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● ゲルーシャ
[ゲルーシャ種族セット](15cp)
体力-1、敏捷力+1、知力+1(10cp)
魔法の素質L1(15cp)
闇視(25cp)
 光源不要で完全なる闇も見通せる。
獣化症耐性(5cp)
 獣化症に決してかからない。その他、変身タイプの病気や呪文抵抗に+2修正。
不老(15cp)
 寿命がなく、事故や戦闘で殺されない限り、生き続ける。

残忍(-10cp)、サディスト(-15cp)、偏執狂(-10cp)
強迫観念/育児ができない(-5cp)
 自分と血が繋がっている子供に対して親の情が湧かず、育児ができない。「性的不能」の亜種として扱う。
狭量/エルファ(-5cp)
 この種族とは一切の妥協ができない。遭遇したら殺し合い以外に道はない。
酷い妄想/万物は破壊されるべき(-15cp)
 生産したり他人を助けるといった行為を嫌悪し、常に破壊の方向へと進む。
癖/群れる事を非常に嫌う(-1cp)

<登攀>を敏捷力に等しいレベルで習得済み(2cp)
<動植物知識>を知力に等しいレベルで習得済み(4cp)


*身長は同じ体力の人間の1割増し、体重はそのまま。
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■種族概要
 ゲルーシャは、エルファが黒の月に堕ちた種族であり、エルファ語で「導かれざるもの」を意味します。外見は、眼球の白目の部分が全て真っ黒であることを除けば、エルファだった頃と全く変わりません。そのため、遮光器などで目を隠されていると、見た目ではエルファとの区別がつきません。
 ただし彼らの心は、円環による恒久的繁栄を目指していたエルファの頃とは全く逆で、世界を滅ぼす事を目的としています。それも、黒の月の種族だけの暗黒帝国を打ち立てるとかいったことではなく、自分たちをも含む万物の破壊が目的なのです。ある意味では、最も私欲なく黒の月の教えを体現している種族と言えます。
 また、ゲルーシャの破壊対象は物質だけでなく、友情とか絆といった抽象的な概念も含みます。そのため、自分たちもそういった他人とのつながりを嫌います。強い個体ほど単独で動こうとする傾向にあり、群れないと個を維持できない弱い個体であっても、普段は仲間の輪から一歩離れた場所で孤独に過ごしています。

 元種族のエルファも長寿でしたが、ゲルーシャはそもそも寿命の概念がなくなっており、殺されるまで延々と生き続けます。しかし、当人たちは永遠に存在する事自体が非常に苦痛であるため、何かにつけて自暴自棄な破壊行動を取りたがります。理性では、より大きな破壊にはつながらないから今は自制すべきと分かっていても、感情はとにかく目先の破壊を取りたがります。そして長い間生きていると、いつしか自制が利かず(意志判定に失敗し)、無謀な行動をやらかしてしまいます。そのためゲルーシャは、不老にも関わらず短命です。
 しかし中には、高い知性による自制力と生まれ持っての幸運が結びついて、<悪魔>戦争時代から延々と生き残っているような個体も、非常に稀ですが存在します。そのような個体は人生経験を積んでいるため、暗黒の王たるトロールにも匹敵する強さを持ちます。

 ゲルーシャの誕生は、狭義のソーサラーとよく似ています。すなわち現役のエルファが緑の月の信仰を捨てて《悪魔》を崇める事で、生きた状態のままゲルーシャへと種族変化を起こすのです。これは過去の歴史の話ではなく、現在進行形で今もなお起こる現象であり、他の種族のように、代を重ねて種族変化が起きるといったプロセスを辿りません。ゲルーシャとは、種族というよりも「現象」と言った方が適切かもしれません。
 逆に言うと、これ以外のプロセスを辿って種族が増える事はありません。厳密には、ゲルーシャ同士で子供を作ることも可能ですが、生まれた子供は誰も世話をせず、むしろ面白半分で殺したりするため、他に種を増やす方法がないのです。

 普段のゲルーシャたちは、エルファの目が届かない森の影でひっそり生活しています。人間の町で闇タマットが潜むのと同じように、森といってもエルファの目が届かない部分はたくさんあるので、そういった場所がゲルーシャの居場所となります。
 通常は単独行動か、ゴブリンの群れの用心棒や参謀を務めていたりしますが、群れに加わっていても仲間意識のようなものはなく、集団に所属するゲルーシャの戦闘力はそれほど高くはありません。


 平均的なゲルーシャは、外務を主とする特殊氏族の出身者が普通であり、最低でも75cpで作成されます。また、エルファだった頃のデータを継承します。
 また、単独で動けるほど強い個体だと150CP以上になります。ごく稀な存在ですが、<悪魔>戦争時代から生き延びた個体だと、600cpを超えるような超人も存在します。



■■ 種族に多い特徴
 特筆すべき事として、種族的に持つ「不老」の特徴と、「万物は破壊されるべき」という信念がそもそも矛盾している事が原因で、自身が永遠に存在する事への苦痛が「自傷癖」(-5cp、NPCの反応-1)として現れる個体が多く見られます。また、対外的にそれを示す者は「命知らず」の特徴を持ち、自身の死への願望を込めて自殺的に全力で突撃してきます。

 ゲルーシャは元々、知的なエルファだった事もあり、物理的な暴力よりも言葉による心理的暴力を優先して好む傾向があります。「虚言癖」などの特徴を持ち、言葉でいたぶる事を好みます。肉体的暴力とは異なり、心理的暴力は長期間継続できるため、種族的に「サディスト」のゲルーシャにとっては上質のエンターテイメントなのです―――そして「残忍」でもあるので、最終的には対象を殺してしまいます。



■■ 種族独自の特徴
 エルファだった頃のデータをほとんどそのまま引き継ぎます。ゲルーシャになると、通常の氏族の祖霊動物からは導かれなくなりますが、代わりに黒の月の魔獣王に導かれます。

 ゲルーシャの氏族は2段階であり、「氏族レベル1/闇の申し子」(0cp)の状態では、暗黒魔法の啓示が受けられるのみで、特にメリットはありません(暗黒魔法の啓示は、別にゲルーシャでなくとも黒の月の種族の魔法素養者であれば誰でも受けられるため、特に有利な特徴ではありません)。「闇の申し子」はゲルーシャにおける最低ランクであり、敢えてシートに記載する必要はありません。
 さらに上位の「氏族レベル2/闇の代行者」(10cp)になると、魔獣王の眷属たる獣に変身するための《化身》の呪文を授かる事ができます。「闇の代行者」(10cp)とデータに記載して下さい。エルファだった頃に<導き手>だった者は、最初からこのランクに達しているのが普通で、習得していた《化身》の呪文がそのまま使えます。



■■ 種族独自の技能
 エルファだった頃の独自武器や特殊技能は、素材となる祖霊植物と決別するため、補充が利かなくなります。そのため、継続して利用する事はありません(それらの技能は忘却し、データ上は喪失扱いとなります)。一般技能はそのまま継承されますが、氏族ごとのボーナス指定技能の恩恵(+1修正)は喪失します。

 なお、ゲルーシャになると、各氏族ごとに設定されている<錬金術>系統の技能が使えなくなりますが(これらも祖霊植物を利用したものなので)、代わりに<毒物>(精神/難)技能を多用するようになります。
 「ガープス・ベーシック完訳版」のサイド・バーに、実際に使用する毒の例が挙がっていますが、初版文庫版ベーシックには全く掲載されていないため、ゲルーシャたちが良く使う毒物の例示として簡単に記しておきます。


[<毒物>技能で扱う毒]
(基本用途)

 以下は、「切り」「刺し」タイプの武器に塗り付けて使う「血液毒」に関してのみ提示しています。
 血液毒が塗られた武器は、攻撃が命中し、相手に負傷を負わせると1回で拭い去られ、以降は普通の武器となります。ただし、攻撃が命中しても「受け」や「止め」でかわされてしまう事態が3回続くと、やはり毒は拭い去られてしまいます(受けや止めに使われた装備品に毒が付着し、刃から毒物が落ちてしまいます)。
 なお、各毒物の価格は、塗り付け1回分の価格です(実際は数回分の量の毒をまとめて購入するでしょう)。

(毒物の例)
●苛性タール
($30)
 傷口に入り込むとダメージはありませんが、激しい痛みを発生させます。毒を受けたら即座に生命力判定を行い、失敗すると1時間の間、敏捷力が-1されます。判定に成功したら何の影響も受けません。この敏捷力低下の効果は、毒を受けて判定に失敗するたびに累積していきます。
 苛性タールは粘着性が強く、「受け」や「止め」で攻撃をかわされても、毒が落ちる事は一切ありません。また、攻撃が命中して相手の体内に毒が入っても、サイコロを1つ振って1か2の場合、刃の毒は残り続けます(続けて毒の刃攻撃を見舞えます!)。

●トリカブト($40)
 毒を受けた対象は即座に生命力判定を行い、失敗すると1時間後に2D点の防護点無視ダメージを受け、さらに敏捷力-4の効果を2時間受け続けます。判定に成功すれば何の効果も現しません。なお、複数回の毒攻撃を受けても敏捷力マイナス効果は累積しませんが、ダメージは受けた回数分だけ食らいます(その度に生命力判定をして下さい)。

●コブラ毒($100)
 毒を受けた対象は即座に生命力判定を行い、失敗すると1時間後に3D点の防護点無視ダメージを受けます。判定に成功しても1Dダメージを受けます。複数回の毒攻撃を受けた場合、毒を受けた回数分だけ食らいます(その度に生命力判定をして下さい)。
 なお、コブラ毒は劣化が早いため、殺したコブラから採取して数時間立つと、無害化してしまいます。魔法が存在するルナルでは、《保存食》が魔化された瓶などに入れておけば、とれたての状態を維持できるとみなします。



■■ 呪文の習得
 基本的には、緑の月の祖霊から、黒の月の魔獣王に啓示を貰える相手が変わるだけなので、元氏族の2系統が暗黒魔法として啓示され続けます。氏族レベル1の段階から素質による習得制限がなく、全ての指定系統呪文を自由に習得可能です。
 また「氏族レベル2(闇の代行者)」になると、《化身》の呪文を授かれます。呪文の内容自体は、エルファ独自の《化身》の呪文と全く同じです。ただし、変身する動物は以下のものに固定されます。
 なお、動物系と植物系呪文の啓示は受けられなくなる代わりに、死霊系と精神系呪文の啓示がなされるようになります。ゲルーシャとなる前に習得していた動物系および植物系呪文は一応継承できますが、前提条件を満たしてない呪文は喪失します(「動物共感」を喪失するため、《静かに》の呪文の前提条件が満たせなくなり、動物系呪文はほぼ全滅するはずです)。喪失した分のCPを回収して、新たに啓示を受けられる系統の呪文を習得させるなどして下さい。


(キマイラ)
体力:40 敏捷力:14 知力:術者と同じ 生命力15/28
速度/よけ:10/7 受動防御:1 防護点:2
体重:800kg 大きさ:2ヘクス
 ライオンの頭と蛇の頭は、それぞれ噛みつき(長さC,1)により「切り/2D+1」ダメージを与えます(1ターンにつき、それぞれが1回ずつ攻撃可能)。ただし蛇の頭は、後方ヘクスを前面ヘクスとして攻撃対象を決定します。それぞれの牙は魔力を帯びており、非実体(ゴーストなど)にもダメージを与えます。
 ライオンの頭は、噛みつく代わりに射程2ヘクスの炎を吐けます。ダメージは「叩き(炎)/1D+1」です。これは判定不要で対象1体に自動命中しますが、対象は「よけ」か「とめ」での能動防御が可能です。
 蛇の尻尾は、牙に毒を携えています。蛇の牙が命中し、ダメージを受けた者は、ただちに生命力-4判定を行って下さい。また、戦闘後も3日間、朝起きる度に同じ判定を行います。判定に失敗するたびに、犠牲者は2Dの毒ダメージを受けます(防護点無効)。なお、最初の毒ダメージは噛まれてから15分後です。戦闘が終了し、5分以内に<応急処置>を行って毒を吸い出せば、以後の3日間の生命力判定に+1のボーナスがあります。
 背中のヤギの首は、《集団誘眠》の呪文を18レベルで使用できます(消費コストはゼロ。拡大は3倍まで)。ライオンや蛇の頭とは独立しており、独自で「集中」を行えます。
 キマイラは「加速」能力を持つため、1ターンに2回行動を行えます。また「我慢強さ」を持つため、衝撃や朦朧とは無縁です。さらに「光量補正」の能力も持つため、閃光など目くらまし攻撃を食らっても、生命力判定に成功したら一切の効果を受けません。失敗しても3秒間だけ敏捷力が-3されるだけです。10ヘクス以上離れた場所からの閃光であれば、判定すら必要なく自動で抵抗に成功します。


 魔獣王に仕える<獣の悪魔>の中でも最上級と言われる獣の化身と言われており、ライオンの身体を基盤に、背中にヤギの首が生えており、尻尾は蛇となっています。邪悪でおぞましい外見ではありますが、ある種の美学も備えており、神々しい姿に見えます。
 それぞれの頭部は独立した意志を持ち、それぞれが別の攻撃を行えますが、最終意思決定の段階で頭同士が喧嘩する事はありません。
 ヤギの首が18レベルで《集団誘眠》を使え、消費コストもゼロですが、準備時間は通常通りかかります。最大(3倍拡大)で準備9秒かかりますが、他の首が戦っている間も、ヤギの首は独自で「集中」行動を行えます。加速能力を持つ事から、1ターンで2秒分の集中時間を稼げますので、拡大せずに放てば、多少は連打できるでしょう。
 ゲルーシャは《化身》の呪文を使う事で、わずかな時間だけこの魔獣になる事が可能です。



■■ サンプル・キャラクター
 雑魚敵NPCとして用いられる一般的な個体のサンプルを挙げておきます。
■ ゲルーシャの魔法戦士 (総計75CP)
ゲルーシャ/男
身長187cm 体重66kg

■■ 能力値
(55cp)
ST9(0cp)
DX14(35cp)
IQ13(20cp)
HT10(0cp)

■■ 特徴 (25/-45cp)
ゲルーシャ種族セット(15cp)、闇の代行者(10cp)
暴れん坊(-10cp)、かんしゃく(-10cp)、高慢(-5cp)、狭量/向上心が低い者(-5cp)、誇大妄想/自分は選ばれしエリート人材(-10cp)、癖(-5cp)
■■ 技能 (40cp)
槍(8cp/Lv16)、呪文射撃/火球(4cp/Lv16)、盾(4cp/Lv16)、格闘(2cp/Lv15)
軽業(1cp/Lv12)、水泳(0.5cp/Lv13)、跳躍(0.5cp/Lv13)、登攀(-/Lv14)、投げ(1cp/Lv12)、ランニング(1cp/Lv8)
生存/森林(1cp/Lv12)、地域知識/故郷の森(0.5cp/Lv12)、追跡(1cp/Lv12)、動植物知識(-/Lv13)
指揮(1cp/Lv12)、戦術(0.5cp/Lv10)
忍び(2cp/Lv14)、探索(0.5cp/Lv12)、毒物(0.5cp/Lv10)
[呪文]
発火(1cp/Lv12)、火炎(1cp/Lv12)、火炎変化(1cp/Lv12)、火球(6cp/Lv15)
化身★(2cp/Lv12)

■■ 装備 総重量16.5kg(軽荷) 所持金150ムーナ
スピア($40 2kg) Lv16 刺し1D(長さ1)
ミディアム・シールド($60 7kg)
ヘビー・レザー($350 7.5kg <強化L1><防御L1><軽量化L1>魔化+$250)
パワーストーン(1点 $150)

■■ 身体能力
格闘:パンチ/キック Lv12/10 叩き1D-3(長さC,1)/叩き1D(長さ1)
火球 Lv16 叩き1D~3D 抜撃ち13 正確さ1 射程25/50m
移動力=6 能動防御=よけ:5/受け:8(格闘:10)/止め:8
受動防御/防護点=6/3
【設定】
 元プファイト氏族の<兄>の立場(氏族レベル2)にあったエルファですが、性格に多々問題があったようで、勝手に仲間に愛想を尽かした挙句、黒の月に魂を売ってしまいました。

 彼は上昇志向が非常に強い意識高い系で、しかも気が短く、ミスをして仲間の足を引っ張る者に対していつも高圧的で、過剰に責任を問い、体罰や心理的圧力で後輩を苛め抜くタイプでした(しかも当人は、それが弱者を「鍛える」ために必要な行為だと本気で信じてました)。
 実際のところ、彼自身もまだ他人の面倒を見るほど余裕のある実力者ではなく、発展途上の段階だったのですが(所詮は75cpの下っ端です…)、右肩上がりに実力を伸ばし、功績を立てて一気に<兄>に昇格した事が仇となり、「自分は希代のエリートであり、改革のためならば何をしても許される」と自惚れてしまったのです。
 そして狩りのリーダーになったものの、アイツはダメ、コイツもダメ、と次々と後輩を弾いているうちに、気が付けば氏族内で居場所がなくなっていました(さらに上位の<導き手>のエルファが、それとなく放り出したのです)。
 しかしその事が、彼のプライドを酷く傷つけてしまいます。気が付けば、自分を認めなかった故郷のエルファたちを恨んで復讐を願うあまり、際限なく力を求めてゲルーシャへと落ちてしまいました。

 データ的には、槍や射撃の腕は自信があるだけあって一流ですが、体力が低いため、あまりダメージが出ません。基本的には部位狙いを狙っていくキャラクターです。指揮や戦術能力もあるので、オークなど雑兵を率いる小隊長として使えるでしょう…ただし、向上心が強い彼は、オークのような卑屈な小心者は大嫌いなのですが。
[原作からの変更点]
 エルファがゲルーシャになっても、実はあんまり得してません。黒の月に転向することで喪失した祖霊植物の恩恵と、植物系と動物系の呪文の啓示が受けられなくなった事を考えると、「闇視」や「不老」を得たことを考慮しても、あんまり得はしてないでしょう。むしろ精神的には「早く死にたい」と願ってるわけで、「不老」など大したメリットとは言えません。唯一メリットがあるとすれば、《化身》の呪文でより強大な魔獣へと変身できるようになった事くらいです。

 なお、啓示される呪文の個数が減るのは、さすがにどうかと思ったので、代わりに死霊系と精神操作系呪文を啓示されることにしました。これらは死者や生物を操るという点で、動物系の代用品にはなるかと思います。かつて緑の月を崇めていた時と同じく、例外処理として4系統の呪文の啓示を受ける事で、不利さを是正しました。

 原作ルールのゲルーシャなんですが、意味不明な黒の月の「氏族」(??)やら、「闇の賜り物」といった唐突な追加要素で、強引に黒の月に転向した事によるメリットを作ろうとしていたのが、どうにも気に入りませんでした。それ、補強の仕方がおかしくないか?と。
 だいたい、黒の月の種族になれば「魔獣王」を崇めるのですから、ゲルーシャはその眷属か何かの獣に変身するように変更すればすんなり解決するわけで、《化身》を敢えて取り上げる必要がありません…てか、そもそも黒の月の「氏族」って一体何なんだ?(笑)って疑問に対する回答がどこにも見当たらない。「崇める魔元帥に応じて氏族が存在うんぬん」という説明があるんですが、だったら魔元帥の名前をそのまま氏族名にすればいいわけで、わざわざ新規で闇の氏族を作る意味がありません。

 そんなわけで、ゲルーシャの氏族は「魔獣王」一択で宜しいかと思います。なお、本格的に狭義のソーサラーになるのであれば、魔元帥配下の<悪魔>を呼び出し、「ゲルーシャ・ソーサラー」へと転向して下さい。この場合、《化身》の呪文は喪失します(崇拝対象が魔獣王ではなくなるので)。代わりに、制限なしで「ガープス・マジック」の呪文を習得できるようになりますし、師団に応じて指定系統の呪文にボーナスが付くでしょう。

 なお、《化身》で変身できるのは、「ガープス・ルナル・モンスター」に掲載されている一般的なファンタジー世界の動物の「キマイラ」のデータを、ほとんどそのまま流用しています(呪文を使えるようにしたり、加速能力を加えたりしていますが)。キマイラにした最大の理由は、「妖魔夜行」にも登場する「黙示録の獣」的な存在が、魔獣王の配下として相応しいと判断したからです(ちなみにリアド大陸の魔獣王はでっかい魚なんですが…(笑))。
 一般的なエルファの《化身》による祖霊動物よりは強いので、いざとなればオークなどを囮にしつつ、後列で3秒集中してこれになれば宜しいかと思います。これ1体で、100cpの冒険者3~4人くらいなら同時に相手にできるでしょう。


 ゲルーシャの種族セットの話もしておきます。
 特徴のうち、万物に対する破壊の念は、通常の正常な生命体では絶対ありえない特性であり、これは妄想として処理しました(普通の一般的な生命体は、そのような世迷い言は信じてませんので「妄想」が適切です)。また、「偏執狂」を追加し、他人とつるむのを嫌がる特性も表現しておきました。
 その他、生まれた子供に対する親の情が湧かず、見殺しにするというのは、明らかに通常の生命体ではありえない性質であり(同じ黒の月の種族であるゴブリンやオークですら、産んだ自分の子供は一応の保護をしつつ育てますから…)、同時に自分たちの種族が滅亡しかねない特性でありますので、これは当然CPを稼がせるべきだと判断し、「性的不能」の一種として設定しました。
 なお、子孫が残せない事と「不老」であることは、また別の話です(寿命がなくとも外的要員で殺されたら種族数は普通に減ります。同族の補充が利かないのは、社会的に見て明らかに不利です)。


 現役のエルファがゲルーシャに変化した場合、いくつかのメリットを喪失し、CP総計自体は減るかと思います。ですが彼らには無限の時間があるため、経験を積んですぐに元のCP総計にまで戻ると想定しています。
 万が一、PC(プレイヤー・キャラクター)のエルファがそのような展開になった場合、キャラクターシートを再構築した方が良いでしょう。その際、喪失したCPは別の特徴や技能に振り直す事を認めた方がいいでしょう(というか、その時点で既にNPCですが…)。
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