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■第3節 巨大生物(モンスター)
 ファンタジー系のTRPGの醍醐味といえば、「複数の勇者が協力して、巨大なモンスター1体を討伐する」ことであろう。いわゆる「レイドボス」と呼ばれるものである。前項で紹介した〈悪魔〉も、広義ではレイドボスに含まれるであろう。

 ここでは、100cpの冒険者たち数名で挑むのに適した巨大生物の紹介をしようと思う。紹介するのは主に「自然界で食物連鎖に組み込まれた生物のうち、巨大な体を持つもの」であり、〈悪魔〉のような生態サイクルからは完全に外れた特殊な存在は除外するものとする。
 
■概要
 ルナル世界でも、我々の地球と同じように生態系が育まれ、様々なバイオーム(生物集団)を形成している。バイオームは小さな生き物から大きな生き物まで、様々な種類が存在するが、マナ濃度が濃いルナルにおいては、魔法の影響を受けて地球ではありえないような生態を持つ生物が存在する。
 その中でも特に、現在の地球には存在しない恐竜のような巨大生物(モンスター)は、冒険を盛り上げる上で重要な要素と言える。そして、モンスターを勇者たちが倒す行為は、ファンタジー世界における独自性を示す重要なコンステンツの1つであろう。我々の世界では、それを体験できないからだ。

 モンスターと言っても、地球における生物種がいくつも分かれているのと同じように、さまざまな種類が存在する。それは哺乳類に限らず、爬虫類や魚類、鳥類など、あらゆる生物科において存在し、バリエーションは非常に豊富である。マナの影響を受けて、魔法に近い能力を持つ個体も非常に多い。

 ただし注意してほしいのだが、モンスターは地球ではありえないほど巨大ではあるが、各生態系のバイオームの一員でもあり、生態系を破壊して世界を滅ぼすといったような、RPGにおけるラスボスのような存在ではない。その多くは自然の掟に従う「動物」の一部に過ぎず、大抵は知能(IQ)が低い。
 一部、ドラゴンや巨人族のように人間以上の知能を持つ存在もいるが、彼らもまた、自身のなわばりを後先考えずに破壊するような自滅生物ではなく、大自然と共に共生する生物である。そこが〈悪魔〉と大きく異なるところであろう。


 冒険者がモンスターを狩るのは、放置すると人間が現在の生活エリアから駆逐されてしまうような状況だったり、狩人が生体素材を得るための狩猟行為の延長であったりと、人間が生存するために必要な行為だからである(そうでなければ、わざわざ自分より体格が大きい生物に挑む愚行など犯さないであろう)。
 そのため、人間に害を為していないモンスターを敢えて狩りに行くのは、主にお金儲けのための狩猟行為であり、場合によっては生態系を破壊し、人間の生活環境のサイクルを乱す危険性もある。GMはそうした自然ドラマを組み込んで、ただの討伐シナリオに深みを与える事も可能であろう。


■■ モンスターのデータ
 厳密なCP計算は行わず、動物のデータなどを参照に特殊能力を持たせていく形で作成される。魔法関連の能力に関しては、「ガープス・妖魔夜行」の妖術・妖力なども参照される。

 モンスターの多くは知能が低く、その気になれば動物系呪文の《~制御》の呪文で操る事が可能である。ただし、制御系呪文は「通常呪文」であるため、サイズ修正を考えると凄まじいコストを要求されるため、操るのは現実的ではない事が多い。
 無論、大きいサイズのパワーストーンなどを駆使してコストを捻出する事も可能だが、100cpのキャラクターでそれをやろうとすると動物系呪文特化型のキャラクターとなり、そのような人物がはたして冒険者という職業に就くか?と言われると、かなり疑問である。

 そのためこの項目では、そうした「動物操縦士」のようなキャラクターとの対戦は考慮していないモンスターの紹介に留める。


■■ クエストで絡むケース
 本来はその地方に存在しないモンスターが、どこからか流れてきて人間に害を為しているので、それを討伐する依頼を村の領主や町のガヤン神殿から受け、討伐に望む展開が一般的であろう。

 もう一つのケースとしては、モンスターの生体素材を得るために、こちらから討伐に出向く展開が予想される。ルナル世界でこのケースに該当する最も有名なものとしては、シャストア信者の神殿装備である「シャストアのマント」の素材を得るために、水竜マハノチ狩りに出かけるといったパターンがある。
 他にも、エリクサーの素材となるモンスター(マモードンなど)を得るために狩人隊に参加するなど、様々なバリエーションが考えられる。

 GMはいずれかのケースを想定し、討伐対象となるモンスターを設定すると良いだろう。ただし、いずれも冒険者という特殊な人材を要求する事から、素人でも安易に倒せるような個体は避けるべきである。


■■ 基本的な運用
 モンスターと言っても動物の一種なので、瀕死になれば逃走するのが一般的である。ある程度の地形マップを用意しておき、寝ぐら・狩場・水飲み場くらいの戦闘エリアは設定しておくべきだろう。
 また知能が低い事から、PCが仕掛ける罠などに対して臨機応変に対処できず、かかりやすいといった演出もすべきである。ただしパワーとHPは高いので、それらを力押しで突破してしまっても良いだろう。

(共通能力)
 モンスターは基本的に動物と同じ扱いとなる。生得能力として「戦闘即応」を持ち、奇襲に対して即座に反応できる。また、あらゆる感覚判定(視覚・聴覚・嗅覚)を目標値14で行える。
 技能はほとんど所持していないが、唯一自身が生息するバイオームに応じた〈生存〉技能を知力+2レベルで習得している。自分の生態に適した環境で住んでいるのであれば、この判定に+4のボーナスを得る(このため知力4の家畜でも目標値10で生存判定できる)。食料判定のルールでは、一か所から動かず食料探索に専念すれば1日5回判定を行えるとあるので、よほどダイス目が悪くないかぎり、どうにか1日3食分の食料を得られるだろう。
 これらの鋭敏な能力は、大自然の中で生きていくのに必須の能力である。よって、特に記述がない限り、全てのモンスターが持っているものとして扱う。

 「我慢強さ」を持つかどうかは、モンスターによって異なる。特に書かれていない限り、他の通常の動物と同じく「持っていない」のが普通である。
 そのため、生命力の半分以上のダメージを受ければ自動的に朦朧状態となり、ブレスを吐くための「集中」などの行為を中断させられる。次のターンは膨大な値の「衝撃」を受け、おそらく攻撃は命中しないだろう。また、噛みつきによる「組み付き」などを行っている場合も、朦朧状態になると即座に自動解除されるものとして扱う(これ以外で動物の「組み付き」や「押さえ込み」」から逃れるのは至難の業である)。
 ただし、モンスターは生命力が軒並み高いため、次のモンスターのターン冒頭には生命力判定に成功し、朦朧状態から回復しているだろう。

 「暗視」を持つかどうかは、そのモンスターの生態系による。夜行性であればほぼ確実に持っているが、種によっては視覚に頼らず、夜間活動も別の感覚(聴覚や振動など)に頼っている事もあるだろう。説明の記述があればそれに従い、ないのであればGM判断で所有の有無を決める事。

(サイズに関する特殊ルール)
 当サイトでは、モンスターの大きさを表すヘクス数をスラッシュ(/)で分けて二段階表示している。これは、同じ質量のモンスターでも形状によって実際に占めるヘクス数や範囲が異なるからであり、当サイトのハウスルールである。

 前半は「ルール上のヘクス」で、通常呪文や範囲呪文でヘクス数を数える際に使う数値であり、このレポートに挙がっているモンスターたちは全て3へクス扱いになっている(通常呪文なら3倍のコストが必要)。
 後半は「見た目のヘクス」で、ヘクスを用いて戦闘する際、実際にそのモンスターが占める空間を表している。「移動」による「体当たり」などが発生する範囲などを管理するのに使う。

 通常の「ガープス」のルールで遊ぶ場合は、前半のサイズだけで管理する事をお勧めする。よりリアリティのある上級戦闘をしたい場合は、後半のサイズでヘクス表示すると良い。なお、「ガープス・ルナル完全版」で書かれているモンスターのヘクス数は、おそらく当サイトのハウスルールと同じ基準で決められているようなので、データ処理する際には注意が必要である(表示された体力では到底カバーしきれないヘクスサイズのモンスターのデータがたくさんあるのが確認できるため)。
 
■モンスターの詳細データ
 ルナル世界において、割と頻繁に人間と衝突する害獣モンスター「丘鯱ワイラー」「空竜レベラト」と、人間の側の需要の高さによって頻繁に狩られる「水竜マハノチ」の合計3体のデータを掲載する。

 これらは、当サイトのルールに合わせて詳細変更されているため、原作「ガープス・ルナル」に掲載されているものとは異なることに注意すること。
■テストプレイ
 以下のサンプル・キャラクターを用いて、テストプレイを行ってみた結果などを紹介する。
■サンプル冒険者隊 『UTAU三人娘』
 「UTAU三人娘」は、グラダス半島を中心にリアド大陸各地を渡り歩き、モンスターハンティングを専門で行っている冒険隊です。長身で恵まれた体格のモモとテトが前衛に立ち、低身長貧乳の幼女体型のウタが後方で指揮を執っています。
 彼女らの冒険の動機はそれぞれ微妙に異なりますが、全体的にはリーダーのペローマ高司祭ウタの「リアド大陸全ての生態系を記録した大辞典を作る」という誓いに、残る二人が付き合っている形をとっています。

 モンスター討伐専門だけあって、前衛2人は体力と生命力が高く、防具も高価なプレート鎧で身に固めています。ただし、知力は平均しかなく「意思の強さ」も取得していないため、魔術師などを相手するのは得意ではありません。
 一方、リーダーのウタは体力も生命力も貧弱で、おおよそ討伐系の冒険向きではありませんが、様々な知識とパーティー全体をフォローする呪文の数々を備えており、モンスターを討伐する上で欠かせない情報戦能力全般をフォローしています。
 ただし彼女も、シティ・アドベンチャーに有益な能力や特徴には乏しいため、パーティー全体として「討伐以外の仕事は基本受けない」方針になっています。

 元ネタは、歌声合成フリーソフト「UTAU」の黎明期から存在するボイス「歌音ウタ」「重音テト」「桃音モモ」の三人組で結成されるユニットです。
 
■テストプレイ 「VS.空竜レベラト」
 それはね?モモ……


 管理人の
好みだからなんだよ。
 アキラメロン。
■戦闘開始
 どこぞの村の通り道で、空竜レベラトがなわばりを作って通行人を見境なく襲い始めた。村の領主は「害獣討伐」の依頼を出し、UTAU三人娘が正式に依頼を受けた。

 彼女たちは自分たちを囮にして、街道を堂々と行進する。問題の場所でさっそく害獣が現れ、これを討伐しようという状況。
 なお、この戦闘ではヘクスは用いた「上級戦闘」で行われる。今回は、「ガープス・ベーシック完訳版」のサイド・バーにある「シールド破壊ルール」もきちんと適応する。


【遭遇状況】
 遭遇自体は100メートルの時点で発生する。
 ただし、空竜レベラトは「急接近して白兵戦に持ち込みたい」、UTAU三人娘は「逃さないために敢えて射撃で牽制せず、相手を至近距離までおびき寄せたい」といった事情から、互いに距離10メートルの状態から戦闘開始となる。なお、障害物は一切存在しないものとする。

【戦闘ルールの主な概要】
●「上級戦闘」のルールで管理する。ヘクスを用いる。
●サイド・バーの「シールド破壊ルール」「金属盾のルール」をそのまま導入する。能動防御を行った際、成功度が盾の受動防御以下だった場合、どの能動防御を使ったかに関わらずシールドに命中した扱いとなるため、盾のHP管理も行われる。
■第0ターン -開幕-
 モモたちは、標的となる空竜レベラトと100メートルの距離で遭遇します。
 レベラトは、なわばり内にエサがやってきたので、食らいつくために接近します。一方、モモたちも下手に遠距離で射撃を行っても当たらないので、敵が近接するのを待ちます。結果、互いに10メートルの距離から交戦を開始します。


 現代地球における狩猟行為は、大型の熊などが相手の場合、まず猟犬を複数放って獲物を狩場に追い込み、そこで待ち構えていた人間の漁師が銃でとどめを刺すというのが一般的です。
 人間の運動神経では、野生動物相手に白兵戦なんて絶対無理ですし、移動力も二足歩行の人間では、四足歩行の野生動物には到底かなわず、犬のように機動性で圧倒して陽動したりヒット&アウェイしたりといった事は不可能です。下がったところを後ろから飛び掛かられて頭部や首を噛みつかれ、瞬時に終わってしまうでしょう。


 しかし、このルナルはファンタジー世界です。
 モンスターのサイズは、地球の一般的な狩猟対象である動物をはるかに超えています。その圧倒的な体力の前では、強さ的に人間も犬も誤差の範囲でしかありません。装甲のない犬は、一撃で倒されてしまいます。さらに運動性能も、レベラトのような空中生物ともなると猟犬より高く、移動力も倍以上の差があります。

 要するに、犬では脆弱すぎて囮役など務まらないのです。
 そのため、人間が厚い装甲に身を包み、前線に出る事で「囮役」をやる事になります。また、攻撃に用いる射撃武器も現代地球のような一撃必殺の威力を持つ銃器などもありません。そのため、射手の人数を集めて一斉射撃するしかありません。
 ところがUTAU三人組は、名前通り3人しかいません。なので囮役のモモとテトが、そのまま射撃火力も担っています。


 …なんとも無謀な戦い方で、こんなやり方では到底長生きできないでしょう。ファンタジー世界であっても、通常は「射撃武器を装備したアタッカーを数十名は動員して数で火力を補いつつ、猟犬や騎兵が標的を狩場に誘導し、待ち伏せていたアタッカーたちが一斉射撃!」といった具合で狩りを行うはずです。
 なので、UTAU三人娘がやってるような少数精鋭での狩りは、現代地球のように強力な銃器でもなければ普通はやりません。あくまで、ゲームや漫画でのロマン狩猟であることを、あらかじめ釈明しておきます。

 しかし、こうした「モンハン的な狩り」というのは、ファンタジー世界における冒険ロマンの1つです。また銃器はなくとも、それに相当する能力を持つ魔法の品によって、魔法がない世界よりも性能が良い道具を用い、通常は無理のある手法が有効になるといった事もあり得るでしょう。
 例えば今回の狩りについても、本来なら大した防御力のない軽量のプレート鎧が、防具魔化呪文によってトーナメント・アーマー並の防御力になっているといった特典があります―――まあ致傷力3Dの攻撃の前には、さして有利でもない気もしますが。
■第1ターン
 第1ターン。

 レベラトが高度2メートルを維持しつつ接近。
 レベラトは知能が高いため、相手に先制されぬよう、注意深く距離をとっています。地上ユニットは「踏み込んで攻撃」する際、1へクスしか動けませんが、レベラトは飛行中なので3へクスまで動けます。次のターンには3へクス踏み込んで先制攻撃をするつもりなのです。


 対する桃音モモは、抜撃ちでいきなりハチェットを投擲!
 狙いは「翼」(部位狙い修正-2)です。レベラト自身のサイズ修正(+1)と距離修正(3mなので-1)を含めると修正-2で、目標値は12。ハチェットの「抜撃ち」以上なので、抜撃ちペナルティはありません。

 ―――命中判定は成功!
 しかし残念ながら、これは「よけ」られました。


 …手投げ武器の投擲など、普通のガープス・ユーザーはほとんど使わないと思います。射撃専用武器とは異なり、手投げ武器による射撃は白兵武器で「受け」(-2修正)が行えますし、投擲直後は手ぶら状態で相手に攻撃される事になります(全力攻撃してくる相手もいるでしょう)。さらに、予備武器を構えるのに1ターンかかります。総合すると、あまり良い手とは言えません。

 ところが、ガープスにおいて手投げ武器が最も有効な局面が1つだけあります。それは、能動防御を「よけ」だけに頼っている動物相手の時です。

 動物は普通、白兵武器など持ってませんし、素手では手投げ武器に対して「受け」はできません。さらに第三版の環境では、射撃に対しては「後退防御」が使えません(第四版では「射線から逸れる」という名目で使えるように変更されましたが…)。
 また、レベラトのような飛行生物に限定して言えば、射撃に対しては「異なる高さでの戦闘」ルールによる能動防御のボーナスを受けられません。レベラトはモモたちより2メートル高い位置にいるため、モモたちの白兵攻撃に対しては、無条件で能動防御+3の修正を得られます。しかし、射撃に対しては高度差修正は関係ないため、ボーナスが適応されません。

 つまり、この状況下において「最も素早く出せて威力も高く、モンスターが回避困難な攻撃」と言うと、手投げ武器の投擲なのです。
 ただし、〈ナイフ〉技能関連の武器は、〈準備/ナイフ〉技能によって連打できるのですが、肝心の致傷力が低いため、即効性のある射撃武器としてはイマイチです。なので、構えるのに1ターンかかろうとも、体力の高さをダイレクトに威力に反映できるハチェット、手投げ斧、ジャベリン、スピアが最有力武器として挙がります。
 モモの第1投目は、残念ながら「よけ」られました。
 高度差修正ボーナスがなくとも、レベラトの「よけ」は、受動防御も含めると目標値12です(成功確率74%)。能動防御で最も低いとされる「よけ」にしては、ずいぶんと高い目標値と言えます。しかし何度も攻撃すれば、判定に失敗する可能性はあります。ここは三人がかりで集中砲火し、確率に賭けるのがベターでしょう。

 モモが抜撃ちで投擲する傍ら、テトはスピア、ウタはペローマ神殿武器ウインドラス・クロスボウでそれぞれ「狙い」をつけました。
■第2~3ターン
 第2ターン。

 レベラトが高度2メートルから首を伸ばし、モモに噛みつきます。
 モモは「後退止め」でリアクション。

 ガードは成功しましたが、成功度が低かったのでシールドに命中します。
 シールドに3ダメージ。


 モモとテトが所有しているシールドは金属盾で、しかも低レベルの防具魔化呪文が一通り魔化されています。
 シールドとは本来、使い捨ての道具です。1回の戦闘でボロボロになり、別の盾に換装されます。通常の盾は、フレームが木製です。そこに薄い金属板を貼り付け、さらに頑丈な動物の皮でコーティングされている、「古代の複合装甲」というわけです。手が込んでいますが、金属の武器で何度も殴られると、1回の戦闘でもボロボロになります。リアルのシールドは、コンシューマRPGゲームのように、一度購入したらずっと使える装備ではないのです。
 しかも、通常の木製の盾は大きなダメージに対して弱く、致傷力3D(平均値10ダメージ)のモンスターの攻撃に対し、一撃破壊されてしまいます(ミディアム・シールドの一撃破壊ダメージはちょうど10点です)。

 そのため、二人は重くなるのを承知で金属化し、さらに魔化呪文で補強した特別製のシールドを用いているわけです。当然、使い捨てにはできない高価な品なので、修理する事前提で運用しています。幸いにも、リーダーの唄音ウタが《修理》の呪文を習得しており、これを使えば魔法の品でも修復可能です。


 桃音モモがシールドでレベラトの攻撃を受け止めている間に、テトとウタが射撃を行いました。テトはスピアを投擲し、ウタはクロスボウを発射。
 ―――両方とも命中しましたが、レベラトは簡単に「よけ」てしまいます。

 モモとテトが射撃をずらしたのは、「片方が武器を喪失している間に、相手が「全力攻撃」を選択した場合、容易に反撃するため」です。
 例えば、モモが手斧を投げた後、レベラトが「全力攻撃」を選択すると、次のターンに槍を投げるテトの攻撃を自動命中させる事ができます―――そうする事で、相手に全力攻撃を選択させないよう、片方が牽制しているわけです。
 第3ターン。

 レベラトは空中旋回し、モモに対してフェイントを行いました。さすがにシールドのHPを削っていると、なかなか倒せないからです。
 それに対してモモは、準備した手斧を抜撃ちで投擲しますが、これも軽くよけられてしまいます。

 その間に、後ろのテトは背中のバックパックから次のスピアを引き抜き、ウタは神殿武器を捨てて通常のクロスボウを構えました。
■第4~7ターン
 第4ターン。

 レベラトは再びモモに対してフェイント動作を行いますが、技能レベルが同じなので決まりません。

 そんな中、テトの投槍がレベラトの翼に命中!
 これは高いダメージを叩き出し、レベラトの生命力の半分に相当する7ダメージを超えたため、翼を破壊しました。


 第5ターン。

 レベラトは高度2メートルから落下。大した距離ではないので、敏捷力判定に成功すれば着地できることにしたのですが―――なんと、この判定で失敗。レベラトは地面に転倒します。

 この期を逃さず、モモは全力二回攻撃!
 1撃目は貫通しませんでしたが、2撃目で10ダメージ。レベラトは朦朧状態になります。
 そこへウタのクロスボウが命中し、1点だけ防護点を貫通して2ダメージ。


 第6ターン。

 レベラトは生命力判定に成功し、朦朧状態から回復。「姿勢変更」で膝立ち状態に移行します。

 モモとテトは、次のターンの反撃に備えて普通に攻撃。
 それぞれ7ダメージと12ダメージを与え、レベラトはまた朦朧状態に。
 第7ターン。

 レベラトは朦朧状態から回復し、立ち上がりました。
 しかし、前ターンで合計19ダメージもの負傷を受けているため、衝撃の効果で攻撃に-19のペナルティを負っています。到底、反撃など当たる数字ではありません。そのため、立ち上がってそれで終了。
 この時点で、レベラトのHPはマイナス8にまで到達しています。意識維持判定が必要な重症です。

 そこへモモが追撃を入れますが、さすがに直立状態での「後退よけ」は成功し、これを回避します。
 第3版のルールブックには厳密に書かれていないのですが、「衝撃」の効果は攻撃時のみに適応されるペナルティであり、能動防御には一切影響しません。例えば武器技能16レベルの者が衝撃の効果で-8のペナルティを受けているからといって、能動防御「受け」に-4のペナルティを受けるのか?と言われると、実は受けません(この辺りのルールのフォローは、開発者のツイッターで確認できます…ルールブックには記載がありません)。さすがにそこまで適応すると、プレイアビリティが大きく損なわれるためと思われます。

 続くテトの追撃に対しては、「後退」防御をもう使ってしまったため回避失敗。スピアの一撃で10ダメージ。これによりHPがマイナス18に達し、生死判定も要求されます。

 レベラトは、もうボロボロです。
■第8~9ターン
 第8ターン。

 レベラトは生死判定1回、意識維持判定、朦朧状態からの回復判定全てに成功しました。しかし、この状態で戦闘を継続するのは困難です。しかも前ターンにテトの攻撃で10点のダメージを受けているため、衝撃の効果で攻撃時に-10のペナルティがあります―――こうなったら逃げの一手でしょう。

 レベラトは巨大であるため、「移動」するだけでも進路上にいる人間を巻き込んで「体当たり」する事ができます。負傷によって移動力半減状態の今のレベラトに出来る事は、「その場で向き変えを行う」ことです。これにより、隣接しているモモとテトに「体当たり」を行いつつ、進路を後ろに変更できます。
 …ただし、「移動」中に体当たりが命中するかどうかも敏捷力の即決勝負が必要です。そしてレベラトは衝撃により、このターンは-10のペナルティを負います。当然ながら、敏捷力13のモモとテトに勝てるはずもなく、巨大生物の特権である「通りすがりの体当たり」はさっぱり命中しませんでした。

 逃走に入るのを見て、モモとテトは執拗に追撃します。それぞれ攻撃が命中し、6ダメージが二回ヒット。これにより、レベラトのHPはマイナス30に到達。生死判定をさらに2回ほど要求されます。
 第9ターン。

 レベラトの足掻きもここまででした。
 ターン冒頭の生死判定には成功したのですが、なんと意識維持判定で失敗。気絶してしまいました。さすがに生命力14でも失敗確率が10%程度あるため、度重なる判定でついによろしくないダイス目が出てしまいました。


 UTAU三人娘の勝利です。


 見せ技の電光ブレスを使うヒマもなく、あっけなく倒されてしまいました。スペックだけ見ると、人間をはるかに超える数値に見えるのですが、人間側はモンスターの生態を調査し、行動パターンを読み、部位狙い攻撃によって弱点を突く事ができます。なので、戦術が当たればこんなものかと思います。
 リアル地球での狩猟行為も、RPGジャンルのボスに有り勝ちな「HPを削りあって長々と戦う」ような事は普通はしません。同じようにリアル寄りのルールであるガープスでも、長期戦になる事は滅多にありません。

 逆に、長期戦になるような事があれば、それはUTAU三人娘の攻撃火力が足りずに手詰まりの状態であり、おそらくモンスターの攻撃力で押し切られて敗北してしまうでしょう。人間がモンスターに挑む場合、常に短期決戦の方法を模索すべきです。
[編集手記]
 管理人は過去に「モンスターハンター・フロンティア」をプレイしていました。PC版専用のオンラインゲームです。主にモンハン世界の世界観が好きで、当時はMMDを用いたドラマ動画なんてものも上げていました。

 ところが、当時のモンハンの運営陣(●プコン)は、ひたすら強いモンスターと戦う部分ばかりをフォーカスし、世界観の部分をないがしろにし続けました。元々はドンドルマと呼ばれる町の拠点だったのに、ゲーム的な利便性を追求した結果、メゼポルタとかいう謎の場所に変更されてしまいます。メゼポルタは位置不明で、ハンターの利便性だけを追求した都市です。
 かつてドンドルマには「歌姫」と呼ばれる存在がおり、イベントをこなすと実際にホールで歌うのを拝見できたと言いますが、管理人がフロンティアを始めた頃には、既に拠点がメゼポルタになっており、竜人族の歌い手や、ドンドルマの長老すら見る事がかないませんでした。世界観要素は、運営によって完全に排除されたわけです。

 運営の戦い特化、効率厨(重課金者)への優遇はどんどんエスカレートし、管理人のようなライト・ユーザーや世界観を大事にするタイプのユーザーは「課金額が低いので稼げない不良顧客」として徹底して冷遇され、そういうタイプのユーザーはほとんどいなくなりました。
 まだドラマ動画を作っている最中だったので、出て行くのも惜しかった管理人は、仕方なく高額の課金を投入して課金装備を購入するも、課金装備だけでは効率厨のお気に召すような凄い装備には到底届かず、「課金装備込みでテンプレ装備を作るのが当たり前。出来ないヤツは地雷なのでキャラデリ(キャラクターの削除)しろ」といった風潮でした。

 数年作り続けたドラマ動画もそろそろ終盤に差し掛かる頃、ついに管理人はゲーム自体に愛想を尽かし、モンハンと●プコンを完全に見捨てました。そしてドラマ動画は、最終話手前で永遠に未完状態となりました。

 その直後、運営にも何か思うところがあったのか(実際、接続人口が急激にダウンしていた時期)、それまで徹底排除していた世界観について、今さらながら設定を盛り込み始めました。そして、ドンドルマと共に捨てたはずの「歌姫」も復活し、メインイベント扱いになっていたようです…もっとも、その頃の私はもうモンハンに見切りをつけていたため、何をしようが興味を引きませんでしたが。

 さらに数年後。
 ●プコン自身が、ついにフロンティアと決別します。代わりに「モンスターハンターワールド(MHW)」を作り、古臭くなっていたグラフィックを一新。さらにシステムも大幅に改良を加え、ついに返り咲きます。この作品はヒットして、●プコンはかつてのブームを取り戻しました。
 もっとも、管理人はフロンティアで散々嫌な思いをさせられたのがトラウマになっていて、ワールドのプレイ実況を一目見ても、全然「戻ろう」という気にもなりませんでしたが。

 その事情が変わったのは、つい最近です。
 モンハンを離れて以降、私は●EGAが運営するPSO2に入り浸っていました。そこでずっと楽しんでいたのですが、●EGAの社員の質が落ちたせいか、PSO2の質もどんどん下がり続けました。管理人としても、さすがに継続してプレイするモチベが落ちてきました。
 そこでふと目に入ったのが、「モンスターハンターライズ」です。これは、MHWの後継作品ですが、舞台を一新した新シリーズとして作られたものであり、ニコニコ生放送のゲーム実況グループ「いい大人たち」の生放送で偶然これをみて、「…エルフの娘(実際は竜人族の女性)と幼馴染みだと!?プレイしたい…したいぞ!」と、何やら汚れ切った動機が元となり、ついにモンハン世界に戻る事になりました。かつてフロンティア時代、愛用していたガンランスをもう一度使ってみたい衝動に駆られたという理由もありました。

 モンハンよ。私は帰ってきた―――!

 そんな事情があり、このレポートを書いている現在、「いい大人たち」の実況に合わせてモンハンライズをプレイしています。そして、マイサイトのレポートもそれに合わせてみました。では、本題に入りましょうか。




【現実的な狩猟の歴史】
(古代)
 銃器が発明される以前の時代。人間は主に「巻き狩り」と呼ばれる狩猟を行って獲物を狩っていました。簡単に言うと、「大人数を動員して獲物を囲い込んで追い詰め、射撃で仕留める」方法です。
 獲物を追い立てるのには、猟犬が使われます。人間の運動神経や耐久力では、猪や熊といった猛獣に対し、白兵戦を行っても勝ち目がありません。しかし、機動性のある犬であれば、自身を囮にして獲物を誘導したり、背後からヒットアンドアウェイ戦術で牽制攻撃し、襲われている味方の逃走を援護するといった事が可能です。犬は、狩猟の歴史になくてはならない存在でした。
 射撃に使われる武器は、石器時代はおそらく手槍と手斧です。紀元前には既に弓矢も存在していましたが、当時の弓は性能が低く、大した射程は持たない上、威力も低いものでした。手投げ武器は射程が短いため、おそらく射手が獲物となる猛獣に襲われ、犠牲が出るケースもあったと思われます。

 「巻き狩り」以外の狩りの手法として、落とし穴などを用いて狩る手法もありました。いわゆる罠を用いた狩猟です。落とし穴に関しては、旧石器時代の遺跡からも発見されています。また、文明が発祥して以降は檻を用いたり、仕掛け槍で攻撃する罠などもあったようです。
 これらの罠は、少人数でも狩りが行える優れた手法ですが、獲物以外の動物や人間が罠にかかっていらぬ犠牲が出ることもあり、問題点も数多くありました。

(現代)
 銃器が発明されて以降、文明レベル向上につれて信頼度も上がっていき、現代においては猟銃の一撃で獲物を仕留めるのも難しくなくなりました。
 そのため、単独で猟犬も連れず、罠も仕掛けず、遭遇したら1発射撃でKOさせるという、まるでモンハンのハンターのような「忍び猟」(隠蔽状態で獲物を見つけて狙撃)「流し猟」(車両や騎馬で狩場を移動しまくって発見を優先)という手法が成立します。
 無論、警戒から発見、射撃に至るまで全て単独でやらねばならないため難易度は高めですが、これらができないと一人前の狩人とは言えないでしょう。

 罠による狩猟も高度化しており、特に凶悪なのが「トラバサミ」と呼ばれる罠です。これは足を固定して動けなくする装置で、踏むだけで作動します。ものによっては足の骨を砕く威力を持つものもあり、間違って踏んだ人間の命にかかわる事もあるため、現在では使用禁止道具に指定されています。
 トラバサミの発祥時期は不明ですが、1860年頃の絵画には既に登場しており、続く第1次世界大戦では戦場で敵兵を駆逐するために大量に設置された事から、少なくとも17世紀頃には既に発明・利用されていたと思われます。

(モンハン世界)
 文明レベル的には、どちらかというと古代に属するのですが、やってることは現代の「忍び猟」や「流し猟」そのものです。しかも猟銃は使わず、白兵武器で獲物を殴り倒します(笑) もっとも、この世界のボウガンは銃器並みの連射性能を誇り、一部では火薬も使われている事から、少なくとも地球における古代の狩猟とは違う感覚でしょう。

 一見すると無謀すぎる漫画的な狩りですが、こうせざる得ない合理的な事情もあります。つまり、狩りの標的となる獲物が問題なのです。
 モンハン世界の狩り対象は、地球には存在しない巨大で獰猛な野獣ばかりで、彼らは人間など全く恐れていません。攻撃力と防御力も圧倒的で、猟犬の格闘能力など全く意味をなしません。
 モンハンライズ以降、ハンターのお供としてガルクと呼ばれる実質「猟犬」が存在しますが、これはハンターの足代わり(移動用の馬)であり、獲物を狩り場に追い込んだりする能力はありません。機動性も、翼で飛行するモンスター相手には全く歯が立ちません。
 このような世界において、猟犬の役割を果たせる者がいない以上、人間が前面に立って自ら囮になるしかないと思われます。そして、少しでも生還能力を向上させるため、分厚い装甲で身を固めています。どうせ人間の脚力では巨大生物の機動性に勝てるはずもないので、機動性よりも生残性を優先しているのです。

 この世界において、単独で行う狩猟を認められているのは「ハンター」と呼ばれる超人的な身体能力を持つ人種だけです。それ以外の一般人は、そもそも狩猟行為自体を認められていません。上位ハンターに準ずる戦闘力を持つヒノエやミノトですら、ハンターの随伴なしで狩場に出る事は認められていないのです。

(ルナル世界)
 上の中でいうと、モンハン世界に近い世界と言えます。PCの能力は超人的とは言えませんが、代わりにこの世界には「魔法」が存在し、銃器とは違った方向で地球の物理法則を超越する事が可能です。
 具体的には、防具魔化呪文によって軽量のプレート鎧にスーツ・アーマー並の防御力を持たせたりすることが可能で、今回登場したモモやテトもこれを着用しています。現代地球でいうならば、「中世時代の狩人が現代のボディアーマーを着用している」状態だと思えば良いでしょう。
 一方、武器に関しては中世レベル並なので、使用者の体力の高さが重要となります。モンスターとの近接戦闘をするならば、少なくとも体力13以上は必要でしょう。

 なお、完全に余談ですが、現代地球において実際に熊と格闘するための鎧を作った発明家が実在しました。彼が発明したグリズリースーツと呼ばれる鎧は、いわゆるSF作品のパワードスーツのようなもので、見た目は1作目がガンダムのグフ、2作目がケルベロス・サーガのプロテクトギア、3作目がドルバックのハークに似ています。
 彼は3作目のスーツを着用して山奥に降り立ったようですが、結局、熊は現れませんでした―――おそらく、あまりに奇怪な物体が動いているので、熊の方が恐れて近づかなかったと思われます。
 まあ、実際に格闘していたら負けていたでしょう。装甲の固さはともかく、間接の曲がりとか、熊の怪力に抵抗できるはずがありません。手足をあっさり折られて戦闘不能になっていた事でしょう。発明家さんにとっては残念な結果だったでしょうが、遭遇しなくて幸いだったというべきです。




【手投げ武器が最適解】
 10年以上、ガープスをプレイしてきた管理人にも意外な発見だったのは、「よけ」しか行えない巨大生物に対する最も効率的な攻撃手段は「手投げ武器」だったという結論でした。

 最初、モモやテトにはポールアームやグレートソードを持たせようと考えていました。片手武器の大半は長さ1しかなく、2,3メートル先から攻撃してくる巨大生物相手に使うには、色々と不便な武器だからです。
 しかし、長い両手武器を使ったところで、一撃目は「後退よけ」で回避されてしまうのがオチです。二人で同時攻撃すれば、どちらかは当たるかもしれませんが、レベラトのような飛行生物だと、単に高度差による修正だけでも簡単に「よけ」られてしまいます。オマケに攻撃後は準備に1ターン以上かかり、シールドも持ってないので、高確率でモンスターの攻撃で被弾してしまう―――ここまで思索して、これは最適解ではないな、と判断。

 そして最終的に思いついたのが、片手手投げ武器を投擲しつつ、シールドでがっつり防御を固める戦術でした。手投げ武器は「抜撃ち」が低い事から、5メートルあたりまでなら抜撃ちでも十分に命中が狙えること、一応射撃武器なので「後退よけ」されずに済むこと、射撃武器の中で例外的に威力が高いのが手斧と手槍で、体力の高さを生かせること、手投げといっても射撃扱いなので、飛行生物相手でも高度差による能動防御ボーナスを無効化できること……などなど、色々とメリットが見えてきた事から、最終的には「シールドを持ち、手投げ武器での投擲攻撃をメインとする重戦士」という線に収まりました。

 なお、モンハンに例えるならば、桃音モモはチャージアックス、重音テトはガンランスを装備しているイメージになってます。
【UTAU三人娘に見るヒロイン学】
 今回、UTAU三人娘を登用しましたが、桃音モモを大柄ムチムチ女子にしたのは、無論、管理人がそのタイプのヒロインが好みってのもありますが、公的にもそれなりの理由があります。


 かつて、漫画世界のヒロインは「チビ・デブ・ノッポ」に分割されていました。今風に直すなら「低身長貧乳女子・グラマー巨乳女子・長身女子」となるでしょう。
 ところが、最近のヒロインの傾向を見るに、長身枠にグラマーが押しやられ、一番背の高い女子が巨乳グラマーも兼ねているケースが非常に多いんですよ。で、残り二人で低身長枠を補います。
 これは、日本人オタクユーザーの多くが低身長幼女好きであり、その需要に合わせて、幼女枠を拡大しようとしてこうなったものと思われます。管理人のように「大柄ムチムチ女子」が好きな層は、全体から見るとあまり多くはないからです。
 また、長身枠は低身長貧乳スキーのオタク男子(ゲームクリエイターに圧倒的に多い層)からは「マイナス要素」と見られている節があり、「そのマイナスを打ち消すためにグラマー枠で補ってやってるんだ!」と取れることもあります(長身スキーな管理人からすれば怒りたくなる認識ですが…手前の嗜好認識を押し付けんなよ?と)。

 ですが、そのせいで二人になった幼女枠で「究極の幼女の取りあい」が発生し、片方が負けてしまいます。同じ土俵で勝負すれば、より身長が小さくつるんぺたん(貧乳)女子の方に人気が集中し、負けた側(普通の身長で普通の性格)の女子はファン層が薄くなるのは当然の結果と言えます。
 一方で、長身とグラマーの枠を一手に引き受けた3人目は、長身スキー男子と巨乳スキー男子の両方からファンを獲得し、究極の幼女の次くらいの順位に就くことができます。

 …ここまで説明するともうお分かりでしょうが、この幼女競争で負けた「中途半端な普通のヒロイン」が、最も人気のないキャラクターになる現象が発生してしまうんですよ。ヒロインが1人しかいないのであれば、この枠でも勝てるんですが(例えば初代ファンタシースターのアリサ・ランディールとか)、三人いるとほぼ確定で最下位になります。巨乳枠は長身枠が持って行ってしまってるので巨乳ですらなく、セックスアピールポイントが皆無だからです。

 これに関する非常に分かりやすい例として、ドラクエ11の3人のヒロインがいます。幼女担当のベロニカ、長身巨乳担当のマルティナ、そして清楚なヒロイン枠のセーニャとなります。
 この構成の場合、幼女スキー男子はベロニカに付き、長身巨乳スキー男子はマルティナに付きます。幼女ではなく、かといって背が高いわけでもなく、胸にいたってはほとんどないセーニャ。トレードマークは「清楚」の部分だけ。はっきり言って、メイン・ヒロインを張るには弱すぎます。「エロ要素なんて…!」と眉をしかめる清純派の人もいるでしょうが、エロ要素皆無のヒロイン枠など、失礼ながら長身枠以上にファンが少ないニッチ層です。
 セーニャは運営(●ニックス)が必死で持ち上げて、イベントでは超優遇されているのですが、基本スペックのフェチ要素が余りに乏しいため、やはり人気投票ではぶっちぎりの最下位でした。管理人も、性格とかは好きなんですが、ボディを見るとやっぱり…マルティナに流れてしまいますね(苦笑) せめて、巨乳枠にして「母性溢れるお母さん像」にしておくべきだったでしょうね。マルティナは長身要素だけでも十分やっていけそうですし。

 ……え?幼馴染のエマ?
 あれはそもそも感情移入要素が乏しすぎて、ヒロイン枠にすら入ってないでしょう(笑) エマのトレードマークは「幼馴染」の部分だけで、他は一切何の特徴もなく、一緒に冒険する事もない。それに加えて、セーニャが精一杯イベントでヒロイン役を演じてます。そんな状況で「幼馴染」というだけでヒロインとして認められるなど、●ニックス開発陣は少々認識が甘すぎたんじゃないですかね…?


 以上の理論で行くと、UTAU三人組も同様の不具合が発生しています。つまり、幼女枠は唄音ウタ、長身グラマー枠は重音テトとなり…清楚ヒロイン枠というハズレ枠に桃音モモが入ってしまっています。実際、この三人組でロビー活動(イラスト作成とか作曲とか)が盛んなのはウタとテトです。モモは女性ユーザーのファンが多いようですが、春画が圧倒的に少ない事から、男性ファンの層はかなり薄いように思えます(なお、春画で圧倒しているのはテト)。

 管理人としては、「それではあまりにモモが救われないなぁ…」と考え、今回はテトが重複担当している「長身」「グラマー」の両方をモモに移し、テトには「グラマー」枠だけ残しました。テトは性格や言動が他二人と違って特徴的なので、グラマー枠だけでも十分生き残れるヒロインです。なので、長身枠をモモに譲ることでバランスが取れます。あるいは逆でもいいでしょう。
 従来のモモ・ファンからは「こんなデカ女、モモじゃないやい><」って絶対言われそうですが、ヒロインに抜擢する以上、管理人にとっての理想の女性像を当てはめるのは当然じゃないですか?だって、気に入らないヒロインのコンステンツなんて、作ろうとすら思わないですよ。少なくとも、こんなネット辺境のマイナーな個人サイトで、妄想垂れ流しに関して文句を言われる筋合いはないですな(笑)




【新ジャンル「巨尻」】
 実は近年、低身長・高身長、貧乳・巨乳以外の第3ジャンルが存在します。それは「巨尻」です。

 現在、次々と定年退職している団塊世代では、お尻が大きい=マイナス要素としてしか見られておらず、巨尻に価値は認められていませんでした(そういうのが好きな男子はニッチ層扱い)。しかし近年、「胸は貧弱でも下半身がムチムチなのにロマンを覚える」層というのが、そこそこの人口で存在します。
 かくいう管理人も、実は巨尻スキーです。もっといえば、胸が巨乳か貧乳かはあんまり興味なくて、むしろ大事なのは尻!巨尻以外は認めん!派です。

 巨尻スキーは結構広い範囲に広がっており、実は「低身長・貧乳好きだけど、下半身だけはムチムチじゃなきゃやだ!」という巨尻幼女スキーな人も実在します(遭遇した時は軽い感動を覚えました(笑))。
 巨尻スキーは自動的に「太い足スキー」とも連動しており、巨尻好きは太い足スキーを兼ねているのが普通のようです。太い足スキーも、近年になって大々的に叫ばれるようになったジャンルで、かつては「足は細いのが当たり前」「尻は小さいほどいい」がほとんど世間の常識でした―――常識だったのは、おそらくインターネットがなかった世代の話だからで、実際にはそういうのが好きな人も、大衆に潜伏していたと思われます。ただ、それが表沙汰になり始めたのは、ネットで世界がつながってからのようですね。

 ところで、お尻の大きさに関して、実は男女で認識の差があります。
 大半の女子は、お尻は小さい方が素敵!と考えており、同時に「足も細い方が美しい」と考える女子が圧倒的多数を占めています。巨尻を自慢する女子というのは、少なくとも管理人は遭遇した事がありません。
 ところが男子の方は意見がくっきり分れており、「小さい尻・細い足が理想」の人もいれば、「足はちょっと太い方が好み」「巨尻の方が興奮する」という人もいます。尻に関しては、男女で嗜好のギャップが見受けられるのです。
 それが原因かどうかは知りませんが、特に日本人女性は病的なダイエット依存症なので、巨尻の素敵な女性を見つけるのに、とても苦労します。グラビア雑誌などに掲載されてる女性のモデルの中には、「太いのは努力してない怠惰の証!ムチムチアイドルに価値はない」と、何やら自分の価値感と嗜好を混同しているバカ女までいる始末。


 少ない努力で多くの男性の好みの体型になれるなら、
 それに越した事はないんじゃないの??
 なんで手前の努力のために、俺らの嗜好を「犠牲」にせにゃならんのよ?

 アンタ、モデルなんだろ?
 自分を見てくれる視聴者を喜ばすのが仕事なんじゃないのか??


 …とか、管理人は思うのですが。
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