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● レスティリ
【祖霊】 月へ死者を導く豹と、癒しの薬木レスティリ。
【役割】
 医療と葬儀
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■概要
■■ レスティリの祖霊
 祖霊植物であるレスティリの樹は、高さ3m程度で、細長く厚みのある葉を付ける広葉樹です。樹皮は小さなトゲに覆われています。
 レスティリの葉は、割いて傷口に充てると血止め、熱さましなどの効能があり、根っこは煎じて飲むと解毒作用を持ち、樹皮からは胃腸薬が精製でき、花には呼吸器系疾患を緩和する効能があります。そして種は精神安定剤になり…と、至れり尽くせりの癒し系植物(?)です。繁殖力が旺盛で、リアド大陸の大抵の場所で見かける事ができます。
 ただしその恩恵を受けるには、レスティリ氏族に伝わる製法が必要不可欠です。

 祖霊動物である豹は、死者の霊を正しく月へと導くという伝説があります。エルファの葬儀は土葬で行われ、植物の祖霊の肥料としますが、可能であればレスティリの豹に食べてもらう風葬の形を取ります。そして魂は、氏族武器の弓矢に乗せて、天空の緑の月に向かって撃ち放ちます。


■■ 氏族の役割

 負傷者の現場に駆けつけて医療を行う、救急隊員のような役割を担っています。何もない時は特定の場所に留まり、緊急事態の連絡を待ちつつ、植物の世話をしています。時には動物の処置のために駆けつけることもあります。
 治癒の力が及ばなかった場合は、自ら葬儀を執り行います。エルファたちは生と死は等価値であると考え、死は新たなる円環の回転として喜びを持って迎え入れるように説きます。よほど特殊な事情がない限り、呪文で不自然に寿命を延ばしたり、黄泉の国から呼び戻すような事はしません。


■■ 氏族所属者に多い特徴
 人間でいうところの医師なので、「誠実」や「義務感」を持つ者が多くみられます。何かしらの医療関係の「誓い」を持ち、それを達成するために生きる者も多いようです。

 逆に「血液恐怖症」や「死体恐怖症」は仕事に支障をきたすので、そういう特徴の者はいません。また葬儀を司る事から、時に命を絶つ事も末期治療として存在するため、「平和愛好/非殺」ではレスティリ氏族の仕事は務まりません。

 ごく少数ですが、アンデッドの埋葬や末期治療(安楽死)をメイン業務として活動している者も存在します(はぐれエルファに多いようです)。そうした者は少し根暗であり、「朴念仁」や「執念」といった特徴を持っている事もあります。


■■ 氏族所属者が好んで使う武器
弓矢、杖
■■ 特殊武器
●ファスト・ボウ
 弦が緩く設定されているコンポジット型のショートボウで、<ファスト・ボウ>技能で扱う者が「矢をつがえて引き絞る」動作を行う場合、その行動は実質ゼロ秒に短縮されます。そのため<準備/矢>に成功すれば、矢の準備と装填動作がゼロ秒となり、実質毎ターン射撃できることになります(ただし抜撃ちですが)。

 矢は通常の物を使用できますが、このままでは射撃速度はあっても威力が低いため、実戦能力は低いです。そのため、このボウを扱う際は呪文や矢関連の魔化で強化された魔法の矢を用い、威力を確保するのが一般的です。
 ちなみに、パワーレベル1の<鋭さ>が魔化された矢は$27、パワーレベル2でも$102なので、使用場所を選べば採算は取れるでしょう。

刺し 突き 抜撃ち12 正確さ+1
射程 ST×10/ST×15m
価格$100 1kg 必要体力10


●レスティリの葉
 <高級処置>で用いる、加工されたレスティリの葉っぱです。処置1回分で0.1kgになります。葉っぱの採取は<生存/森>+2判定を行い、成功すれば発見できます。加工に関しては、<治療薬精製>技能が10レベル以上あれば判定不要で成功します。

 価格は実質0ムーナなので好きなだけ採取できますが、あまり長期間保存できません。なお、《保存食》が魔化された袋に収納しておけば、かなり長期間キープ可能です。

価格$0 0.1kg(1回分)


■■ 独自の技能
<ファスト・ボウ>(肉体/難)
 <弓矢>の亜種技能です。通常の弓もこの技能で使えます。ファスト・ボウでの速射は訓練によるものであるため、この技能がない者が<弓矢>技能でファスト・ボウを使用しても、威力が弱いだけの劣化ショートボウとしてしか機能しません。

 この技能でファスト・ボウを扱う場合、「矢をつがえて引き絞る」動作がゼロ秒になります。<準備/矢>と組み合わせて運用すれば、毎ターン射撃可能となります(抜撃ちになりますが)。矢は普通の弓矢のものと共有しています。


<葬儀儀式>(精神/易)
 エルファの正しい葬儀を執り行う技能です。とりあえず12レベルあれば、問題なく執り行う事が可能です。


<治療薬精製>(精神/難)
 レスティリの樹から様々な薬を生成する技能です。これは「治癒関係」に限定された<錬金術>技能として扱います。
 よく利用されるのは『治癒』エリクサー($120)で、呪文や<高級処置>でも回復が追いつかない場合に追加処置として使用します。また『睡眠』エリクサー($120)を麻酔代わりに用い、手術を行います。煙薬として生成し、密室内の敵を鎮圧するのに使うといった戦闘利用も考えられます。


<高級処置>(精神/易) 前提:治療薬精製12レベル
 <応急処置>の上位互換技能で、加工されたレスティリの葉を用いる事で、応急処置よりはるかに高い点数の負傷を回復する技術です。
 <応急処置>と同じように用いられ、30分の処置の後に判定に成功すれば、1D点の負傷を治癒可能です。失敗しても1点回復し、ファンブルしても特にダメージは発生しません。

 この処置は、治癒関連のエリクサー作成時の中間生成物として加工されたレスティリの葉を利用する技術なので、<治療薬精製>技能の知識が一定以上なければ習得できません。
 なお、加工されたレスティリの葉は鮮度の高い食糧の一種として扱われるため、《保存食》が魔化された袋などに入れておけば鮮度を保てます。


■■ 独自の格闘動作、準技能
<見切り>(精神/難)
 相手を注意深く観察する事で、相手の正確な位置、構え、重心移動などが分かります。
 攻撃された際に技能判定に成功すれば、その攻撃に対するあらゆる能動防御が+1されます(2回以上攻撃された場合、どの攻撃に+1を適応するか任意に決めて下さい)。
 判定に失敗した場合は読み違えた事になり、能動防御-2になります―――要するに「軽業よけ」と同じような扱いです。

 また、相手がフェイントして来た際に使用すると、フェイントに対して+4で抵抗できます。クリティカルの場合はフェイント自体を無効化できます(即決勝負にまで至りません)。判定に失敗した場合、即決勝負に自動的に負けた扱い(0成功)になり、相手の成功度がモロに次の能動防御のマイナス修正になります。

 なお、この判定は1ターンに1回だけ、1体の敵に対してのみ有効です。
修正:鋭敏視覚または鋭敏感覚のレベル分だけプラス修正。「共感」があれば+3。


【曲撃ち】
(難)
技能なし値:<ファスト・ボウ> 上限:なし 前提:<ファスト・ボウ>
 普通ではありえない姿勢や移動中に、正確な射撃を行う動作です。歩きながら撃ったり、足で木の枝にぶら下がりながら逆さまの状態で撃ったりする行為を差します。これは、弦を弾くのが簡単なファスト・ボウ専用の動作であり、普通の弓では不可能です。

 文明レベル3時点での弓矢は、立ち止まって撃つのが基本であり、歩きながらだと-6、走りながらだと-12ものペナルティがありますが(ベーシック完訳版p153)、これはそのペナルティを軽減します。他にも、馬などの騎乗動物に騎乗中の射撃(-4)や、鞍上でひっくり返って背後を撃つパルティアン・ショット(さらに-4)もこの動作による軽減対象となります。
 何をもって曲撃ちと見なすかは、最終的にはGMが判断して下さい。「移動しながら撃つ」「あり得ない姿勢での射撃」が基本的な判断基準となります。

 曲撃ちする際は、それらの姿勢ペナルティの修正を受けて【曲撃ち】で判定することになります。ただし、目標値が<ファスト・ボウ>技能を超える事はありません。また、部位狙いによる修正は、この動作の軽減対象にはなりません。

例:<ファスト・ボウ14>【曲撃ち20】で、《鷹目》の呪文効果中のエルファのお姉さんが、重装軍馬の上から100メートル先のゴブリンの足を狙い撃ちます。
 馬上からの操縦者の射撃は修正-4なので、【曲撃ち】-4で16です。ただし、実際の目標値は主技能を超えないので、目標値は主技能と同じ14となります。
 そこからさらに距離修正を差し引きますが、《鷹目》の効果で距離10メートルで計算できるので距離修正は-4、さらにゴブリンの足を狙うということで部位狙い修正-2を差し引いて目標値は8。これは抜撃ち以下なのでさらに-4修正を受け、実際は目標値4しかありません。エルファのお姉さんは1ターン狙いを付けることで、目標値9(抜撃ち修正の打消しで+4、ファストボウの正確さで+1)に戻しました。
 もしこれが【曲撃ち】なしだったとすると、狙いを付けても最大目標値は5しかありません。その程度の腕前での馬上射撃は、ほとんど実用性がないでしょう。


■■ ボーナス技能
 <医師><手術><診断><動植物知識><毒物>の各技能を習得する際、技能レベルに+1のボーナスを得られます。


■■ 使用可能な僧侶呪文
 レスティリ氏族の者は「動物系」「植物系」「地霊系」「治癒系」の四種を僧侶呪文として習得できます。

[<緑の弟/妹>呪文] (素質1まで)
動物系:
静かに、お座り、動物召喚、動物探知、動物感応、昆虫制御、魚制御、軟体動物制御、爬虫類制御、鳥制御、動物制御、騎手、動物知覚、動物支配、動物会話、変身/豹


植物系:
植物探知、植物分析、植物治癒、植物変化、植物繁茂、植物祝福、植物作成、枯死、見張り森、よじれ枝、獣道、植物知覚、動く植物、植物変身


地霊系:
鉱物探知、土変化、砂噴射、石変化。地中歩行、土を石、石を土、土作成、肉を石、石弾、土を空気、地中視覚

治癒系:
体力賦与、生命力賦与、体力回復、覚醒、体力供与、小治癒、大治癒、殺菌、活動中断、療治、解毒、接合


[<緑の兄/姉>呪文] (素質2まで)
動物系:
他者変身/豹


地霊系:
石を肉、肉体石化、埋葬、地震、火山


治癒系:
瞬間接合、再生、老化停止


[<導き手>呪文] (素質3まで+独自呪文+<導き手>共通呪文)
治癒系:
瞬間再生、若返り、復活


独自呪文:
弾丸強化、回復の眠り、化身、樹霊覚醒


*独自呪文データ
《弾丸硬化》 通常 (地霊系呪文)
 射撃武器の弾(弓の矢、弩の太矢、マスケット銃の弾丸など)の構成素材の密度を上げて硬化します。サイズ的にはせいぜい手の平に収まるサイズ(ダーツなど)までで、一般的なサイズの手投げ武器(ナイフ以上)は対象外です。
 硬化された弾で射撃を行う際、致傷力が+1されます。あらかじめかけておいて携帯しておくか、撃つ際に矢筒などから取り出し、手に持った状態で呪文をかけて下さい。呪文の消費コストは10本分の矢で1であり、呪文1回の使用で10本分まとめて賦与できます。なので、あらかじめかけて矢筒に突っ込んでおき、戦闘になるまで呪文を維持し続けた方が効率は良いでしょう。

 なお、この呪文の効果は《鋭さ》の魔化とは全く別のアプローチによる強化なので、呪文効果はそれぞれが有効に働きます(例えば<鋭さ>1レベルが魔化された矢にこの呪文をかければ、合計で+2の致傷力修正が見込めます)。
■持続:1分 ●消費:10本分で1・維持も同じ ★前提:素質1+《土を石》


《回復の眠り》 通常 (治癒系呪文)
 目標が術にかかることを望まない場合は自動で抵抗されます。
 この呪文がかかると、目標は深い眠りに落ち、1時間寝るごとに1点のHPが回復します。疲労は通常の2倍で回復します。睡眠不足による疲労も完全に回復できます。目標は完全に回復するか、8時間経過すると自動的に目が覚めます。
 術者が指示するか、<覚醒><呪い除去><対抗呪文>などで解除した場合、途中で目覚めます。
■持続:8時間まで ●消費:6(回復速度を倍にするなら10。その場合も最大8点までしか回復しない) ◆準備:30秒 ★前提:素質2+《小治癒》


《化身》(至難) 特殊 (動物系呪文)
 祖霊動物に変身します。「軽荷」までの所持品は一時的に消えますが、魔法の品(パワーストーンなど)は残ります。また術者が消したくないものも残ります。

 《変身》との最大に違いは、持続時間がごく短いことです。祖霊はいわゆる神に近い存在なので、物質界でその姿を留めておけるのはわずかな時間だけです。この呪文では10秒が限界で、それ以上は維持もできません(必要ならば、もう一度集中してかけ直すしかありません)。
 しかし、それに見合っただけの性能は持ち合わせており、通常の祖霊はどの個体も倍速で動きます(10秒しか存在しませんが、実際には20ターン戦えるわけです)。さらに、元となった原種の動物よりも一回り大きく、高い能力値と攻撃力を持ち合わせています。
 なお、化身中も術者が習得している呪文を使う事はできますが、動作を伴わないほど熟達した呪文(18レベル以上)でないと使用できません。呪文発動時には、咆哮を上げることになります。

 《化身》は氏族ごとに別呪文であり、自分が崇める祖霊動物にしか変身できません。
■持続:10秒 ●消費:5・維持は不可 ◆準備:3秒 ★前提:素質1

 レスティリ氏族は「レスティリの豹」に変身します。また、《変身》の呪文で変身できる通常の豹のデータも提示しておきます。主に移動のために変身する時は、こちらを使う事になります。

(通常の豹)
体力:12 敏捷力:14 知力:5 生命力13
速度/よけ:10/7 受動防御:0 防護点:0
体重:90kg 大きさ:1ヘクス
鉤爪や噛みつき(近接戦闘)により「切り/1D」ダメージを与えます。

 標準的な雄のヒョウです。毛皮は防護効果があるほど厚くはありません。木登りが得意であり、上からの奇襲を好みます。ライオンやヒヒなど自分より怪力の動物が天敵であり、彼らに獲物を横取りされる事もしばしばあります。そのため、狩った獲物は樹上に持ち運んで食べるのが普通です。

(レスティリの豹)
体力:17 敏捷力:14 知力:術者と同じ 生命力14
速度/よけ:10/7 受動防御:1 防護点:1
体重:150kg 大きさ:2ヘクス
鉤爪や噛みつき(近接戦闘)により「切り/1D+2」ダメージを与えます。
牙や爪は魔力を帯びており、非実体(ゴーストなど)にもダメージを与えます。
《覚醒》の呪文を18レベルで使用できます(消費コストはゼロ。拡大は3倍まで)。
「加速」能力を持つため、1ターンに2回行動を行えます。

 レスティリの樹を守る豹で、通常の豹よりもかなり大柄ですが、さすがにライオンを上回るほどではありません。また通常種と同じく木登りが得意で、樹上より奇襲攻撃を仕掛けます。
 《覚醒》の呪文を18レベルで使用できます。直径5ヘクスに効果が及ぼせ、消費コストも0です。気絶したり朦朧中の味方を起こすのに便利でしょう。
 レスティリ氏族の<導き手>のエルファは《化身》の呪文を使うことで、わずかな時間だけこれになる事が可能です。


《樹霊覚醒》 通常 (植物系呪文)
 祖霊植物にかける《動く植物》です。動かせる対象が祖霊植物に限定されている代わりに、樹のサイズに関係なく消費コスト3で済みます。根っこで歩かせる場合は、エネルギーコストを倍にして下さい。
■持続:1分 ●消費:3・維持は不可。動かすなら2倍。 ◆準備:5秒 ★前提:素質1

(レスティリの樹)
体力:20 敏捷力:10 知力:3 生命力:消費エネルギー×4
速度/よけ:8/8 受動防御:2 防護点:5
体重:500kg 大きさ:3ヘクス
枝(距離C、1~2)により「叩き/1D」ダメージを与えます。

 一般的なサイズのレスティリの樹です。幹の部分が3ヘクスのサイズで、枝葉は高さ3メートル付近から幹を中心に2~3ヘクスほど広がっています。エルファ2~3人程度なら上に載せて運べます。
[原作からの変更点]
 まず呪文ですが、エルファ全体で大幅に変更しました。原作では氏族特有の1系統+植物系、動物系が習得範囲になっていましたが、これはあまりに範囲が狭すぎて選択範囲がなかったので、2系統にしました。

 ちなみに、プレイヤーが選択可能な4氏族は、役割ごとに四大精霊でも分けることが可能だったりします。

 治癒と同時に埋葬も担当するレスティリは地属性(《埋葬》の呪文などぴったり)、狩猟と同時に破壊も担当するプファイトは火属性(プファイトの実とかいう爆発物はどう見ても火)、処罰を担当するジャングは水属性(水は生命の維持に直接関わります。水を奪えば簡単に苦痛を与えられます)、情報管理のカアンルーバは風属性(情報を飛ばすのに使う媒体は「音声(=大気、風)」)と、ぴったり一致していたりします。
 以上の属性魔法をそれぞれの氏族に追加することで、魔術師としてのバリエーションを大きく増やす事に。


 あと、《化身》の呪文なんですが、これは致命的とも言える欠陥構造を抱えた呪文です。維持コストがそんなに高くないので、20レベル以上にすると延々と維持できてしまう。しかも《変身》と異なり知力が下がらない!…これだと、エルファでいることを諦めて、ヒューマノイド形態時の能力値をごっそり削ってしまえば、実質CPを稼ぐだけの有利な手段となってしまいます。

 なので《倍速》のように「短時間だけ戦闘力が上昇する」呪文の亜種に置き換えてしまいました。味方に3秒の集中時間を稼いでもらう代わりに、3秒後には10秒だけ(加速能力があるので実質的に20秒)主戦力として戦えるようになったわけです。
 ただし、動物は格闘戦は得意でも、火力と装甲は言うほど高くはありません。対人戦では圧倒できるでしょうが、大型モンスター相手だと、この呪文は役不足です……<導き手>がもれなく使えてしまう呪文なので、バランス的には、こんなもので良いかと思います。


 それと、エルファたちは魔法に親和性がある連中なので、各氏族ごとに系統限定の<錬金術>を持たせています。ぶっちゃけレスティリの樹だって、特殊な処方を知らなければエルファ以外の種族…たとえば人間だって、治癒のために使おうとするはずなんですよ(笑)。だって、レスティリの樹はあちこちに生えてるわけですから。
 なのにレスティリ氏族のエルファ以外はこの樹を全く使わないのは、それ相応の設定があって然るべきかと判断するのが妥当です。そこで、「エルファ全員が自分が属する氏族の生体素材に対して秘伝の専門知識がある」という設定にしました。


 で、そのレスティリ氏族単体に関してですが、ファスト・ボウの設定に困ってしまいました。旧版のルナルと完全版のルナルでは、そもそもファストボウの設定が異なるように見受けられます。なんか完全版だと、クロスボウの亜種とも取れる表現が入っていて、「腕を振るうだけで弦が装填位置に戻る」…って、それってクロスボウってことか??一体どんな道具なのか、物理的に説明できずにあれこれ悩んでました。管理人としては、古いアニメ「ヴァンパイアハンターD Bloodlust
」に登場するボルゴフ=マーカスが使っているハンド・ボウガンのイメージだったのですが(あれってリアルで使用しても、ほとんどダメージがないと思うわけですが…)。

 そこで、ネット上で情報収集を行い、速射弓の実現性を探ってみる事に。
 現実に1秒置きに速射している射手の動画があったりするのですが、これは非常に弦が甘く張られていて、命中速度は凄まじいのですが、どう見ても実戦投入するには威力がなさすぎる。ガープスで再現すれば、「刺し/1D-5」くらいの威力しかなく(ほぼ強制的に刺しの1点ダメージしか出ない)、これではスポーツの域を出ない。
 で、今度はMHW(モンスターハンター・ワールド)でガンナーが弓矢を連射してる光景などを見て、思いついたのが「弦が緩く張られていて引き絞るのが簡単だが、そのままだと威力が低く実用性に乏しい。なので、威力の低さを魔法で補えばどうか?」というアイデア。氷属性弓でテオ・テスカトルを狩るプレイ動画を見ていて「これだ!」と思いました(笑)。

 以上から、原作にある《矢強化》の呪文を新ルール用のものに置き換えて、「威力を呪文で補完しながら高速で弓を撃つエルファ」の形が完成しました。弦がごく軽いという事情と、リアル射手の曲撃ち動画が非常に素晴らしかったことから、専用格闘動作に【曲撃ち】を入れておきました。《すばやさ》や《鷹目》の呪文と併用すれば、馬車や騎馬の上から華麗に射撃ができるでしょう。
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