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■概要
 黒の月に転向した種族は多岐に渡り、他の月と同じように少数種族も存在します。これらはNPC専用種族であるため、モンスターデータとしてのみの紹介に留めます。



●シェクラシュ (ルナル完全版p175)
 火の元素を崇める爬虫人の一部が、元素神を裏切って黒の月に転向した種族です。黒の月への忠誠の証として、二つ目の頭を授かっています(ただし脳は1つで、首の付け根にあり、目を狙って突いても脳に達しません。<動植物知識>技能判定などに成功しないと、こうした特性が分かりません)。
 また、「赤外線視覚」能力を喪失しましたが、代わりに「闇視」を得ており、知力も若干上昇しています。そして元蜥蜴人の場合は寿命が延び、人間と同程度になっています。

 銀の月を裏切った爬虫人の主なメンツは、いわゆる最下層の奴隷階級である蜥蜴人たちが9割です。特に知能が高く生まれてしまった個体(100cpの英雄個体など)は、完全に個性を否定された上、ただ労働力として扱われている境遇には耐えられず、部族を離れます。こうしてはぐれた個体の一部が、生き延びるために黒の月へと鞍替えを行います。
 シェクラシュの発生はゲルーシャと似ていて、「はぐれ者」になった爬虫人が黒の月を崇める事で、ごく短期間で(世代交代なしで)シェクラシュに変化します。「はぐれ者」が前提となるので、基本的には蜥蜴人と蛇人出身者だけで構成されています(それ以外の亜種は「熱狂/元素神」があるので転向しません)。また、蛇人がシェクラシュになった場合、ほぼ確実に狭義のソーサラーとして覚醒します。

 シェクラシュの社会には決められた地位などなく、実力主義(弱肉強食)社会です。そのため蜥蜴人も蛇人も出身種族に関係なく、単純に「強い方が上」という関係に変化します。これは、永遠の奴隷として虐げられてきた蜥蜴人出身者にとって、非常にモチベーションの上がる状況であり、彼らは喜んで黒の月の教え(略奪や殺戮など)を実践します。
 もっとも、シェクラシュ自体の種族人口はかなり少なく、まともに正面から爬虫人部族とやり合っても、数で押し切られてしまうので勝てません。そのため、少数で群れて爬虫人部族の目につかない砂漠の沿岸部に隠れ住み、ゲリラ行為で生活をしのいでいます。


(シェクラシュ/蜥蜴人)
体力:14 敏捷力:12 知力:10 生命力:12
移動力=5 能動防御=よけ:5/受け:7/止め:
受動防御/防護点=3/5(スケイル・アーマー+鱗)
体重=90kg 大きさ:1ヘクス
攻撃=
アックス/技能レベル15:切り/2D+3(長さ1 不安定/準備1ターン)
スピア/技能レベル15:刺し/1D+2(長さ1)
パンチ/技能レベル15:叩き/1D-1(長さC,1)
キック/技能レベル13:叩き/1D+2(長さ1)
特殊:
両手利き、我慢強さ、闇視、防護点1レベル、軟体(「柔軟」の上位互換。修正+5)、余分な頭1レベル(「全周視界」の特徴を含む。どの方角も前面扱い。こちらから後ろや側面の敵に攻撃する時は命中に-2修正)、サディスト、残忍

 利き腕にアックス、逆腕にスピアをもっていますが、「両手利き」扱いなのでどちらを使ってもペナルティはありません。二つの頭がそれぞれ別角度180度を視認しているため、事実上、後方や側面の概念が存在しません。

(シェクラシュ・ソーサラー/蛇人)
体力:10 敏捷力:12 知力:15 生命力:10
移動力=5 能動防御=よけ:5/受け:8/止め:-
受動防御/防護点=2/3
体重=68kg 大きさ:1ヘクス
攻撃=
クォータースタッフ/技能レベル12:叩き/1D+2(長さ1-2)
呪文=
脱水21、浮遊16、悪霊召喚16、矢よけ16
特殊=
両手利き、我慢強さ、闇視、防護点1レベル、軟体(「柔軟」の上位互換。修正+5)、余分な頭1レベル(「全周視界」の特徴を含む。どの方角も前面扱い。こちらから後ろや側面の敵に攻撃する時は命中に-2修正)、サディスト、残忍

 《浮遊》の呪文で常時浮いています(コスト0)。《悪霊召喚》が魔化された頭蓋骨2つを持ち歩いており、戦闘になると起動して敵にけしかけつつ、自身は高度4メートルの空中から《脱水》(パワーレべル2までならコスト0)をかけるのに専念します。相手に弓使いがいるのであれば、《矢よけ》で射撃攻撃を遮断します。



●ウィンディゴ (ルナル完全版p175)
 寒冷地に適応した黒の月の種族で、全体的にゴリラに似てますが、頭部だけが人間の頭がい骨そっくりの形状をしており、赤い瞳が怪しい光を発しています。
 元は雪原に適応した彷徨いの月の種族だったと言われていますが、知性がやや低く、常に単独で行動する性癖のため、種族の詳細は全く分かっていません。一説には、人間の女性をさらって子供を作ると言われていますが、特に女性を集中的に狙ってさらうというわけでもない事から、どうやって数を維持しているのかは不明です。

 ウィンディゴは凶暴で、人肉を特に好んで食べます。また、楽しいからという理由だけで殺戮を行います。ウィンディゴ自身は「バーサーク」の特徴を持っており、負傷すると高確率で狂化します。
 ウィンディゴは恐怖のオーラをまとっており、ウィンディゴを目視した者は恐怖判定(修正なし)を行う必要があります。また、その視線には魔力があり、相手の瞳を覗き込む事で、自身の凶暴性(「暴れん坊」「残忍」「サディスト」「バーサーク」)とウィンディゴとしての価値観を植え付ける事が可能です(一時的にウィンディゴの味方になります)。
 ウィンディゴは恐怖判定に失敗して動けなくなっている者にこの能力を使い、一時的に自身の奴隷として戦わせます(効果時間は1D+1日)。効果時間が切れる頃には、生きていたとしてもロクでもない状況になっている事でしょう。



●シルキー (ルナル完全版p176)
 海洋の浅瀬に住む黒の月の種族で、見た目はアザラシ人間といったところです。身体形状はディワンと似ており、元は彷徨いの月の種族だったようです。脚は尻尾が変化したもので、陸上では足を使った行動に常に-2のペナルティが発生します。

 シルキーのほとんどは「好色」「サディスト」「嫉妬」の特徴をもっています。そして、地上の知的生物に対して悪意を持ち、悪事を働きますが、数が少ないため、正面から戦うような無謀な事はせず、変装して人間社会に入り込みます。
 シルキーはアザラシの外見をした皮膚を、なんと「脱ぐ」事ができ、その下は人間そっくりなのです。この状態であれば、歩行にも何ら支障がありません。ただし、胸から腹にかけては皮膚が透明に近く、内蔵が丸見えなので、服を脱ぐと正体がバレてしまいます。また、人間形態の間は「痛覚過多」を持っている扱いになります。

 戦闘の際は、通常はアザラシの皮をかぶった状態で行い、槍などを用いて白兵戦を行います。時々、魔獣王から暗黒魔法の啓示をうけた個体が混じっている事があり、水霊系と精神操作系呪文を授かってます。
[編集手記]
 銀の月の爬虫人の設定を変更しているので、シェクラシュの設定も若干変更されています。というか、原作のシェクラシュは説明が足りなさすぎて、結局どういう種族なのか詳細が不明です。爬虫人と同じく、女王を中心とした社会なのか?それすらよく分かりません(少ない表記を見てると、そのようにも取れますが…)。
 ただ、ごく数が少ないことから、爬虫人のような大規模な巣作りを運営・維持するのは難しいだろうと推測し、基本的にはゲルーシャと同じく「はぐれ者」が変化して生まれた種族と想定しています。また、せっかく黒の月に転向して自由を謳歌できるようになった蜥蜴人のために、寿命を少しばかり延ばしました。

 データはどちらもオリジナルですが、蛇人からの転向者は一般的な魔術師の戦闘スタイルの亜種を設定しました。簡単に説明すると、空中浮遊しながら悪霊をけしかけつつ、本人は脱水を放ち、対象から体液も生きる気力も吸い尽くすという、聞いてるだけで喉が渇きそうなスタイルになってます。
 また、《矢よけ》も使ってくるので、一番の対抗策は「味方の戦士系に《空中歩行》か《飛行》をかけてダイレクト・アタックさせる」事になると思います。飛行手段が全くないパーティーだと、基本的に逃げるしかありません(《浮遊》の移動速度は3しかないので、逃げるだけならどうにかなるでしょうが…)。


 ウィンディゴに関しては、特に改造する余地もなかったので、説明文だけで終わってます。なお、ウィンディゴの持つ視線攻撃なんですが、原作では「かんしゃく」と「バーサーク」を植え付けるとあるのですが、「バーサーク」の説明文冒頭にあるように、この二つは同時に獲得することができません(ちょっと考えれば当たり前ですが…)。どう見ても設定ミスと思われるので、「バーサーク」の方だけ残しました。
 あと、これも原作説明文に書いてないんですが、視線攻撃は「自身の特性を植え付ける」とあるので、自身もバーサークするはずです。なぜかそこが表記されていないので、念のためここに書いておきます(バーサークしたら物理的破壊を優先するため、視線攻撃はできなくなるでしょう)。


 シルキーですが、これはまた謎の種族で、「脱いだ自身の皮はどうなるのか?」という非常に重要な点が表記されておりません(笑)。マイ・ユニフォームとして、どこかに大事に隠しておくのか、それとも使い捨ての皮膚で勝手に再生するのか、さっぱり分かりません。
 個人的には「使い捨ての皮膚だが、当人が望めば皮膚の再生が開始され、数日でアザラシ人間に戻れる」設定案を提唱します(妖魔夜行の妖怪基本セットに含まれる「生え変わり」の亜種)。
 マイ・ユニフォームで持ち運びしないといけない設定にしてしまうと、着脱は早く、即戦闘に対応できるかもしれませんが、「服」を喪失した時とかどうなるんだ?二度とアザラシ人間に戻れず、内蔵透け透け人間として生きるしかなくなるのか?と、色々とややこしい事になりそうなので(笑)
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