/易)
 グルグドゥは表面張力により、普段は球形を取っていますが、意図的に体を別の物体に真似た形を取り、その姿勢を維持するのにこの技能が必要になります。人間の手の形を真似して、身体の一部から生やして使うといったことができます(ただし敏捷力-2)。
 また、他種族とコミュニケーションを取る際、実際の物品の形のマネをするなどして、相互理解を深めたりするのにも役立ちます。人間で言うところの<変装><演技>と<手話>を混ぜたような技能として扱って下さい。
 一定の形を保ち続けるには、1分毎にこの技能で判定します。


<投影術>
(精神/並)
 海洋種のグルグドゥのみに伝わる、スロー・クリスタルを利用した光映像を作成するための芸術系技能です。<写真術>と<彫刻>を組み合わせたような技能と解釈して下さい。


<緩光結晶工芸>(精神/並)
 海洋種のグルグドゥが発展させている、緩光結晶(かんこうけっしょう…スロー・クリスタルの事)に関するアイテムを扱う技能です。修理したり改造したりできます。<技師>技能に対する<機械工>のような立ち位置にありますが、素材となるスロークリスタルは根本的に魔法素材なので、それらとは異なる技能として扱われます(互換性がない)。
 以下のジャンルで専門化して下さい。

光通信/レーザー推進/医療/保安システム/探知機


<緩光結晶工学>(精神/至難) 前提:文中に記載
 緩光結晶に関する<技師>と<神秘学>を混ぜたような技能です。緩光結晶を用いた魔法じみた品を設計・作成・修理することができます。<緩光結晶工芸>と同じく専門化して下さい。緩光結晶学で存在しそうな各分野の装置と、その前提条件を記しておきます。

レーザー通信システム(前提:<緩光結晶工芸/光通信>)/深海潜航艇(前提:<緩光結晶工芸/レーザー推進>および<造船>)/疑似器官(前提:<緩光結晶工芸/医療>)/レーザー内視鏡(前提:<緩光結晶工芸/医療>)/セントリー・レーザーガン(前提:<緩光結晶工芸/保安システム>)/ディスラプター(前提:<緩光結晶工芸/保安システム>)/暗視装置(前提:<緩光結晶工芸/探知機>)/レーザー・レーダー(前提:<緩光結晶工芸/探知機>)



■■ 独自格闘動作・準技能
 なし



■■ 習得可能呪文
 情報伝達系、水霊系、治癒系、光/闇系、移動系の5種の呪文を全て習得可能です。系統外の呪文が前提条件に入っている場合、それらは無視できます。
 さらに、銀の月の眷属共通呪文(種族解説ページ参照)が習得可能です。

(グリモアからの導入)
 GMは必要であれば、水霊系の《蒸気作成》と光/闇系の《陽光》を導入しても構いません。詳細はグリモアに掲載されていますが、簡単に説明すると、以下のようなものです。

《蒸気作成》
 指定ヘクスに蒸気を作り出し、火傷を負わせる呪文です、(引火しない事を除けば、《火炎》で生み出された炎ヘクスと同じ扱いをします)。範囲型呪文で基本消費2(維持不可)、準備1秒、持続は《悪臭》による毒ガスと全く同じで、周辺環境により変化します(屋外で10秒程度)。

《陽光》
 指定範囲から天井に向けて真っ直ぐな太陽の光を飛ばします―――外で使えば、マイクラのビーコンのように天空まで突き抜ける1本の光の筋が形成されます。範囲型呪文で基本消費2・1、準備1秒、効果時間は1分です。



■■ 召喚可能な元素獣
 以下、<多足のもの>が召喚可能な風の元素獣の一覧です。

★アーンディン(ルナル完全版p187) 召喚コスト:4
 水の塊。空気中も水中と同じように泳ぐ。ほぼ移動専用。
★レモラ(ルナル完全版p187) 召喚コスト:4
 超高速で泳ぐ細長い魚。高速移動が可能な他、体当たりで攻撃。
★プリズマー(ルナル完全版p187) 召喚コスト:8
 光の結晶。光を操作する。死骸はスロー・クリスタルに加工される。
★ルサルカ(ルナル完全版p188) 召喚コスト:8
 人間の女性の形をした水の塊。恐喝・尋問用。
★ボースタン(ルナル完全版p188) 召喚コスト:20
 巨大なエイ。空気中も水中と同様に泳ぐ。大量輸送や戦争時に使用。
[原作からの変更点]
 原作ルールでは、深海で存在し続けるための「耐圧」の特徴がなく、どうやって生存しているのか全く説明が為されていませんでした。小説に登場したピカちゃんが、人間と同じ蛋白質の食糧(干し肉)を食してエネルギー摂取していた以上、グルグドゥだって身体の基本構成素材は蛋白質であり、それが壊れないようにするために深海魚と同様の生理能力であって然るべきのはずです。
(ちなみに水深6000メートルほどになると、蛋白質の分子に無理やり水分子が入ろうとしてきて強制分解されてしまいます。深海魚は、それを防ぐ「トリメチルアミンオキシド」という長ったらしい名前の物質が血中に多く含まれており、浸透圧による破壊を防いでいます)。

 なので、「耐圧6レベル」を持たせ、水深6000メートルまでは生存可能にしました。水深6000メートルを超えるような深海は、地球では「超深海層」に分類され、地球全体の海洋面積の2%にも満たないので、そこは想定しなくてもよいと考え、6レベルで止めました―――といっても、それだけで60CPも要求されてしまいましたが。
 なお、劣等種である沼沢種は、「耐圧」1レベルしかありません(水深1000mまで)。これのせいで、海洋種たちは「弟たちを深海都市まで連行して再教育」ができないわけです…まあ、沼沢種からすれば「幸い」なんでしょうけど(笑)。

 また、視覚関連の能力も何も設定されていなかったので、とりあえず深海では「闇視」がないと本気で何も見えないので取得させました(水深1000m程度なら、そこまで高性能でなくとも生きていけるので沼沢種は「暗視」止まり)。また、「目」に相当する部位がないため、「全周視界」で身体全体を使って映像を取り込んでる設定になっています。


 精神面では、現行ルールをほとんどそのまま採用しました。
 変更点として、海洋種のエリート意識は「高慢」というより、自分たちの文化に対する圧倒的な自信が起因とした「副産物」としての行動だと思われるので、「誇大妄想」の形で処理しています。「高慢」では、相手の意見と妥協して低文明者の稚拙な行動を見守るといった寛容性を表現できないからです。
 なお、種族的に「熱狂/神」ではないため、他の銀の月種族に有り勝ちな「隙あらば自種族に取り込もう」という姿勢は全く見られません(原作ルールの種族セットにも、神に関連する熱狂や義務感などは一切含まれていません)。リプレイや小説ではむしろ、銀の月種族に強制同化されようとしていたエフィを助けたりもしていました。
 しかし、自分たちの文化に対して「誇大妄想」を抱くほど自信があるのですから、神に対する義務感も生じるはずなので、CPを稼ぐ意味合いも込めて「義務感/元素神」が含まれています(沼沢種の方は、自分たちのような劣等種を生み出したことに対する神への感謝など全くないので、所持していませんし、個人レベルでそういう思いを抱く事もまずありません)。


 社会面では、<多足のもの>がテクノロジー文明を発展させているのに対し、グルグドゥは元素獣の死骸を基盤とする魔法文明を発展させたと解釈しています。ルールブックの文章より察するに、元素獣プリズマーの死骸から作り出したスロー・クリスタルが、文明の基盤にあると推測できるからです。原作ルールでは設定がめんどくさかったのか、ほとんど何も再現されてませんが。

 緩光結晶工学ですが、これはテクノロジー工学というより、魔法素材を利用した錬金術に近いものです。なので、ここで挙げられた機材は、ルール的にはスロー・クリスタルを動力として動く「魔化アイテム」として扱って下さい(爬虫人の魔法冶金学と同じ扱い)。
 <緩光結晶工学>関連技能は、<錬金術>と同じく「魔法の素質」がなくとも習得可能で、魔化アイテムと同様の効果を持つアーティファクト(緩光結晶工芸品)を作り出す事ができます(ただし、グルグドゥが習得可能な呪文系統の範囲内の魔化アイテムに制限されます)。アーティファクトの作成期間や製造費用が必要な場合は、同様の効果を持つ魔化アイテムと同じルールで計算します。
 以下、分かりにくい用語だけ解説しておきます。


▼レーザー推進
 レーザーで水や大気を加熱膨張させ、その爆発力をそのまま推進力とする仕組み。現代地球では構想・初期実験段階。グルグドゥたちは周辺環境が水で満たされているため、潜航艇の後部の水をレーザーで加熱膨張させ、その爆発で推進力を得ているという設定。
 なお、潜水艇のボディの方は主に石素材で作られている。

▼セントリー・レーザーガン
 光線銃を自動設置銃にしたもの。早い話、一定範囲内に敵が入ってきたらレーザー光線で攻撃して撃退するような感じのSF世界に良くある保安システム。グルグドゥは身体から「腕」を生やして使う際に-2のペナルティがあるため、自分では撃たず、システムに組み込まれた元素獣に運用させている。主に海底都市の防衛用。

▼ディスラプター
 射線上の物質を原子未満のレベルまで分解してしまう位相光線(フェイザー)を放つ兵器。小説(龍を守る者)で古代兵器として登場。主に黒の月の巨大な<悪魔>(妖将など)を攻撃するために使われていたが、現在のルナルには、これほど危険な兵器を用いてまで吹き飛ばす相手などいないので、概ね封印されている様子。

▼レーザー・レーダー
 電波の代わりにレーザー光線を発射し、その反射率を感知することでレーダーと同じ役割を果たすシステム。日本では通常レーダーと混同しないように「ライダー」と呼ばれる。
 現代地球でも実在するシステムで分かりやすい例を挙げると、自動車の自動運転の際に車両が光学情報を得るために、天井付近に設置されてるドーム型の機材がそれ。至近距離に見えないレーザーを撃ってその反射を測定し、周囲の地形を認識する。
 グルグドゥの海底都市の防衛網の一環として利用されている。


 習得可能な呪文系統ですが、少し変更しました。
 幻覚/作成物系呪文は、おそらく光芸術の延長上のホログラム技術を再現するものだと思われますが、スロークリスタルがある以上、わざわざ呪文でフォローする必要があるとは思えないので、代わりに治癒系に変えています。グルグドゥの住居は深海なので、深海圧が凄まじい海の底でテクノロジーによる医学などまず発展しないだろうと判断した結果です。

 治癒系呪文を使用可能になったため、事実上の不老不死も可能になりました。彼らはパワーストーンを自作できませんが、分裂してスペル・キャスターの数を増やし、儀式魔法の形を取る事で、コストの大きい<老化停止><若返り><復活>などの呪文も使えます。
 ルールブックの説明文にある「月光を貯めたプールに入れば若返りの力を得る」という伝説も、グルグドゥたちが<若返り>の儀式魔法を行っていると解釈すれば、専用の特殊ルールなど導入せずとも再現可能です。
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