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[影タマット](0cp)
 カルシファード固有の裏社会の住人を示す特徴で、大陸でいうところの「闇タマットの暗殺者」に近い存在です。セットの内容は以下を参照して下さい。
■クラス概要
 カルシファードにおけるタマット神殿は、他国と同じように3つの顔(表・裏・闇)を持ちますが、闇タマットの亜種として影タマットなるものが存在します。
 影タマットの立ち位置は「やってる事は闇タマットと同等の非道な存在だが、目的は崇高である」というもので、一言で言うと「旗将に仕える闇タマット」です。彼らは〈衆〉と呼ばれる集団を作り、1つの〈衆〉が影タマット神殿1つに相当します。

 影タマットの発祥は、ある地方の無法者たちが集って山奥に篭り、農民一揆を始めた事だと言われています。元は旗将と敵対する存在でしたが、情報管理能力に優れ、スパイとして有能である事から、やがて旗将の方から裏の仕事を依頼するようになり、今ではどこの旗将も影タマットの力を借りています。
 現在の影タマットは、表向きは農村として存在しています。辺境にある何の変哲もないのどかな農村が、実は影タマットの〈衆〉の拠点で、住民全員が関係者だったりするわけです。
 影タマットは、裏で暗殺請負、麻薬売買、人身売買など、一般に闇タマットの領域とされるダーティーな仕事を担当しています。
 具体的には、敵対する旗将の領地に忍び込み、配下の要人を暗殺して政治力を低下させようとしたり、隠し畑で栽培した麻薬を精製し、敵対する旗将の領土で売りさばいて敵の一般庶民をダメにして国力を低下させたり、身寄りのない子供を里で買い取ったり誘拐したりして、忠実かつ使い捨てられる暗殺者に育て上げるなどです。
 無論、裏タマットの管轄である窃盗や情報収集にも着手しています。敵旗将の城に忍び込んで金品を強奪したり、機密文書を覗いて主君に重要な情報をもたらしたり、はたまた敵対領土内で現地の裏タマットに混じって賭博場を開き、庶民から金を巻き上げたりと、主君を盛り立てるためならば、非道で汚い手段でも積極的に用います。

 そんな影タマットが闇タマットと決定的に異なるのが、闇タマットが金を目的とし、現世での快楽を追求するのに対し、影タマットはあくまで旗将の覇権のために働いているという点です。そのため、影タマットにとって金はあくまで「手段」でしかなく、金稼ぎの為に本来の目的を犠牲にするといったような本末転倒な事はしません。
 ただし、所属メンバー個人のレベルで見ると、忠義のために意識が高すぎたり、あるいは内部の出世競争で嫉妬するあまり力を求めすぎ、邪術師などの禁忌を呼び込んでしまうというのは、やはり手段を選ばない闇タマットの同類には違いないので一定確率で起こります。
 そういう場合、堕落したのが個人であれば、身内の始末人が速やかに処理します。〈衆〉全体がそういう状態になった場合、旗将の逆鱗に触れて、密かに〈衆〉ごと「粛清」されることもあるようです。


 影タマットのメンバーは、情報収集を行う密偵であり、同時にレンジャーとしての戦闘技能も持ち合わせています。信仰に関しては闇タマットと同じで、必ずしもタマット信者だけではありませんが、カルシファードは人間が圧倒的に優位な立場の社会であるため、基本的には人間の赤の月信者で大半を占めており、半分くらいがタマット信者です。ごく稀ですが、デルバイの火薬を使うドワーフや、双子の月以外の特殊技能を持つ異種族などが混じってたりする事もあります。
 さらに、影タマット特有の独自技能と格闘動作を学べます。これらは自身が信仰する神に応じた独自技能などと組み合わせる事ができます。

 また、影タマットの世界では適材適所で任務を担当します。男は男、女は女である事が役立つような仕事を担当します。例えば男なら体術を駆使しての敵地潜入などを求められる一方、女なら夜伽も辞さない形での情報収集を行うように求められます。
 ただし、役割の違いによる男女差別などは一切なく、カルシファード一般社会で見られる男尊女卑の思想は、全くといっていいほどありません。影タマットは、感情的な思想には全く興味がなく、ただ性別に応じた適正任務を割り振り、結果で実力を判断するのみです。そのため、実力さえ見せれば女性でも普通に出世し、〈衆〉の幹部や長になる事が可能です。


 カルシファードでは影タマットが幅を利かせているため、普通の闇タマットが縄張りを作るスペースがありません。街は旗将の持ち物であり、裏社会は旗将配下の影タマットと、敵対旗将の影タマットが激しい抗争を繰り広げています。そこへ、なるべく抗争せずに金稼ぎを重視する「生ぬるい」闇タマットなんぞがやってきても、過激で武力抗争も辞さない武闘派の影タマットとの抗争ですぐに駆逐されてしまいます。また、闇タマットで有用な人材としてやっていけるような者は、影タマットが積極的に引き抜いてしまいます。
 そのため、力しか取り柄がなくて頭の悪い無能な悪党は、しかたなく一歩手前の裏タマットに集まっています。そのせいでカルシファードの裏タマットは外国のそれに比べると、かなり質が悪いようです。


 もし、PCとして影タマットのキャラクターを作成するのであれば、何らかの長期任務を与えられ、表向きの職業を演じた状態でパーティーに加わっているとするのが基本となるでしょう。裏の顔は、〈衆〉と仕える旗将(およびその周辺幹部)以外の誰にも、絶対に知られてはなりません。
 一方、国外で用いるのであれば、「影抜け」(いわゆる抜け忍)の状態での冒険が基本となるでしょう(稀に国外での任務を授かる者もいますが、ごく稀な存在です)。カルシファード国内での「影抜け」状態は、〈衆〉に見つかるとろくなことにならないのでお勧めしません。




■■ 影タマットに多い特徴
 「影タマット」(0cp)の特徴は必ず取得せねばなりません。この特徴には、「秘密」「使命」が含まれており、影タマットのメンバーは普段から任務に就いており、プライベートなどという概念はほとんどありません。
 影タマットは表向きの仕事を持たねばならない性格上、その職業に相応しい特徴を持ちます。表の顔として就いている職業と、選んだ信仰に応じた性格を個々で決めて下さい。

 特に影タマット全体で共通する性向というものはありませんが、組織は「主君のために働いている」という性質上、闇タマットのように「残忍」「サディスト」「暴れん坊」といった性格問題児は受け入れられにくい傾向にあります(組織の秩序が乱れる原因となるので)。




■■ 影タマットが好んで使う武器
大型ナイフ(小柄)、ショートソード(脇差)、各神殿武器(信仰に応じてさまざま)
■■ 独自の特徴
●入信者(5cp)
 影タマットの信仰は、基本的に赤の月の神々となります。実戦部隊の内訳は、タマット信者が5割、他の赤の月の神の信者が4割、1割が青の月信者となります。〈衆〉の外で活動するのは、ほぼ100%が赤の月信者です。
 一方、青の月の教義は任務に合わないものが多いため、数少ない青の月信者は〈衆〉が隠れ住む里での補給・後方支援担当となります(魔法の薬を研究するのに特化したペローマの薬師、新防具を開発するのに特化したジェスタの鍛冶屋など)。里によっては、ドワーフのデルバイ信者などが加わってることもあります(主に火薬の実戦利用研究が目的)。

 影タマットで実戦部隊として活躍できるメンバーは、ほぼ全員がペローマ学院を卒業しており、「入信者」以上となります。そして武戦士とは異なり、呪文を習得して戦闘に役立てる事を奨励しています。そのため、「神官」以上の影タマットが前線に出てくる確率が、非常に高くなっています。


●影タマット(0cp)
 カルシファードの裏社会の頂点と目される「影タマット」のメンバーであることを示す特徴です。セット内容は「後援者/〈衆〉(小規模 10cp/特殊技能の伝授+5cp/頻度:ほぼいつも)(45cp)「秘密/影タマット(死)」(-30cp)「使命/ほぼいつも」(-15cp)となっており、差し引きすると0cpになっています。

 影タマットは主にスパイ活動に従事しており、人生のほぼ全てを任務のために捧げています。通常、別の一般職に変装しており、表向きの身分が〈衆〉によって用意されています。身元がバレて武戦士などにつかまったりすると、通常はその場で即処刑されるのが一般的です(影タマットに対しては裁判なしで処断可能と法で定められています)。


●社会的弱者/二等市民(-5cp)
 これは、カルシファード出身の女性全てが獲得せねばならない特徴です。カルシファード出身の女性は、社会的に高い地位(地位レベル1以上)に就くことが認められていません。また、社会的な権利の話の場や、「狭量/女性」を持つカルシファードの男性を話し相手にする場合、反応に-1されます。
 これは、表向きの身分を持つ影タマットの女性でも例外はありません。ただし、大陸での冒険するPCであれば、この特徴は無視して良いでしょう。また、一般庶民でもカルシファードから脱出して別の国の定住市民になったのであれば、この特徴を喪失します。


●影抜け(0cp/-20cp)
 稀に、自分の現在の人生に疑問を感じて〈衆〉を脱走する者がいます。俗にいう「抜け忍」です。こういう存在は〈衆〉の存続を危うくする可能性があるため、発覚次第、即処刑される運命にあります。
 特に〈衆〉で生まれ育った者は、教育の過程で「裏切者は惨たらしい死をもって償われる」と教わり、また〈衆〉を抜けると明日から生きていけないような人生観に仕立て上げられます。

 ただし、何事にも例外はあります。
 現実の影タマットのメンバーは日々、超多忙スケジュールで動いています。そのため、たかが1人や2人の脱走者のために、そこまでやる暇などないのが実情のようで、抜けても大事に至らない(大した情報を持ってない)低ランクの影タマットであれば、一旦探したけれど見つからないようであれば、以後は放置される事が多いようです。また、抜けるのが上手い者だと、任務中に失敗して死んだように見せかけ、抜けた事すら悟らせないケースもあります。
 無論、どこかでたまたま見つかれば殺されるでしょうが…。

 そのため、PCが「抜け忍」のような立場でプレイすることも不可能ではありません。そういうキャラクターにしたい場合は、ちゃんとGMに許可を取ってください。特徴の内容は、状況に応じて2パターン考えられます。

1)すでに〈衆〉が全滅している場合、あるいは大陸外での冒険の場合
 抜けた〈衆〉が既に全滅している場合、〈衆〉が「敵」として存在しないため、「特殊な背景/元影タマット」(10cp)と「秘密/完全拒絶」(-10cp)だけが残り、0cpの特徴となります。
 この状態だと、秘密が露呈しても即座に殺されはしないでしょうが、好ましくない者の注意を引く可能性はずっと残り続けます(別の〈衆〉や外国の闇タマット、政府の諜報機関などがスカウトしに来るでしょう)。
 また、大陸で冒険する「影抜け」の場合、二度とカルシファードに関わらないのであれば、〈衆〉が残っていてもこの状態と見なします。

2)カルシファードで冒険中で、〈衆〉が今も存在する場合
 特徴の内容は「特殊な背景/元影タマット」(10cp)「秘密/死」(-30cp)となり、-20cpの特徴となります。
 何らかの形で居場所や生きている事実が露呈したら、「秘密」は「敵」の特徴に入れ替わり、再び雲隠れするまで〈衆〉の暗殺者に狙われ続けます(「極めて強力なキャラクターに率いられた小集団で登場頻度:ときどき」の「敵」にすれば-30cpとなり、CPを変動させずに済むでしょう)。

 いずれにせよ、一度でも影タマットに関わった者に安住の地はないのです。




■■ 独自の武器
 影タマットは、信仰する神に応じた神殿武器を積極的に使う傾向にあります。双子の月の各信仰ごとに参照して下さい。

 特によく使われるのは、タマット信者のアサッシンズ・ナイフ(小柄の代わりにこちらがよく使われます)、アルリアナ信者のセクション・ウィップや蹴打術(格闘技に特化した影タマット)、リャノ信者のコンバット・オール(川での逃走用ボート担当の影タマットの護身用)などです。




■■ 一般装備
 以下は、影タマットがよく使う装備ですが、特に購入制限はなく、影タマット以外のキャラクターでも購入可能です。


●脇差
 白兵戦で使うカルシファード・ブレードの短刀バージョンです。「ショートソード」と同じデータを用いて下さい。一般人はカルシファード・ブレードを持つ許可が下りていないことと、武戦士の独自技能がないとあまり優位性がない事から、影タマットではこちらを使うのが一般的です。主に、カルシファード・ブレードを装備している武戦士を相手にする時に使われます。通常は〈短剣〉技能で使う事になるでしょう。


●小柄
 近接で使えるカルシファード・ブレードの小型バージョンです。「大型ナイフ」と同じデータを用いて下さい。この国では「上質」(価格4倍)や「最高品質」(価格20倍)のものが多く生産されており、暗殺を行う影タマットにメイン武器として愛好されている他、一般庶民の間でも仕事道具として普通に使われています。


●鎖帷子
 確実に戦闘が予想される場合、《軽量化》が魔化された「チェイン・メイル」を着用しています。武戦士が着用する大鎧(スケイル・アーマー)は、かさばる上に荷重レベルが「並荷」以上になりやすいため、影タマットが用いることはまずありません。

 一方、隠れて行う潜入任務の場合、「ライト・レザー」相当の忍び装束を着用するのが一般的です。体力のある者であれば、《軽量化》が魔化された「ヘビー・レザー」を着用することもあります。




■■ 独自の技能
 影タマットは、以下の技能を習得する事が可能です。アルリアナの蹴打術やガヤンの極投術とかぶっている場合、同じ技能として扱います(例えばアルリアナの各種蹴り技なども、以下の技能の格闘動作として使えます!)。


〈空手〉(肉体/難) 技能なし値:なし
 ルナルでは、一部の信者でしか習得できない技能です。


〈柔道〉(肉体/難) 技能なし値:なし
 ルナルでは、一部の信者でしか習得できない技能です。


〈暗闇戦闘〉(精神/至難)
 視覚以外の感覚を研ぎ澄ます事で、盲目状態によるペナルティを完全に打ち消します。自分のターンの始めに判定を行い成功すれば、目が見えていなくとも完全にペナルティなしで戦闘可能となります(この状態を持続したい場合は、毎ターン判定が必要です)。ただし部位狙いを行う場合のみ、修正-2が追加で上乗せされます。
修正:「鋭敏聴覚」および「鋭敏感覚」のレベル分だけプラス。
周囲がうるさいと-1~-7の修正が発生。
全く音が聞こえなくても-7で戦闘は行える(音以外の感覚も一応使っているため)。




■■ 独自の格闘動作
 影タマットは、以下の格闘動作を習得する事が可能です。


【攻撃的受け】(難)
技能なし値:「空手受け」-4 上限:「空手受け」 前提:〈空手〉 射程:C、1
 相手の素手攻撃(パンチ、キック)に対し、その攻撃部位に対して攻撃を加えることでかわします。「受け」の代わりに【攻撃的受け】で判定し、成功すれば相手の攻撃部位にダメージを与えつつ、能動防御も成功します。与えるダメージはパンチと同じです。
 ただし【攻撃的受け】を行う場合、相手との距離が1ヘクス以内でなければなりません(そうでないと攻撃部位に届きません)。また、「後退防御」と組み合わせることもできません。

 なお、判定に失敗した場合は通常の「受け」に失敗したのと同様に処理しますが、ファンブルで失敗すると自分の腕に攻撃が命中した事になり、さらに相手の致傷力が+2されます。また、相手の白兵武器に対しては、この動作は行えません(通常の「受け」を行って下さい)。


【肘打ち】(並)
技能なし値:<空手>-2 上限:<空手> 前提:<空手>-2 射程:C
 背後に対して肘で打ちます。パンチと同じ威力ですが、後方から組み付かれている場合でも修正なしで反撃が可能です(例えば腕関節技にかけられている場合など)。なお、肘打ちで部位狙いを行う場合、余分に-1の修正がかかります。
 ブラスナックルを装備していても、この攻撃にダメージ修正は加算されません。


【腕関節技】(並)
技能なし値:〈腕関節技〉 上限:〈腕関節技〉+2 前提:〈腕関節技〉 射程:C
 相手の腕の関節を極めて、身動き取れなくしたり、腕を折ったりできます。
 直前の敵のターンの腕を使った攻撃(通常の白兵武器、あるいはパンチ)を「受け」た状態で、自分のターンにこちらの【腕関節技】と、相手の敏捷力or<柔道>で即決勝負を行い、こちらが勝てば関節を極められます。
 あるいは、こちらのターンに相手の腕に「組み付き」を行い(互いの敏捷力or<柔道>即決勝負。こちらに+3修正)、組み付きに成功すれば、即座に上の判定を行い、これに成功すれば関節を極められます。

 いずれの場合も腕関節技の射程は「近接のみ」です…後退防御などによって2ヘクス以上離れてしまうと、「柔道受け」に成功していても関節技には入れないので注意して下さい。極めることに成功した柔道家は、自動的に「敵の後ろに回って両腕を使って敵の腕を極めてる状態」となります。

(極めた側の行動)
・極めた腕にダメージを与える
 攻撃者の【腕関節技】と、犠牲者の生命力or体力(「我慢強さ」「柔軟」があれば+3)で即決勝負。勝った数値分だけ腕にダメージ。生命力の半分のダメージで腕が折れて組み合いは自動解除となる。
・痛みだけ与える
 上記と同じ処理を行うが、敏捷力と知力にダメージ分のマイナス修正を与えるだけで、実際にダメージは発生しない。<尋問>など行う時の「拷問を加えている」状態と見なされる。
・頭突き
 相手は「よけ」-3。
・通常のキックで攻撃
 相手は「受け」「よけ」-3。
・解除して即座に別行動をとる

(極められた側の反撃)
・振りほどく
 振りほどく側の体力or<柔道>と、極めた側の<腕関節技>+4or体力で即決勝負。勝てば抜けて1ヘクス離れた状態で終了。
・空いた手で反撃
 格闘のパンチ、近接用武器(ナイフ)で攻撃が可能(背後の敵を攻撃する場合は-5、逆腕を使う場合は-4修正)
 極めた側はこれらの攻撃に対し、-3修正付きの「よけ」(後退不可)しかできない。あるいは即座に極めるのをやめて(極めは自動解除)、修正なしで通常通りの能動防御を行える。
・噛みつき
 牙のある種族は噛みつきで攻撃可能。人間が噛みついた場合は敏捷力で命中判定を行い、ダメージは「叩き/1D-2」。極めた側の能動防御は上記と同じ。
【解説】
 ある旗将に仕える〈衆〉の影タマットです。体術にも魔法にも優れており、術で眩惑させて武器でとどめを刺すタイプの盗賊系キャラクターです。
 有用な魔法戦士にした反動で、生命力が致命的に低くなっており、しかも自身は抵抗型魔法に対して脆弱です。《人払い》と〈忍び〉技能で隠蔽し、常に奇襲をかける形で運用せねばなりません。
 戦闘では《心神喪失》をかけて相手を朦朧状態にしたところで、上質の大型ナイフで喉(頭狙いの亜種で修正-5。防護点無視)を切り裂きます。一応、アサッシンズ・ナイフも2本所持していますが、これは刀身発射による射撃専用です。技能も〈アサッシンズ・ナイフ〉を使っていますが、【致命傷】の格闘動作は習得していないため、クリティカル狙いの攻撃はできません。

 性格は完全引きこもりタイプで、里の事しか考えておらず、他人の事など信用しません。娯楽と言えば、煙草を吸う事くらいです(薬物中毒)。普段は里で、不愛想な農民をやっています。〈衆〉全体の4割くらいは、里の自給自足を支える農民です。
[編集手記]
 忍者と言えば、日本では伊賀と甲賀が有名ですが、元は無法者の集まりが山奥で自治を始めたのが起源と言われています。周辺の大名は勢力として弱く、この集団を潰せなかったようです。
 もっとも、この時代はどの集落でも自衛のための最低限の軍事力を持っており、村によっては「傭兵」として他に戦力を貸し出していた例もあったようです。なので、忍者の里だけが特別に高い兵力をもっていたというわけではありません。

 ですが、この集団はただのチンピラではなかったらしく、破壊工作員としてありとあらゆる技術や学問を研究・習得し、当時の文明の最先端を行く連中となりました。日本で初めて火薬を使ったのも、おそらく忍者だと言われています。そして、その優秀さから各戦国武将に密偵や奇襲部隊の傭兵として雇われるようになり、忍者の運用は武将にとって必須となったことで、裏社会での地位を確かなものにしたと言います。

 忍者の里は、裏切者に対して厳しい罰を与えたと言いますが、これは伊賀で脱走者二名を出した際、そいつらが原因で次の戦で負けた事が代表的な事例として挙げられます。情報の漏洩が戦争の結果、ひいては忍者の里の運命まで左右すると改めて認識され、以降はどの里も、脱走者に対して厳しくなりました。伊賀は特に厳しかったようです。
 でも、残されたわずかな文献によると、脱走者に対する処分が書かれているものはなく、「いかにして脱走者を出さないか」が重点的に書かれており、実際に抜け忍が1人出たからといって、貴重な人材を使って処刑部隊を送るといったことは、経済的な面からすると考えにくいとも言われています(真相は闇の中ですが、おそらく当たらずとも遠からずだと思われます。抜けたら酷い目にあうぞ!と脅しをかけておいて、実際はそんな実行力などないただのハッタリだという例など、特に珍しくはありません)。

 脱走者に対して厳しい伊賀は、最盛期では15000人ほどのレンジャー部隊を動員できるほどの勢力になったようですが、江戸時代になり大平の世になると、忍者としての仕事が激減し、里はむしろ抜ける事を推奨しました。山奥の里の経済力では、とても忍者全員を養いきれなかったからです。
 表向きの職業がそのまま庶民の仕事として通用するものは、そのまま表の職業に「転職」しましたが、体術をメインとする潰しが利かない忍者たちは、大名の諜報員として宮仕えできればいいほうで、そうでない者は大道芸人やガマの油売りなどに身を落とすしかなかったと言います。そして比較的稀な例ですが、抜け忍となって盗賊に転職する者もいたようです。有名どころでは、江戸時代の盗賊「石川五右衛門」が、元は伊賀の抜け忍なのではないかと考察されています。




(ルナル世界の忍び)
 「ルナル完全版」で紹介されてる影タマットなんですが、そもそも作成方法が紹介されていないのに、変な格闘動作だけがごちゃごちゃと紹介されてるんですが、ぶっちゃけ武戦士が大嫌いな魔法を使えば攪乱効果を演出できるので、魔法盗賊として設計すれば良くね?と思い、そのようにしました。
 あと、赤の月の神殿武器には、スカウト系の人種が使いそうな暗器がたくさんあるので、「武戦士のような独自武器じゃなくて神殿武器を積極的に使う」ことにすれば、いちいち新武器や新技能を設定せずとも、忍者の攻撃の多様性を表現できると思ったので、そうしました。


 忍者の戦い方に関して、あれこれ動画やサイトで調べたのですが、現実の忍者は主に柔術(オーソドックスな空手と柔道の混合武術)を用い、相手にマウントするところまでは動作があるのですが、それ以降は手に持ってる武器で刺すというアプローチになるため、実は格闘技だけでは未完成なようで、素手での試合ではそれほどアドバンテージはないそうです。

 近年、現代忍者と称して、各地で自称忍術のパフォーマンスをしている格闘家みたいなのがいますけど。アレがやってる凄い技って、既に忍術の範疇ではなく、別の武術の見せ技を勝手に取り入れて「忍者が凄いように見せている」だけのように思います。
 よく考えて下さい。当時の、情報収集と局地的小規模戦闘が主な任務の忍者がですよ?気の力を使って瓦割りをするとか、一体どこで使うんだ?鎧を着てるサムライのド真ん前で、転倒するかもしれない&刀で受けられて足を斬られるかもしれないのに、派手な回転飛び蹴りとかリスキーな攻撃をするか?(笑)

 また、アニメの忍者は驚異的な体術を使い、忍術と呼ばれる神通力みたいなものを多用します。体術は戦い方にも反映されており、遠方から飛び蹴りを放ったり、アクロバティックな回転回避運動やら二刀流やら、見た目がやたら派手な戦いをします…それが実際に、武装したサムライ相手に有効か?と言われたらアレですが。

 しかし、魔法が実在し、ヒロイックに戦うルナルでは、どちらかというとそうした「意味はないけど派手な戦い方」の方がいいかな?と思い、そちらに合わせました。派手なアクションで戦いたいならば、アルリアナ信者にして蹴打術と組み合わせることで、空手と柔道の両方を押さえた完全無欠の格闘家となりつつ、蹴りを主体とした派手な戦いを演出できます。
 また、忍術で敵を一撃で倒す演出にしたいのであれば、アルリアナかタマットの精神操作系呪文の《パニック》で退散させたり、リャノ信仰にして《音噴射》で昏倒させたり、《凍傷》で直接ダメージを与えるといった手法も考えられます。




(闇の一党との兼ね合い)
 別の項目で臨時設定した「闇の一党」の暗殺者と、カルシファードの裏タマットは、ある面では非常に似た立場の人たちです。
 では、「なぜ影タマットは専用のセットがあるのに、シシス信仰の暗殺者にはそういうのがないんだ?全員が「秘密/死」(-30cp)を取らねばならないのであれば、シシスの暗殺者セットみたいなものがあって然るべきなんじゃないのか?」という点に関して、おそらく閲覧者が疑問に思われるケースも想定できるので、ちゃんと説明しておきます。


 闇の一党(シシス信徒)や通常の闇タマットと最も異なる点は、影タマットは「メンバー個人の人生そのものを徹底的に縛る組織」という点です。
 闇の一党や闇タマットの暗殺者は、それなりに仕事を選べますし、普段の生活に組織の干渉など受けません。しかし影タマットのメンバーは、人生そのものをほぼ完全にコントロールされる組織であり、自分の意思など全く意に介されません。任務の拒否権なども当然ありません。そのため、信仰レベルの特徴に含まれるものとは別途で「使命/ほぼいつも」を取る必要があります。
 その代わりといってはなんですが、影タマットは本拠地を持ち、メンバー全員に対して可能な限りの便宜を図ってくれます。衣食住の保証は勿論のこと、旅先で別の職業に変装し、本業になりすますために必要な資金も全て調達してくれます。さらに、組織独自の技能を信仰による独自技能とは別途で習得できる特典もあります。
 これらは通常の神殿の司祭では得られない特典なので、当然ながら「後援者」としてのCPを必要とします。


 要するに「信仰レベル」の特徴を基準として、それよりも多くの便宜が図ってもらえるか、より行動に縛りがかけられるかで、CPの増減を行っているだけです。


 闇の一党のメンバーは、日常生活の狭間に「趣味」として正義の殺しをしているだけのサークル活動みたいなものであり、縛りなどほとんどありません。連中が危険に首を突っ込むのは、それが「趣味(=教義)」だからです。
 無論、高司祭ともなれば、神殿内に住み込み、ある程度の便宜を図ってもらえるでしょうが(「聞こえし者」を務めているレアンなど)、それは通常の8大神の高司祭も同様なので、それによりシシス高司祭だけが別途で「後援者」を設定するとはならないでしょう。

 一方、通常の闇タマット所属の暗殺者でも、赤ん坊の頃に引き取られ、組織の「財産」として育てられたという背景の者であれば、その暗殺者は影タマットのメンバーと同程度の縛りがあり、命令拒否権もないでしょうから、闇タマット基本セット(内容はほぼ同じ)みたいなものを取得させても、あるいはいいでしょう。
 しかし、自由意志で参加しているメンバーに関しては、そこまで行動を縛られないでしょうし、仕事の選択権もそれなりにあるでしょう。この場合、暗殺者であり、ガヤン神殿に知られたら即死刑になる部分だけフォローすればいいので、「秘密/死」(-30cp)だけを獲得すれば良いかと思います。

 ―――というか、セット内容は個人毎に微妙に異なるはずなので、単純に不利な特徴の取得制限を-80cpにまで拡張許可した上で、個別で「後援者」「秘密」「使命」「敵」などを取らせた方が良いと思います(セットを設定してしまうと融通性が利かず、かえって面倒なだけです)。今回は、影タマットのメンバーの共通部分が多いという事で、特別にセットを用意して、分かりやすくしただけの話です。


 以上の説明で、御理解いただければ幸いです。
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