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[武戦士] (5cp)
 この特徴を取得するには、
「地位レベル」を1以上にする必要があります。「財産/富裕」以上による自動的取得でもかまいません。詳細は、以下の「独自の特徴」欄を参照して下さい。
■クラス概要
 カルシファードは軍事政権国家であり、支配階級の者は基本的に「武戦士」と呼ばれ、全員が例外なく最低限の戦闘訓練を受けています。
 カルシファードにおける社会的な「地位」は、以下のように区分されます。冒険に出られるPC(プレイヤー・キャラクター)は、基本的に低い地位の者に限られます。

Lv1:武戦士(武浪士)(他国における家内騎士、上級軍人)
Lv2:武豪士(他国における領地持ちの騎士)
Lv3:旗士(他国における領地を持たない下級貴族)
Lv4:旗将(他国における領地持ちの貴族)
Lv5:副軍監(他国における領地持ちの有力貴族)
Lv6:大軍監(他国における準王族、公爵クラスの貴族。カルシファードの実質国王)
Lv7:ザノン王(他国における王。カルシファードでは名目上の地位)


(武戦士と武浪士)
 武戦士(サムライ)と武浪士(サスライ)の違いは、主君を持つか持たないかの違いのみです。通常の武戦士は統治者サイドとして存在するので、仕官先を探して放浪中の場合のみ、武浪士と呼ばれます。
 武戦士は通常、領地持ちの君主(旗将以上、または武豪士)の元で仕えている最下級の軍人です。戦争になれば戦場へ赴く義務があるのは勿論の事、他国の騎士や上級軍人と異なり、警察権も持っています。そのため、平常時は警察官として勤務せねばなりません(他国では警察の仕事はガヤン神殿に委託しています)。

 冒険者としての武戦士は、「君主に何らかの使命を受けて一時的に国外で行動している(武戦士)」か、「仕官相手がいなくて職探し(君主探し)のために放浪しつつ修行も兼ねている(武浪士)」かのどちらかです。冒険者として気ままに冒険したいのであれば、「無期限で就活中!」という建前で武浪士にするのが無難でしょう。
 なお、当然ですが「警察権」を持つのは「カルシファード国内で君主に仕えている場合のみ」です。放浪中や国外においては「カルシファード・ブレード所持」の特典だけが残っている状態と見なします。

 武戦士は戦士としての素質(高い能力値や技能など)があれば、旗将以上の権力者から任命されることで、一般庶民でもなれる機会がある地位です。他国における「傭兵が騎士に取り立てられた」のと同様の経緯でなる事が可能です。


(武豪士)
 かつての武豪士(サキモリ)は、辺境を治める半農半士で、旗将や大軍監などの勢力から外れた独立英雄を指しました。しかし現在のカルシファードでは、人が住むところは全てどこかの勢力に含まれるため、意味合いが大きく変化しています。
 現在の武豪士は、武戦士の中でも信任に厚い者が、特別に村レベルの領地が与えられ、独自で領地経営権が認められた存在です。ただし領地の世襲はできず、称号を授与された英雄一代限りの存在です。国外における「領地持ちの騎士」とほぼ同じ地位と解釈してもらってかまいません。

 彼らに期待されているのは武戦士と同じ「荒事」であり、具体的には「騎兵として戦場で活躍する事」が求められています。騎兵は装備に金がかかるため、何かしらの収入基盤がないと維持できないため、このような地位が存在します。領地には、複数の武戦士を抱えています。
 武豪士に割譲できるほどの余剰領土を持つのは、通常は副軍監以上の有力貴族のみです。そのため、主君は副軍監か大軍監のいずれかになります。

 なお、軍馬を運用・維持し、戦時には必ず出撃義務を負う立場上、冒険者として使うのは不適切です。ただし、武豪士の息子として生まれた者が、修行と称して一時的に旅に出る事はありえます。この場合、旅に出る息子は領地経営権を持っていないはずなので、武戦士(地位レベル1)として旅に出る形となるでしょう。リプレイに登場したヒビト・リュウヤも、このような立場から開始しています。


(旗士)
 旗将(=他国における貴族)の家系出身者のうち、世襲する領地を持たない次男や三男がこれに相当します。幕僚府や旗将の領地に赴き、政治その他の雑務全般を担当します。
 自前の土地は持たないものの、旗将の目が届かない村などの統治者として赴任するのも彼らです。立場は武豪士と似ていますが、一定期間ごとに任される領地が変わるため、武豪士のようにずっと同じ領土の領主をやっているわけではなく、また領地経営以外の仕事を担当する事もあります。早い話が「幕僚府の何でも屋」です。

 旗士は、何らかの使命を受けて冒険に出る可能性があり、PCとしても一応使える立場です。ただし、使命を終えたら即座に領地へ戻る必要がある事から、長期的な冒険には不向きです。


(旗将)
 他国における一般的な世襲領地持ちの貴族の現当主に相当します。普通は町1つ以上を抱える大きな領地を持ち、領主として君臨します。
 周囲には、統治を助ける旗士や武戦士を多く従えています。


(副軍監)
 他国における有力貴族に相当し、大軍監になれる可能性がある旗将の上位層です。経済を左右するレベルの大きな町を含む、複数の町を領内に抱えているのが普通で、幕僚府内でも高い地位の役職に就いています。
 副軍監の下には、統治を助ける旗士や武戦士の他、複数の武豪士を抱えており、有事には多くの騎兵を動員可能です。


(大軍監)
 カルシファードにおける実質最高位で、他国における国王に相当します。旧ザノン王国での称号は「カルシファード侯爵」ですが、その名称を使う事は稀です。
 現在のカルシファードでは、アンデン家の当主がこれを担当し、世襲しています。領地や臣下の規模は副軍監と同等ですが、政治における最終決定権を持ちます。


(ザノン王家)
 名目上のカルシファード侯国の宗家ですが、権力の規模は現状、幕僚府の保護下にある「亡命政権」的な微妙な格付けです。現在、ザノン王家の唯一の生き残りウェンディエン・ザノス女王が担当しています。
 彼女と今は亡き父親は、身1つで大陸本土から逃亡してきたため、カルシファードでの直轄領地などは持たず、付き従う臣下もわずかです。しかし、彼女の可憐で凛々しい姿に魅せられた、あるいは彼女を利用できると考えた若い世代の旗将たちの幾人かが、彼女の元にはせ参じて忠誠を誓うといった光景が確認されています。それらは主に、現大軍監のアンデン家の転覆を謀る、反体制的な旗将たちで占められています。
 武戦士の魔法の使用は好まれないため、神殿での「神官」以上の地位を持つ者は、通常はいません―――でした。
 過去形になったのは、近年に帝国との戦いで魔法の有用性を学んだ武戦士が多く、「神官」レベルの呪文を使う武戦士がちらほらと現れ始めたからです(さすがに高司祭になれる者はごく稀ですが)。

 武戦士の信仰は基本的に青の月の司法神
ガヤンか大地神ジェスタ、赤の月の戦神タマットの3つのどれかに制限されます。この3神以外が、武戦士によって信仰されることはほとんどありません(「正々堂々とした戦い」を行う軍人が崇める神格かどうかで判断されています。習得呪文の関係などで、どうしてもこれ以外の神を選択したい場合、信仰的に納得のいく理由を述べた上でGMの許可を得て下さい)。

 ガヤンとジェスタ信仰は、呪文抵抗に関わる〈強靭精神〉技能がある事から、呪文嫌いの武戦士にとっては必須とも言えます。
 その他、ガヤン独自技能には〈柔道〉技能があり、相手が接近戦を試みるのを阻止するために有用です。ジェスタ独自技能には〈呼吸法〉があり、長期防衛戦に向いています。また、タマット独自技能には〈危険察知〉や〈暗闇戦闘〉技能など、奇襲や待ち伏せで有利な技能があります。



■■ 武戦士に多い特徴
 カルシファード人の祖先である〈遥か人〉は、エルファとの婚姻関係を結ぶことがたびたびあったようで、その遺伝子が現在も引き継がれており、「長寿」(5cp)や「動物共感」(5cp)の特徴を持つ者がちょくちょく現れます。特に後者は、馬上戦闘する際に圧倒的有利であるため、弓騎兵として達人の武戦士たちの多くが、この特徴を持っています。
 現在のカルシファードは文化的に男尊女卑社会がある事や、武が過剰に尊ばれる風習から、武戦士の8割ほどが「狭量/女性」(-5cp)の特徴を持っています。当然ですが、このようなキャラクターが国外にいくと、女性の兵士や冒険者などに遭遇した場合、トラブルの種になり得ます(可能な限り無視しようとするでしょうが)。PCの武戦士は、取らない方が無難かもしれません。

 気高い武戦士には独特の名誉があり、「武戦士の名誉」(-15cp)という特徴で示されます
(下記参照)。しかし近年、長く平和が続いた事で堕落し、こうした名誉を持っている武戦士はあまり多くありません。
 また、帝国との戦争で魔法兵器の威力を散々見せつけられた事や、国外では魔法戦士や集団戦闘が強さを誇っている事から、魔術を嫌い、武芸ばかり尊ぶ考えは「古い」とする若い武戦士がかなり増えています。武戦士として清く正しく生きつつも、そうした古い慣習に捕らわれない武戦士を表現したい場合は「紳士の名誉」(-10cp)を取得して下さい。

 カルシファードで女性が高い「社会的地位」に就くことは、一部の例外を除いてありえないため、女性の武戦士といった存在は基本的にありえません。
 ただし、旗将の家に男子が生まれなかったため、女性である事を隠して家を継ぐといったことはたまにあるようです…この場合、性別を隠している事は「秘密」(-10cp)として扱います。
 なお、最初から国外で冒険する場合も「秘密」の獲得は必要です(カルシファード・ブレード所持の権利が残っているためです)。国外でバレた場合、周囲に同国人がいなければ、刀を取り上げられる事はないでしょうが、それをネタにゆすられる可能性はあります。



■■ 武戦士が好んで使う武器
カルシファード・ブレード、各種弓矢
■■ 独自の特徴
●入信者(5cp) 「神官」以上も可
 武戦士の信仰は、青の月のガヤン、ジェスタ、赤の月のタマットのいずれかになります。これ以外の神を選ぶ場合、よほど特殊な事情があります。納得のいく理由を考えた上で、GMの許可がなければ不可とします(例えば、実家は港町の旗将の家系で、代々「水の神」としてのリャノを祭る家系として有名だとか)。その特殊性は、カルシファード全土で知られている内容にすべきです。

 なお、近年は呪文を使う武戦士も増えつつあるので、「神官」(10cp)以上の地位に就くことも可能です。ただし、専業魔術師は武戦士に相応しくありません(そもそもカルシファード・ブレードの訓練までCPが回らないでしょう)。マンチキンの事だけを考えて魔法特化するのであれば、普通に司祭としてキャラクターを作成する事をお勧めします(その方が強いです)。


●武戦士(5cp) 前提:「地位レベル」1以上
 武戦士である事を示す特徴です。この特徴を取得するには、「地位レベル」を1以上にする必要があります。「財産/富裕」以上による自動的取得でもかまいません。
 特徴の内容は「法の番人1レベル」を同等です。カルシファード国内において、「警察権(家宅捜査と逮捕の権利)」と「カルシファード・ブレードの携帯」を許可されます。前者は主君に仕えている場合や、一時的に雇用されている場合(トラブル解決のために冒険者として雇われている場合など)でのみ有効ですが、後者は君主探しの最中(武浪士)でも有効とします。

 なお、当然ですが司法の権限を持つ以上、自身が法律を犯すと通常より重い罰則が適応されます。これは武浪士であっても同じです(カルシファード・ブレードを取り上げられ、地位レベル0に落とされることもあるでしょう)。
 そのため、通常は罰の重さを考慮して、武浪士であっても慎ましく行動するのが普通です…これは単に罰を受ける事への恐怖心から来るものなので、「誠実」や名誉重視とは異なります。


●刀の練達者(15cp) 前提:〈刀〉15レベル
 この特徴を獲得するためには、
〈刀〉技能を15レベル以上で習得しておく必要があります。また、この特徴は達人(レベル20以上)の指導を受ける事で、ゲーム開始後でも獲得する事が可能です。
 この特徴は、マンガ世界の有利な特徴「武器の達人/個別」(20cp)のマイナー・バージョンです。〈刀〉技能で扱う武器(カルシファード・ブレード)のみ、技能レベルの8分の1(端数切り捨て)だけ致傷力に加算する事ができます。


●武戦士の名誉(-15cp)
 カルシファードの武戦士階級の者のみが持つ可能性のある特徴です。
 内容は「正々堂々と戦う(奇襲不可)」「主君への忠義を最優先(滅私奉公)」「武芸を尊ぶ(魔法を軽視)」「主君や自身に対する侮辱を看過できない」となります。

 しかし近年、長く平和が続いた事で、こうした名誉を持っている武戦士はあまり多くありません。また、魔法軽視や滅私奉公は、冒険者だと何かと邪魔になるでしょう。そのため、冒険者の武戦士が名誉を重視したいのであれば、下位互換の「紳士の名誉」(-10cp)をお勧めします。




■■ 独自の武器
 以下は、武戦士のみが購入可能な装備です。武戦士以外が使用している場合、無法者扱いされ、直ちに取り調べを受ける事でしょう。
 なお、原作ルールとは異なり、
カルシファード・ブレードは「通常品質の剣」扱いです。上質や最高品質のものは、通常の刀剣の品質ルールに従い、通常の4倍(最高品質で20倍)の支払いが必要です。


●カルシファード・ブレード
 カルシファードの武戦士のみに使用を許された両手剣です。形状はバスタードソードと似ていますが、刀身はかなり反り込んでおり、薙ぎ払っての切断には適していますが、突いて使うにはやや不向きになっています。

 この剣は通常、専用の〈刀〉技能で扱います。重量が「軽荷」以下の場合、「受け」が技能レベルの3分の2になる特典があります(並荷以上だと〈両手剣〉と同じく2分の1)。〈両手剣〉技能でも、バスタードソードとして運用が可能です。
 また、片手での運用も可能ですが、その場合は〈剣〉技能で扱い、バスタードソード片手運用と同じになり、不安定な武器扱いとなります。〈準備/剣〉か〈準備/刀〉で瞬時に構え直す事が可能です。


(両手使用時)
切り 振り+3 長さ1-2 「軽荷」以下で「受け」3分の2
刺し 突き+2 長さ2
(片手使用時)
切り 振り+2 長さ1-2 攻撃後、準備に1ターン。「受け」に使うと非準備状態。
刺し 突き+1 長さ2
価格$750 2.5kg 必要ST10(片手時は11)




■■ 一般装備
 以下は、武戦士がよく使う装備ですが、特に購入制限はなく、武戦士以外のキャラクターでも購入可能です。


●大弓
 カルシファードの武戦士が使う大型の弓で、データ的には「コンポジット・ボウ」を用います。見た目は外国のロングボウに似ていますが、竹素材で補強されており、握り手が中央よりやや下にあるのが特徴的です。
 本格的な大弓は価格が高いため、下級武戦士は補強を簡素化した廉価版のものを用いています。こちらは「ロングボウ」のデータを用いて下さい。

 カルシファードでは、戦いは武戦士の特権と見なされているため、民間人の動員は行われない関係から、扱いが簡単で威力が高い代わりに連射性能が低いクロスボウは使われておらず、馬上での騎射が可能な弓矢が主流となっています。これは、徒歩戦闘を行う最下級の武戦士も同様です(いつか出世して武豪士になった際、騎射が必要となるので)。


●脇差
 白兵戦で使うカルシファード・ブレードの短刀バージョンです。「ショートソード」と同じデータを用いて下さい。メイン・ウェポンであるカルシファード・ブレードは、戦闘中に壊れることも頻繁にあるため、サブ・ウェポンとして携帯しています。使用する技能は〈短剣〉ですが、〈剣〉-2でも扱えます(武戦士の多くはこちらを用います)。また、サリカ信仰の独自技能〈バトル・ファン〉でも短剣をフォローしていますので、そちらの技能でも扱えます。

 なお、脇差以下の刀剣は、役所に届け出して認可が下りれば、武戦士でなくとも護身用として一般庶民の携行が許されています。


●小柄
 近接で使えるカルシファード・ブレードの小型バージョンです。「大型ナイフ」と同じデータを用いて下さい。この国では「上質」(価格4倍)や「最高品質」(価格20倍)のものが多く生産されており、サブ・ウェポンとして武戦士に愛好されている他、一般庶民の間でも仕事道具として普通に使われています。

 村や街の金物屋にいけば、「上質」程度であれば普通に売られています。


●大鎧
 主に武戦士が合戦で着用する鎧で、布・皮・鎖帷子・鉄板などの複合装甲で出来ています。データ的には「スケイル・アーマー」をそのまま用いて下さい。
 カルシファードは温暖多湿気候である事と、騎射が攻撃のメインであるため、プレート・アーマー系の防具を着用する習慣はありません(通気性の悪い板金鎧では長時間活動できませんし、命中精度の低下は射撃能力を大きく減衰させます)。
 また、カルシファード・ブレードも大弓も両手武器であるため、手に持って装備するタイプの盾を使う慣習もありません(歩兵による射撃戦を想定した「置き盾」の習慣はあります)。

 最近では鎧の性能を向上させるために、プレート鎧を開発するのではなく、低コストで簡単に強化が可能な防具魔化系呪文による強化が盛んに行われつつあります。魔法嫌いの生粋の武戦士でも、防具魔化に関してはあまり気にしないようで、市場における魔法のスケール・アーマーの需要量は急激に跳ね上がっています。


●鎖帷子、袴
 普段の治安維持活動中の武戦士は、「クロース・アーマー」相当の袴(はかま)を着用しています。ただし危険が想定される場合(例えば人里に熊や猪が出た等)は、袴の下に鎖帷子(くさりかたびら)を着込むこともあります(「チェイン・メイル」として扱います)。

 また、経済的に大鎧の購入が苦しかったり、装備重量による移動力低下を嫌う武戦士の中には、大鎧ではなく鎖帷子を愛用する者もいます。鎖帷子でも防具魔化を行う事で、大鎧に比肩する防御力が得られます。


●戦馬
 武戦士が騎乗する馬は、外国産のものより小型です。ルール上は「ポニー」として扱います。ただし、「ベーシック」の動物表に掲載されているポニーは、戦闘用の訓練を受けていません。軍馬としての調教を受けたポニーは価格が倍になります($3000)。




■■ 独自の技能
 武戦士は、以下の技能を習得する事が可能です。


〈刀〉(肉体/並) 技能なし値:敏捷力-5
 カルシファード・ブレードを両手で扱うための技能で、独特の構えを取ります。
 荷重レベルが「軽荷」以下の場合、「受け」が技能レベルの3分の2になり、「受け」の使用回数が2回になります。「全力防御」をしている場合、何度でも「受け」が行えます。
 荷重レベルが「並荷」以上の場合は〈両手剣〉技能と同じ扱いとなり、「受け」は技能レベルの2分の1、「受け」の回数は1ターンに1回となります。
 〈フェンシング〉技能の両手バージョンだと思って下さい。

 なお、カルシファード・ブレードを片手で扱う場合は〈剣〉技能を用いて下さい。運用方法もバスタード・ソードを片手で扱った場合と全く同じになります。


〈準備/刀〉(肉体/易) 技能なし値:なし
 両手でカルシファード・ブレードを使う際、瞬時に抜刀して攻撃状態に移行する事ができます。また、片手での使用時に〈準備/剣〉技能の代わりにこれを用いる事が可能です。




■■ 独自の格闘動作
 武戦士は、以下の格闘動作を習得する事が可能です。


【部位狙い/刀】(難)
技能なし値:〈刀〉 上限:〈刀〉+3 前提:〈刀〉
 部位狙いで攻撃する場合、〈刀〉技能の代わりにこちらで命中判定を行えます。最大で+3まで伸ばす事ができますが、実際に命中判定を行う際の目標値の上限は、【部位狙い】か〈刀〉のうち、低い方を適応します(要するに目標値拡大を狙って胴体狙いをしても、元の技能レベルを超える目標値にはなりません)。
 なお、命中判定以外の事(フェイントや「受け」など)には一切使えず、あくまで命中判定の時だけ使えます。


【フェイント/刀】(難)
技能なし値:〈刀〉 上限:〈刀〉+4 前提:〈刀〉
 通常ルールのフェイントと同じで、フェイントを行う時のみ、こちらのレベルを使用できます。最大で技能+4まで上昇させられます。


【射撃受け/刀】(難)
技能なし値:「受け」-2 上限:「受け」 前提:〈刀〉
 この動作は、荷重が「軽荷」以下の状態でないと扱えません。
 刀で射撃攻撃を「受け」ることができるようになります。手投げ武器はこの動作がなくとも-2修正で「受け」られますが、この動作ならばペナルティなしで「受け」られます(といいますか、初期状態でペナルティ込みと同じ扱いになってます)。
 その他の射撃武器に関しては、弓矢の矢、スリングの弾、射撃呪文は-3、クロスボウの太矢は-5のペナルティで「受け」られます。

 なお、射撃呪文に対する「受け」ですが、《爆裂火球》は「受け」ても爆発を防げず、「自分から1へクス離れた手前での爆発」扱いとなります。また、《呪いの矢》は装備越しでも効果を発揮するため、この動作で「受け」ても実質防御効果がなく、命中したものとして扱い、込められた呪文に抵抗せねばなりません。
 それ以外の射撃呪文は、非実体(火球や電光)であっても「受け」る事が可能です。

 ちなみに、《火炎噴射》などの持続噴射系呪文を「受け」る事は、さすがにこの動作でもできません。


【騎射】(難)
技能なし値:〈弓矢〉-4 上限:〈弓矢〉 前提:〈弓矢〉
 この動作は、馬上で弓矢による射撃を行う場合、「乗り手が射撃を行う」事による-4修正を軽減するものです。それ以外の修正―――〈乗馬〉技能との兼ね合い、目標までの距離修正、背面撃ち(パルティアン・ショット)等とは一切関係しません(それらの修正は普通に適応されます)。
 最大で修正±0まで上げる事ができます。
【解説】
 剣客に特化した最下層の武戦士です。「刀の練達者」の特徴により、低い体力ながらも高い致傷力になっています。〈強靭精神〉の修練もしており、魔法に対してもそれなりの抵抗力を持っています。
 ただし、生命力が並であり、国外の戦士が多数所持している「我慢強さ」の特徴もないため、運悪く一撃を貰うと、そこから崩れていく可能性はあります。

 性格は、典型的な誇り高い武戦士にしています。ユーモア・センスが欠如していたり、女性蔑視だったり、魔法嫌いだったりと、何かと面倒な人です。一流剣士にはなれても、支配者としての適正はあまりなさそうです。
【解説】
 辺境の村の統治を任された武豪士です。騎兵としては最下級で、「財産」はギリギリ騎兵が務まる額しかありませんが、カルシファードでは特に珍しい事でもなく、多くの武豪士の財力はこの程度です。
 格闘動作として【騎射】を習得しており、「操縦者が射撃する」場合に発生する-4修正を完全に打ち消しています。普段から流鏑馬(やぶさめ)などが趣味なのでしょう。

 性格は、戦神タマットを崇める割にはおおらかで、女性に対しても偏見はなく、規則に捕らわれず融通を利かせるタイプです。統治者としては、まずまずといったところでしょう。
[編集手記]
 武戦士のイメージは、日本が戦いを「武士」の仕事として少数精鋭を目指し、重装弓騎兵が主力となった時代から、マスケット銃が伝来する手前まであたりを想定しています。ただし、江戸時代にあった「200年の鎖国による文明発展の遅れ」があるため、江戸時代風の侍のイメージも混っています。
 武戦士の地位レベルに関しては、「ルナル完全版」の説明だけではよく分からないので、無難に西洋の封建制度と合わせました。


 そう言えば「武豪士」なんですが。
 完全版のルールの説明文を見る限り、どう見ても「領地持ちの騎士」を指しているようなのですが、どうも古い時代の「豪士」との混同が見られ、よく分からない立場になっています。しかし、天空に彷徨いの月や緑の月しかなかった古代ならいざ知らず、現在のカルシファードは、人間同士が群れて高度にネットワークを形成していないと、黒の月の蛮族たちに各個撃破されてしまいます。
 よって、独立経営していた時代の豪士などはおらず、封建制度における領地持ちの騎士と同じとする方が合理的なので、そのように設定しました。
 古代日本における「豪士」は半士半農であり、武士と農民の間の身分だったようですが、豊臣政権以降は、1万石以上の領地持ちは大名、1万石未満は旗本に統一されました。カルシファードも既に統一後の政体と考える方が無難でしょう。

 で、当時の西洋の騎士階級ですが。基本的に軍人は自分で装備を調達せねばならないのですが、その原則を騎兵にも適応すると「現代社会において個人でF1レーサーを経営する」みたいなものになってしまいます―――つまり、とてもではないが金銭的に無理ゲーだったわけです。しかし、戦争に勝つためには重装騎兵が必要不可欠。
 そこで、貴族でないけれど小さな村レベルの土地を運営させ、装備購入に必要な経費を自前で捻出させるという制度が出来上がります。これが一般的な西洋の騎士制度です。
 ただし、土地の運営権はそいつ1代限りとし、貴族のように世襲ではないことになっていました。が、現実は一般庶民が騎士になるのは財力的に無理なので、騎士の子供が騎士、という世襲が行われていたのが現実です。

 例えば、カプコンの作品「魔界村」に登場するアーサーなども、基本的には「領地持ちの騎士」で、おそらくお姫様(領主)の領土の一部を割譲されて統治している人です。ですから毎回のように、王都で事件が起きて魔界化してから、アーサーが外から援軍にやってくるという展開でゲームが始まり、魔王か何かを倒して事件が解決すると、自分の領地へと戻ります…あ、話が逸れましたね。


 武豪士が乗る馬の話ですが、複数の資料を当たりましたが、どうやら当時の日本の武士が乗っていたのは小型のポニーのようです。ポニーは体格が小さいため、人が背中に乗ると移動力が9~11くらいに下がってしまい、品種改良して大型化した馬に乗る外国の騎士より機動性で劣ります。ちなみに「最強の弓騎兵」として有名な古代モンゴル帝国が使用していた蒙古馬も、このポニーに該当します。

 しかし、カルシファードの平野が狭く入り組んだ地形を考えると、まぁポニーで十分って気がします。確かに西洋のデカい馬は直進移動速度は速いでしょうが、カーブばかりの地形だと、旋回のたびに歩法を変更せねばならず、移動速度の高さはあまり生かせません。
 また、ポニーは大型の馬に比べると餌代が安く、経済的に優しいといった側面もあります。


 カルシファード・ブレードに関しては、〈刀〉技能で片手も両手もフォローできるようにするかしないかで散々悩みました。
 当時の第3版の「マーシャル・アーツ」のルールだと、明らかに〈刀〉技能だけが破格の性能を持っていて、バランス的に不公平なんですよね。1個の技能で片手と両手をカバーできてしまうと、同じように使うのに、〈剣〉と〈両手剣〉の両方が必要になってしまうバスタード・ソードとの整合性が取れません。しかも〈刀〉の方は、フェンシングみたいな機能までついてます。さすがにこれは……と考えた挙句、やはり片手の時は〈剣〉技能で運用してもらうことにしました。
 ただ、〈準備〉技能だけは剣と刀で共有しても良いと思い、片手運用時で構えなおす際、〈準備/剣〉の代わりに〈準備/刀〉でも良い事にしました。

 その他の装備に関しては、特に新しいルールなど作る必要などないと思ったので、説明だけで終わってます。どれも、既存の西洋の装備で代用できます。


 密かに加わっている新特徴「刀の練達者」ですが、「武器の達人」はさすがに修正値が大きすぎて、リアル世界には使えないので、そのマイナーバージョンであればリアルとマンガが混入するルナルで導入してもよいだろうという事で、「技能レベルの8分の1だけダメージ補正が入る」ようになってます。技能レベル16でダメージ+2、+3にしたけりゃ24レベル必要(実質無理)というバランスになり、ちょうどいい感じになります。
 必要CPは15cpなので、体力を2点あげる(20cp)よりかは安上がりになっています。まあ、体力上げた方がいろいろと有利ではありそうな気はしますが。ただ、あんまり力は強くないけど技量でカバーしてる系のキャラを作るための仕掛けは欲しかったので、いろいろ考えた結果、この特徴を作りました。


 最後に、武戦士専用の格闘動作なんですが、いろいろ考えた末、第4版にしか載ってない【騎射】を導入する事に。なんせカルシファードはかつて騎兵で無双してたわけですから、やはりこの動作は入れた方が良いだろうと。というか、この動作がないと、パルティアン・ショット(背面撃ち)とか、ペナルティが酷過ぎて、ほとんど当たらないんですな(笑)
 なので、実用性のあるパルティアン・ショットをしてもらうために、乗り手の射撃修正-4とかいうクソ重いペナルティを消してあげる事で、騎兵で無双してた時代の武戦士を表現できるようにしておきました。

 …まあ、冒険者のPCが馬に乗るなんて事は、まずないとは思うんですけどね。
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