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● アルリアナ
【本質】 思い出
【司る側面】
 気まぐれと忘却
【2次的に司る側面】
 恋愛、季節、肉体の美、風、脱出、若さ、快楽、淫蕩、不実。
【教義】
 常に動きを作り出せ。時代錯誤の無用な記憶は忘れよ。命短し、恋せよ乙女。
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■ 概要
■■ アルリアナの神格
 赤の月の思い出を司る女性神格ですが、この女神は「不要な記憶を忘れよ」と、自らの本質を否定するような事を説いています。これは、状況によっては過去の記憶や誓いに縛られていては、新時代に対応できず、苦しみ続ける事もあるからです。例えば、自分と合わない異性と結婚してしまった時など、早めに別れてしまえば、また次のスタートを開始する事ができるわけです。
 このような教えは、記憶の上書き更新が苦手な男性には受け入れられにくい一方、一般的な女性の恋愛観とは非常にマッチしているため、アルリアナ信者の大半は女性です。特に、本格的にアルリアナ信仰を行う女性の多くは娼婦であり、アルリアナ神は一般に娼婦の守護神とされています。

 また、片割れの女神と同じく天候、特に「風」を司っています。サリカとは異なり、唐突なゲリラ豪雨や季節外れの雪など、人間から見ると、どちらかと言うと回避したい側面を司る疫病神でもあります。特に雪国では、アルリアナは凍結をもたらす冬の女神として恐れられ、災厄が自分に振りかからないように祈るのです。

 数少ない男性信者は、そのほとんどが「風」の側面を特に信仰する格闘家たちです。アルリアナは蹴打術(ダルケス)と呼ばれる空手に似た格闘術を教えており、相手の意表を突く(気まぐれな風のような)動きが好まれます。この蹴打術は、女性信者の護身用としても親しまれています。


■■ 神殿の役割

 都市部において、娼館経営をしている建物=アルリアナ神殿というケースがほとんどです。たまにですが、精神科の診療所になっているケースもあります。精神科医による治療も行われるのですが、主な目的は「もはや社会に出れなくなった精神病患者を隔離しておく施設」というのが実態です。

 また稀ですが、社会的弱者の権利強化を求める活動の拠点として使われている事もあります。ルナル世界の人間社会も地球と同じく男系社会であり、男性の方が権力が強い傾向にあるため、家庭内暴力によって家から逃げ出した女性の「駆け込み寺」として機能している事が多いようです。
 アルリアナ信徒は蹴打術など戦闘向きの独自技能があるため、神殿の護衛に関して言えば、赤の月の組織とは思えぬほど戦闘力が高かったりします。暴君である残念な夫から身を守る場所としては最適でしょう。


■■ 信者に多い特徴
 いわゆる水商売に従事する女性の信者が多いため、総じて社交性が高いのが特徴です。ただしサリカ信者女性のような「おしとやかな令嬢」とは異なり、自身の感情を押さえつける事を良しとしないため、「高慢」「かんしゃく」「自信過剰」「嫉妬」「好色」など感情をストレートに出す事を躊躇しない者が大勢います。

 一方で、より教義に忠実な「真面目な」アルリアナ信者は、特定の事象に拘泥する状況からの解放という教えに則り、「貧乏」や「麻薬中毒」、各種精神病などの継続的な苦難で苦しむ人々を積極的に救おうと活動しています(「誓い」を立てるのが適切でしょう)。
 このタイプの信者は、サリカ信者的な「おしとやかな女性」像と被る部分が多いようですが、かなり少数派です(神官以上に出世するのは通常このタイプです)。

 しかし両タイプに共通することは、それらに対する自身への見返り(利益)にあまり興味を示さないことです。感情論で動く以上、感情さえ納得すればそれ以上はどうでもいいといったところでしょうか。そのため、あまり「財産」に縁のある信仰とは言えません(元より弱者側の勢力に着こうとする信仰なので)。
 お金持ちのアルリアナ信者といえば、ごく一部の経営者側に回っている高級娼婦や金持ち(貴族や豪商)の嫁、財産=大量に引き回してる家畜である遊牧民などに限られます。


■■ アルリアナ信者が多い職業
娼婦、織物職人、革職人、精神科医、遊牧民


■■ アルリアナ信者が好んで使う武器
鞭、弓矢、素手格闘術
■ 作成データ
■■ 特殊武器
●セクション・ウィップ
 強靭でしなやかな肉食植物クルッスの触手を複数の竹筒で覆い、先端に刃を取り付けた<鞭>の亜種です。竹の産地であるカルシファードでは「九節鞭」と呼ばれています。折りたたんで収納するとかなりコンパクトになるため、基本的には「暗器」に属するものです。日常生活における護身用や、武器の持ち込みが困難な場所での戦いが想定される時に用いられます。

 戦闘時は片手で扱い、頭上で回転させた状態を維持しつつ、攻撃時に相手に投げつけます。これを行うためには、長さと同等の空間が必要です。周囲の味方も「障害」になるため、密集体型で扱うには向いていません。通常の鞭と同じく、この攻撃を剣や盾で回避するのは困難です。

切り 振り-1 長さ1~4* 攻撃/受けに使うと非準備状態
絡みつき 特殊 (技能の説明参照) 長さ1~4* 攻撃/受けに使うと非準備状態
*準備は長さの半分のターン(端数切り捨て)。
価格$200 重量3kg 必要体力9


●アルリアナ・ブーツ
 蹴り攻撃を強化し、脚を保護してくれるブーツです。見た目はレザーブーツですが、現代の安全靴のように、つま先と踵が金属補強されて頑丈に作られており、重量バランスもとられているので快適です。この靴を履いていると、キックのダメージが+1されます。また、固い物を蹴った際の反動ダメージを回避するための生命力判定で+2修正を得ます。

 部分鎧のデータとしては、金属補強されたレザーブーツとして扱います(受動防御2、防護点3)。全身鎧のルールでプレイしている場合は、ブーツの重量は全身鎧に含まれるものとし、追加で重量を加える必要はありません。

キックのダメージ+1 反動ダメージ回避の生命力判定+2(キックの場合のみ)
価格$120 重量2kg


■■ 独自の技能
<セクション・ウィップ>(肉体/並)
 セクション・ウィップを扱う技能であり、この技能で鞭をペナルティなしで扱えます。基本的なルールは<鞭>とほとんど同じです。以下、ルールを羅列しておきます。

[基本性能]
・攻撃の度に非準備状態になります。
・非準備状態から準備状態に戻すのに、使用中の長さの半分(端数切捨て)と同じターン数かかります。
・長さ2以上だと1m以下の近接エリアに攻撃できません。
・この武器による攻撃に対する能動防御は大変困難で、「受け」-4「止め」-2のペナルティがあります。
・この武器は「受け」には向いておらず、能動防御に使う場合の「受け」は技能レベルの3分の1になります。また「受け」を行うと、非準備状態になってしまいます。
[攻撃オプション]
・普通に攻撃した場合、鉤爪によってダメージを与えます。
・武器破壊のルールに従って相手の武器を狙い(修正-3~-5)、命中させることで、武器落としを試みる事が可能です。次の相手の手番で、体力の即決勝負を行い、負けた側は武器を手放してしまいます。引き分けならば互いの武器がほどけます。
・技能-4で<投げ縄>と同様に扱えます。ただし詳細ルールは完訳版にしか載っておらず、持ってない方は忘れた方が無難です(ルール的にめんどくさい)。


<空手>(肉体/難)
 ルナルでは、一部の信者でしか習得できない技能です。神殿では「蹴打術(ダルケス)」と呼びます。


<アルリアナの踊り>(肉体/並)
 <踊り>技能のバリエーションです。自由奔放に動き回り、演武のような動きが特徴です。基本的には見世物用で、お祭りの際に舞われる事があります。

 この技能は<軽業>技能による「アクロバットよけ」にも若干影響を及ぼします。「アクロバットよけ」を試みる際の<軽業>判定において、この技能レベルの8分の1(端数切り捨て)だけプラス修正を与えます。


<錬金術>(精神/至難)
 ルナルでは、一部の信仰でしか習得できない技能です。

 アルリアナ信者の錬金術師は、「治癒系」や「精神系」など性交渉や恋愛に関連したエリクサーへの興味に傾倒しており、生涯かけて追求する学問というよりも、現世での利益を得るための手段の1つとしてしか見られていません。
 なので、ペローマ信者のように錬金術だけに打ち込むアルリアナ信者がいるとすれば、何かしら情熱的な理由があるのでしょう…例えば「記憶喪失になった彼氏の心を治す薬を開発する」とか。


■■ 独自の格闘動作、準技能
【キック】(並)
技能なし値:<空手>-2 上限:<空手> 前提:<空手>
 蹴打術での攻撃は蹴り技が基本となっているため、パンチと同じ目標値まで上げる事が可能です。この改変ルール下では、他のキック動作の技能なし値に使えない事に注意して下さい。あくまで普通にキックする場合のみ、パンチと同じ目標値になるというだけです。


【フェイント/空手】(難)
技能なし値:<空手> 上限:<空手>+4 前提:<空手>
 通常ルールのフェイントと同じです。<空手>でフェイントを行う時のみ、こちらのレベルを使用できます。最大で技能+4でフェイントの即決勝負を行えます。フェイント以外の武器技能判定(命中判定や「受け」など)には一切使えません。


【後ろ回し蹴り】(難)
技能なし値:<空手>-3 上限:<空手> 前提:<空手> 射程:1
 身体を素早く回転させて、踵や足の後ろで蹴りを行います。相手は突然の重心移動で戸惑ってしまいます。ルール的には、フェイントに似た動作と蹴り攻撃を同時に行っているものとして処理します。
 疑似フェイントの方は、攻撃者の【後ろ回し蹴り】と、防御側の格闘系技能(武器技能は不可)or敏捷力で即決勝負を行います。通常のフェイントと異なるのは、防御側が勝った場合、勝った数値分だけ直後の蹴り攻撃に対する能動防御にプラス修正になることです(見え見えの蹴りを放ってしまった扱いです)。
 疑似フェイント直後の蹴りの命中判定も、【後ろ回し蹴り】で行います。ダメージは通常のキックと同じです。なお、直前の疑似フェイントの結果が気に入らなくても、この蹴りは行わねばなりません(ほとんど同時に繰り出しているため中断はできません)。


【飛び蹴り】(難)
技能なし値:<空手>-4 上限:<空手> 前提:<空手> 射程:2
 2ヘクス離れた場所にジャンプして蹴ります。ダメージは「突き+2+空手修正」となります。相手はこの攻撃に対して「受け」を行う際、-2のペナルティを負います。
 なお、攻撃者が命中判定の段階で失敗した場合、敏捷力-4か<軽業>-2判定を行い、失敗すると転倒してしまいます。


■■ ボーナス技能
 <催眠術><心理学><性的魅力><嘘発見><裏社会>の各技能を習得する際、技能レベルに+1のボーナスを得られます。


■■ 使用可能な僧侶呪文
 アルリアナ信者は「精神操作系」と「移動系」の二種を僧侶呪文として習得できます。

[神官呪文] (素質1まで)
精神操作系:
恐怖、パニック、恐慌、勇気、狂戦士、間抜け、酩酊、吐き気、忘却、眩惑、集団幻惑、心神喪失、誘眠、集団誘眠、安眠、狂気、偽記憶、人払い、忠実、魅了、奴隷、知恵、感情操作、ささやき、集団ささやき、視覚強化、聴覚強化、嗅覚強化、注意力強化、背中の目

移動系:
韋駄天、進軍、倍速、べたべた、念動、軽荷、軟着陸、壁歩き、騒霊、錠前師、鍵開け、見えない手、縄ほどき、浮遊、水泳、飛ぶ剣


[高司祭呪文] (素質2まで+独自呪文+高司祭共通呪文)
精神操作系:
完全忘却、永久狂気、思考停止、悪夢、命令

移動系呪文:
従者、飛行、高速飛行、瞬間移動、瞬間回避

独自呪文:
不眠、風の渦


*独自呪文データ
《不眠》(至難) 通常 (精神操作系)
 目標は一晩だけ徹夜できます。不眠による疲労点減少は一切起こりません。
■持続:一晩 ●消費:8。維持はできないがかけ直し可能 ★前提:素質2+《誘眠》


《風の渦》 範囲/生命力or敏捷力で抵抗 (移動系呪文)
 効果範囲内にいる者全員は、単体の巨大な風の渦と化して運ばれます。移動中、渦になっている者たちは《肉体気化》の状態となっています。術者が「集中」している間、風の渦は移動力10で指定方向に進みます。

 術者は範囲内で除外したい人物を効果から除外できます。また、運ばれたくない者は生命力か敏捷力の高い方で抵抗できます。
■持続:10秒 ●消費:8・3 ◆準備:2秒 ★前提:素質2
[原作からの変更点]
 もっとも矛盾していた装備「シールド・バトン」は削除しました。アレを装備していると、せっかくの<空手>技能による「受け」ができませんし、近接戦闘になった際、バトンが行動にペナルティを与えてきます(シールド扱いなので)。

 あと、【回し蹴り】や【後ろ回し蹴り】なんですが…
 これって、基本的に全力攻撃「ダメージ+2」や「フェイント即攻撃」と同じなんですよね。わざわざルール的に分離する意味があるのか?というのは、管理人がガープスを始めた初期からずっと疑問でした。
 実際、マーシャルアーツの格闘動作の多くは、実は基本戦闘ルールだけで実行可能な動作を、わざわざ独立させてCPを払わせる代わりにダメージや相手の能動防御低下の特典を与えてるだけです。格闘技の基本はパンチとキックであり、様々な動作はそれらを特定の動きに固定することで、素早く出すためのコンビネーション技を形成しているにすぎません。ぶっちゃけ格闘動作とはコンビネーション技の積み重ねの歴史であり、そのルールを導入すれば、ほとんど解決してしまいます。

 ただし、通常のパンチ・キック動作だけでは再現できないルール部分もあることから、【飛び蹴り】と【後ろ回し蹴り】は残しました。特に飛び蹴りに関しては射程が2ありますので、【腕関節技】対策用として重要です。
 あと、【脛蹴り】はアルリアナ信者のイメージに合わないので削除しました。脛蹴りもユーチューブの動画などで閲覧できますが、あれって痛みがなくなるまで足を痛める技なんですよ。容姿の美しさを求めるアルリアナ信者女性が、ダメージ+2のために美しい脚線美を壊し、醜く膨れ上がったぶっといふくらはぎにするか?と言われると、かなり疑問なので消しました。特にアルリアナは「肉体美」も司っているので、男性格闘家でもそこを反するのはいかがなものかと(宗教縛りの意味がない)。

 総合すると、アルリアナの蹴打術はフェイントと見た目重視な蹴りを多用し、素早さを重視した風のような格闘術と言う事になりました。強打できないので相手の装甲が厚いと困るのですが、独自のブーツを履く事で、多少はマシなはずです…後は「全力攻撃/ダメージ+2」で何とかして下さい。一応、ブーツを履いていたら、固い物を蹴った時の反動ダメージを抑えるための生命力判定で+2の修正を得られるように変更してます。冒険者の場合、この効果の方が原作の効果(相手が蹴りを「受け」た時の反撃の命中判定-5)よりも役に立つはずです。



 なお、独自呪文の《風の渦》は、一見すると風霊系呪文に見えます。確かに風霊系呪文なんですが、同時に移動系呪文でもあったりします(グリモアの呪文)。一応、風を司っているので、移動系以外にも風関連の呪文が入れたかったのですが、《風の渦》は仲間をまとめて救助できて逃走に使えるという、アルリアナの教義にぴったり一致した呪文だったので、サリカではなくアルリアナの独自呪文に設定しました。
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