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■第10節 星をみるひと
 ―――天にあるは『遊星』

 下りて光るは『流星』

 地を砕くは『隕石』
 これらが1つであることを
 ハドア・ゲラルクはつきとめし

 これらが1つであることを
 彼が魔法装置は明らかにする――――



 三つの魔晶石 輝くとき
 装置は遊星に呼びかける

 遊星は応えて流星となり
 流星は地に降り注いで隕石となる

 力を恐れた王帝は
 ハドアを刑し 三つの魔晶石を天に封ず
 しかし ハドアは言い残す
 ―――暗黒の太陽を横切って
 三つの星 落ちるとき

 星は星を呼ばん
 地上は 鉄槌に打ちひしがれん―――
「ソード・ワールドRPG」シナリオ集③「四大魔術師の塔」
シナリオ「流星落ちるとき」の伝承『ハドア・ゲラルクの魔法装置』より
 ツイッターで誰かが呟いた。



『SWならメテオストライク、ガープスは……
 《復活》が最上級で、攻撃系の奥義って無いのよね』


 
…誰が決めたんだ?そんなことを。



 それは事実と異なる。
 今ここで、管理人がそれを証明して見せよう。
■状況
 以下のような状況において、『メテオ・スウォーム』(流星雨)を実行する。
●城壁を破壊する
 メテオ系の魔法を使う場面となると、大抵は天変地異を必要とする大規模戦闘、特に攻城戦であろう。

 よって今回は、中世の城でおそらく最も分厚いであろう盾城壁(Schild mauer)(厚さ5メートル)を、メテオで破壊するミッションを用意した。
 なお、「無生物の破壊」ルールに基づくと、厚さ5メートルの石壁は
「防護点8 HP3000」となるはずである(あくまで管理人個人の推測計算値)。HPがゼロになるまでダメージを与える事で、60センチの穴を空ける事ができるとルールにはある。

 今回の城壁は高さ10メートルほどあるのだが、メンテナンスが入ってない事情から老朽化が激しく、構造的にかなり脆くなっている(HP半減)。
 よって、とりあえず壁1点に合計3000ダメージ与えれる事ができれば、厚さ5メートル、高さ10メートルの壁の一角を破壊し、味方の突撃に必要な広さの穴を確保できるものとする。
●最強魔法はコンボで発動する
 呪文単体で見た場合、「ガープス・マジック」の呪文の致傷力は最大でも《火吹き》の4D+4が最大威力であり、それ以上は出せない…ように見える。

 ただし実際は、物理法則に則って呪文を運用すれば、その限界値を突破する事は難しくない。一番簡単な例として、《他者移動》で敵を上空20メートルに強制転送(基本消費12前後 技能修正-1)してやれば、落下により20D-40(平均30点)のダメージを発生させられる。
 また、以前のレポート「天災魔術師」で挙げたように、《嵐》の呪文で対象を空高く巻き上げてやれば、同じく落下ダメージで凄まじいダメージを発生させられる。

 つまり額面上は出ていないだけであって、4D+4を超えるダメージを出そうと思えば、実は可能なのである。今回もまた、あくまで「ガープス・ベーシック」と「ガープス・マジック」のデータ範囲内で最強の攻撃魔法を目指してみよう。
■対策
 以上の「状況」から、対策を考案する。
●万有引力を利用する
 最強魔法の再現にあたって利用するのは、「落下物」のルールである(これは「ガープス・ベーシック完訳版」にしか載っていないので注意)。このルールに従い、巨岩を城壁の上から落とすことでメテオを再現する。


●終端速度の罠
 我々の宇宙において、自由落下中の落下速度および加速度は、落ちていく物体の重量自体は全く関係しない。加速度が変わるのは、材質や形状に応じた空気抵抗が異なる場合のみである。例えば真空状態で自由落下させると、リンゴも鳥の羽も同じ速度で落ちていく。
 これはおそらく、中学校の物理の時間で習うはずである(忘れた/授業中に寝ていて聞いてなかった等といった方々は「落下 距離」でググってみよう)。

 また、「ガープス・ベーシック完訳版」(p169~170)の「落下物」の説明に書いているが、ガープスにおいては簡略化を図るため、どんな物体でも
終端速度(落下の加速度と空気抵抗がつり合い、それ以上加速がかからなくなる距離)による落下距離は、一律50メートルと決まっている。ベーシックのルールでは、終端速度を超える距離を落下してきたとしても、そこは数えないで「落下距離50メートル」としてダメージ計算を行う。

 つまり、落下物のルールにおけるダメージ算出では、実際は「落ちた距離」ではなく「加速度」が参照されているのである。

 そのため、高度15000メートルから大気圏突入しようが、50メートルの塔の上からポイ捨てしようが、そこが惑星大気圏内である限り、落下物のダメージ算出式「(落下物の重量/5)×(落下距離/10)」における「落下距離」の部分は、
一律50メートルで固定される。
 これはすなわち、「宇宙空間から、大気圏に突入しても燃え尽きない&惑星を滅ぼさない程度のちょうどいいサイズの隕石を見つけてきて、テレキネシスなどを用いて大気圏に降下させ、対象に命中させようと誘導する」などという大がかりな行為は、ダメージ算出上では全く意味がない。余計な手間とコストを費やすだけの無駄なアプローチである。

 ではどうするかというと、「そのへんの手頃な大きさ岩を、ターゲットの上空50~100メートルに瞬間移動なり念動運搬するなりして、後は自由落下で命中させる」だけである。これにより、上記の面倒なアプローチと
ほぼ同様の威力を出すことが可能である。

 以上より、ルナル世界では(神様が住まう月の領域なので)タブーに近い宇宙空間を扱わずとも、メテオと同等の威力の再現が可能である。威力を増強するために考慮すべきは実質、
落下させる物体の重量だけである。すなわち、より大きな岩を用意すればするほどダメージの高さを追求できるだろう。



●メテオの過大評価の是正
 実は、元祖攻撃魔法メテオと言える「旧D&D」の魔法使いの魔法9レベルにおける「メテオ・スウォーム」の説明文では、「術者の手のひらに炎で包まれた石を4つ(または8つ)召喚し、目標地点に向かってテレキネシスで誘導し、そこで通称「隕石」が爆発し、炎上しながら破片をまき散らす」のが呪文の趣旨であった。
 イメージとしては、現代における手榴弾やクラスター爆弾に近く、「隕石」である必然性など、実はなかったりする。

 それがどういうわけか「はるか天空の彼方、宇宙空間から隕石を召喚するド派手な最終奥義」になったのは、TRPG「ソード・ワールド」やコンシューマ・ゲーム「ファイナル・ファンタジー」からである(これら「グループSNE」や「スクエア」の当時のFF担当クリエイターたちが、元祖TRPGであるD&Dの影響を受けている事は、インタビュー記録からも確実である)。

 つまり原作のメテオは、別に宇宙から直接飛来しているわけではなかったのだ。召喚された「隕石」も、実際に宇宙空間から拾ってきたわけでもない―――なぜならば、隕石が炎に包まれているのは、大気圏を降下する途上で大量の空気分子と激しくぶつかって断熱圧縮が発生し、それにより一時的に高温化・炎上しているだけであり、隕石が平常時から炎上状態で宇宙区間に存在するわけではないからだ。

 「メテオ・スウォーム」(流星雨)などという大層な名前がついているのも、見た目がそれっぽく、また威力が大きいからに過ぎないと思われる。
 だが、それらの作品のクリエイターたちは、「メテオ」という語感で「これ絶対隕石」「空から降ってくるべき。それ以外は認めん」とでも思ったのか、それとも過剰演出を重視したのか、あるいは「逆シャアの隕石落としみたいなことをしたら強そう!」…とでも考えたのか、なんだかそういう無意味に大げさかつ(物理的に)何ら意味のないアプローチを行う極大魔法となってしまったと思われる。

 しかし、ガープスはリアル志向のシステムなので、ここは古典に帰って「旧D&D」のメテオ・スウォームに近いものを再現する。



●複数発の発射
 単発で上記の盾城壁を破壊しようとすると、860D(平均3010ダメージ)の致傷力が必要となる。すなわち「860キロの岩」を運用せねばならなくなり、さすがにこれを「マジック」の呪文でどうにかするのはコストがかかり過ぎ、一方で費用対効果が見合っておらず実用性がない。

 そこで、単発のメテオで城壁を破壊するのではなく、複数の岩を連続投下する事で城壁に穴を開けるアプローチを試みる。



●風の影響
 高空から物を落とす場合、当然ながら横風によって弾道がずれる可能性がある。これに関しては、1回の爆撃ごとにダイス1Dを振り、その半分の値(端数切り捨て)を命中判定のマイナス修正として加えるものとする(修正±0~-3)。
 ただし発射時に〈気象学〉の判定を行い、成功すれば風を読めた事になり、ペナルティを帳消しにできるものとする。

 演出的な話をすれば、風によって横に逸れる挙動によって、隕石が真下ではなく斜め下に雨のように降るようになるため、「流星雨」の名前通りの見た目になるだろう。
■サンプル・キャラクター
 以上の理論により、作成されたキャラクターが以下である。
【基本設定】
 ルーサー=ラース=レイ=クエントは、グラダス半島ソイル選王国の選王家ハルシュタットに仕えるクエント家の長男です。クエント家は鉱山都市シュタイエールマルクを本拠地とする侯爵家であり、辺境ですが鉱山収入で非常に実入りが良く、経済的に潤っている土地です。
 そんな恵まれた環境で生まれ、英才教育を受けて育った彼ですが、詰め込み教育が心の育成時間を奪った結果、他人への配慮に欠ける性格になってしまいました。

 そして15歳の頃、新エリクサー開発の研究を強行した挙句にファンブルを起こしてしまい、巻き込まれた数名を死亡させる事故を起こしてしまいます。クエント家の次期当主ゆえに、その罪は(多額の金銭的ペナルティを負う事で)不問にされましたが、この一件で周囲の臣下から統治者としての資質に疑問を持たれ、間もなくガヤン神殿で訴訟沙汰となり、彼は家督相続権を喪失します。次期当主は、まだ当時5歳だった妹ハリエットとなりました。
 もっとも、ルーサー当人にとってこの処置はやぶさかではなかったらしく、むしろ「これで生涯研究に没頭できる!」と喜ぶ始末。そうした態度により、彼の信頼度は完全に地に堕ちてしまいました。


 そのどうしようもない人柄が変わったのは、母親が流行り病で亡くなって、ハリエットが心理的に独りぼっちになった時でした。
 それまで研究に没頭していて、妹の事などほとんど気にかけていなかったルーサーですが、死に際に母から妹の世話を頼まれ、やむなく妹と接している内に、やがて情が移ってしまいます。また彼女は、兄ルーサーが「頭が良すぎるがゆえに、周囲の人間との交渉が上手くいかない」事を見抜いており、兄をよく理解していました。
 初めて自身を理解してくれる者が現れ、またそんな彼女の正義感や優しさに触れ続けている内に、ルーサーは幼い頃に作り損ねた愛や道徳心を取り戻したのです。

 以降、ルーサーは研究を片手間にハリエットの勉学や仕事を手伝うようになり、主に軍師として公務を行うようになります。彼は、身分的には「世襲領土を持たぬ下級貴族」(地位L3)ですが、侯爵家の人間には違いないので、その発言力は大きく、また彼の神がかった知性から生み出される政治的政策や軍事作戦案は、過去に失った信頼を取り戻すのに十分すぎるほどの完成度でした。
 やがて父親が亡くなり、ハリエットが当主となりましたが、相変わらず数々の功績に見合ってない低すぎる地位のまま、政府の重鎮として活躍しています。妹からは「もうちょっと上の地位に就いて発言権を強化してほしい」と懇願され、彼の権利を剝奪した地元ガヤン神殿すらも「身分保証の名目で最低限の領地割譲はするので、統治を手伝ってほしい」と、事実上の名誉挽回の機会を提案したのですが、当人は「過去の罪は償うべき」という口実を理由に拒否し、充実した研究生活を送り続けています。


 現在のルーサーはハリエットの統治を手伝いつつ、「魔法を使わないテクノロジー文明の発展」の研究に熱中しています。具体的には、現代物理学の元となる天文学と、化学の前身となる錬金術の数学的理論の構築です。
 彼は元来、「魔法の存在がむしろ文明の発展を阻害しているのではないか?」という疑問を持っていたのですが、少し前にソイル全体で「黒の月が原因の皆既日食が起こり、波動(マナ)が遮断される事件」が発生した際(小説「ルナル・ジェネレーションF」参照)に、その疑惑は確信へと変わりました。この先、魔法なしの状況に対応できる文明が必要だと。

「この世界から、黒の月と〈悪魔〉を完全に消し去るためには、双子の月から送られてくる波動の供給を、完全に停止するしかないだろう。そして、波動を喪失した環境で我々が生きのびるためには、物理学と化学を数学的思考で律して発展させていくしかない」

 彼の考えは、黒の月を消滅させる観点からすれば、おそらく正しいのでしょう。しかし、既に魔法ありきで文明を築いてきた〈源人の子ら〉が、今さらそれを実践するとなると、どんなアクシデントが待っているのか想像もつきません。
 果たして彼は、その大いなる変革の一翼を担う偉人として、歴史に名を残す事ができるでしょうか?

 キャラクターの元ネタは、オンラインゲーム「PSO2」に登場するダークファルス「敗者」ことルーサーです。彼は、パラレル・ワールドの概念に近い幻創世界オメガにも「平行世界の同一人物」として登場しており、そちらの姿を借りています。


【設計思想】
 350cpの超英雄クラスですが前線で戦う能力は低く、「戦場の外から「メテオ・スウォーム」を行う事に特化した天災魔術師」として設計されています。実際に使うのは、《念動》《透明な目》《染色》の3つだけです。具体的な戦術は、以下の「実践」部分を参照して下さい。

 一応、近接戦闘能力も持っており、《浮遊》の呪文と《矢よけ》の魔化アイテムで接近戦や射撃を回避しつつ、魔法の剣「クライネ・ツァイガー」(《踊る武器》がかかったショートソード)を手元から飛ばして自律攻撃させる事ができます。また、30レベルもある《念動》を用いれば、相手の武器を奪う、相手の身体を直接持ち上げて無力化するなどといった戦術も可能です。

 なお、彼は「特殊な背景/英才教育」(10cp)によって、年齢に応じた技能へのCP投資量の制限がありません。そのため、年齢に似合わぬ深い造詣を持っており、周囲からは「年齢を偽っているのではないか?」などと囁かれることもあります。
 実際、彼は〈錬金術〉技能を20レベルで習得しているため、「若返り」のエリクサーを使えば老化を止められるのですが、現段階ではまだ26年しか生きておらず若いため、そうした処置は特に行っていません。
■実践
 グラダス半島東部、ソイル選王国の辺境に位置する鉱山都市シュタイエールマルク。そこの領主の館の一室にて―――
傭兵魔術師マトイ
『……岩??

 岩を取ってくればいいの…???』

宮廷司祭ルーサー
『そう―――岩だ。

 重量100キロ前後の大き目の岩が、
 10個ほど必要なんだよ―――お嬢さん。』
 シュタイエールマルクの領主ハリエットの兄であり、軍師を務めているルーサーは、妹からの依頼で、辺境の山間部の砦跡に立て籠っている、黒の月の蛮族の討伐作戦の立案を任された。どうやらこの辺りに潜んでいたゴブリンの部族の1つが、放棄された城塞を拠点に使い始めたようなのだ。

 今のところ、それに関する被害は何も出ていないが、このまま放置して被害を出してから対処するよりも、先手を打って討伐したほうが経済的にも民意的にも良いと判断された。




 そこで、騎士団1個中隊を派遣する事になったのだが、敵集団は強固な城塞跡に立て籠っている。長らくメンテナンスが入ってないボロボロの遺跡とはいえ、正面から突撃をかければ戦術的ボトルネックとなる城門部分で戦力を集中して対処され、相応の被害が出ると予想された。かといって、山奥でロクに道もない場所なので、攻城兵器を持って行って壁を壊すという手法も使えない。
 領主ハリエットは、兄ルーサーに被害を最小で抑える何か良い作戦はないかと相談を持ちかけた。そして兄は、「攻城兵器を持っていけないのであれば、人力でそれをやればいい」と言い、自分一人でそれをやると宣言した。

 ハリエットは、兄の突拍子もない宣言にびっくりしたものの「お兄様を信頼してお任せします。必要な人材や物があれば、何でも言って下さい」と言って、必要な権限を与えてくれた。
 現実的にして合理的な兄が、出来もしない事をほいほいと安請負するような性格ではないことを、ハリエットは良く理解していたのである。



マトイ
『でも………
 そういう話は、私じゃなくて、
 力仕事が得意な人に言った方が……』

ルーサー
『そう―――
 私の意向を、君から伝えてほしいんだ。

 その、なんと言ったか……
 確か、アッシュ君、だったかな?
 君の
恋人に、君から頼んでほしい。

 ―――頼めるかな?』
マトイ
『こっ!? 恋び……っ!!』




 今、ルーサーの目の前にいる女性魔術師マトイも、護衛兼助手の1人として雇われた者の1人である。
 マトイは一介の冒険者に過ぎないのだが、その粗野な稼業に全く似合わぬ美しい容姿と清らかな性格、そしてつい先日の街の防衛任務の功績が認められ、騎士団の間で噂となった(第二節『火球魔術師』参照)。
 そしてその噂は、間もなく領主ハリエットの耳にも届き、現在は傭兵であると同時に「ハリエットの個人的な友達」扱いにもなっている。

 無論、普通の冒険者が、こんな短期間に権力者と親交を持つ事はありえない。しかし、ウィザード種族は生まれつき魔法に親和性を持ち、個人レベルでは常人には到底及ばない力を持つため、世俗の権力に頭を下げない。マトイもまた例外ではなく、相手がどのような立場であれ、1人の人間として対等に接するようにしていた。
 そして、そうした性質は、身分的に友達と呼べる存在を作りにくいハリエットにとって、「対等の友達」と呼べる存在を作るのにちょうど良い、数少ない相手だったわけである。

 ―――そして今回の任務中は、彼女の兄ルーサーの秘書のような立場にいる。

 マトイには、いつも一緒に行動している1人の仲間がおり、名をアッシュという。カルシファード出身の人間の武戦士で、黒髪のクールな感じの剣士である。



マトイ
『わたっ……私たちはまだっ…
 そそそっ、そういう関係じゃ……!』

ルーサー
『……おやぁ?
 君たちはデキてるんじゃないのかね?

 二人が宿泊する部屋にダブルベッドのワンルームを充てた時、
 君は何のためらいもなく、
 すんなり了承してたじゃないか?』
マトイ
『ぼっ…冒険者はそういうの、
 いちいち気にしないからっ…!(汗)』



 マトイの言ってる事は、一応は事実である。
 冒険者は任務中、1つのテントで男女混合で就寝する事など普通にあるし、そこでいちいち男女関係に発展させる馬鹿はいない。そういういざこざが発生すると、パーティー内の結束が壊れてクエストの失敗率が上がる上、自身の生還率も下がるだけだからである。

 ただ、マトイとアッシュの場合、街で休息する日も相方と同じ部屋で過ごし、しかも何もないというのはちょっと異様かもしれない。
 普通のウィザードであれば種族的に「不妊」なので、別におかしくはないのかもしれないが、マトイは人間としての生殖機能が残っているタイプのウィザードであり、女性としての性衝動がしっかり存在するからこそ、アッシュへの恋愛感情も持ち合わせているのである。にも関わらず、これまで全く何もないというのは、プラトニック・ラブとかいうレベルではない。

 要するに、二人とも超・オクテなのであった。



ルーサー
『―――ほう?

 では、アッシュ君は、
 愛する女性が同じ寝室に居ながら、
 ただの一度も相手にしてもらった事がないと…

 はっはっはっ―――
 それはそれは……
 なかなか惨い仕打ちだねぇ……キミも。』
マトイ
『あああっ…
 あなたには関係ないでしょうっ!?』

ルーサー
『いやいや……
 これはね、「妹ハリエットの友人」としての、
 ただのお節介だよ。

 冒険者なんて、
 いつ死ぬか分からないヤクザな稼業じゃないか。
 なのに彼は、一度もキミと一緒になれないまま、
 明日には死ぬかもしれない…

 こんな残酷な話はないと思うが、ね……』

マトイ
『あっ…あっ…あなたにはっ!
 恥じらいというものがないのっ!?』
ルーサー
『…そんな恥ずかしい恰好をしている君に、
 言われたくないセリフだな それは。』

マトイ
『―――ごふっ!?』
 …ルーサーの「嫌な行動/慇懃無礼」(-5cp)の洗礼をたっぷり受けたマトイは、相棒のアッシュに頼んで「100キロ前後の岩の収集」を行った。マトイが二人に充てられた部屋で、どんな「お願い」をしたのかは定かではない。

 集められた10個の岩に対し、それぞれに《測定》の呪文をかけていくルーサー。100キロを超える場合は、100キロ以下になるまで削らせる作業を傭兵アッシュに行わせる。
アッシュ
『…こんな感じでいいのか?』

ルーサー
『十分だよ。
 君は仕事が早いし、高い精度でこなしてしまう―――
 好意に値するよ。』

アッシュ
『え…?』

ルーサー
『好きってことサ…』

アッシュ
『お、おい……(汗)』

ルーサー
『ふふっ……。

 ―――ところで。
 後ろの彼女は、どうかしたのかね?』
アッシュ
『あ、あぁ……
 マトイはちょっと……

 き、気分が優れないんだ。
 でも、すぐ治る……任務に支障はない…
 本当だ。』

ルーサー
『―――そうかい。

 …ならいいが。』
マトイ
『………………………。』




ルーサー
『―――さて。
 そろそろボクも、真面目に仕事するか。
 アッシュ君は以後、ボクの警護を頼んだよ。

 …ボクの予想が正しければ、
 何もすることはないと思うが。』
 ルーサーは100キロの岩10個それぞれに、《染色》の呪文をかけていきます。
 1へクス大の物体を染色する場合のコストは5。25レベルで習得しているルーサーは、熟練により3点減少して2点となります。

 ルーサーは内蔵型の作業用パワーストーン(1日で充填完了するサイズの小さいパワーストーン。ルナル世界はマナ濃度が「密」なので1日2点回復します。よって2点までが「作業用」と呼称されます)を用いることで、エネルギー1点引き出すと2点のエネルギーを入手できます。そして、これが可能なアイテムを10個所持しています―――つまり、5個の作業用内蔵型パワーストーンを用いて、10個の岩をノーコストで次々と染色して行けるわけです。

 10回の発動判定のうち、2回クリティカルが発生し、その分はGM裁量で「消費なし」「最大日数まで効果維持(12日)」としました。残りの岩は通常成功だったため、平均値の7日維持とします。作業用の内蔵型パワーストーンは、あと6つ余る事になりました。


 ルーサーが岩に塗りつけた色は「透明」です。
 「透明色」とは、おかしな表現かもしれませんが、《染色》の呪文は「透明な色合いも可能」とあるため、物体をシースルー状態にする事が可能です。これによってルーサーは、岩をクリアにして偽装するつもりなのです。

 ただし、《透明》の呪文とは異なり、完全な透明になるわけではなく、素材本来が持つ光沢などは普通に残るため、光の当たり具合によっては不自然に見えるでしょう。しかし、岩を〈偽装〉技能で隠す場合は有効なはずです。GMは、ミュルーンの「体色変化」(10cp)の効果と同じと見なし、岩の〈偽装〉に+3の修正を与える事にしました。また、敵の歩哨の「視覚」との即決勝負に成功した場合、「完全に見えなくなる」効果としました。
 なお、この時点でルーサーは10個の《染色》を維持している事になるので、以後、他の呪文を使う際に-10のペナルティを負います。




ルーサー
『……やれやれ。
 やはり魔法は、あまり好きになれないな…。』

マトイ
『…どうして?』
ルーサー
『…おや。
 やっと口を利いてくれたね?


 ―――魔法はね?お嬢さん。
 「結果」しかもたらさないんだよ。
 「現実」を、人が望んだ形へと…マナが変えていく。



 だが、ボク達人間には、
 そのプロセスを理解する事はできない。

 君たちウィザードのように生まれつきの感性で、
 本能的に理解しているわけではない。
 オマケに双子の月の神々は、
 呪文そのものは教えてはくれるけれど、
 その原理はさっぱり教えてくれない。

 君たちのように、
 独自で開発する事すらかなわない。

 「呪文を唱える」という「原因」があり、
 望んだ「結果」だけが投げてよこされる。

 動作原理不明のブラックボックス。


 ―――こんなものが、
 果たして「技術」と言えるかい?』

マトイ
『そ、それは……』
アッシュ
『……俺たちカルシファード人が呪文嫌いになったのは、
 単純に魔法に恐怖した、という理由もあるんだが…

 一方で、神々から授かった呪文をいくら鍛えても、
 その構造を理解できないから、
 道具の使い方は上手くなるが、道具そのものを作れない。

 つまり―――
 永遠に自分たちの「モノ」にできないのでは?


 …という疑念も理由の1つだと聞いた事がある。

 だから俺たちは、自分たちの力で生産でき、
 習熟して完全に制御が可能な、
 カルシファード・ブレードに信念を見出した、と……』

マトイ
『アッシュ……!』

アッシュ
『あ…いや……
 別にマトイがウィザードだから、
 どうこういうつもりはなくてだな…

 えっと…その。
 俺はマトイという人格に興味があるのであって、
 呪文うんぬんは関係なくてだな…』

ルーサー
『ふふっ……
 若いね、君たちは…』




 ルーサーとアッシュが語った疑念は、管理人が「ガープス・ルナル」を始めてからずっと抱いていた疑念です。

 思想統制当たり前の銀の月の元素神の眷属は言うまでもないのですが、一方で双子の月の神々も、魔法に関してはかなり管理が厳しく、習得呪文が信仰する神によって固定されてしまっており、ウィザードのように「自分で呪文を開発する」事ができません(完全版になって、タマット高司祭独自呪文《感知の壁》の説明文において、「最近開発された呪文」とあるのですが、これは人間が開発したのか、それともタマット神が見出したのか、はっきり記述されていません)。

 つまり、ルナル世界において「魔法文明」による文化発展は想定されてないのでは?と、管理人個人はずっと考えていました。
 ではなぜ、双子の神々は敢えて呪文を授けたのか?

 双子の月が到来した当時、ルナルでは黒の月の〈悪魔〉が世界を本気で滅亡へといざなうように駒を進めていたため、これに対して緊急避難的に対抗するため、「仕方なく」ばら撒いたというのが真相ではないでしょうか。
 呪文コストを無視して呪文を連打してくる相手に対し、こちらも同じ手段で対抗しないと、一方的に攻撃されるだけで、やがて突破されてしまいます。なので、こちらからも先手を打って攻撃を仕掛け、相手の攻撃を未然に防ぐ「要撃」のために呪文が必要になります。

 この予想が正しいのであれば、「〈悪魔〉に打ち勝ち、荒廃したルナル世界を復興するまでの期間限定」での呪文配布ということになり、あくまで「テクノロジー発展の速度をブーストするための便利な補助道具」でしかないと予測できます。
ルーサー
『ボクはね―――
 この世の事象は、
 全て数学で律せると信じているよ。

 あらゆる物理法則、化学変化……
 全ては一定の法則があり、
 神の力を借りずとも、
 人の手で制御可能なのだと。

 この世界はアナログ
(連続体)などではなく、
 デジタル
(離散体)なのだと!

 ボクが今、ここで―――
 それを証明してみせよう!
 ボクはこれから呪文の力を使って、
 遠くを見、物体を制御する。

 けれど、これから起こる結果をもたらすのは、
 不可思議な魔法ではなく、
 この世界を律する
物理法則だ!

 全てはボクの演算結果が導き出したもの。
 その答えに、間違いはない―――!』





 ルーサーが考案した呪文コンビネーション技「メテオ・スウォーム」ですが―――実は彼独自の発想ではありません。彼はこの着想を得るために、知識系呪文《神託》の水晶占いを使っています。
 水晶を通して見えた未来の映像には、自身が巨石をテレキネシスで誘導し、上空から爆撃する姿が映し出されていました。それを見た彼は、「とりあえず100キロの岩を10個ほど落とせば望みは完遂する」と知り、実行しているだけです。
 つまり、物理学に基づく理論など実は何もなく、それを実行するために必要な呪文コストと、複数の呪文を運用するためのペナルティ計算しかやっていません(それは〈神秘学〉技能に属するものです)。
 なお、ガープスの《神託》のうち、もっとも理不尽に金を要求されるのが「水晶占い」です。この呪文を使うには、《水晶球》が魔化された水晶が必要なのですが、ただ丸いだけの、傷一つない水晶球を用意するだけで最低$1000、さらにこれに《水晶球》の魔化を施さねばならないのですが、そのコストは$25000です(必要エネルギー1000)。

 つまり、中世ファンタジー世界でまともに水晶占いをしようとすると、「財産/富豪」(50cp)でないと、まともに「魔法の水晶球」($26000)を自前購入する事ができず、そうなると-10のペナルティを受けて池や洗面台の水面で占うしかありません。
 …まあ、財産に50cpも投入するくらいならば、《神託》にCP投資してレベル25くらいまで上げてしまった方が早いかもしれませんが。




 また、なぜルーサーがこうまでしないと「メテオ・スウォーム」を立案できないのか、技術的な理由も説明もしておきます。

 ガープスではきちんと内容まで書かれていないので説明しますが、TL3(5~15世紀)における「物理学」というのは、現代物理学とはスタンスが大きく異なります。
 当時の物理学は、あるがままのものを見て、客観的(数学的)に記述するのではなく、「●●はこうであらねばならぬ」「●●が●●するのはこういう意図があるからである」といった、自然現象を人間と同じ「意志を持つ有機物」として解釈し、その動作の「理由」をこじつける事に主眼が置かれたもの―――つまり、哲学や神学に近いものでした。数字的な法則性の確立など、全く考慮されていなかったのです。
 さらに時代を遡って、古代エジプト(紀元前)の天文学を見てみると…
 地球が丸い事、この惑星は太陽の周囲を公転している(地動説)といった事は、観測によって実は既に知られていました(「なぜそうなるのか?」の部分は、当時の技術では実証困難であったため神学で補われており、統計学の域を出ませんでしたが)。
 また、紀元前3世紀のギリシャの天文学者アリスタルコスにいたっては、「地球は自転しており、太陽が中心にあり、5つの惑星がその周りを公転する」という、現代天文学とほぼ一致する回答を出しており、1800年先の未来の知識をぴったりと言い当てていました。

 しかしこれらは、当時盛んになり始めたキリスト教によって思想弾圧され、西洋学問の世界では「天動説」一色に塗り替えられてしまいます(異説を唱えたら裁判沙汰)。また当時のこれらは、物体の長さや体積を測る「幾何学」(数学)の一種であり、物理学としては扱われていませんでした。


 この流れが変わり、物理学が数学的思考で理解されるようになったのは16世紀以降、コペルニクスが地動説を再発見し、ケプラーが天体運動を具体的な公式で表し、ニュートンが万有引力を発見してからとなります。




 つまり、TL3のルナルにおける現代的な数学的処理を行う物理学は、ペローマ独自技能〈占星術〉(〈天文学〉の一種)の中にしかなく、しかもTL3の段階の〈天文学〉においては数学的な物理の公式など存在せず、統計学(=占い)の域を出ません。

 そのため、上空から具体的にどれくらいの重量の岩を落とせば、対象の城壁をきっちり破壊できるか?といった演算は、少なくとも現在のルナルの住人には不可能です。
 よって、このような状況で計測不可な事象を「思いつく」ためには、「神より啓示を受ける」ほかありません。《神託》の呪文は、それを可能にする数少ない手段でしょう(GM判断)。
●作戦開始
 鉱山都市シュタイエールマルクの宮廷司祭ルーサー=ラース=レイ=クエント(350cp)が、黒の月の蛮族が立て籠る城塞跡の盾城壁(防護点8 HP3000)に対して『メテオ・スウォーム』を実行し、破壊を試みます。

 ルーサーの位置から盾城壁まで、およそ1キロメートルの距離です。開始時刻は夜明けとなるAM6:00とします。
 ルーサーはあらかじめ、100kgの岩石10個を手元に調達し、《染色》の呪文で色合いを透明にして偽装しています。
 ルーサーが最初に行ったのは《透明な目》の呪文の発動です。

 《透明な目》は《魔法の目》の上位互換呪文で、魔法で作成された直径5センチの魔法で作られた「目」を空中移動させて飛ばし、その目を通じて周囲を見る事ができるようになります。主に偵察に使われる利便性の高い魔法です(危険なエリアの偵察に、生身の偵察兵を派遣しなくて良くなります)。
 《魔法の目》の呪文だと「目」が見えているので攻撃対象になりますが、《透明な目》だと《透明看破》を使わない限り見えなくなるため、ほとんど攻撃対象にならなくなります(攻撃がクリティカルでないかぎり命中しません)。

 ルーサーは既に《染色》の呪文を10個維持しているため、発動に-10のペナルティを負いますが、ルーサーは《透明な目》を25レベルで習得しているため、目標値15で発動可能です。出目は12で、余裕で成功。
 消費5ですが熟練により2に下がっているため、残っている作業用内蔵型パワーストーンから1点のエネルギー(=2点分)を取り出し、コスト支払いに充てました。
 魔法の目の移動力は10。ルーサーは標的となる砦の壁の上空100メートルまで目を飛ばします。1キロ先の上空100メートルであれば、2分もあれば余裕で到着します。なお、《透明な目》の持続時間は1分。維持コストは3です。しかしルーサーは熟練によりコスト0点になっており、好きなだけ維持できます。
 この時点で、ルーサーは11個の呪文を維持しています。他の呪文を使う際に-11のペナルティを負います。




 標的となる城壁の真上に「目」を固定した後、今度は傍に転がっている100キロの岩に、次々と《念動》をかけていきます。
 ルーサーは熟練により、コスト4点まで無視できます。そして、100キロの岩を動かし、持続時間を維持し続けるためのコストはちょうど4点です。つまり、100キロの岩を好きなだけ制御可能なわけです。

 しかし、既に11個の呪文を維持している事から、さすがに30レベルの《念動》でも発動が辛くなってきました。最初の1個目は目標値19ですが、1つ制御下に置く毎に維持する呪文の個数が1つ増えていくため、さすがに途中で何度か発動判定に失敗しています。10個目の岩の目標値は9で、4回ほど判定失敗したのですが、5回目で出目4のクリティカル!
 …まあ、既にコスト0で発動可能な呪文なので、ここでGMは「最後の《念動》はペナルティなしで維持できるものとする」としました(呪文クリティカルの効果は常にGM判断です)。

 つまり、本来10個の呪文を追加で維持しているわけですが、9個追加として扱います。この時点で、20個の呪文を維持しています(本当は21個)。他の呪文を使う際に-20のペナルティを負います。
マトイ
『すっ…すごぉい………っ!!


 ウィザードでもないのに、
 呪文演算を20以上も同時制御するなんて、
 普通にありえな……っ!


 …あっ!
 ご、ごめんなさい…(汗)
 失礼な事を言いました……』
ルーサー
『ふふっ……
 気にしなくていいよ。お嬢さん。

 実のところ、
 ボクもあまり偉そうな事は言えないのさ。
 「魔法が嫌い」と言いながら呪文に頼ってる上、
 ひたすらパワーでゴリ押しさ。

 知恵も何もあったものじゃない。
 はっはっはっ…
 要するにね、
 テクノロジーとは基礎の連続試行。
 すなわち「力技」に他ならない。


 いかに技術力を高めてコストを下げ、
 より多くの単純作業をこなせるか。
 ―――それだけさ。

 そして、ボクが今やってることも、
 呪文を使ってはいるが物量には違いない。

 しかし、いつの日か物理法則を解き明かし、
 この作業を
魔法なしで出来るようになりたい。

 ―――それがボクの人生目標というわけさ。』




 ルーサーがやろうとしている事は、カタパルトやトレビュシェットといった攻城兵器で投石を行っているのと基本的には同じです。

 しかし、TL3時代の機械は信頼度が低く、使用すれば高確率で故障し(ガープス第3版でも未訳の「選択ルール」として機械仕掛けの兵装を扱う際に「故障」するルールがあります)、しかも、肝心の動力は人力や錘を利用したものです。
 そして、こんな山奥に運べるサイズの小さな攻城兵器では、とてもではないが1キロ先の盾城壁を破壊するなど絶対不可能です。歴史的に最後の投石型攻城兵器である「トレビュシェット」でも、重さ140~250kgの岩を300~160メートル飛ばすのが限界と言われています(重いものほどを飛ばす時の射程が下がる)。圧倒的に射程が足りないわけです。
 ルーサーはこの「不可能」を、マンチキン習得した呪文の力で強引にやっています。




 魔法とテクノロジーは相成れない。よって、魔法文明においてテクノロジー文明は発展しないというのが、過去の小説やマンガ、アニメ作品では定説になっていました(最近はそうでもないんですが…)。しかし、それは真実を言い当てているのでしょうか?

 魔法の存在が利便性を補った結果、人々の研究意欲を失わせ、テクノロジー文明の発展を阻害するのか。それとも、魔法によって理論構築のための高度な実証実験が行える事から、むしろテクノロジーの発展速度も加速するのか?
 ―――残念ながら管理人は実例を知らないので、何とも言えません(おそらく我々の世界の地球人には永遠に分からないでしょう)。

 そして、この世界のルーサーは、物理法則の理論を先に構築したくて、ひたすら《念動》のレベルを上げ、TL3の文明下では本来不可能な実証実験をやろうとしています。その努力が花開くかどうかは、各卓のGMの設定次第といったところでしょう。
●戦術フェイズ01(ルーサー)
 ルーサーは《念動》をかけた100キロの岩10個を、移動力1で城塞跡の上空100メートルの位置まで移動させます。かかった時間はおおよそ20分です。
 GMは、岩が見つからなかったかどうか、ルーサーの〈偽装〉技能と、見張りに立っているオークの戦闘奴隷(0cp データは「第7節 黒の月の下僕キャラクター」のものをそのまま流用)10名と即決勝負を行います。

 〈偽装〉技能の説明によると、偽装を見破られるかどうかの判定の際に「長距離攻撃修正表の、大きさ修正を正負逆にして適応する」とあります。
 ルーサーは直径1mの岩を10個、なるべく丸く束ねて移動させています。サイズの最大直径は4へクスなので、サイズ修正は「4.5m」の項目を適応して-2修正となります。ただし、《染色》によって透過処理を行っているので+3修正が付き、〈偽装〉17レベルに修正を加えた結果、目標値18となります。
 一応移動しているのですが、移動力1という非常に低速な飛行のため、GM(管理人)はこれは無視してもよいと判断、特にペナルティは加えないことにしました。

 もう一方のオークたちは、知力8に種族的に鋭敏感覚2レベルを加算して目標値10となります。
 判定の結果。
 ルーサーは出目7で11成功―――この時点で、オークたちに勝ち目がなくなったため、岩は完全に隠蔽状態扱いとなりました。こんな重大な異変にも関わらず、敵は全く気付いていません。


 ルーサーは目標地点の真上に岩を縦に並べ、あらかじめ送っておいた透明な目を通して標的を確認。爆撃を行います。
●戦術フェイズ02(ルーサー)
 黒の月の蛮族側はルーサーの岩に全く気付かなかったため、第1フェイズは行動できません。よって、続けて第2フェイズのルーサーの手番。


 岩を縦に並べたのは、爆撃位置をキープするためです。この状態であれば、Y軸(高さ)以外の座標は、全ての岩が同じになります。あとは「《念動》を切断する」だけです。

 「ガープス・ベーシック完訳版」に書かれた落下物のルールでは、命中判定は「敏捷力か〈投げ〉で判定」とあります。ただし今回のケースでは、完全に《念動》の呪文で落下物を扱っている事から、命中判定は《念動》で行うべきとGM(管理人)は判断しました。
 また、ルーサーが維持している20個分の呪文(実際は21個分)のペナルティは加算すべきと判断し、-20のペナルティでの判定としました。ちょっと厳しい処置かもしれませんが、そもそも20個もの呪文を維持してる時点で、普通なら呪文に関して完全にどうこう出来るような状況ではありません。なのでその負担は、命中精度にも影響すべきと考えた結果です。


 さらに、あらかじめ宣告しておいたように、100メートルの高度から物体を落とす場合、ある程度の風の影響があると判断。その影響を受けずに正確に爆撃したいのであれば、〈気象学〉判定に成功しなければならないというハウスルールを今回は適応しています。

 ルーサーは〈気象学〉判定に成功。風の影響はありません。
 ただし、この時点でも命中判定の目標値は10しかありません。命中率は50%。
 《念動》と《染色》を同時に途中切断しました。途中切断の場合、1点のエネルギーが必要で、合計2点となります。ルーサーは残っていた作業用内蔵型パワーストーン(2)から1点(=2点分)のエネルギーを引き出し、支払いに充てました。パワーストーンの残りは5つ。

 ルーサーのサイコキネシスによって浮いていた岩が、自由落下状態に移行します。100メートルの高度から100キロの岩(おおよそ人間1人分)が地面に到達するまでの所要時間は、自由落下の公式に当てはめると5秒弱です。
 命中判定の結果―――惜しくもダイス目は11で失敗。

 ただし、今回は巨大な岩による爆撃なので、特別に「爆発物」のルールを適応しています。爆発物のダメージは二種類あり、「衝撃」と「破片」です。今回の爆撃は破片をまき散らすようなものではないので、「衝撃」によるダメージのみ適応します。
 「衝撃」によるダメージは、「命中ヘクスおよびその周辺の1へクスにダメージ」であり、今回は1差の失敗であるため、ずれた場所も1へクス隣です。なので、目標地点にも同規模のダメージが発生します。
 よって、命中判定は失敗していますが、実際は命中扱いになります。

 100キロの落下物が50メートル(終端速度により固定)落下した場合のダメージは100Dです。ダイス100個はさすがに辛いので、10D×10で判定。41が出たので、10倍して410。城壁の防護点8を減らした分の402ダメージが適応されました。


 盾城壁の残りHP2598。
ルーサー
『ふむ―――
 少しばかり、着弾点がずれたようだ。
 誤差修正、左3度……

 ―――試算完了。
 次をプレゼントだ…!』




 ルーサーはペローマ信者なので、改変ルールで追加された独自技能〈着弾観測〉を習得しています。本来は〈砲術〉技能で扱うTL3の攻城兵器や、個人携帯火器のクロスボウで使う技能ですが、固定目標への爆撃という事で、GM(管理人)は今回のこれに関しても適応を許可しました。
 着弾観測は、1ターンの行動を消費します。距離100mにつき-1なので、今回は修正-1。目標値は15。

 ―――判定の結果、出目13で成功。
 同じ場所から同じヘクスを攻撃する場合に限り、次からは命中判定に+2修正を得られます。今回は、透明な目の位置を変えない限り、有効とします。


 ここまでの行動で「気象観測」→「呪文の切断」→「自由落下(5秒)」→「着弾観測」で8秒。切りが良いところで10秒とします。
 続けて、2発目から6発目までを10秒間隔で爆撃。

 ルーサーは岩を1個自由落下状態にするたびに、2点疲労しつつも維持中の呪文が2つ減るため、《念動》による命中判定の目標値が2ずつ上昇します。2発目で目標値14、3発目で目標値16…といった具合です。なお、疲労点は残りの作業用パワーストーンから引き出し、2つを空に、1つを半分使いました。残り2つ半。

 撃つたびに要求される〈気象学〉判定も問題なく成功し、5発命中で合計1810ダメージを与えました。10D×10の平均値は350で、城壁の防護点8を引いた分×5で1710ダメージです。おおよそ平均ダメージが出ています。


 盾城壁の残りHP788。
 なお、見張りのオークたちには何が起こっているのか、さっぱり理解できません。

 唐突に上空から巨大な岩が、城壁の一か所を目掛けて集中的に降ってきます。〈神秘学〉技能どころか、魔法の実体験すらも乏しいオークたちにとって、これは天災なのか人災なのか―――その判断すら不可能です。


 6回目の爆撃の終了時点で60秒経過。1フェイズ分(=1分)が終了したので、ルーサーの手番も一旦終了します。
●戦術フェイズ02(黒の月陣営)
トロールの暗黒戦姫
『なっ……
 何事だっ…!?』




 あれだけ大きな轟音を立てれば、たとえ見張りのオークたちが警告を発しなくとも、砦の全員が気づきます。

 爆撃が開始されてから、およそ30秒後。
 砦内から1人の大柄で美しい女剣士が、飛行の魔法を使って飛んできました。どうやら、この砦に立て籠る黒の月の蛮族たちを束ねているトロールの暗黒戦姫(350cp データは「第7節 黒の月の下僕キャラクター」のものをそのまま流用)のようです。

 純潔のトロールは、陽光の下だとあらゆる行動に-4の厳しい修正が付くのですが、そんなことすらも些事でしかない事が現在進行形で起きているため、とにかく状況を把握するために慌てて飛んできたようです。
 GM(管理人)は、暗黒戦姫の「視覚」とルーサーの〈偽装〉で即決勝負を行い、戦姫が透過した岩を見つけられるかを判定します。

 暗黒戦姫の知力は14ですが、トロールは種族的に鋭敏感覚3レベルを持つため、基準値は17です―――ただし陽光の下にいるため、-4修正を受けて目標値13です。
 対するルーサーは先ほどと同じ修正を加えた目標値18に、さらに-3修正を加えます(発射地点自体は見えているため)。

 ―――判定の結果、暗黒戦姫が4成功、ルーサーが6成功となり、ルーサーの偽装能力が暗黒戦姫の観察力を上回りました。暗黒戦姫には透過された岩が見えていないため、何もない空間から岩が現れては落ちてくるように見えます……陽光のせいで、透過した岩をきちんと把握できなかったのでしょうか。
トロールの暗黒戦姫
『……どこだっ!?
 どこにいるっ………?』




 透過した岩を見逃したのが原因で、暗黒戦姫は盛大な勘違いをしています。

 さすがに黒の月のエリート種族だけあって、〈神秘学〉技能は所持しているのですが、〈神秘学〉12レベルの判定の結果、出目12で0成功でした。彼女は「近くに魔術師が潜んでいて、《他者移動》の呪文で上空に岩を送り付けている」と予想しました(成功度が低いので間違った予想をしています)。
 確かに「50~99kgの物体」を「21~100ヘクス先へ転送」するのであれば、発動時の距離修正-2で、コスト15点を支払う事ができれば可能です。コストに関しては、内蔵型パワーストーンを駆使すればできるでしょう。彼女の予想では、常識的な範囲の魔術師(呪文レベル15~18)がやっている事が前提になっています。

 また、彼女が遠くから転送しているのではなく、近くにいると予想したのは、「遠くから岩を上空に転送するやり方では、これほど精密な爆撃は不可能である」という判断によるものです。転送地点に魔法の目か、飛行可能な「使い魔」でもいれば別ですが、現在はそのようなものは全く見当たらず、何もない空間から次々と岩が出現し、正確に同じヘクスに落ち続けているように見えます―――術者がごく近くにいなければ、そのような芸当は不可能です。
 しかし実際の術者は、はるか遠方の1km先にいて、常人ではほとんど維持不可能な《透明な目》を常駐させ、岩も透過処理した上で真上に先行配置し、悠々と超精密爆撃を行っています。このような手法は、さすがのエリート魔法剣士でも想定外です。

 そして距離の誤認が、暗黒戦姫の探索範囲を歪めてしまいました。
トロールの暗黒戦姫
『あれ……か??』




 500メートルほど先に、ソイル選王国の重装騎士を数騎発見。一部は見えていますが、背後の森にも数騎潜んでいるようです。総数はおそらく12騎前後。
 一方、反対の正面門の側を見ると、やはりこちらにも300メートルほど先に人間の歩兵部隊が50名ほど見えており、こちらは既にゆっくりと行進しながら接近中です。
 おそらく城壁を破壊したのを見計らって、この両方が一斉突撃してくるのでしょう。もしそうなったら、この砦にいる手勢だけでは到底守り切れません。

 ―――しかし、肝心の術者が見当たりません。
 暗黒戦姫の予想では、術者を発見して即座に仕留めれば、城壁の破壊を防げるはずなのですが…




 こうして暗黒戦姫は、致命的な1フェイズを過ごしてしまいました。
●戦術フェイズ03(ルーサー)
ルーサー
『―――ほぅ?
 薄汚い蛮族を率いるのは、
 見目麗しい暗黒の姫君だったか。

 しかし今、私が執り行っている事は、
 君たちの「知」の外側にある。


 何が起こっているのか、
 正しく把握できないのだろう…?
 他人から破壊の秘術を盗み、
 ただひたすら相手の滅亡を望むだけの存在。
 黒の月と、その下僕たち。

 …そのようなものに、
 自ら創造を行う生命体を出し抜けるはずがないだろう?


 攻略困難な敵を打ち負かすために、
 新たな戦略を考案すること。

 たとえ目的が「破壊」であっても、
 それを考案する行為自体が「創造」なのだから…』
マトイ
『…なんで私が……
 バーテンみたいなことを……
ブツブツ

ルーサー
『―――そろそろ君の出番だよ。お嬢さん?

 ボクがやるはずだった大事な役割だ。
 しっかり頼むよ。』

マトイ
『………。

 わ~かってますぅ~……
ブツブツ

ルーサー
『ふふっ………
元気ぃ?』
マトイ
『~~~~~~っ!!!!』

ルーサー
『―――では、とどめと行こうか。』
 7発目から10発目までを連続で処理します。

 10回も判定していれば、そのうちどこかでファンブルを出すだろう……と、GM(管理人)は予測していたのですが。予想に反し、〈気象学〉判定、命中判定ともに問題なく、9発目の命中の時点で956ダメージをマークし、盾城壁のHPが底を尽きました。


 盾城壁の残りHP0。
 ―――盾城壁が破壊されました。

 攻撃のチャンスです。
 マトイは《拡声》の魔化アイテムを使い、ハリエットたちに突撃のタイミングを知らせました。《拡声》は、視界内であればどんなに遠く離れていても声が届くという音声系呪文で、軍隊の指揮や遠距離の連絡を取るのに最適です。
 マトイは本来、ルーサーが行うはずだったその任務を任され、魔化アイテムを持たされていたのです。ルーサーの任務に何か技術的な事故があった場合、余計な疲労点を要求されたら連絡が遅延する可能性があったので、同じ「魔法使い」のマトイにそれを託したのでした。


 40秒目。
 マトイの通信を受けた12騎の騎士たちが、城塞跡の裏手に向かって移動を始めます。

 一方でルーサーは、残り1発の岩の標的を定めました。
ルーサー
『これは、キミへの餞別だよ……・
 受け取ってくれたまえ―――』



 最後の1発は、トロールの暗黒戦姫に向かって投下されました。
 発射までは透過処理されているとはいえ、落下直前に《念動》と一緒に《染色》も切断するため、攻撃は普通に見えます。なので、普通に能動防御可能としました。

 落下物に対する防御は、「敏捷力か「よけ」のどちらか高い方」「落下物が大きい場合、受動防御は無効」となっており、実は防御自体はそれほど難しくありません。暗黒戦姫は敏捷力15、「よけ」は受動防御なし状態で11ですが、陽光の下にいるので-4修正が付き、敏捷力だと11、「よけ」だと7になります。
 ここは無難に敏捷力判定(目標値11)を行えば、何とかよけられるはずです。

 そのはずでした―――ところが。


 命中判定(目標値29)で、出目6のクリティカル!




 ……え!?
 いやあの、
クリティカルって……

 だってほら、当たったら
10D×10ですよ?
 そんなん当たったら、トロールでも一撃で即死じゃん……

 っていうか、350cpのラスボスが一撃で倒されるとか、
 いくらなんでもレベルデザイン的に問題が……

 ……でも、わざわざ命中判定してる以上、
 クリティカルなら自動命中になるよなぁ……?




 ………………。




 ―――ま、いいや。
 死んでしまえ(自棄)
 防護点6を貫通した残りの284点分のダメージが、暗黒戦姫のHPを生命力のマイナス10倍(130点)まで削り切り、生死判定のヒマもなく即死させました。というか、死体すら残らないダメージなので、《復活》の呪文での蘇生すら不可能です。

 ミンチよりひでぇよ…




 カリスマ指揮官を失った城塞跡の黒の月の蛮族は、ロクな組織的抵抗が行えず、クエント家に仕える騎士と従卒によって全滅させられました。
 ―――しかし、『メテオ・スウォーム』が強いのは分かっていましたが、まさかトロールを一撃で倒すところまで上手くいくとは、管理人も正直想定外でした。予定では、1回くらいファンブルが発生して、残り1発でギリギリどうにか壁を破壊できるといった計算だったのですが。


 ルーサー(Loser 敗者)のはずがウィナー(winner 勝者)になってしまった。
 …いやはや。
『―――誤解のないように忠告しておくよ。

 今回、ボクを任命したのは妹の
ハリエットであり、
 ボクの成功は、妹の適材適所の采配の結果に過ぎない。
 つまり、この勝利は
ハリエットのものだと言えるだろう。

 いいかね?
 重大な事なので、一度だけ言うよ。

「可愛い妹に勝てる兄などいない」

 ―――これが
宇宙の真理だよ。
 よってボクは今回、
 別に勝利したわけでもないのさ。

 …君の、その不足気味の脳ミソでも、
 十分に理解できたかね?』




 …あ、はい。
[編集手記]
 管理人は「ガープス」のプレイ歴20年以上を誇りますが、プレイ初期からずっと「メテオの再現方法」を考えていました。
 管理人の脳内では、長らくTRPG「ソード・ワールド」の「メテオ・ストライク」、コンシューマ・ゲーム「FF」(ファイナル・ファンタジー)シリーズの「黒魔法メテオ」のせいで、ずっと「宇宙から隕石を呼び寄せて大ダメージを与える魔法」という観念が脳内にこびりついており、それをそのまま実現するにはどうしたらいいか、途方に暮れていました。真面目にそれをやろうとすると、理系に進んで宇宙工学に手を出せるくらいの天体物理学や数学の知識を学ばないと、ガープスでの再現など不可能だからです。

 ですが、その考えが変わったのは、本当に割と最近でした。
 数年前から宇宙に関する知識を貪欲に集めていました。今では宇宙に関する動画など、非常に豊富に存在し、うわべの知識であればお手軽に入手できます。
 そしてつい最近、「ガープス・ベーシック完訳版」の落下物のルールを読み直して、ようやく「メテオ」の再現につながりました。自分が想定していたメテオは、あまりにスケールがデカすぎたことに、ようやく気付いたわけです。
 管理人は、ガープスのルール下でメテオを再現するのに20年以上かかっています。でも、中学生時代にちゃんと物理学を勉強していれば、もっと早くこれを発見していたでしょうね。

 勉強ってのは大事です。
 ただし、他人から強制されてやる勉強はただの暗記ゲームで、ほぼ「力」とはなりません。実際に「力」とするには、やはり「実践で必要になる事」が絶対条件なんですよ。そういう状況に出くわすまで、暗記で覚えた勉強は、ただの脳内検索用語集に過ぎず、実践での力はありません。
 だから高学歴で社会人になっても、会社の側は「仕事に関しては期待してない」と言うわけです。実践で使われたものでないと、「力」にはならないってのはそういう事なんです。先輩社会人はその実体験を既に経験してるから、そういうセリフに繋がるわけです。


 人生を充実させるコツは、まず「やりたいこと」をなるべく早く見つける事です。
 そして、どんなに拙くてもかまわないので、まずそれをやってみて下さい。そうすれば、自分に何の知識が足りないのか、すぐにわかります。そこから勉強を始めてください。先に勉強しても、上で書いたように「脳内検索用語集」にしかならず時間の無駄です。

 ところが多くのバカ親が施す「間違った英才教育」というのは、「偉人は寝る間も惜しんで勉強するから賢い。よってエリート人材にするためには、その行為を模倣させるしかないのだ!」と本末転倒な事を考え、自分の子供に「寝る間も惜しんで勉強する事」から始めさせようとします。
 言うまでもなく、これは完全に順序が完全に逆です。そもそもそれだと勉強することに対する目的意識が何もないので、続くはずもないんですよ。そして落ちこぼれて人生台無しにします。しかもその馬鹿教育をした親は、自分が間違ってることにまるで気付いてないんですな。「子供の努力が足りなかった」の一点張りで。馬鹿もここまでくると、救いようがない。


 かなう・かなわないに関わらず、夢を持ち、それを実践していく事が、人生を充実させるためには大事な事です。それが世間に認められれば、仕事にもできるチャンスが到来するかもしれませんが、認められないからといって止める必要はないです。精神的に充足できるのであれば、それは生きるための糧です。死ぬまで続けて下さい。少なくとも管理人はそうするつもりです。

 皆さんの夢が見つかる事を祈ります。
 そしてそれが世間に認められ、仕事として大成することを祈ります。

 もし、それが大成せずとも、夢は捨てないでください。
 そもそも捨てられる夢など、最初から本物の夢ではないのです。




【ルナルで宇宙もの】
 今回、メテオを再現しようとしたのは、「ガープス・ルナルで何とか宇宙ものができないか」と考えた末の結果です。

 残念ながらルナル世界は、宇宙空間は月の神々の領域であり、基本的には手を出すべき領域ではありません。実際に(例えば魔導兵器などで)宇宙に行ってしまうと、ルナル世界の神秘性が大きく損なわれてしまいます。
 よって、宇宙旅行的な話をしたいのであれば、逆に地面に潜って多足のものの未来都市と交流するか、海に潜ってグルグドゥの深海都市の観光でも目指した方が良いでしょう。

 それでもなお、何とか宇宙に関わろうとした結果がこれで、天体物理学経由でTL3の世界でメテオを再現したらどうなるか?でした。まあ結局、宇宙には直接関係しなかったんですが、古典物理学が現代物理学になる過程で、天文学が非常に大きな役割を果たすので、物理学が大きく関わるシーンを用意すれば、それが宇宙的な味わいになるかな?ならないかな?とか考えてるうちに、このようなレポートが完成しました。




【最強はペローマ高司祭?】
 ルナルが出版された当時から、ペローマ信者は戦闘向きじゃないと言われ続け、最弱信仰の地位をほしいままにしていたのですが、実は習得可能呪文を見ると、今回のルーサーのような「超遠方から一方的に質量兵器で攻撃可能なキャラ」が作れる事に気づきます。最強の攻撃力が出せるのは、実は「くっくっくっ…ヤツは四天王の中でも最弱…」と名高いペローマ信者だったとかいうオチです。

 …え?高司祭になれば共通呪文で《念動》が使えるから、どの信仰でもいけるんじゃないかって?

 確かに「岩を落とす」というアクションだけならばいけそうなんですが、《魔法の目》を通して遠距離で行えないのであれば、岩と一緒に術者が飛んでいく必要があり、これは大変危険です(ミュルーン傭兵などに狙われるでしょう)。その術者が《透明》で姿を消して岩に同伴する手もありますが、岩の方は結局隠せず、そもそも奇襲爆撃ができません。
 なお、《透明》の呪文は生物にしか利かず、無生物(岩など)にかける事はできません(魔化としてなら可能ですがコストが天文学的な数値になるので実現性がありません)。

 結局のところ、《染色》で岩を透過させて隠蔽し、さらに《魔法の目》を通じて現地に行かずとも対応できるペローマ高司祭が、もっとも確実性の高い奇襲メテオを行えるわけです。

 なお、今回は爆撃直前に《染色》を切ってますが、これは単純に他の呪文を使う際のペナルティを一刻も早く減らしたかったのと、相手が一切防御しない無生物だからであって、必須行為ではありません。例えば、標的が城壁のような無生物ではなく、動く生き物だった場合、岩は透明のまま爆撃したほうが相手も気づきにくく、能動防御されにくいでしょう。




【他者移動によるメテオ】
 最初に思いついたのは、99キロの岩を《他者移動》で転送する手法でした(レポート内でトロールの暗黒戦姫が思いついた方法)。
 501メートル~3キロメートルの転送であれば、技能修正-4、エネルギーコスト21、隕石一つのダメージは99Dとなり、内蔵型パワーストーン9~10あたりをたくさん用意すれば、今回のメテオと似たような作業が可能です。

 ただしこれは、「特定へクスを狙った正確な爆撃」をするのはほぼ無理なんじゃないか?という事に気づき、最終的には却下しました。転送直後の命中判定にどの値を使えばいいのかが不明瞭なんですよね。というか、転送後は完全に制御できないのですから、命中は実質「運任せ」になります。目標値10あたりで判定が連続するんですかね。しかも、風による妨害を防止できません。
 こうして、あれこれ欠陥が見え始めた時点で、最初に考えた「テレポート・スウォーム計画」は廃棄されました。まあ、絵的には岩を空中に呼び出して落下させるってのは美しいんですけどね。

 もしこの手法でやる場合も、やはり降下開始地点に魔法の目か何かをあらかじめ置いておくべきでしょう。また、《他者移動》メテオの場合、複数の呪文を維持する事による発動ペナルティは抑えられるのですが、代わりにエネルギーコストを大量に要求されます。そのため、大量の内蔵型パワーストーンを用意する必要があり、必然的にお金持ちのキャラにするしかありません。
 しかし、力押しでゴリゴリやるのは既に「天災魔術師」の項目でディードリットがやってるので、今回は違う趣旨でいきたいと思い、敢えて《念動》で現地まで輸送するタイプにしました。これならば、精密爆撃も可能ですし。
【MMDモデルの話】
 今回はPSO2関連のモデルがたくさん登場しました。特にありがたかったのはオメガ仕様のルーサーで、これのおかげでPSO2屈指の人気キャラ「ルーサー」をファンタジー世界で貴族として登場させても違和感なくなったので、たいへん感謝しています。

 ただ…
 ちょっと気になるのですが、このPSO2モデルの方々、口パーツがあまり大きく開かないんですな。なので、表情の表現に限界があり、完成した画像を後でフォトショップで加工したりと、結構手間がかかりました。
 大口を開けるってのは、表情の表現で結構頻繁に使用するので、ここはちょっと改良してほしいところです…って、こんなネットの辺境で苦情を吠えたところで、モデラ―さんには届かないでしょうが(笑)




 最後に、ソイル選王国のかっこいい騎士のデータでも挙げておきます。
【基本設定】
 ソイル選王国の標準的な「領地持ちの騎士」です。デザイン性に優れたかっこいいスーツ・アーマーを着用し、白馬に跨って颯爽と駆ける典型的な「白馬の王子様」が、ソイルの騎士の一般的なイメージです。グラダス半島では、俗に「白騎士」という名称で知られています。

 土地が豊かで食うに困らないせいか、精神的にも余裕があり、真面目で主君や領民への忠誠度が高い「理想的な騎士」が比較的多いようです。その多くは秩序を重視するガヤン信者やジェスタ信者で、ソイルの騎士の信仰全体の9割を占めます。
 反面、体制の変革には否定的な者が多く、それが原因で古い封建制度からなかなか抜け出せないといった問題もあります。ソイルでは「地位レベル1」以上の騎士たち全員に「選挙権」があり、これによって選王家の立候補者の中から王を選ぶシステムであるため、貴重な1票を持つ騎士たちの多くが頑固ものであることが、体制変化の妨害になっているのです。
 近年、6つの選王家の1つ「フォルベルト家」の候補者エインリッヒ・フォルベルトが、選挙の折りに「将来的にはトリースを見習って共和制に移行しよう」という考えをちらっと見せたのですが、下級騎士たちの多くがこれに猛反対し、フォルベルト家はやや苦しい立場になっています。

 また、土地が貧困で常に野心的な隣国のファイニアとはライバル関係にあり、ソイルの第1仮想敵と言えばファイニアの騎士が筆頭に上がります。
 あちらは赤の月信仰が盛んな国であり、戦神タマットを崇める騎士なども多い事から、国境付近での小競り合いも武力行使に発展する事が多いようで、それによって実践経験を積んでいるといった事情もあります。なので、大陸の反対側に位置するトリース森林共和国のような「軍人=軟弱」といったイメージは、少なくともこの国にはありません。


【設計思想】
 標準的な騎士なので、馬上槍突撃(ランス・チャージ)が主な仕事ですが、一方で地上に降りた下馬騎士としての能力もそこそこあり、ハルバードの訓練を詰んでいます。ソイル領土の西側はほぼ平野ですが、東側は山岳や森林が比較的多い事から、馬が使えない戦場での戦闘経験もそれなりに積んでいます。

 また、ソイルでは一般動員兵(徴兵)の運用機会も多いことから、騎士には指揮官としての指揮能力も求められています。そのため、〈指揮〉技能も全体的に高い傾向にあります。
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