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■第15節 ベルセルク
 中世ファンタジー世界特有の存在として、「ベルセルク」(狂戦士)という存在がある(英語読みで「バーサーカー」)。戦闘中に怒り狂い、自らの負傷に構う事もなく、相手が死ぬまで戦い続けるゾンビのような存在である。
 「殴っても死なない」ことから恐るべき不死の存在と認識され、一般的な兵士・戦士からは恐れられているのだが、一方で1つ1つの動作が大雑把であるがゆえに、精巧で無駄のない動きを行うプロの戦士より弱いとされる事が多い。

 実際、ガープスでも
「バーサーク」(-15cp)の特徴を取ればこの存在になれるのだが、特に筋力や敏捷性が上昇したわけでもないのに、何の前準備もなしで「全力攻撃」を行うため、隙だらけのところをカウンターで部位狙い攻撃されて、あっさり落ちてしまう―――すなわち、ある程度の技量を持つ戦士にとって、実は大した脅威ではなかったりする。
 ベルセルクにリアリティを追求すればするほど、「勇気」だけが先行した行き当たりばったりの存在である事は明白であり、雑魚狩り専門の掃除屋以上の存在ではない。


 ―――しかし、この厨二病全開の面白い存在を、ただのやられ役で終えてしまうのは惜しいとは思わないか?どうにかして、北欧神話に登場する異能の戦士ベルセルクのような、戦神に近い存在にできないものだろうか?

 この項目では、戦力として通用するベルセルクの運用を追求してみたい。
■状況
 まず、ガープスにおけるベルセルクの特性を理解しておこう。
●衝撃、朦朧状態を無視
 バーサーク中は、ダメージによる衝撃と、朦朧状態の効果を一切受けない。
 有利な特徴「我慢強さ」に似ているがそれよりも強力で、《朦朧》《心神喪失》の呪文の抵抗に失敗しても朦朧状態にならない。
 さらに言えば、マンチキンの18番「25レベルまで強化した抵抗不可能な《死の幻影》」でも朦朧状態にならない。

 「恐怖」を通り越して「怒り」の精神状態にあるベルセルクに対し、自身が死ぬ場面を見せたところで通用するはずもないのだ。

●意識維持、生死判定にボーナス
 上記に加え、意識維持に生命力判定が必要な時、または生死判定で生命力判定を行う際に+4のボーナスが得られる。
 特にヤバイのは「意識維持」をサポートする効果で、例えば気絶を狙って「重要器官」や「頭」に叩き攻撃を食らった際に必要な気絶判定でも、同様のボーナスが発生する。つまり、バーサークしてしまった相手に対し、「とりあえず気絶させて鎮圧しよう」という穏便な試みは、ほとんど通じないと思った方が良い。

 お漏らししても無駄である↑


 ガープスにおける「バーサーク」の優位性は、おおよそ上の二つに集約される。CP的な話をすれば、
「10cp払って「我慢強さ」を得る代わりに、15cp獲得した挙句に「我慢強さ」を得る」といった、一見すると破格の有利すぎる取引なのだが、当然のことながら、それを超不利にするだけのデメリットも満載している。それらは以下。


●全力でしか行動できない
 一番困るのがこれで、
「「全力攻撃」が可能な状況ならば、無条件でそれを選択せねばならない」というもの。
 「全力攻撃」は、使う場面を選べば素晴らしい戦術なのだが、何の前置きもなくいきなり繰り出すと、相手のカウンター攻撃を食らってあっさり落ちてしまう。

 そのため、常時「全力攻撃」という選択肢は、よほど装備性能差がなければゴリ押しにすらならず、ただの自滅行動である。

●制御困難
 バーサーク状態を完全に制御できるのであれば、「力押しが有用な局面で強力なバフ効果となる」のだが、困った事にこの状態は制御不能であり、自由にON/OFFできるシロモノではない。
 一応、「意志の強さ」や知力の高さである程度はフォロー可能で、自発的にONにする状況を選択できたりはするのだが、OFFにするための選択肢は少なく、下手すると味方を殺さないとOFFにできなくなる。

 こうした特性のため、味方のベルセルクは他の味方から距離を離して運用する必要があり、それはすなわち孤立奮闘を余儀なくされる事である。つまりそれは、ベルセルク本人の生残性が大幅に下がる事である―――少なくとも長生きはできまい。

●生死判定のやり直し
 戦闘終了後、生き残っていたとしても、戦闘中に気絶判定や生死判定を行っていた場合、戦闘後改めてそれらの判定を全てやり直さねばならない。しかも判定やり直しの際、+4のボーナスは得られない―――よほど素の生命力が高いキャラクターでない限り、確率の法則で失敗して気絶・死亡してしまうだろう。

 要するに、バーサーク中は
戦闘中の気絶・生死判定をリボ払いしているに過ぎず、ベルセルク本人の人生全体を見れば、余計に死にやすく危険な状態に陥っているのである。
■対策
 ベルセルクは、きちんと戦闘準備をした上で、なおかつ「バーサーク」状態のON/OFFをある程度コントロールできるのであれば、決して弱くはない。

 以下、その方法を模索してみる。
●知力、「意志の強さ」を上げる
 自分の好きなタイミングでバーサーク状態に入れるようにし、一方でオフにする機会で確実に切断する事ができれば、圧倒的なペナルティはそこそこ緩和できる。

 ガープスの素人がよくやらかす下策なのだが、戦闘中に敵の攻撃で負傷して「意志判定に失敗して」バーサークを発動させるやり方というのがあるが、これは発動が不確実なので好ましくない。発動前提で知力を下げたとして、それで判定に成功してしまったら?…その場合、発動する前に気絶してしまう可能性がある。それでは、バーサークの恩恵を生かす間もなく敗北してしまう。ダメージを貰って発動するやり方では本末転倒なのだ。
 また、知力を下げる事で単純に知力抵抗系の呪文に対して脆弱になってしまう。《パニック》の呪文1つで戦えなくなったら、バーサークの恩恵など何の意味もない。

 そうならないためにも、基本的には自発的に発動するのが好ましい。そのために、「意志」(知力+「意志の強さ」)の基準値を可能な限り上げた方が良い。お勧めは「意志の強さ」にCP全振り(当サイトの改変ルール下だと最大5レベルなので20cp)であり、これを上げる事で、知力のみならず抵抗呪文全般に対する抵抗力も増強できるのが非常に良い。

 また、戦闘終了時に確実にバーサークを切断するためにも、やはり意志の基準値が高い方が好ましい。

 以上から、基本的に
意志の強さに極振りしたキャラクターにするべきである。なお、〈強靭精神〉技能は呪文抵抗にしか使えず、「バーサーク」の制御の役には立たないので注意。


●パワーと装甲の増強
 「全力攻撃」ありきで戦う以上、これはもう被弾前提で戦術を考案するしかない。そうなると、魔化呪文で強化された防具で防護点を極限まで上昇させつつ、体力を上げて武器攻撃の装甲貫通力を確保すべきである。

(プレート・アーマー)
 ガープスにおけるベルセルクの有名な弱点に「部位狙い攻撃で手や脚を使えなくされてしまうと、バーサーク関係なしに無力化されてしまう」といったものがある。全力攻撃を主体として戦う以上、部位攻撃に対抗するには防護点を上げる以外に効率の良い対抗策がない。
 また、手足狙いほど警戒はしなくていいが、「目を狙われると脳を貫かれて一撃で終わってしまう」というのも、能動防御を放棄するベルセルクにとっては頭痛の種である。脳へのダメージによる気絶は、判定なしで自動で発生する。そのため、「バーサーク」の恩恵(気絶判定+4)も意味がないのである。

 これらを回避するためには、純粋に防護点の高く、加えて目を狙ってくる相手の命中率を少しでも下げるため、顔も装甲で覆われた全身金属鎧を着用するのが好ましい。
 ガープスにおける防具のルール上、「目狙い」のペナルティを-9から-10に引き上げてくれるのは、プレート鎧とチェイン・メイルだけである。そして、戦闘技能が-1されてしまうのでお勧めはしないのだが、チェイン・メイルだと基礎防御力が低すぎるため、選択肢はプレート・アーマーに絞られるだろう。
(体力12以上)
 攻撃一辺倒になる事から、真正面から殴っても相手の装甲を貫通してダメージを与えるくらいの体力は欲しい。13以上にして致傷力が2D以上になるのが理想。だが、「振り」武器であれば12でもどうにかなるので、CPが不足している場合は12で妥協しても良いだろう。

(武器技能レベル16以上)
 体力以上に重要なのが技能レベルである。
 とりあえず14レベル以上ならば判定成功確率が90%以上になるので十分と思われるが、ベルセルクは常に全力攻撃せねばならない性質上、できれば素で殴っても10%以上でクリティカルになるよう、命中判定基準値が16以上になるように調整したいところである…ガープスの環境ではシールド持ち相手だと、フェイントを入れても確実に命中しない事が非常に多いからだ。それならば、一撃必殺にかけて小細工なしで攻撃した方が良い(その方がベルセルクらしい戦い方でもある)。

 防具がプレート鎧なので、この条件を満たすのはかなり苦しいのだが、ここまでやらないと「バーサーク」のデメリットを打ち消すのは困難であろう。



●CPの稼ぎ場所

 100cpキャラクターでここまでの条件を満たすのは、実際のところかなり厳しい。だが一方で、「ベルセルクだから削っていい部分」もあるので、そこからCPを捻出したい。削って良い部分は以下。

(生命力)
 バーサーク中は気絶判定と死亡判定に+4もの修正を受けられるので、実は生命力にそこまでCPを投入する必要性はない。ただし、あまりに低すぎると、単純にダメージによる転倒判定で失敗したり(実はこの部分には狂化の恩恵がない)、小さいダメージで部位破壊されて早期に無力化されてしまうので、最低でも11~12は欲しいところ。
 なお部位破壊に対する耐性に関しては、どんなに生命力を上げても限界があり、ここを過剰にフォローするのは、CP効率的によろしくない。それよりも「財産」にCPを投資して、鎧による防護点を高めた方が安く上がるだろう。

(我慢強さ)
 戦士系キャラ必須とされる特徴の1つだが、タダでこの特徴を得られるのが「バーサーク」最大のメリットの1つなので、これは自前で取らず、別のところにCPを回した方が良いだろう。


●戦う地形の選定
 ベルセルクは筋力と財産(=鎧)、意志の強さ等に大量のCPを割り振る必要性から、100cpの段階で魔法戦士として作成するのは辛い。なので基本的には専業戦士であり、どう足掻いても飛行ユニット対策に限界がある。

 そのため、活動する場所は天井が低く、飛行戦闘が困難な場所で戦うべきである。洞窟や屋内、深い森などがベルセルクの戦場として相応しいだろう。
■サンプル・キャラクター
 以上の理論により、作成されたキャラクターが以下である。今回はPCとしての運用も考慮しているため、100cpの範疇で作成する事にする。
【基本設定】
 現代地球における遺伝学では、幼少期は教育の影響が大きいが、12歳以降は年齢を積み重ねるごとに個人が持つ本来の形質(性格、知性の高低など)が出やすく、その人に最も適した生き方になると言われています。そして彼女は、生まれつき持っていた「バーサーク」の特徴が成人後に発現した結果、司法の目が届かない町の外で猟奇殺人を繰り返す危険な存在になってしまったという設定です。
 月を崇拝対象とするルナル世界においては、「バーサーク」は必ずしも呪いとは見なされず、むしろ月の加護を強く受け過ぎた「祝福過多」の状態だと見なす文化があります。その形質は、傭兵など戦いを生業とする業界では重宝され、十分に訓練を受けたベルセルクは戦場における「戦神」として扱われます(使い捨ての駒とも言われますが…)。

 彼女は自分の生まれつきの形質を考慮して、戦士としての腕を磨き続けました。しかし、人としての心の方が強かったらしく(「意志の強さ」)、戦場での大量殺戮行為にどうしても馴染めず、かといって他に生きる方法も分からず、ついには荒野で通りすがりの剣士に決闘を挑む不審者という立場に転落してしまいました―――彼女にとっては「バーサークの犠牲者を最低限で済ます」ための苦肉の生き方がこれだったのです。
 平常時の彼女は、町のはずれの森の中で木こりを営んでいます(林業に特化した「自作農」として扱う)。そして、たまに通りかかる傭兵や冒険者の戦士が単独で行動しているところを見計らって、正面から決闘を仕掛けます。まだ良心は残っているので、非戦闘員はターゲットから外しています。

【基本戦術】
 「財産/大金持ち」(30cp)に物を言わせて最強鎧(《強化L2》が魔化されたヘビー・プレート)を購入し、さらにシャストアの神殿装備「シャストアのマント」と合わせて防護点10を達成した剣士です。これによって、ベルセルクの弱点の1つである「脳狙い」や「手足狙い」といった部位狙い攻撃での早期無力化戦術に対し、かなりの耐性が付きます。「意志の強さ」も最大レベルで取得しているため、魔術師に対してもそれなりの耐性があります。
 戦闘中にやる事は単純で、最初のターンに狂化するために「集中」を行い、2ターン目の冒頭に「バーサーク」を発動した後、標的に襲い掛かってひたすら全力2回攻撃を浴びせるだけです。基本は「小細工なしで目標値16の攻撃を連打し、クリティカル・ヒットを狙っていく」戦術となります。
 なお、飛行している相手にはどうしようもなくなるため、天井が低い場所での戦いしかしません。それ以外の環境では、可能な限り交戦を回避します。

 このキャラクターが安定して活躍できるのは、ガープスの「基本戦闘」ルールの環境だったりします。「基本戦闘」では部位狙いの概念がないため、高火力と超装甲、高い気絶・死亡耐性を備えた彼女は、常時全力攻撃をしていてもそう簡単には落ちないはずです。
 一方、「上級戦闘」になると部位狙いの概念が発生するため、熟練者相手には火力と装甲によるゴリ押し戦術が通用しなくなります。なので、対ベルセルク戦法を準備してない「雑魚狩り専門」となります。
■実戦
 魔術師相手だと、基本的に「魔法抵抗力の高さ」や「飛行対策」がメインとなるため、今回の趣旨からは外れてしまう。なので、100cpで作成された純粋な専業戦士との決闘で、ベルセルクの性能を計るものとする。
 舞台は、グラダス半島で最も野蛮な地域、スティニア高地王国です。

 スティニアに関して、ルナルの作者は「特にイメージした国はない」との事ですが、管理人個人の脳内では、ゲーム「The Elder Scrolls」シリーズの5作目の舞台となる「スカイリム」みたいな国という認識です。
 スカイリムとは、男女共に逞しい身体を持つノルド人の脳筋戦士たちが覇を唱え、選民思想の強い文化的にやや遅れてる山岳の小規模都市国家の連合体といったところで、北欧のヴァイキングのような文化圏のイメージです。
 そしてルナル世界のスティニアも、地理的・文化的にこれらとよく似ています(「黄金の姫」をコアとする選民思想や、農業に適していない高地の寒冷気候など)。蛮勇が最も尊ばれ、小国家同士の小規模戦闘が連続する土地柄から、いかにもベルセルクのような無謀な存在が神聖視されそうです。

 で、今回のベルセルク性能検査にあたり、当サイトの他のレポートで登場する100cpの専業戦士たちに集まってもらいました。その中で、サンプルのベルセルク相手に勝ち目がありそうなキャラクターを選抜し、それぞれ決闘してもらいました。
 ちなみに彼らにベルセルク討伐を依頼している者は、「ゴブリンスレイヤー」と名乗る冒険者で、主にスティニア辺境で黒の月の蛮族の討伐を専門でやっている者です。どちらかというとオークや下級ゴブリン等の雑魚狩りに特化した人なので、決闘に特化したキャラクターとの戦闘は苦手です。なので、お金を出す事で他の冒険者たちにやってもらう事にしたようです。
■■ Duel-01
 最初の相手は、当サイトのガヤン信者のサンプル・キャラクターとして挙がっている「神殿騎士」です。高い技量と腕力、装備によるそこそこの防御力に加え、対魔法抵抗力も非常に高く、さらに射撃も可能な万能戦士として設計されています。普通の冒険であれば、このくらいのスペックがあれば十分すぎるほど活躍できるでしょう。
 …ただし、ベルセルクのような部分的に先鋭化されたキャラクターに対しては限界があります。とりあえずベルセルクに対しては、ガヤンの神殿武器である「ソード・ブレイカー」を使って武器落としを試み、全ての武装を解除した上で脚狙いでもかまそうとしたのですが…
 ソード・ブレイカーによる武器落としには、1つだけ弱点があります。それは、相手が両手武器を用いていると、相手側の判定基準値に+2される事です(両手持ちの側が有利)。
 ベルセルクは両手剣を使っており、しかも技能レベルは神殿騎士(基準値15)よりも1レベルだけ高い16レベルだったりしました(基準値18)―――つまり、神殿騎士の武器落としの目論見は、実行前から既に破綻に近かったのです(しかもベルセルクは、予備武器をあと2本も持っています)。
 武器落としは早々に諦め、部位狙いで足を狙っていくのですが、致傷力2D(期待値7)に対し、ベルセルクの防護点は10……これでは、普通に殴って傷を負わせるのは至難の業です。

 ベルセルクとの対戦は3本勝負で行いましたが、3戦ともベルセルクがクリティカルヒットを何度か当て、ダメージの蓄積によって気絶か死亡に追い込み、10ターン未満で神殿騎士を落としてしまいました。
 対する神殿騎士は、一度だけダイス目が良くて脚に1点のダメージを与えましたが、それっきり戦果は上がりませんでした。攻撃自体は命中していたのですが、絶望的な装甲値の前に、致傷力が全く足りませんでした。
 ベルセルクの勝利です。


 神殿騎士、全くいいとこなし。
 「万能さ」は「器用貧乏」として、完全に裏目に出てしまいました。

 てめぇはガヤン神殿の面汚しだっ
■■ Duel-02
 次なる相手は、ご当地スティニア出身のジェスタ神殿の女勇者にして、当サイトの「理想の実現」項目の記念すべき第1回目のレポートの主人公リディアくんです。対集団用戦士として設計された彼女ですが、一撃の威力が重い事から、先ほどのガヤン神殿騎士よりは装甲貫通力が期待できます。
 …実は当サイトにおいて、100cpのジェスタ戦士は4名ほど見つかりました(サンプル・キャラクターの「ジェスタ守衛」「ジェスタのドワーフ鍛冶屋」、アリサ一行の「タイロン」、そしてレポート「集団戦に強い戦士」の主人公リディア)。
 その中で、魔法抵抗にCPを割り振っていないのは彼女だけです―――冒険者としては使いにくいかもしれませんが、今回の敵のように極端に白兵特化した敵であれば、同じく白兵特化している彼女が適任者です…まあ、4人ともそれほど差はないんですが。
 リディアの攻撃はガヤン神殿騎士より致傷力が高いとはいえ、2D+2の平均値は9です。これだと相手の防護点10を貫くのに、かなり良い目を出さねばなりません。
 彼女の攻撃自体は何度も命中し、幾度か装甲を貫通し、ベルセルクの脚にダメージを与えたりもしたのですが、脚が使えなくなるのに必要なダメージ量(生命力の半分)に到達せず、結局一度もノックアウトする事ができませんでした。

 3回試合を行い、内2回の戦いでベルセルクがクリティカルを連打。リディアを生死判定にまで追い込みました。生命力自体は高いので簡単にはくたばらないのですが、数回生死判定を要求されると、さすがに確率の法則で判定に失敗して死亡してしまいました。
 そして3試合目は、クリティカルヒットで生命力マイナスダメージに追い込まれた際、あっさり気絶判定で失敗して終わってしまいました。

 ベルセルクは1ターン目に「バーサーク」に集中→2ターン目冒頭に発動させた後、漫然と全力二回攻撃を繰り返しているだけです。ですが、技能レベル16でほぼ必中、さらにときどきクリティカルといった状況ですと、持久戦では予想以上に効果的だったりします。
 ベルセルクの勝利です。


 ジェスタ信徒の女勇者リディアは、ガヤン神殿騎士よりは善戦しました。
 ですが、結果にはつながりませんでした。
■■ Duel-03
 続く3番手は、レポート「長槍兵」で登場したハルバードの使い手リースです。ほぼ対騎兵に特化した戦士ですが、防護点が非常に高い相手であれば、アタッカーとしても活躍できます。今回のような防護点10のバケモノ相手であれば、対抗ユニットになり得ます。実は管理人も、「対ベルセルク」ユニットとして長槍兵には期待していました。
 リースの弱点は、ハルバード以外の攻撃手段に乏しい事と、防御全般が貧弱な事です。〈長槍〉技能へのペナルティを避ける観点から、プレート鎧ではなく敢えてスケール・アーマーで止めているのですが、今回のような攻撃一辺倒の相手だと防御の低さは辛いところです。さらに彼女の場合、両手武器を使う点からシールドも装備できないため、弱点を際立たせてしまっています。

 可能ならば、一撃で足を折って蹴りを付けたいところです。
 そしておそらく、二撃目はありません。
 リースは、相手が突っ込んできて全力攻撃を行った直後、反撃で脚を狙いました。

 リースのハルバードの致傷力は3D。平均値は10なので、ほんの少しでもダイス目が良ければ、防護点10の装甲を突破して脚をへし折る事ができます。それを信じて、最初の一撃に全てを賭けます。


 さて、結果は――――
 ベルセルクの勝利です。


 最初の1戦目、リースは見事に狂化直後のベルセルクの脚を一撃で折りました!脚さえやってしまえば、後は遠くからハルバードでつんつんすれば一方的にやれるので、脚を折った時点で試合終了としました。
 本レポートで初めて、ベルセルクに勝利した瞬間でした。


 しかし………

 続く2戦目、3戦目。共に最初の時点で足にヒットはしたのですが、ダメージのダイス目が振るわず、防護点を超えられませんでした。やはり期待値10程度では、防護点10を確実に突破する事は難しかったようです。
 リースの攻撃直後、ベルセルクの連続攻撃が次々とヒットし、彼女は無残にも切り刻まれ、斬殺されてしまいます。この展開が2戦ほど続き、最終的にリースは1勝2敗。総合判定で敗北してしまいました。
 このサイト、それなりに長期運営してるはずなんですが、管理人がこれまで作成してきたキャラクターの中で、100cpベルセルクに勝てる同格の専業戦士のキャラクターはいませんでした。


 なので、ここで改めて対ベルセルク用の専業戦士を作り出す事にしました。
 このまま終わってしまっては、パワーと装甲をマンチキン上げして全力二回攻撃してるだけの頭の悪い戦士が最強とかいう、現実的な戦術理論(攻撃特化は最強ではない)に反する事になってしまいます。それは事実ではないという事を、実際に証明しておかねばなりません。
 ――――そろそろ舞台の幕を閉じて、大団円としましょう。

 このタイプの戦士を白兵戦能力だけで排除するには、技能レベルをマンチキン上げし、目を貫いて脳を破壊し、強引に意識をシャットダウンするのが確実です。
 さすがに100cpの段階では防御が不足しますので、シールドを装備させて防具もそれなりのものを着用しています。やるべきは、相手の全力二回攻撃を1回防いだ後、目を狙う事だけです。

 では、参ります。
 相手が突っ込んできて全力攻撃を行った直後、反撃で目を貫き、脳を破壊する。基本これだけです。
 脳へ貫通したダメージは、自動的に4倍になります。そして、生命力の半分以上のダメージを与えると、判定なしで自動的に気絶扱いです。判定が行われないため、「バーサーク」の気絶耐性ボーナスも意味がなく、強制的に意識が途切れる事になります。

 結果は、言うまでもありません。
 アーリィ・ヴァルキュリアの勝利です。


 技能レベル20と言えども、プレート鎧を着た相手の目を狙うには-10のペナルティがあります。よって、攻撃目標値は10なので命中率は50%前後。
 最初の1戦目はダイス目が悪く、なかなか目に命中しませんでした。そして7ターン目あたりでベルセルクのクリティカルヒットで瀕死になってしまったので、起死回生を狙って全力攻撃/技能+4で目狙いを敢行(目標値14)。これはさすがに命中し、どうにか一撃で倒します。

 続く2戦目、3戦目は4秒以内でカウンター攻撃からの脳破壊で即終了。普通に命中判定に成功すれば、非常にあっけないものでした。


 こうして戦女神アーリィが3勝し、総合判定でも完全勝利を達成しました。
[編集手記]
 …いきなりでナンですが。

 マンガやアニメの「ゴブリンスレイヤー」の主人公って、明らかに
ガープスでいうところの「バーサーク」(-15cp)の特徴を持ってますよね??

 作中では、第1部の水の町の地下探索中、ゴブリン・チャンピオンに殴られて主人公は瀕死。それが発端で戦線が崩れて全滅しかけ…主人公が意志判定に失敗したのか、あるいは自発的に発動したのか分かりませんが、そこから明らかに「死んでるはずなのに戦闘継続してた」んですよね。
 そして、戦闘終了時に改めて死亡判定をした結果、失敗して死亡しました(この世界では、厳密にはRPG系ゲームでいうところの「戦闘不能」状態らしく、瀕死だけど死んでない扱いらしいですが。なおこの後、「リザレクション」(復活)の奇跡を受けてます)。
 これ、ガープスの「バーサーク」の特徴そのものなんですよね。

 「ゴブリンスレイヤー」というマンガがTRPGを元ネタにしてるのは、まぁ見れば分かると思うんですが、日本のTRPGで「マンチキン」といえば、ガープスはほぼ外せないんですよ。ガープスほどマンチキン作成の幅が広く、ピーキーな能力になるシステム、今でもありませんから。
 んで、おそらくゴブリンスレイヤーは、ガープス黎明期には「戦士に必須」と言われた「我慢強さ」の特徴のCPをケチるために、「バーサーク」の特徴を取っていると思われます。これがガープスで一番有名なマンチキン作成でしたから。
 当時のグループSNEのTRPGの知識を網羅していると思われる作者が、それを知らないはずがないですし、主人公のキャラ作成で導入したのは自然な流れ(?)だと思います。

 でも、ネット上のまとめサイトなどを見ても、ゴブリンスレイヤーのバーサーク能力については全く書かれていない。理由は色々推測できるんですが、おそらく「世間一般が考えるバーサーカーの定義から外れてる」からだと思います。
 ゴブリンスレイヤーは戦士ですが、同時に知力も高い人なので、「バーサーク」の特徴をほぼ完全に制御できちゃってるんですよね。他の作品だと、ロードス島戦記に登場する戦士オルソンが、最終的にバーサークを制御して周囲の味方に被害を出さずに戦死していましたが、これもゴブリンスレイヤーと同じ類の存在と言えます。
 でも、世間一般の人が考えるバーサーカーってのは、「狂ったように戦って、味方も殺してしまう制御できない狂気に捕われた存在」だと思います。ガープスでも、知力9くらいでかつ「意志の強さ」を全く取得していない戦士なら、割と簡単にこの状態になれますね。

 なので、制御されてしまっているバーサーカーは、もはや世間一般でいうところのバーサーカーではないんです。だから、ゴブリンスレイヤーの能力について書かれている「まとめサイト」でも、この能力についてのみ、一切言及されてないんだと思います。「目が赤く光って暴れ出すのは、怒りに身を任せて無茶をしている表現に過ぎない」とか、かなり苦しい説明文が書かれてます…いや、さすがに強引すぎるだろ それ(笑)

 ま、これの作者自身がそのへん全く言及してないっぽいんで、どうでもいいんですけどね。
 では、本題。


(ベルセルクの平常時の問題点)
 最後の方にちょろっと言及してますが、「バーサーク」は戦闘中の制御困難以外にも、日常生活での支障もあります。バーサークの発動条件は「極度の緊張状態」であるため、これは戦闘に限りません。ぶっちゃけて言えば「これから恋人と●ックスする時」にも緊張状態になると、発動する危険性があります(もし発動すれば、悲劇以外の何でもないでしょう)。

 そのため、ベルセルクがまともな夫婦生活ができるのか?と言われると、管理人個人はかなり疑問視しています。となると、ワンナイト・ラブとかアルリアナ神殿の娼館を利用した時に、偶然「命中」して妊娠させた時くらいしか、ベルセルクが子孫を残す可能性は低いような気がするんですよね。

 それを言及したくて、最後ちょっと哀しいエンディングになってます。
 ぶっちゃけ、PCとしてのベルセルクはお勧めしません。15cpのために背負わされるものが、あまりに重すぎます。

(目を保護する方法)
 結局のところ、目を狙われるとどうしようもないベルセルクですが、一応守る方法として「《鎧》の呪文で防護点を5点上昇させる」といったものがあります。この呪文、全身満遍なく魔法のフィールドを張る事で防護点を上げる呪文なので、当然ながらTL3時代の鎧では守りようがない目も保護対象のはずです(妖魔夜行の妖力「眼帯防御幕」と同様の趣旨)。
 この呪文で保護しておけば、目を攻撃されても5点までなら貫通を阻止できるので、それなりに部位狙い攻撃の対策にはなります。通常に人間の戦士が「刺し」攻撃武器で5点の防護点を貫通させるのは、かなり辛いでしょうから。
 ただし、ダイス目が良くて2点以上貫通してしまうとダメージ4倍で8ダメージ―――生命力16以下のキャラクターだと問答無用で気絶。完全防御とは言えず、今回の戦女神アーリィの槍でも、ダイス目が良ければやはり倒されてしまいます。

 …まあ、標準的な戦士だと、この辺りが対策限界かと。それ以上の保護策となると、「そもそも重要器官がない(魔法生物など)」「目で周囲を感知してない」など、人外のモンスターを目指すしかなくなります。

(腕関節技について)
 ベルセルクを無力化する別の戦術として、ガープスでは猛威を振るった「腕関節技」という手があります。ですが管理人個人は、この格闘動作に関して色々と思うところがあり、今回は完全無視しました。

 で、無視した理由ですが…
 まず現実世界の腕関節技に対しては、鎧の防護ってかなり有効なんですよ。これに関しては、実際に武術を研究してる現代日本人が動画で経験談を話しています。特に、中世の鎧は「曲がり」に対して耐性があるのが普通で、人間ごときがちょっとひねった程度では、そう簡単に曲がらない。ガープス的に表現するのであれば、腕関節技のダメージに対し、鎧の防護点が普通に有効で良いと思います。つまり中世の戦場においては、サブミッション系の攻撃はほとんど意味がないのは実証されちゃってます。鈍器で頭を殴った方が早い。
 なお、戦場でも有効なのは腕ではなく「指」関節技らしく、指の間接は動かしやすいように「曲がり」に対する耐性がないため、これは戦場でも有効らしいです―――しかし、戦場で単体の敵相手に悠長に組み合いなんてする余裕はないと思います。

 んで、今回のベルセルクはマントの分を差し引いても防護点9あります―――普通に考えて、腕関節技程度ではまず曲がらないと思うので、対戦相手としては出しませんでした。ガープスの腕関節技はちょっと強すぎる方向に振り切ってる感が半端ないので、個人的にはもう防護点有効で良い気がします。本当に腕関節技が最強であれば、関節兵器(?)みたいなのが、もっと発明されてるはずなんですよね(笑)

(リース もう一つの勝ち筋)
 今回、ヒロインみたいな位置にいる聖剣のリースですが、実はハルバードで脚を狙う以外にも、「ハルバードの刺し攻撃で目を狙う」手法もあります。リースは〈長槍〉技能を18レベルで取得しているため、全力攻撃で「技能+4」のオプションを利用すれば、目標値12で目への命中が狙えます―――ただし成功確率が75%なので、これはちょっと微妙かも。
 しかも、目に防護点はないのですが、防御時の「受動防御」は有効なので、下手すると「目に命中したけど受動防御で弾かれてしまう」可能性もあり、リースの腕で目狙いするのは、脚の装甲貫通を狙うより勝率が若干低い気がしたので、今回はその戦術は採用しませんでした。

 なお、レポートのストーリー上では、リースがこの戦術を使ってベルセルクを倒した事になっています(少なくとも討伐隊メンバーはそう思ってます)。しかし実際にそれを実行したのは、彼女ではない謎の黒い存在のようですが。
(リーベルン・バレスティ)
 元ネタは、ゲーム「ヴァルキリープロファイル」(以下、VPと省略)の主人公レナス・ヴァルキュリアの必殺技「ニーベルン・ヴァレスティ」です。

 なお、英語のスペルは「Libern Varsity」で、日本語に直訳すると「リベルニアの代表チーム」となります―――なんのこっちゃ?(笑)
 なお「リベルニア」とは、MMD界隈では「レア様モデルの国」という認識が一般的(?)です。リベルニア代表のレア様が攻撃するぞ!―――的な意味合いの必殺技と言う事にしています。撃ってるのはアーリィ・ヴァルキュリア(これもVPに登場する戦乙女の1人です)ですが、今回、アーリィの「中身」は剛種レア様こと蟹平玲愛さんなので、まぁレア様系の必殺技名でいいかな~?と……

 …ただ、ちょっと言い訳するとですね?
 技名の意味不明を言及するのであれば、そもそも元ネタである「ニーベルン・ヴァレスティ」の方がもっと意味不明なんですよ。
 まず「ニーベルン」なんですが、どうも北欧神話の「ニーベルングの指輪」が原典らしいです。VPは北欧神話をベースとした話のゲームなので、まぁこれは分かります。
 ですが、次の「ヴァレスティ」の意味が分かりません。英語版VPでは「Valesti」と綴られており、こんな英単語は存在しないので、もはや何を言ってるのか不明です。一説によると、エストニア語の「valesti」(間違い)ではないか?とのこと。「ニーベルングの過ち」と言う事でしょうか。ですが、この単語は名詞ではなく副詞なので、正確には「誤って」「間違って」と訳さねばならず、もはや文法として成立していません。
 要するに、元ネタである「ニーベルン・ヴァレスティ」自体が文法的に成り立たない完全な造語扱いです。開発者が何を考えて命名したのか存じませんが、ちょっと語学的にその設定はどうなんだ?と、さすがに思っちゃいますね。他のキャラの必殺技名や各種魔法の名称は普通に英語なのに、なんでそこだけ文法が無茶苦茶なんだ?と。

(アレックス)
 「知られざる狂戦士」ことアレックスは、某箱庭ゲームの女性プレイヤー用キャラクターのスキンです。厳密には「性別はない」そうですが。ただ、多くの二次創作で「女性」扱いされてるので、当サイトでもそういう事にしています。

 今回、かなり悲劇的な役回りになってしまってますが、実は彼女の原作ゲームをガープスでレポート化しようと考えているので、そのうち改めて主人公として再登場させる予定です。なので今回、ここでの詳細解説は避けます。

 なお、相棒のスティーブのデータは「山賊」の項目で登場しています(サンプル・敵キャラクターの「伝説の山賊」がそれ)。



 最後に、コンステンツのトップを飾ってる問題の人物のシートでも挙げておきます。
【基本設定】
 常にヘルメットを被っている「ヘンな冒険者」です。黒の月の種族、特にゴブリンを殺す事に執念があるらしく、グラダス半島で最も蛮族が多く住まうスティニア低地王国を中心に、辺境でゴブリン部族を滅ぼす事に専念しています。
 彼は、十分に成功を収めている上級冒険者なのですが、ゴブリンを駆逐する事にしか興味を持たないらしく、普段のみすぼらしい恰好からは、とてもそうは見えない人物です。口数も極端に少なく、交渉能力が低い事から、同業者には低く見られ勝ちです。しかし一方で、辺境に住む村人たちには「村をゴブリン部族の襲撃から救ってくれる救世主」として知られており、一般市民からの評判は悪くありません(良い名声と悪い名声でCP相殺されています)。

 他の冒険者と大きく異なるのは、通常の冒険者が、技量を高めていくのに応じて高価な武装に換装し、自身のスペックをぐんぐん向上させていくのに対し、彼はあくまで「戦争の兵士スタイル」を貫いており、自身の決戦能力の向上にあまり興味がなく、壊れても問題ない量産品だけで戦っている事です。人数が必要ならば、自分の金を使って人を雇います。
 確かに、ゴブリン部族のように「個々の能力は低いが総数が多く人海戦術で攻めてくる」ような脅威に対しては、こちらも同じく「平凡な兵士の多数動員による、消耗品をふんだんに用意した持久戦」をした方が堅実な戦術なのは確かです(日本人が大好きな(笑)少数精鋭戦術ですが、味方が1人やられただけで戦力が大幅ダウンするため非常にリスキーなやり方です)。しかし、少数行動で「個の強さ」が売りの冒険者、しかも専業戦士がその手の強さを求める例はほとんどなく、「冒険者」としては異質と言わざるを得ません。

 無愛想で友達のいなさそうな彼ですが、根は善人かつ仲間思いであり、彼と深く付き合っているごく少数の冒険者仲間が数名います。仲間たちは、彼を「普通のまっとうな冒険」に引っ張り出すためにあれこれ苦心しているようです。
 さらに、ある冒険を通じて得た「後援者」がおり、スティニアの現王都ハルドゥルのガヤン神殿の高司祭で、〈剣の乙女〉の異名を持つ20代半ばの美女が、個人的に彼を支援しています(しかも200cpの彼よりもさらに実力が上の準・超英雄です)。
 彼女は、護衛任務に就いていたゴブリンスレイヤーに命を助けてもらった事がきっかけで、彼を熱愛するようになったのですが、肝心の彼の方は恋愛意欲に乏しく、オマケに同じ神の信者なので「上司」にも当たる人物なので、どう対応すれば良いのか分からず、かなり戸惑っています。色々と特殊な便宜を図ってもらえるので、何となくお付き合いを続けているのですが…。

【基本戦術】
 雑魚のオークの集団と、それを率いる標準的なゴブリン相手に対する掃討戦に特化した戦士です。何度も命中判定をしていると、いずれファンブルで武器が壊れる事は必然なのですが、それが起きる事を前提で戦うことを想定しています。そのため、高価な業物の武器といった「替えが利かない」武器は一切使わず、市販の量産品だけで戦う事を想定しています。
 そうなると無論、武器の現地調達も行うわけですが、現地で欲しい得物があるとは限らないため、ベーシックに掲載されている一般的な武器全てを扱えるよう、広く浅く技能を取得しています(TRPG「ソード・ワールド」のファイター技能のような万能スタイル)。
 徹底して「突出した部分のない兵士」に徹する一方、ある程度の得意分野が存在し、手投げ武器全般の投擲能力と、屋外では比較的入手が容易な棍棒を扱うための〈短剣〉技能が高めになっています。投げられる武器はさっさと投げて単発大火力としつつ、近接して短剣やバトンで相手が死ぬまで殴り続けるといった戦闘スタイルを好みます。

 攻撃は広く浅くですが、防御の方は広く取りつつも深く徹底しており、盾技能16レベルに加え、強靭精神技能16レベルで魔法抵抗にも備えています。防具に関しては、安物では何度も攻撃を受けると蓄積ダメージで連戦に耐えられない一方、かといって金属鎧だと重すぎて疲労し、これまた長期戦に向かないといった事情から、その中間を取って「それなりの防御力と高い運動性能を備えた」魔法のスケール・アーマーを採用しています。
 また、平凡な兵士では勝てないor勝てるけど非効率な相手に対しては、同業者のハイスペックな人材を雇って対処するといった、雇用者または指揮官としての戦闘スタイルも取ります。彼の手元にある未使用の膨大な所持金は、殲滅したゴブリン部族から回収して築いたものですが、その雇用費に充てるために使われます。これらは、スティニアの主要都市の各ガヤン神殿の貸し金庫に分散貯蓄してあり、普段は持ち歩いていません。

 なお、高い自制心(知力)でほとんど埋もれてしまっていますが、彼もまた「バーサーク」の特徴を持つベルセルクだったりします。彼の「平凡な技量+軽装の防具」といったスペックだと、この能力が切り札になるかどうかは微妙なところですが、ピンチに陥った場合、仲間の犠牲を出さないために自ら狂化する事がごくごく稀にあります。
 ですが、滅多な事では使いませんし、一緒に冒険している少数の仲間たちも、彼がベルセルクである事にまだ気付いていないようです。
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