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■序節 マンチキンの最終目的
 マンチキンの真の目的は「理想のキャラクターの作成」である。

 
■マンチキンは手段に過ぎない
 マンチキン(日本で言うところの和マンチ)というと、ルールの穴を荒探しして極端なキャラクターをデザインし、GMのルール的な反論を許さないプレイをする困ったちゃんを指す風潮が強い。


 だがマンチキン作成は、あくまで
「手段」であって「目的」ではない。


 マンチキンにハマった初期ユーザーの多くが「ある局面において、とりあえずチート級の無敵キャラを目指す」のは、特に明確な目的がないからである。目的がないのであれば、無難に「強いこと」を目指すのが、生物における自然の摂理と言えよう。

 しかし、キャラクターを作る目的は「自分がプレイしたいキャラクターを作る」事であり、必ずしも「無敵キャラクターを作る」事ではない。
 例えば、どこかのアニメキャラや映画の登場人物を、可能な限りガープスのデータで表現してみたい!といった理想は、とても崇高な目的であり、GMとしても喜ばしい事だろう(GMもそのキャラクターを知っていれば、シナリオネタを用意しやすい)。

 この場合、(総CPは無限ではないので)いかに無駄を省き、対象キャラクターのイメージを再現できるかが、ユーザーのキャラ作成の腕の見せ所であり、マンチキン作成で培った「少ないCPで最高の結果を出す効率的な作成方法」の知識が、最大限に生かされる。


 つまり、理想を再現する手段として、マンチキン作成の知識が大いに役立つのである。


 もしCP量が決まっていないのであれば、好きなだけCPを投入して、そのキャラクターの「すごさ」や「個性」を再現すればいいだろう。しかし、そんなキャラクターは通常、セッションに持ち込めないはずである(GMは「●CPでキャラクターを作ってくれ」と指定してくるからだ)。

 なので、限られたCP範囲内で元キャラクターを可能な限り再現する必要が生じるわけだ。
 
■能力を持つ目的をはっきりさせる
 一言で「美人で、剣の扱いがうまくて、魔法も使える妹キャラ」と言っても、具体的にどういう局面で能力を発揮すればいいのか、明確にしておいた方がよい。「1VS1で強い美人で剣の扱いが上手くて(以下省略)な妹キャラ」なのか、「防衛において優れる美人で(以下略)」によって作成指針も変わってくるからだ。

 なので、既存のキャラクターを再現するという目的だけでなく、具体的にそのキャラが活躍可能な状況も想定し、それに必要な能力を持たせるほうが良いわけだ。


 漠然と「とりあえず〈剣〉技能12レベルくらいあればいいや」「便利魔法でも習得させとけばいいや」であれこれと能力をくっつけた結果、技量は中途半端、体力に回すCPがなかったのでダメージは出ない中途半端な魔法剣士が出来上がり、下手すると25cpの専業戦士系の兵士キャラ以下の能力しか発揮できないヘボキャラ、といった事も十分ありうる。
 キャラクターを再現するための個性の要素が非常に多い場合、あれこれ欲張りすぎて器用貧乏にならないよう、「一見するとオールラウンダーだけど、実は特定の状況しか想定してないCPの割り振り」設計にすべきである。
 つまり、物語の主人公のように「普段はアレだが、決めるべきシーンではしっかり決めれる」能力を持つ事が好ましい。

 逆に、イメージが漠然としていて専業特化しやすいキャラクターの場合でも、アホみたいに特定の状況のみに特化するのではなく、ある程度の「遊び」を持たせる事で、個性を出すように心がけるべきである。
 上の文章と矛盾するが、特定の状況以外で全く出番がないとなると、プレイしていても面白くないし、新たな個性の発掘も困難になるだろう。それでは単に原作のモノマネをしているだけであり、そのキャラクターを「ロールプレイ」することで新たな物語を紡ぐのが難しくなってしまう。


 せっかく原作キャラを再現する以上、再現だけで終わるのではなく、その個性から生じる新たなオリジナルのストーリーを作るべきだ。それこそがコンシューマのRPGにはない、TRPG最大の醍醐味なのだから。
 
■目的のためにマンチキンする
●マンチキンの目的は「最強」ではなく「個性の再現」である
 まずはキャラクターのイメージを用意し、それを再現するための最短ルートを模索する手段としてマンチキンとなるのだ。


●器用貧乏による無能化を避ける
 再現にこだわるあまり、用意されたシナリオを解決する能力がなければ、仲間の足を引っ張るだけである。冒険する以上は成功を目指すべきだし、そのために必要な能力をしっかり押さえておくこと。

 「そのキャラクターは何を得意にすべきか?」が不明瞭な場合も、ロールプレイしながらセッションを進めていくうちに判明するかもしれない。
●強さ確保を理由に妥協するな
 上の項目と矛盾するが、ある程度の強さを確保しようとするあまり、原作キャラが持っているはずの技能や能力を削ってしまうのは、「個性の再現」から遠ざかる行為である。

 原作の能力をどう組み合わせれば使える能力になるのかを考え、敢えてマンチキンの定石を崩して弱体化を許容する事で、別の新たな定石を発見できるかもしれない。
 
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